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第二部: 君の面影を求め往く - 第一章: 南の端の開拓村にて
第五十一話: 雲中に遊ぶ、巨鳥と兎馬と幼児たち
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雷鳴の驢馬――サンダーメアとは、巨大な積乱雲の中に棲むとされる強力なモンスターだ。
雲を牽いて天空を駆け、凄まじい閃光と嘶きを伴いながら地上へ降りてくる雷の化身であり、地方によっては、慈雨をもたらして世界を潤し、稲妻によって大地を浄める神獣/聖獣とされ、ときに篤い信仰を集めるとさえ聞く。
現在、空高く雨雲の中に浮かぶ僕とファルの下へ、そのロバが駆け寄ってきていた。
体高二メートルを超え、体長では三メートル近くもあるが、姿形に目立った特徴はない。
全身を覆う蒼色の毛皮と長靴を履いているように毛深い脚などは多少変わっているだろうか。
だが、見た目がいくら普通であろうと、空中を走ってくるそれが単なる動物のはずはなかった。
「ぶるるるい」
のんびりとした足取りで間近へ迫ったロバは、まるで挨拶するかのように小さく鼻を鳴らす。
「これで一緒に遊べるねー。ずっと白ぼっちゃんのこと見てたもんねー」
『何故、精霊術でモンスターが現れる? ……いや、この状況でそれはどうでも良いが』
「ふひひひぃーん!」
「え、背に乗れって? 良いのかな? うん、助かるよ」
お辞儀のような仕草で頭を下げて嘶かれれば、その意図は明らかである。
僕はファルと二人、その広い背中に跨ると、長いたてがみを生やした首へと両腕を回した。
『察するところ、雨雲を散らして回る鳥のジャンボは、稲妻と関係深いこの雷ドンキーにとって敵対関係にあるんだろう。ひょっとして、雨雲を集めていた僕に親近感を懐いたとか?』
「何にしても、僕たちにとってはまさに恵みの雨が降ってきたようなものさ」
「ルフ来るよ! あそぼ!」
ファルの言葉に下方へと目を向ければ、先ほど、激しい雷に打たれ墜落していったジャンボがゆっくりと舞い戻ってくる姿を確認することができた。
まだ微妙に感電の影響を受けているのか、どことなく飛び方はふらふらとしている。
相変わらず彼我のサイズ差は圧倒的で、気分は風車と戦うラ・マンチャの男だ。
僕らの乗るロバがいくら大きいと言っても、通常の大型馬とそこまで変わるほどではない。
にも拘わらず、あの巨体にあれだけのダメージを与えた雷撃の威力は想像を絶するものがある。
「……って言うか、よく僕らは無事だったなぁ」
「ぶるる……」
僕の呟きに対して答えるようにドンキーは小さく鼻を鳴らし、ゆっくり歩み始めた。
一歩、また一歩、踏み出した足下に放電現象が起きる。
それは蹄が虚空を踏みしめるごとに激しさを増し、やがて足下だけでなく空を切る鼻先からも、風になびくたてがみや耳や尻尾からも、強烈な紫電の光がほとばしっていく。
「あぶなっ……って、あれ? ぜんぜん痺れない?」
「ふわぁ、きれいねー」
不思議なことに放電はドンキー自身とその背に乗る僕らには何ら影響を与えないようだ。
次第に加速していく馬体は、気が付けば、全身隈無く眩い電光を放っている。
周囲に立ちこめる雲の中を突っ切り、後ろへと残されてゆく白い軌跡は、羽ばたく大きな翼、あるいは大空に伸びる飛行機雲を思わせた。
――ヒイィーーーホオオオォーッ!!
