4 / 19
第4話 残された者
しおりを挟む綾を見送った神様がこちらに振り向く。
「 約束通り綾の前に姿を現さないでよく我慢できたね。...綾はやはり“記憶”を消してほしいと望んだよ。それでも同じ世界へ行くのかね?...彰くん。」
そこにいたのは彰だった。
綾が亡くなった後...彰は後を追うつもりで綾が飛び降りたビルにいた。
そして飛び降りようとした彰を神様が救ったのだ。
「 君にもツライ思いをさせてしまったね。君は本来あの時に命を落とす運命じゃなかったのに...すべてワシのせいじゃ。もう綾を元の世界に戻してやることはできなくなってしまった。君はどうしたいかね?」
彰は迷いなく言った。
「 俺は綾をひとりぼっちにしないと誓った。だから俺を綾が転生する世界に送ってほしい。綾が生きる世界なら何処であろうと構わない。今度こそ...綾を守りたいんだ...。」
彰が強い眼差しで神様を見つめた。
「 綾は...君のことを何も覚えておらんのじゃぞ?それに、君は死んではおらんから、こっちの世界で君は存在しなかったことになる...。それでも行くのかね?」
神様は心配そうに見ているが、彰の意思は固かった。
「 それでも綾の側で生きたいんだ。例えどんなことが待ち受けていても...俺は今度こそ綾を守りたい。」
神様が彰の目を見つめる。
「わかった。しかし綾の姿は前世の世界と変わっておるが...見つけられるかのぅ。そして綾は完全に前世の“記憶”を失っておる。君は前世を話さずにいることが出来るのか?とてもツライ思いをするぞ?」
神様は、彰にも幸せになって欲しかった。
だから綾が“記憶”を消す決断をしたことで、彰がツライ思いをするのがわかっていたので心配していたのだ。
「 それでもだ。例え覚えていなくても、自分のこと、前世を話せなくても...例えツライ思いをしようとも、俺は綾のいる世界で生きたい。ツライ思いは俺の罰なんだよ...。俺があの時、すぐに追いかけて綾を捕まえて誤解を解いていたら綾は死ぬことはなかったんだから。」
神様は彰の思いを尊重することにした。
そして彰にも次の世界へ行く為に何か力を授けようと要望を聞いた。
「 綾は絶対に人を傷つける力を嫌うはず。しかし綾を守るにはそういう力も必要になると思うから...俺は剣
や格闘系に特化した力を貰いたい。絶対に綾を危険から守りたいんだ...。」
彰の思いを聞き神様は彰に力を授けた。
「 彰くん...君にまで業を背負わせてしまってすまない。彼女を見つけたら今度こそその手で守るんじゃ。そして綾の話を聞いたと思うが、もしかしたら..また悪魔が綾に何かすることも考えられる...。君には悪魔を斬ることができる聖剣を与えよう。使うべき時が来たら強く念じるんじゃ。君も次こそは...綾と幸せになっておくれ。」
神様がそう話すと、彰は力強く頷いた。
「神様...短い間だったけど、色々我が儘を聞いてくれてありがとう。」
彰が笑ってお礼を言うと、神様も嬉しそうに笑った。
最後に、向こうでのナビに使えと鷹のような使い魔をくれた。
「達者でな...綾を頼んだぞ。」
そういうと神様は、綾の時と同じように杖を掲げた。
「 綾....今度こそ必ず守るから...会うまで無事でいてくれよ。」
彰も綾に続き旅立った。
神様は二人が無事出会えるように心から祈った。
そして彰の思いが叶うように。
1
あなたにおすすめの小説
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」
イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。
ある日、夢をみた。
この国の未来を。
それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。
彼は言う。
愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?
婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない
柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。
目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。
「あなたは、どなたですか?」
その一言に、彼の瞳は壊れた。
けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。
セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。
優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。
――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。
一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。
記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。
これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。
あなたの片想いを聞いてしまった夜
柴田はつみ
恋愛
「『好きな人がいる』——その一言で、私の世界は音を失った。」
公爵令嬢リリアーヌの初恋は、隣家の若き公爵アレクシスだった。
政務や領地行事で顔を合わせるたび、言葉少なな彼の沈黙さえ、彼女には優しさに聞こえた。——毎日会える。それだけで十分幸せだと信じていた。
しかしある日、回廊の陰で聞いてしまう。
「好きな人がいる。……片想いなんだ」
名前は出ない。だから、リリアーヌの胸は残酷に結論を作る。自分ではないのだ、と。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる