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第一部: 終わりと始まりの日 - 閑話
◆設定集: キャラクター紹介(モンスター)
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設定資料の第三弾。ヒヨスとベア吉の他はどうかサラッと流してやってください。
名前は◆ 現地での呼称 /直訳気味な地球語名(松悟命名) ◆となっています。
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◆ リヨカ・ルディヴィ /スニーキングレパード(雪原の追跡者) ◆
◆ ヒヨス ◆
性別: メス
体長: 頭と胴体だけで二メートルほど、尻尾はそれ以上の長さがある。
外見:
真っ白な毛皮に灰色の斑模様が散らされているユキヒョウ。
絶滅動物サーベルタイガーのような長い犬歯と、非常に長く自在に動かせる尻尾を持つ。
二本の犬歯は、下方ではなく、やや前方へ突き出し、鎌に似た刃を形成している。
ストーカーと比べると、ヒヨスは一回りほどサイズが小さく、毛並み、爪、牙……それぞれが綺麗に手入れされている。表情は柔らかく猫っぽい。体付きも丸みを帯びていてふっくら。
主な能力:
【透明迷彩】
数秒間じっとしていることで透明化が可能な風属性の固有能力。消音と消臭にも対応。
雪景色の中では完全透明化。そうでない環境では、動くと半透明の姿を視認されてしまう。
【空中歩行】
空気を踏んで浮遊移動が可能な風属性の固有能力。
常時発動型スキルだが、地面から離れると制御が利きにくくなるため、飛行能力には及ばない。
【空気読み】
空気の微細な振動を感知し、周囲の詳細な情報を得ることが可能な風属性の固有能力。
解説:
雲上の尾根において生態系頂点に君臨する四魔獣の一。
能力が奇襲と暗殺に特化しているため、通常の戦闘に持ち込むことさえできれば、そこまでの強敵ではない。当然ながら、チートなしで易々と倒せるような相手でもないが……。
常に一体だけが存在し、倒された場合、特定の場所に大きな卵が生じて一定時間で復活する。
こうして新たに生まれた個体は、実は親子などではなく同一存在であり、ある程度の知識――記憶にあらず――までをも継承していく。ただし、その後の成長過程において習性や性格などは多少変化するようだ。
ちなみに、ストーカーがすぐに松悟を襲わなかった理由は、巨大グマの毛皮をまとって雪原を無警戒に歩く見知らぬ生き物を強く警戒したため。襲ってみれば逃げられ、数日待てど現れず、仕留めに行けば反撃され……と、散々な目に遭った挙げ句、返り討ちにされてしまう。憐れ。
ヒヨスの命名は月子。幻覚や浮遊感覚を伴う向精神作用を持つ毒草の名だったりする。
元々、サバイバル安定時点でのマスコット投入は予定にあったものの、どんなキャラにするか未定だった。ヒヨスにしたのは正解だったと思う。ただ、戦闘映えしない透明化は悩みどころ。
「この異世界で僕が初めて戦ったモンスターだ。改めて思い返すも身震いしてしまうよ」
「その節は本当にお疲れさまでした。ヒヨスも少し困ったところがある子ですね」
「なにげにイイ性格をしているからなぁ。そこも含めて可愛い奴だとは思うが」
登場回(ストーカー戦): 第一部 第二章 第十六話「奮い起って歩む男」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8902648
登場回|(ヒヨス): 第一部 第四章 第二話「二人の新生活」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8905812
※都鳥さんに描いていただいた応援イラストがあります。子猫時代のヒヨスです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◆ コルホア・バイシュトフ /アルパインピークベア(巨大グマ) ◆
◆ ベア吉 ◆
性別: オス
体長: 三メートルを超える巨体。四脚での体高でも二メートル近い。
外見:
漆黒の巨大グマ。そのサイズを除けば、姿形は地球に棲息しているヒグマなどと大差ない。
長く鋭い牙と爪。棲息地が極寒の高山であるため、毛はかなり長くふわふわとしている。
巨大グマと比較すると、ベア吉は体長二メートルほどでまだ相当小さめ。毛並み、爪、牙……それぞれが綺麗に手入れされている。毛皮の手触りは最高。体型はずんぐりむっくりで丸っこい。緊張感のない顔立ちはぬいぐるみのようである。
主な能力:
【岩石操作】
周囲の岩・石・土などを操ることが可能な地属性の固有能力。
精霊術のように自在に操作できるわけではなく、ある程度、決まった形状に変えられるだけ。
攻撃用の杭や礫、足場や防御に使える石板。半身を覆う鎧……など。
【大地の癒し】
大地の上にいる限り、怪我や疲労からの回復力を大幅に向上させる地属性の固有能力。
