216 / 227
第二部: 君の面影を求め往く - 第二章: 新進気鋭の男爵家にて
第三十五話: ぶらぶら歩こう大広場
しおりを挟む
僕ら一行がまず向かったのは大広場に面して軒を構えている大きめの店舗――運送屋だった。
この世界では荷物や手紙をどこか別の土地へ送ろうと思ってもそう気軽には行かない。
なにせ、主要な町に通っている街道を除けば、路と言っても獣道に毛が生えた程度の荒れ小道、しかも恐ろしいモンスターまでが跋扈するのだ。
普通の村人は疎か、多少腕に覚えのある猛者だろうと、出歩くだけでそれなりの覚悟を要する。
行商人や冒険者にでも頼んで運んでもらうのが一般的だが、彼らは忙しく、別に目的を持つ身、配送事故は当たり前と見るべきだ。確実を期すなら報酬を呈示して依頼しなければならない。
一番楽なのは、自分自身か信用の措ける知り合いに旅慣れた者がいる場合だろう。
小さいながらも腕利き揃いで騎羽までいる我が開拓村は、この点では非常に恵まれていた。
『いや、曲がりなりにも貴族の直轄地だからな。当然なんじゃないか?』
さておき、そんなこんなで不便な郵便事情ではあるものの、流石に遠くの配送先までいちいち、毎回、直接、運んでいく必要はなかったりする。
こうした町にさえ辿り着ければ、平民でも格安で利用可能な国営の運送屋が存在するのだ。
「えっと……ジェルザ、出す手紙はそれだけで全部でしたっけ?」
「ああ! こんだけだよ! 少ないのは、昨日のうちにいくらか片付けちまったからだね!」
「それじゃあ、後は受け取りをしたら、ひとまずお役目終了か」
逆に、他所から送られてきた手紙や荷物の受け取りも最寄りの運送屋で行うことができる。
以前は数ヶ月おきに村を訪れる行商に任せていた配送も、人手に多少の余裕ができた昨今では、こうして自分たちの手で行えるようになって格段に利用頻度が増してきた。
「エルキル男爵領ですね。……ただいま三十七件、お預かりしています」
例によってエルキル家の紋章入りメダルを受け付けで見せ、手紙や荷物を照会してもらう。
『ずいぶん溜め込んだな。まぁ、村全員、ひと月分の郵便物と思えば、これでも少ないか?』
「重要度と緊急性によっては冒険者組合を経由して届いたりもするんだけど……あ! それ!?」
「んん! えらくでかい木箱だねえ! なんだい、王家の封蝋が付いてるよ!」
「やったあ! これ、きっと、頼んでた【送風】の魔道具だよ!」
『ははっ! まさか、こんなに早く届けてもらえるなんてな! この乾期の盛りに』
先頃、領主屋敷の手持ちを壊してしまい、王都の工房に発注しておいた扇風機である。
魔道具の購入には煩雑な手続きが伴うため、まだ配送まで数ヶ月は掛かると踏んでいたが。
「三台もあるよ!? これは、ヘタなおみやげより、よっぽど皆に喜ばれそうだなぁ」
受け取った荷物や手紙を丁重に羽車の荷台へと積みこみ、ホクホク顔で運送屋を後にした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
再び大広場、羽車から降りた僕とファルーラは、アドニス司祭とジェルザをお供に露店を巡る。
「フフ……先に一通り、こちらを見て回るのも悪くはないかと思いますよ」
「店より安く珍しい物が手に入るからねえ! だけど変な物を掴まされないよう気を付けな!」
雰囲気は、前世で言うノミの市――フリーマーケットを思わせる。
そこかしこで適当なテーブルやむしろ的な敷物が広げられ、多くの品物が並べられている。
昨日、ファルーラと見た下層エリアの露店は古着や古雑貨、正体不明の草や石ばかりだったが、こちらは加えて工芸品や書物、植物の種苗、飲食物……など、非常に多種多様だ。
大道芸人や演説、皮革や金属の修繕をする見習い職人、散髪や爪切り、按摩師までいる。
売り手、買い手、通行人……この大広場全体でざっと五〇〇人ほどだろうか。
大八車や荷馬車なども少なからず行き交っているため、実際の数以上の人混みに感じられた。
「あ、なんだかいい匂いの蝋燭がある。クリスが喜びそう」
『さっきの対になったブローチなんて、双子が喜ぶんじゃないか?』
「うーん、全部買っちゃおうかな。どうしようかな」
貴族の子息である僕は、まだ数えで九歳という年齢の割にそこそこ小金持ちである。
村ではあまり使い道がなく貯まる一方だった金銭、今日は思いきって使う絶好の機会だ。
『とは言え、手当たり次第に何でも買えるほどの金額ではないからな。悩むのもいいさ』
歩きながら食べられるような物をファルーラに買い与えて大人しくさせつつ、露店を見て回る。
どれも村では手に入らない物ばかり、大した品ではなくても、ついつい目移りしてしまう。
「この香炉! なんだか好い感じじゃない? ジェルザ、どう思います?」
「ハッ! 十四バロウスはないね!」
「へんなのー」
「フフ……掘り出し物の雰囲気は窺えますよ。夢を買うのもよろしいかと」
ちなみに、バロウスは青銅貨の単位であり、一枚で軽食くらいなら出してもらえる。
ざっくり前世の貨幣と照らし合わせると五〇〇円くらいの価値と言えるだろうか。