加速が頂点に達し、もはや流れゆく周りの景色も単に真なる白としか認識できなくなった瞬間、ドンキーが耳をつんざく高らかな嘶きを上げた。かと思えば間髪を容れず、ドガガガガ!という噪音と振動が絶え間なく続き、足下から全方位へ向かって稲光が荒れ狂う。
僅か数秒の後、速度を緩めつつ舞い上がっていくドンキーの背から後下方を眺めれば、広大な胴体の至るところから幾筋もの白煙を上げているジャンボの姿が目に入った。
頭の先から尾羽の端まで、大電流を帯びたドンキーの蹄に蹴りまくられたのである。
自身の燃え立つ羽根では火傷一つ負わなくとも、身体の内部を灼かれる電撃傷は別らしい。
立て続けのダメージにより傾きつつある戦いの趨勢を変えるためか、ジャンボは上昇を諦め、大きく一つ羽ばたくやいなや、お得意の高速突進で雲の中から脱する。
『追え! 立て直させるな!』
声にならない僕の意を汲み、即座にドンキーは奴を追う。
秒速二〇〇メートル以上、マッハ〇・六に達するだろう速度で真っ直ぐ飛翔する巨鳥の後方、縦横無尽ジグザグに電光の軌跡を残しながら迅雷の獣が迫り、次第に激しく衝突し始める。
業を煮やしたジャンボは飛行速度を落とすと、ホバリングによる迎撃態勢を取る。
その身を覆う紅蓮の炎が一気に勢いを増し、その翼の生み出す逆巻く風が一層威力を強める。
一旦、距離を離したドンキーは、上空へ向かうも即反転、一筋の落雷と化して突っ込んだ。
途轍もない大きさの飛翔体が巻き起こす暴風に抗い、広げられた翼の中でアーチを描く紅焔をくぐり抜け、ドンキーは煉獄の如く一面で真っ赤に燃える羽根を蹴りつけていく。
都度、まるで一つ一つが火球のような猛烈な火花が辺り一面、無数に舞い散る。
「暑っ! もう! いつまで続くのさ? 水の精霊に我は請う……」
「白ぼっちゃん、頑張って! ふぁいおー! ふぁいおー!」
「ええい、火の精霊に我は請う……」
二体のモンスターが激突する中、僕も一方の背でただ震えているだけではなかった。
精霊術を以てジャンボの圧倒的な火力と風力を弱め、場合によっては炎を水で相殺する。
一見、優位に戦っているドンキーだが、敵の巨体、火炎、暴風、いずれも恐るべき脅威だ。
今はまだ、僕とファルも含めてさしたる被害はないものの、一歩間違えれば大惨事は免れない。
たとえ微力な支援であろうと、できることがあるのならするべきだろう。
……とは言え、やはり最終的に軍配が上げられるのは、こちら側となるようだ。
周囲に存在する雲の大きさに応じて攻撃力を増す雷ドンキーに対し、鳥のジャンボはどうやら逆に周囲の水気に応じて力を弱める性質を備えているように思われる。
いくら乾期が近いと言っても、この大草原は未だ雨季の最中なのである。
加えて、僕の雨雲も未だ健在……どころかドンキーにより刻一刻と発達させられてさえいた。
「あ~あ、火、消えちゃったねえ」
ジャンボの首筋に取り付いたドンキーがいくつもの球雷を生み出し、周り中へと叩き込めば、紅蓮に染まる羽根はまとわせた炎の勢いを急速に鎮め、ほどなくして元の茜色へと戻っていく。
『やったのか?』
「クエエエェ……」
それっきり動きを止めた巨鳥は、翼を大きく広げたまま滑空し、ゆっくりと降下し始めた。
暫し、その様子を見守った後、僕らを背に乗せるロバも後に続く。
やがて雲の底を抜けると、遙か下方には、あの大枯木と紅い霧のドームを見ることができた。
雲を牽いて天空を駆け、凄まじい閃光と嘶きを伴いながら地上へ降りてくる雷の化身であり、地方によっては、慈雨をもたらして世界を潤し、稲妻によって大地を浄める神獣/聖獣とされ、ときに篤い信仰を集めるとさえ聞く。
現在、空高く雨雲の中に浮かぶ僕とファルの下へ、そのロバが駆け寄ってきていた。
体高二メートルを超え、体長では三メートル近くもあるが、姿形に目立った特徴はない。
全身を覆う蒼色の毛皮と長靴を履いているように毛深い脚などは多少変わっているだろうか。
だが、見た目がいくら普通であろうと、空中を走ってくるそれが単なる動物のはずはなかった。
「ぶるるるい」
のんびりとした足取りで間近へ迫ったロバは、まるで挨拶するかのように小さく鼻を鳴らす。
「これで一緒に遊べるねー。ずっと白ぼっちゃんのこと見てたもんねー」
『何故、精霊術でモンスターが現れる? ……いや、この状況でそれはどうでも良いが』
「ふひひひぃーん!」
「え、背に乗れって? 良いのかな? うん、助かるよ」
お辞儀のような仕草で頭を下げて嘶かれれば、その意図は明らかである。
僕はファルと二人、その広い背中に跨ると、長いたてがみを生やした首へと両腕を回した。
『察するところ、雨雲を散らして回る鳥のジャンボは、稲妻と関係深いこの雷ドンキーにとって敵対関係にあるんだろう。ひょっとして、雨雲を集めていた僕に親近感を懐いたとか?』
「何にしても、僕たちにとってはまさに恵みの雨が降ってきたようなものさ」
「ルフ来るよ! あそぼ!」
ファルの言葉に下方へと目を向ければ、先ほど、激しい雷に打たれ墜落していったジャンボがゆっくりと舞い戻ってくる姿を確認することができた。
まだ微妙に感電の影響を受けているのか、どことなく飛び方はふらふらとしている。
相変わらず彼我のサイズ差は圧倒的で、気分は風車と戦うラ・マンチャの男だ。
僕らの乗るロバがいくら大きいと言っても、通常の大型馬とそこまで変わるほどではない。
にも拘わらず、あの巨体にあれだけのダメージを与えた雷撃の威力は想像を絶するものがある。
「……って言うか、よく僕らは無事だったなぁ」
「ぶるる……」
僕の呟きに対して答えるようにドンキーは小さく鼻を鳴らし、ゆっくり歩み始めた。
一歩、また一歩、踏み出した足下に放電現象が起きる。
それは蹄が虚空を踏みしめるごとに激しさを増し、やがて足下だけでなく空を切る鼻先からも、風になびくたてがみや耳や尻尾からも、強烈な紫電の光がほとばしっていく。
「あぶなっ……って、あれ? ぜんぜん痺れない?」
「ふわぁ、きれいねー」
不思議なことに放電はドンキー自身とその背に乗る僕らには何ら影響を与えないようだ。
次第に加速していく馬体は、気が付けば、全身隈無く眩い電光を放っている。
周囲に立ちこめる雲の中を突っ切り、後ろへと残されてゆく白い軌跡は、羽ばたく大きな翼、あるいは大空に伸びる飛行機雲を思わせた。
――ヒイィーーーホオオオォーッ!!