裂傷が見る見るうちに塞がり、数時間ほどで跡形もなくなってしまう驚異的な再生能力を誇る。死からの蘇生も可能。ただし、負っている傷の状態によっては無効となる。蘇生した場合でも、しばらくはすべての能力値が大幅に低下し、その間に再度死亡してしまえば蘇生不可。
解説:
雲上の尾根において生態系頂点に君臨する四魔獣の一。
それらの中では最強の存在であり、長きに亘って雪原の主として君臨し続けていた。
スキルを見るとやや地味だが、攻撃力と防御力の圧倒的な高さを始めとして付け入る隙がない。
まだまだ子どものベア吉は、能力値の低さや属性攻撃への耐性不足からヌッペラウオに苦戦を強いられたものの、あと数年ほど成長すれば一体で危なげなく屠れるくらいになる。
常に一体だけが存在し、倒されると特定地点で卵として復活するのはストーカー同様。
巨大グマはストーカーと違って見せ場がなかったため、ベア吉の影が薄くなることを懸念してヌッペラウオ戦で華々しく活躍させてみた。その甲斐あって、読者さま方には割りと可愛がってもらえている気がする。
生き返らせるかどうかは執筆直前まで本当に迷っていたのだが、やっぱり正解だったかな。
「実際に戦ったわけではありませんので、まったく悪い印象がありません」
「ああ、巨大グマには大いに助けられたし、ベア吉の頼もしさは言うまでもないからね」
「ベア吉は本当にいい子です」
登場回(巨大グマの死体): 第一部 第二章 第三話「寝覚めと覚醒」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8896778
登場回(ベア吉): 第一部 第四章 第二話「二人の新生活」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8905812
※都鳥さんに描いていただいた応援イラストがあります。子グマ時代のベア吉です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◆ レヤープ /アイスツリー(氷樹) ◆
外見:
幹から枝の先まで厚い氷で完全に覆われている樹木。
樹高は雪面から二三メートルほど。雪の下の地面からだと十メートル近い。
根は地面だけでなく、積もった雪の中にまで伸びる。
氷の下の樹皮は意外と瑞々しい色を保っている。
葉、花、蕾などは一切付けないが、稀に大きな果実が生っていることがある。もちろん氷漬け。
果実の見た目は、緑色をしたココヤシの実かマンゴーといったところ。
解説:
この世界の最高峰付近にのみ生える氷漬けの不思議植物。
まとった氷で陽光を収束させ、樹皮によって光合成している。材木としてはコルクに似る。
実はモンスターの一種なのだが、特に何をするでもなく、生態は普通の樹木と変わらない。
雌雄があり、周囲に子を殖やしながらやがて林を成す。その母株だけが果実――氷果を生す。
氷果の中身は割ってみるまで分からないフルーツガチャ。ランダムで様々な味が出てくる。
温度を加えることでシャーベット~果汁たっぷり~スープと果肉の状態も変化していく。
この極限環境下で、まだ狩猟も行えていない主人公たちを序幕開始時点まで生き長らえさせるために登場したご都合主義の万能食料生産器。月子の携帯食が尽きて以降、唯一の甘味。
「全部で何種類くらいの味があるんだろうか」
「よく同じ味が出てくることを鑑みるに二三十種ほどでしょうか。私はこしあんが好きです」
「百個くらい一遍に剥いてみたいな」
「…………」
登場回: 第一部 第二章 第十二話「雪原で採集する男」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8902638
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◆ バイシャニス /アルパインヘアー(ウサギ) ◆
見た目だけで言えば、何の変哲もない体長三十センチほどの真っ白なウサギ。
実は普通のウサギではなくモンスターに分類される。
逃げ場が無くなるほど追い詰めると鋭い前歯で反撃してくることがあるため注意が必要。
真っ白な毛皮は雪景色に溶け込む自然な保護色。雪に潜って身を隠すこともできる。肉は美味。
「野生のウサギがこんなにも素早いものだとは知らなかったよ」
「ええ、瞬間移動や分身には驚かされてしまいました」
登場回: 第一部 第三章 第一話「雪の尾根を巡る二人」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8902677
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◆ ピタヤン /モールクエル(ギザ歯のウズラ) ◆
体長三十センチ弱のウズラに似た野鳥。ただし、クチバシには歯が生えている。
ウサギ同様、一応はモンスターの類。
深く積もった雪の中、モグラのようにトンネルを掘りながら生きている。
クチバシの歯は凍った雪を一瞬で欠き削ることができるほどの強さがあり、噛まれれば危険。
肉は非常に美味。雪かきのために発達した手羽から柔らかい骨まですべて美味しく食べられる。
「これで見た目以上に食いでがあるんだ」