少し造形が気に入った七、〇〇〇円の香炉……そう考えると買う気が失せてきてしまうな。
「うーん、ホベウス二枚くらいなら欲しいけど」
「おいおい、坊ちゃん! そんなんで売ったらオイラ干上がっちまうよ」
ホベウスは銀貨。価値はおよそ二、五〇〇円といったところ……二枚で五、〇〇〇円だな。
「二銀貨に……このクズ魔石と、この透明なカタツムリの殻を付けたらどう?」
「むっ、透明な殻はちぃと珍しい屑貨だねえ。よし! いいよ! 売った!」
屑貨というのは貨幣代わりに利用される様々な奇石のことである。
雑魚モンスターの魔石、そこらで拾った珍しい石、鉄屑・ガラス片……基本的に何でもありだ。
その場のノリで適当に価値が決まるが、大体、一つにつき十円から百円ほどが相場か。
銀貨(二、五〇〇円相当)。
青銅貨(五〇〇円相当)。
あとは、最小価値の銅貨(一〇〇円相当)。
これら三種類の硬貨と、雑多な屑貨が、この国では主な通貨となっている。
我がエルキル村だと、未だに物々交換の方が盛んだったりするが、それはさておくとして。
しばらく大広場をぶらつき、僕たちはめぼしい露店でいくつかの買い物を済ませた。
さて、と……そろそろ通りで店を回ろうか?
騒ぎが巻き起こったのは、ちょうどそんなタイミングだった。
この世界では荷物や手紙をどこか別の土地へ送ろうと思ってもそう気軽には行かない。
なにせ、主要な町に通っている街道を除けば、路と言っても獣道に毛が生えた程度の荒れ小道、しかも恐ろしいモンスターまでが跋扈するのだ。
普通の村人は疎か、多少腕に覚えのある猛者だろうと、出歩くだけでそれなりの覚悟を要する。
行商人や冒険者にでも頼んで運んでもらうのが一般的だが、彼らは忙しく、別に目的を持つ身、配送事故は当たり前と見るべきだ。確実を期すなら報酬を呈示して依頼しなければならない。
一番楽なのは、自分自身か信用の措ける知り合いに旅慣れた者がいる場合だろう。
小さいながらも腕利き揃いで騎羽までいる我が開拓村は、この点では非常に恵まれていた。
『いや、曲がりなりにも貴族の直轄地だからな。当然なんじゃないか?』
さておき、そんなこんなで不便な郵便事情ではあるものの、流石に遠くの配送先までいちいち、毎回、直接、運んでいく必要はなかったりする。
こうした町にさえ辿り着ければ、平民でも格安で利用可能な国営の運送屋が存在するのだ。
「えっと……ジェルザ、出す手紙はそれだけで全部でしたっけ?」
「ああ! こんだけだよ! 少ないのは、昨日のうちにいくらか片付けちまったからだね!」
「それじゃあ、後は受け取りをしたら、ひとまずお役目終了か」
逆に、他所から送られてきた手紙や荷物の受け取りも最寄りの運送屋で行うことができる。
以前は数ヶ月おきに村を訪れる行商に任せていた配送も、人手に多少の余裕ができた昨今では、こうして自分たちの手で行えるようになって格段に利用頻度が増してきた。
「エルキル男爵領ですね。……ただいま三十七件、お預かりしています」
例によってエルキル家の紋章入りメダルを受け付けで見せ、手紙や荷物を照会してもらう。
『ずいぶん溜め込んだな。まぁ、村全員、ひと月分の郵便物と思えば、これでも少ないか?』
「重要度と緊急性によっては冒険者組合を経由して届いたりもするんだけど……あ! それ!?」
「んん! えらくでかい木箱だねえ! なんだい、王家の封蝋が付いてるよ!」
「やったあ! これ、きっと、頼んでた【送風】の魔道具だよ!」
『ははっ! まさか、こんなに早く届けてもらえるなんてな! この乾期の盛りに』
先頃、領主屋敷の手持ちを壊してしまい、王都の工房に発注しておいた扇風機である。
魔道具の購入には煩雑な手続きが伴うため、まだ配送まで数ヶ月は掛かると踏んでいたが。
「三台もあるよ!? これは、ヘタなおみやげより、よっぽど皆に喜ばれそうだなぁ」
受け取った荷物や手紙を丁重に羽車の荷台へと積みこみ、ホクホク顔で運送屋を後にした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
再び大広場、羽車から降りた僕とファルーラは、アドニス司祭とジェルザをお供に露店を巡る。
「フフ……先に一通り、こちらを見て回るのも悪くはないかと思いますよ」
「店より安く珍しい物が手に入るからねえ! だけど変な物を掴まされないよう気を付けな!」
雰囲気は、前世で言うノミの市――フリーマーケットを思わせる。
そこかしこで適当なテーブルやむしろ的な敷物が広げられ、多くの品物が並べられている。
昨日、ファルーラと見た下層エリアの露店は古着や古雑貨、正体不明の草や石ばかりだったが、こちらは加えて工芸品や書物、植物の種苗、飲食物……など、非常に多種多様だ。
大道芸人や演説、皮革や金属の修繕をする見習い職人、散髪や爪切り、按摩師までいる。
売り手、買い手、通行人……この大広場全体でざっと五〇〇人ほどだろうか。
大八車や荷馬車なども少なからず行き交っているため、実際の数以上の人混みに感じられた。
「あ、なんだかいい匂いの蝋燭がある。クリスが喜びそう」
『さっきの対になったブローチなんて、双子が喜ぶんじゃないか?』