加速が頂点に達し、もはや流れゆく周りの景色も単に真なる白としか認識できなくなった瞬間、ドンキーが耳をつんざく高らかな嘶きを上げた。かと思えば間髪を容れず、ドガガガガ!という噪音と振動が絶え間なく続き、足下から全方位へ向かって稲光が荒れ狂う。
僅か数秒の後、速度を緩めつつ舞い上がっていくドンキーの背から後下方を眺めれば、広大な胴体の至るところから幾筋もの白煙を上げているジャンボの姿が目に入った。
頭の先から尾羽の端まで、大電流を帯びたドンキーの蹄に蹴りまくられたのである。
自身の燃え立つ羽根では火傷一つ負わなくとも、身体の内部を灼かれる電撃傷は別らしい。
立て続けのダメージにより傾きつつある戦いの趨勢を変えるためか、ジャンボは上昇を諦め、大きく一つ羽ばたくやいなや、お得意の高速突進で雲の中から脱する。
『追え! 立て直させるな!』
声にならない僕の意を汲み、即座にドンキーは奴を追う。
秒速二〇〇メートル以上、マッハ〇・六に達するだろう速度で真っ直ぐ飛翔する巨鳥の後方、縦横無尽ジグザグに電光の軌跡を残しながら迅雷の獣が迫り、次第に激しく衝突し始める。
業を煮やしたジャンボは飛行速度を落とすと、ホバリングによる迎撃態勢を取る。
その身を覆う紅蓮の炎が一気に勢いを増し、その翼の生み出す逆巻く風が一層威力を強める。
一旦、距離を離したドンキーは、上空へ向かうも即反転、一筋の落雷と化して突っ込んだ。
途轍もない大きさの飛翔体が巻き起こす暴風に抗い、広げられた翼の中でアーチを描く紅焔をくぐり抜け、ドンキーは煉獄の如く一面で真っ赤に燃える羽根を蹴りつけていく。
都度、まるで一つ一つが火球のような猛烈な火花が辺り一面、無数に舞い散る。
「暑っ! もう! いつまで続くのさ? 水の精霊に我は請う……」
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二体のモンスターが激突する中、僕も一方の背でただ震えているだけではなかった。
精霊術を以てジャンボの圧倒的な火力と風力を弱め、場合によっては炎を水で相殺する。
一見、優位に戦っているドンキーだが、敵の巨体、火炎、暴風、いずれも恐るべき脅威だ。
今はまだ、僕とファルも含めてさしたる被害はないものの、一歩間違えれば大惨事は免れない。
たとえ微力な支援であろうと、できることがあるのならするべきだろう。
……とは言え、やはり最終的に軍配が上げられるのは、こちら側となるようだ。
周囲に存在する雲の大きさに応じて攻撃力を増す雷ドンキーに対し、鳥のジャンボはどうやら逆に周囲の水気に応じて力を弱める性質を備えているように思われる。
いくら乾期が近いと言っても、この大草原は未だ雨季の最中なのである。
加えて、僕の雨雲も未だ健在……どころかドンキーにより刻一刻と発達させられてさえいた。
「あ~あ、火、消えちゃったねえ」
ジャンボの首筋に取り付いたドンキーがいくつもの球雷を生み出し、周り中へと叩き込めば、紅蓮に染まる羽根はまとわせた炎の勢いを急速に鎮め、ほどなくして元の茜色へと戻っていく。
『やったのか?』
「クエエエェ……」
それっきり動きを止めた巨鳥は、翼を大きく広げたまま滑空し、ゆっくりと降下し始めた。
暫し、その様子を見守った後、僕らを背に乗せるロバも後に続く。
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