「箱罠で簡単に捕まえられるのも嬉しいですね」
登場回(言及のみ): 第一部 第三章 第一話「雪の尾根を巡る二人」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8902677
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◆ ソウナガック /チャージグレイド(ボウリングムシ) ◆
外見:
ダンゴムシのような青みがかった黒い甲殻に覆われている、体長二十センチほどのクマムシ。
日本の鎧武者を思わせる多節の甲殻には、鋭い突起が前から後ろまで数列になって並ぶ。
胴部の下に三対六本、腹部の先に一対二本、合わせて四対八本の太く短いいぼ脚を生やす。
主な能力:
【平穏適所】
精霊術を無効化する固有能力。
正確に言えば、不自然な働きをしている精霊を平常に戻すような効果がある。
甲殻に宿る常時発動型スキルであり、死んだり、剥がされたりしても効果は持続する。
解説:
谷底や洞窟など、雲上の尾根のそこかしこにコロニーを作っている虫型モンスター。
非常に硬く、精霊の働きを完全に中和可能な甲殻により、あらゆる自然環境下で生存可能。
ダンゴムシじみた見た目通り、完全な球状に丸まることができ、棘付きの鉄球のようになって体当たり攻撃を行う。
群れを成して広範囲を探索し、雪や岩石、生きている獲物などを除き、見つけた物を手当たり次第にコロニーまで持ち帰ってきては解凍・分解していく。そうして採集物が得られなくなれば群れごと他の場所へと移動するが、後に残された豊かな土壌には多くの植物などが繁殖し、また別のコロニーや生き物たちのオアシスとして利用されていくこととなる。
「精霊術の効果を消されてしまうのは、とても困ります」
「ややもすると【環境維持】が無効化されてしまいかねない……意外に恐ろしい奴だよ」
登場回: 第一部 第三章 第四話「谷の底、拾い集める二人」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8902689
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◆ マリイタ・トゥルジス /フラッドサージウーズ(地中の団子) ◆
性別: なし
体長: 不定形だが、まとまった状態でざっと七メートル以上。体高は三四メートルに達する。
外見:
表面を虹色にぬらつかせる黒い粘液の塊。
真っ黒というわけではなく、うっすらと内部が透けて見える。
主な能力:
【腐食吸収】
物を溶かし、その粘体の一部に変換することが可能な水属性の固有能力。
ただし、生き物の骨や金属などには効果が薄く、溶かすまでには相当な時間が掛かってしまう。
強力な溶解液として噴出することもできる。
【増殖再生】
ダメージを負って失われた粘体を瞬時に再生することが可能な水属性の固有能力。
元の体積以上にはできず、分裂のために自ら切り離した場合には効果がない。
【分裂】
粘体の一部を切り離し、分体を生み出すことが可能な水属性の固有能力。
分体のサイズは一メートル程度に限られるが、生み出せる数は本体の体積が許す限り無制限、それぞれ自律して行動でき、スキルも自由に使用可。
ただし、一定時間内に本体と融合しなかったり、分裂した状態で本体が倒されてしまった場合、分体はすべて枯死してしまう。
解説:
雲上の尾根において生態系頂点に君臨する四魔獣の一。
深く積もった雪の奥底、地中の広範囲に亘って粘体を拡げ、ゆっくりと移動し続けているが、時折、獲物を捕らえるためにクレバスや岩の隙間などから地上へ這い出してくることもある。
と言っても、いきなり全身を出現させることは滅多になく、大抵はまず蛇のようにうねる触手だけを伸ばして攻撃してくる。
その長さは軽く二十メートル以上に達し、質感は硬いゴムのよう、威力も凄まじいものがある。加えて腐食属性であるため、受けただけでも武器や防具を劣化させてしまう。
ちなみに、特に火属性が弱点ということはない。他の属性と比べれば普通に効くというだけ。
巨大グマ&ストーカー同様、本体は常に一体のみ、倒されれば卵の状態で復活する。テイム可。
そろそろ異世界ファンタジーらしいモンスターを……と登場させてみた。
当時、まだ四体四属性の中ボスという設定は無かったので、他の三体と並べると浮いている。あまり水属性っぽくないし、能力もなんとなく地味である。ヌッペラウオに対して詰んでる。
話は面白く書けた気がするので、なかなか良い敵役だったんじゃないかとは思う。
「つくづく不思議な生物だと思う」
「忘れてしまいましょう。もう関わりたくありません」
「あ、ああ……」
登場回: 第一部 第三章 第五話「二人と土笛の音」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8902694
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◆ アンセラミー /ヘイルスティンガー(ユキハジキ) ◆
外見:
体長十センチほどのクリオネに、ハチドリやホウジャク(昆虫)を足したような印象。