「うーん、全部買っちゃおうかな。どうしようかな」
貴族の子息である僕は、まだ数えで九歳という年齢の割にそこそこ小金持ちである。
村ではあまり使い道がなく貯まる一方だった金銭、今日は思いきって使う絶好の機会だ。
『とは言え、手当たり次第に何でも買えるほどの金額ではないからな。悩むのもいいさ』
歩きながら食べられるような物をファルーラに買い与えて大人しくさせつつ、露店を見て回る。
どれも村では手に入らない物ばかり、大した品ではなくても、ついつい目移りしてしまう。
「この香炉! なんだか好い感じじゃない? ジェルザ、どう思います?」
「ハッ! 十四バロウスはないね!」
「へんなのー」
「フフ……掘り出し物の雰囲気は窺えますよ。夢を買うのもよろしいかと」
ちなみに、バロウスは青銅貨の単位であり、一枚で軽食くらいなら出してもらえる。
ざっくり前世の貨幣と照らし合わせると五〇〇円くらいの価値と言えるだろうか。
少し造形が気に入った七、〇〇〇円の香炉……そう考えると買う気が失せてきてしまうな。
「うーん、ホベウス二枚くらいなら欲しいけど」
「おいおい、坊ちゃん! そんなんで売ったらオイラ干上がっちまうよ」
ホベウスは銀貨。価値はおよそ二、五〇〇円といったところ……二枚で五、〇〇〇円だな。
「二銀貨に……このクズ魔石と、この透明なカタツムリの殻を付けたらどう?」
「むっ、透明な殻はちぃと珍しい屑貨だねえ。よし! いいよ! 売った!」
屑貨というのは貨幣代わりに利用される様々な奇石のことである。
雑魚モンスターの魔石、そこらで拾った珍しい石、鉄屑・ガラス片……基本的に何でもありだ。
その場のノリで適当に価値が決まるが、大体、一つにつき十円から百円ほどが相場か。
銀貨(二、五〇〇円相当)。
青銅貨(五〇〇円相当)。
あとは、最小価値の銅貨(一〇〇円相当)。
これら三種類の硬貨と、雑多な屑貨が、この国では主な通貨となっている。
我がエルキル村だと、未だに物々交換の方が盛んだったりするが、それはさておくとして。
しばらく大広場をぶらつき、僕たちはめぼしい露店でいくつかの買い物を済ませた。
さて、と……そろそろ通りで店を回ろうか?
騒ぎが巻き起こったのは、ちょうどそんなタイミングだった。
1
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説


結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

私の手からこぼれ落ちるもの
アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。
優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。
でもそれは偽りだった。
お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。
お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。
心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。
私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。
こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
❈ ざまぁはありません。

元婚約者は戻らない
基本二度寝
恋愛
侯爵家の子息カルバンは実行した。
人前で伯爵令嬢ナユリーナに、婚約破棄を告げてやった。
カルバンから破棄した婚約は、ナユリーナに瑕疵がつく。
そうなれば、彼女はもうまともな縁談は望めない。
見目は良いが気の強いナユリーナ。
彼女を愛人として拾ってやれば、カルバンに感謝して大人しい女になるはずだと考えた。
二話完結+余談

【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。
112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。
愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。
実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。
アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。
「私に娼館を紹介してください」
娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──

【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜
早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる