神様のせいで不運を被った少女は異世界で幸せになります!

海野すじこ

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第6話 今世の家族達

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ベッドに運ばれた私は内心動揺していた。

人にこんなに心配されたり、優しくしてもらったことなどなかったから、どうしてよいのか分からなかった...ましてや家族に心配されるなんて...。

私は随分と家族の愛に包まれた事などなかったから...。心の底から欲していたのに..まさか異世界でそれが叶うなんて...。




今...私は何を考えていた?



家族の愛を欲していた....?
私の前世はとても複雑だったんだろうか?


ちょっとしたことで喜んだり動揺してしまう...きっとこれが普通なんだ。


家族に愛されるという...極々普通の事を知らない私の方が異常なんだと思う。


きっと記憶を引き継ごうとしなかったのは、そういうこと...なんだろうな。


心配してくれる人がいるってこんなに嬉しいことなんだね...でもただ一人...私の事を心配してくれた人がいたような...。


思い出そうとすると激しい頭痛に襲われる...。


前世の記憶に関する事を思い出そうとすると、気を失いそうになる程の頭痛がする。


ここまで思い出したくない“記憶”って一体なんなのだろう。


でも...私にとって“とても大切な存在”がいた気がする...。


前世のほとんどは思い出すのが怖いが...。


“とても大切な存在”は思い出せたらいいなと思う...。


それでも..前世の記憶の全てを捨て去るくらいだからそれも悲しい思い出なのかもしれないけれど...。





私がベッドの上で、ボーッとそんな事を考えていると、先ほどベッドまで運んでくれたイケメンお兄様?が家族?と思われる人達を引き連れて部屋に入ってきた。

「 エリーゼ....私がわかるかい? 」

イケメンお兄様が自分の事を指差すが、この世界についての記憶は全くないので初対面である。

私は、フルフルと横に首を振ると...

イケメンお兄様は、この世の終わりだと言わんばかりの絶望の色を浮かべた。

こんな顔...一回でも見てれば忘れる筈がない。

キラキラ輝く金髪を後ろで一つにまとめ、綺麗な海のように澄んだ水色の瞳。

まるで彫刻のように整った顔。上流貴族のような衣服を上品に纏う彼は、絵本に出てくる王子様のように美しかったからだ。

「 マティアスの言った通り、本当に記憶を失くしてるんだな...?エリーゼ...俺がわかるか?? 」

イケメンお兄様と顔は似ているが、こちらのお兄様?は少し色がくすんだ金髪に、短髪で日に焼けた肌、イケメンお兄様より少し緑がかった...エメラルドグリーンに近い色の瞳をしている。

イケメンお兄様よりガタイも良く、とても逞しいワイルドイケメンお兄様だ。

そして話しかけながら、私の頭をガシガシと撫でるのだが...力がとにかく強い!すんごいバカ力...めちゃくちゃ痛い...。

「 バカアルベルト...エリーゼの頭がモゲたらどうするつもりだ? 」

イケメンお兄様が先ほどと同じ冷気を放つ。
怖い!怖いから!!冷気駄々漏れしてるからね!?

しかもこの二人仲いいんだか悪いんだか...アルベルトさん?貴方も殺気駄々漏れしてるからね!?

ヒグマか...!!ってくらい怖いよ?本当マジで怖いからその殺気抑えてね??

二人とも平和に行こうよ?ねっ?

「 ケンカする人は大嫌いです!どこのどなたか存じませんが...私の前でケンカするなら部屋の外でしてくださいます?」

そう言ってプイッと横を向くと、二人の顔に絶望の色が浮かぶ。

「「 お...お兄様達はこんなに仲良しだから...頼むから大嫌いなんて言わないでおくれ... エリーゼ。エリーゼに嫌われたら俺達生きていけないから...今のは...ほら!冗談だから..ねっ?」」

とたんに笑顔で肩を組む二人のお兄様達。
そしてハモってる...仲良いのか悪いのか本当にわからないなぁ...この二人。

でも二人は“エリーゼ”に弱いんだな。
良いことを知った。

「それよりも本当に記憶を失くしてしまったのかい?エリーゼ...。」

父親と思われる落ちついたイケメンオジサマが私の顔を心配そうに覗き込む。

父よ見てたならバカ兄二人を止めてくれ...放置したら死人が出るぞあれ...。

でもこんな感覚は初めてだった。
エリーゼを溺愛する兄二人...溺愛なんてされた事ないからむず痒い。

でもこの感覚は悪くない。

無関心よりよっぽど...。

また前世を無意識に思いだそうとして頭痛に襲われる。

「 エリーゼ...顔色が....まだ頭が痛むのね?貴方5日も目を覚まさないからみんな心配していたのよ...。これだけ昏睡していたのだもの...何か異常が出るかもとお医者様も言っていたのだから...仕方がないわ...ゆっくり思い出せるようにしましょうね...。」

異常も何も別人なんですが...とは言えなかった。

「 例え記憶が戻ろうと戻るまいと...貴女は私達の大切な娘であることは変わらないわ。
無理に思い出そうとしなくてもいいの。
貴女は、貴女らしく過ごしてくれればそれでいいのよ。
本当に貴女が死んでしまうんじゃないかとすごく不安だったわ...。生きていてくれてありがとう...エリーゼ。」

お母様と思われる人は額にキスをして、ギュッと私を抱きしめた。
本当に不安だったのだろう...母の体はかすかに震えていた。

おかあさんってあたたかいんだなぁ...。

こんな素敵な家族に嘘をついているのはツライけど...
今世の家族が優しい人達で良かった。

私はこの人達を大切にしよう。

絶対に。









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