氷のように白っぽく透き通った身体をしており、脚も顔も無い。
小さな翼を高速で羽ばたかせて空中をホバリングしている。
主な能力:
【氷弾】
直径三四センチほどの雹を虚空に作りだして高速射出する固有能力。
子どもがフルスイングで投げてくる小石くらいの威力がある。
解説:
数百から千匹単位の群れを作り、地面に降り立つことなく延々と谷間を飛び回るモンスター。
その様子は、遠間からはまるで雲か霞のように見える。
雪が深く積もった場所を見つけると、群れで一斉に氷弾を放って掘削、細かく飛び散った氷・土・塵芥などを吸収することで栄養摂取して生きている。
こいつらが通った場所には雪崩が発生しやすくなるが、冬山の新陳代謝を促す役割を担う。
「実は、あちこちでうじゃうじゃ飛び回ってることに気が付いてしまったんだが」
「カーゴで移動する際には十分な注意が必要ですね」
登場回: 第一部 第四章 第九話「山から山へ、二人と二頭」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8905837
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◆ カーカドマ・ワギラジュネ /ツインズヘリオンサラマンダー(ヌッペラウオ) ◆
性別: 雌雄同体
体長: 五メートル近いが、およそ半分ほどが頭の大きさ。
外見:
盲目の法師――座頭のように擬人化されたオオサンショウウオの頭が二つ横に並び、細く長い首によって不釣り合いに小さなウーパールーパーの胴体へと繋がっている。
頭部は赤黒くゴツゴツした質感だが、胴体は剥き身のエビを思わせる艶々した桜色をしている。
主な能力:
【火炎操作】
炎を生み出し、相当な自由度を以て操作することが可能な火属性の固有能力。
ただし、使用時には周囲に熱源が存在しなければならず、その熱エネルギーを大量消費する。
【火無効】
あらゆる火属性ダメージを無効化することが可能な固有能力。常時発動型。
【電磁波感知】
障害物を無視して周囲数百メートルの温度を知覚可能な火属性の固有能力。
通常の視覚とはまったくの無関係に使用可。
解説:
雲上の尾根において生態系頂点に君臨する四魔獣の一。
火山地帯の主であり、普段は地下の溶岩溜まりで眠りに就いている。
自身の狩り場に近付いてきた生物を執拗に追いかけ回して遊ぶ習性があり、獲物を察知すると大爆発を伴って地上に出現、飽きることなく巨大な火球を連発し続ける。
その場の逃走はさほど難しくないが、地中の空洞や水脈・溶岩流を伝って追いかけてくるため、逃げきることは至難。昼夜を問わず、火球を撃ち込まれる羽目に陥ってしまう。
戦う場合でも、不利になると溶岩に潜って逃げるため、倒しきるのが困難という面倒な相手。
ある程度、得意の射撃戦に付き合いながら隙を衝いて一気に倒しきる必要がある。
例によって常に一体のみが存在し、倒されれば卵の状態で復活する。テイム可。
比較的、窮地に陥ることなく戦い続けてきた主人公たちを苦戦させるつもりで登場させた……のだが、いくらなんでもやりすぎだった。完全に難易度調整をミスっている。
戦闘が非常に長くなってしまい、作者のことも大いに苦しませてくれた。
「こいつは、とんでもない強敵だった」
「冷静に思い返すと、もっと安全な戦い方があったかも知れません」
「カーゴビートルに乗った状態でなければ、生身だったら多少は楽だったんじゃないかな」
「はい、カーゴで戦うのなら、ヒヨスとベア吉を遊撃として三方向から同時に攻めるべきでした」
余談:
そう言えば、カクヨムのコメント欄にて、精霊術【耐火】というアイデアを書いてくださった方がおりまして、それだけでヌッペラウオを完封できそうな予感に戦慄してしまいましたので、使えなかった理由、使わなかった理由を考えてみました。
第一に、松悟とヌッペラウオでは、火との親和性がほぼ互角であるため、相反する請願――「燃やすな」と「燃やせ」がぶつかった場合、火の精霊は性格的に燃やすことを優先します。
第二に、カーゴ車内で常用している【環境維持】との兼ね合い――暖房効果を含む――により、火の精霊術が少々使いにくい状況となっていました。
第三に、切り札である上空の水球を制御することに全力を傾けていたという事情もあります。
……うーん、ちょっと苦しいですね。あえて使わない理由にはなっていませんか。
実は使っていたが、使っていてもあれだけの被害が出た……ということにしておきましょう。
登場回: 第一部 第四章 第十一話「気になる小峰、不気味な顔」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8905841
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まだ大迷宮のモンスターが残っていますが、キリがありませんのでここまでとします。
設定集は以上! こんな駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました!
……現地語名称なんて間違いなく本編中では使いませんから、どうか適当にお流しください。覚えにくいし、統一感無いですし、削ろうかとも思ったんですが、どうにも貧乏性で。
名前は◆ 現地での呼称 /直訳気味な地球語名(松悟命名) ◆となっています。
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◆ リヨカ・ルディヴィ /スニーキングレパード(雪原の追跡者) ◆
◆ ヒヨス ◆
性別: メス
体長: 頭と胴体だけで二メートルほど、尻尾はそれ以上の長さがある。
外見:
真っ白な毛皮に灰色の斑模様が散らされているユキヒョウ。
絶滅動物サーベルタイガーのような長い犬歯と、非常に長く自在に動かせる尻尾を持つ。
二本の犬歯は、下方ではなく、やや前方へ突き出し、鎌に似た刃を形成している。
ストーカーと比べると、ヒヨスは一回りほどサイズが小さく、毛並み、爪、牙……それぞれが綺麗に手入れされている。表情は柔らかく猫っぽい。体付きも丸みを帯びていてふっくら。
主な能力:
【透明迷彩】
数秒間じっとしていることで透明化が可能な風属性の固有能力。消音と消臭にも対応。
雪景色の中では完全透明化。そうでない環境では、動くと半透明の姿を視認されてしまう。
【空中歩行】
空気を踏んで浮遊移動が可能な風属性の固有能力。
常時発動型スキルだが、地面から離れると制御が利きにくくなるため、飛行能力には及ばない。
【空気読み】
空気の微細な振動を感知し、周囲の詳細な情報を得ることが可能な風属性の固有能力。
解説:
雲上の尾根において生態系頂点に君臨する四魔獣の一。
能力が奇襲と暗殺に特化しているため、通常の戦闘に持ち込むことさえできれば、そこまでの強敵ではない。当然ながら、チートなしで易々と倒せるような相手でもないが……。
常に一体だけが存在し、倒された場合、特定の場所に大きな卵が生じて一定時間で復活する。
こうして新たに生まれた個体は、実は親子などではなく同一存在であり、ある程度の知識――記憶にあらず――までをも継承していく。ただし、その後の成長過程において習性や性格などは多少変化するようだ。
ちなみに、ストーカーがすぐに松悟を襲わなかった理由は、巨大グマの毛皮をまとって雪原を無警戒に歩く見知らぬ生き物を強く警戒したため。襲ってみれば逃げられ、数日待てど現れず、仕留めに行けば反撃され……と、散々な目に遭った挙げ句、返り討ちにされてしまう。憐れ。
ヒヨスの命名は月子。幻覚や浮遊感覚を伴う向精神作用を持つ毒草の名だったりする。
元々、サバイバル安定時点でのマスコット投入は予定にあったものの、どんなキャラにするか未定だった。ヒヨスにしたのは正解だったと思う。ただ、戦闘映えしない透明化は悩みどころ。
「この異世界で僕が初めて戦ったモンスターだ。改めて思い返すも身震いしてしまうよ」
「その節は本当にお疲れさまでした。ヒヨスも少し困ったところがある子ですね」
「なにげにイイ性格をしているからなぁ。そこも含めて可愛い奴だとは思うが」
登場回(ストーカー戦): 第一部 第二章 第十六話「奮い起って歩む男」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8902648
登場回|(ヒヨス): 第一部 第四章 第二話「二人の新生活」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8905812
※都鳥さんに描いていただいた応援イラストがあります。子猫時代のヒヨスです。
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◆ コルホア・バイシュトフ /アルパインピークベア(巨大グマ) ◆
◆ ベア吉 ◆
性別: オス
体長: 三メートルを超える巨体。四脚での体高でも二メートル近い。
外見:
漆黒の巨大グマ。そのサイズを除けば、姿形は地球に棲息しているヒグマなどと大差ない。
長く鋭い牙と爪。棲息地が極寒の高山であるため、毛はかなり長くふわふわとしている。
巨大グマと比較すると、ベア吉は体長二メートルほどでまだ相当小さめ。毛並み、爪、牙……それぞれが綺麗に手入れされている。毛皮の手触りは最高。体型はずんぐりむっくりで丸っこい。緊張感のない顔立ちはぬいぐるみのようである。
主な能力:
【岩石操作】
周囲の岩・石・土などを操ることが可能な地属性の固有能力。
精霊術のように自在に操作できるわけではなく、ある程度、決まった形状に変えられるだけ。
攻撃用の杭や礫、足場や防御に使える石板。半身を覆う鎧……など。
【大地の癒し】
大地の上にいる限り、怪我や疲労からの回復力を大幅に向上させる地属性の固有能力。
裂傷が見る見るうちに塞がり、数時間ほどで跡形もなくなってしまう驚異的な再生能力を誇る。死からの蘇生も可能。ただし、負っている傷の状態によっては無効となる。蘇生した場合でも、しばらくはすべての能力値が大幅に低下し、その間に再度死亡してしまえば蘇生不可。
解説:
雲上の尾根において生態系頂点に君臨する四魔獣の一。
それらの中では最強の存在であり、長きに亘って雪原の主として君臨し続けていた。
スキルを見るとやや地味だが、攻撃力と防御力の圧倒的な高さを始めとして付け入る隙がない。
まだまだ子どものベア吉は、能力値の低さや属性攻撃への耐性不足からヌッペラウオに苦戦を強いられたものの、あと数年ほど成長すれば一体で危なげなく屠れるくらいになる。
常に一体だけが存在し、倒されると特定地点で卵として復活するのはストーカー同様。
巨大グマはストーカーと違って見せ場がなかったため、ベア吉の影が薄くなることを懸念してヌッペラウオ戦で華々しく活躍させてみた。その甲斐あって、読者さま方には割りと可愛がってもらえている気がする。
生き返らせるかどうかは執筆直前まで本当に迷っていたのだが、やっぱり正解だったかな。
「実際に戦ったわけではありませんので、まったく悪い印象がありません」
「ああ、巨大グマには大いに助けられたし、ベア吉の頼もしさは言うまでもないからね」
「ベア吉は本当にいい子です」
登場回(巨大グマの死体): 第一部 第二章 第三話「寝覚めと覚醒」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8896778
登場回(ベア吉): 第一部 第四章 第二話「二人の新生活」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8905812
※都鳥さんに描いていただいた応援イラストがあります。子グマ時代のベア吉です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◆ レヤープ /アイスツリー(氷樹) ◆
外見:
幹から枝の先まで厚い氷で完全に覆われている樹木。
樹高は雪面から二三メートルほど。雪の下の地面からだと十メートル近い。
根は地面だけでなく、積もった雪の中にまで伸びる。
氷の下の樹皮は意外と瑞々しい色を保っている。
葉、花、蕾などは一切付けないが、稀に大きな果実が生っていることがある。もちろん氷漬け。
果実の見た目は、緑色をしたココヤシの実かマンゴーといったところ。
解説:
この世界の最高峰付近にのみ生える氷漬けの不思議植物。
まとった氷で陽光を収束させ、樹皮によって光合成している。材木としてはコルクに似る。
実はモンスターの一種なのだが、特に何をするでもなく、生態は普通の樹木と変わらない。
雌雄があり、周囲に子を殖やしながらやがて林を成す。その母株だけが果実――氷果を生す。
氷果の中身は割ってみるまで分からないフルーツガチャ。ランダムで様々な味が出てくる。
温度を加えることでシャーベット~果汁たっぷり~スープと果肉の状態も変化していく。
この極限環境下で、まだ狩猟も行えていない主人公たちを序幕開始時点まで生き長らえさせるために登場したご都合主義の万能食料生産器。月子の携帯食が尽きて以降、唯一の甘味。
「全部で何種類くらいの味があるんだろうか」
「よく同じ味が出てくることを鑑みるに二三十種ほどでしょうか。私はこしあんが好きです」
「百個くらい一遍に剥いてみたいな」
「…………」
登場回: 第一部 第二章 第十二話「雪原で採集する男」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8902638
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◆ バイシャニス /アルパインヘアー(ウサギ) ◆
見た目だけで言えば、何の変哲もない体長三十センチほどの真っ白なウサギ。
実は普通のウサギではなくモンスターに分類される。
逃げ場が無くなるほど追い詰めると鋭い前歯で反撃してくることがあるため注意が必要。
真っ白な毛皮は雪景色に溶け込む自然な保護色。雪に潜って身を隠すこともできる。肉は美味。
「野生のウサギがこんなにも素早いものだとは知らなかったよ」
「ええ、瞬間移動や分身には驚かされてしまいました」
登場回: 第一部 第三章 第一話「雪の尾根を巡る二人」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8902677
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◆ ピタヤン /モールクエル(ギザ歯のウズラ) ◆
体長三十センチ弱のウズラに似た野鳥。ただし、クチバシには歯が生えている。
ウサギ同様、一応はモンスターの類。
深く積もった雪の中、モグラのようにトンネルを掘りながら生きている。
クチバシの歯は凍った雪を一瞬で欠き削ることができるほどの強さがあり、噛まれれば危険。
肉は非常に美味。雪かきのために発達した手羽から柔らかい骨まですべて美味しく食べられる。
「これで見た目以上に食いでがあるんだ」
「箱罠で簡単に捕まえられるのも嬉しいですね」
登場回(言及のみ): 第一部 第三章 第一話「雪の尾根を巡る二人」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8902677
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◆ ソウナガック /チャージグレイド(ボウリングムシ) ◆
外見:
ダンゴムシのような青みがかった黒い甲殻に覆われている、体長二十センチほどのクマムシ。
日本の鎧武者を思わせる多節の甲殻には、鋭い突起が前から後ろまで数列になって並ぶ。
胴部の下に三対六本、腹部の先に一対二本、合わせて四対八本の太く短いいぼ脚を生やす。
主な能力:
【平穏適所】
精霊術を無効化する固有能力。
正確に言えば、不自然な働きをしている精霊を平常に戻すような効果がある。
甲殻に宿る常時発動型スキルであり、死んだり、剥がされたりしても効果は持続する。
解説:
谷底や洞窟など、雲上の尾根のそこかしこにコロニーを作っている虫型モンスター。
非常に硬く、精霊の働きを完全に中和可能な甲殻により、あらゆる自然環境下で生存可能。
ダンゴムシじみた見た目通り、完全な球状に丸まることができ、棘付きの鉄球のようになって体当たり攻撃を行う。
群れを成して広範囲を探索し、雪や岩石、生きている獲物などを除き、見つけた物を手当たり次第にコロニーまで持ち帰ってきては解凍・分解していく。そうして採集物が得られなくなれば群れごと他の場所へと移動するが、後に残された豊かな土壌には多くの植物などが繁殖し、また別のコロニーや生き物たちのオアシスとして利用されていくこととなる。
「精霊術の効果を消されてしまうのは、とても困ります」
「ややもすると【環境維持】が無効化されてしまいかねない……意外に恐ろしい奴だよ」
登場回: 第一部 第三章 第四話「谷の底、拾い集める二人」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8902689
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◆ マリイタ・トゥルジス /フラッドサージウーズ(地中の団子) ◆
性別: なし
体長: 不定形だが、まとまった状態でざっと七メートル以上。体高は三四メートルに達する。
外見:
表面を虹色にぬらつかせる黒い粘液の塊。
真っ黒というわけではなく、うっすらと内部が透けて見える。
主な能力:
【腐食吸収】
物を溶かし、その粘体の一部に変換することが可能な水属性の固有能力。
ただし、生き物の骨や金属などには効果が薄く、溶かすまでには相当な時間が掛かってしまう。
強力な溶解液として噴出することもできる。
【増殖再生】
ダメージを負って失われた粘体を瞬時に再生することが可能な水属性の固有能力。
元の体積以上にはできず、分裂のために自ら切り離した場合には効果がない。
【分裂】
粘体の一部を切り離し、分体を生み出すことが可能な水属性の固有能力。
分体のサイズは一メートル程度に限られるが、生み出せる数は本体の体積が許す限り無制限、それぞれ自律して行動でき、スキルも自由に使用可。
ただし、一定時間内に本体と融合しなかったり、分裂した状態で本体が倒されてしまった場合、分体はすべて枯死してしまう。
解説:
雲上の尾根において生態系頂点に君臨する四魔獣の一。
深く積もった雪の奥底、地中の広範囲に亘って粘体を拡げ、ゆっくりと移動し続けているが、時折、獲物を捕らえるためにクレバスや岩の隙間などから地上へ這い出してくることもある。
と言っても、いきなり全身を出現させることは滅多になく、大抵はまず蛇のようにうねる触手だけを伸ばして攻撃してくる。
その長さは軽く二十メートル以上に達し、質感は硬いゴムのよう、威力も凄まじいものがある。加えて腐食属性であるため、受けただけでも武器や防具を劣化させてしまう。
ちなみに、特に火属性が弱点ということはない。他の属性と比べれば普通に効くというだけ。
巨大グマ&ストーカー同様、本体は常に一体のみ、倒されれば卵の状態で復活する。テイム可。
そろそろ異世界ファンタジーらしいモンスターを……と登場させてみた。
当時、まだ四体四属性の中ボスという設定は無かったので、他の三体と並べると浮いている。あまり水属性っぽくないし、能力もなんとなく地味である。ヌッペラウオに対して詰んでる。
話は面白く書けた気がするので、なかなか良い敵役だったんじゃないかとは思う。
「つくづく不思議な生物だと思う」
「忘れてしまいましょう。もう関わりたくありません」
「あ、ああ……」
登場回: 第一部 第三章 第五話「二人と土笛の音」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8902694
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◆ アンセラミー /ヘイルスティンガー(ユキハジキ) ◆
外見:
体長十センチほどのクリオネに、ハチドリやホウジャク(昆虫)を足したような印象。
氷のように白っぽく透き通った身体をしており、脚も顔も無い。
小さな翼を高速で羽ばたかせて空中をホバリングしている。
主な能力:
【氷弾】
直径三四センチほどの雹を虚空に作りだして高速射出する固有能力。
子どもがフルスイングで投げてくる小石くらいの威力がある。
解説:
数百から千匹単位の群れを作り、地面に降り立つことなく延々と谷間を飛び回るモンスター。
その様子は、遠間からはまるで雲か霞のように見える。
雪が深く積もった場所を見つけると、群れで一斉に氷弾を放って掘削、細かく飛び散った氷・土・塵芥などを吸収することで栄養摂取して生きている。
こいつらが通った場所には雪崩が発生しやすくなるが、冬山の新陳代謝を促す役割を担う。
「実は、あちこちでうじゃうじゃ飛び回ってることに気が付いてしまったんだが」
「カーゴで移動する際には十分な注意が必要ですね」
登場回: 第一部 第四章 第九話「山から山へ、二人と二頭」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8905837
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◆ カーカドマ・ワギラジュネ /ツインズヘリオンサラマンダー(ヌッペラウオ) ◆
性別: 雌雄同体
体長: 五メートル近いが、およそ半分ほどが頭の大きさ。
外見:
盲目の法師――座頭のように擬人化されたオオサンショウウオの頭が二つ横に並び、細く長い首によって不釣り合いに小さなウーパールーパーの胴体へと繋がっている。
頭部は赤黒くゴツゴツした質感だが、胴体は剥き身のエビを思わせる艶々した桜色をしている。
主な能力:
【火炎操作】
炎を生み出し、相当な自由度を以て操作することが可能な火属性の固有能力。
ただし、使用時には周囲に熱源が存在しなければならず、その熱エネルギーを大量消費する。
【火無効】
あらゆる火属性ダメージを無効化することが可能な固有能力。常時発動型。
【電磁波感知】
障害物を無視して周囲数百メートルの温度を知覚可能な火属性の固有能力。
通常の視覚とはまったくの無関係に使用可。
解説:
雲上の尾根において生態系頂点に君臨する四魔獣の一。
火山地帯の主であり、普段は地下の溶岩溜まりで眠りに就いている。
自身の狩り場に近付いてきた生物を執拗に追いかけ回して遊ぶ習性があり、獲物を察知すると大爆発を伴って地上に出現、飽きることなく巨大な火球を連発し続ける。
その場の逃走はさほど難しくないが、地中の空洞や水脈・溶岩流を伝って追いかけてくるため、逃げきることは至難。昼夜を問わず、火球を撃ち込まれる羽目に陥ってしまう。
戦う場合でも、不利になると溶岩に潜って逃げるため、倒しきるのが困難という面倒な相手。
ある程度、得意の射撃戦に付き合いながら隙を衝いて一気に倒しきる必要がある。
例によって常に一体のみが存在し、倒されれば卵の状態で復活する。テイム可。
比較的、窮地に陥ることなく戦い続けてきた主人公たちを苦戦させるつもりで登場させた……のだが、いくらなんでもやりすぎだった。完全に難易度調整をミスっている。
戦闘が非常に長くなってしまい、作者のことも大いに苦しませてくれた。
「こいつは、とんでもない強敵だった」
「冷静に思い返すと、もっと安全な戦い方があったかも知れません」
「カーゴビートルに乗った状態でなければ、生身だったら多少は楽だったんじゃないかな」
「はい、カーゴで戦うのなら、ヒヨスとベア吉を遊撃として三方向から同時に攻めるべきでした」
余談:
そう言えば、カクヨムのコメント欄にて、精霊術【耐火】というアイデアを書いてくださった方がおりまして、それだけでヌッペラウオを完封できそうな予感に戦慄してしまいましたので、使えなかった理由、使わなかった理由を考えてみました。
第一に、松悟とヌッペラウオでは、火との親和性がほぼ互角であるため、相反する請願――「燃やすな」と「燃やせ」がぶつかった場合、火の精霊は性格的に燃やすことを優先します。
第二に、カーゴ車内で常用している【環境維持】との兼ね合い――暖房効果を含む――により、火の精霊術が少々使いにくい状況となっていました。
第三に、切り札である上空の水球を制御することに全力を傾けていたという事情もあります。
……うーん、ちょっと苦しいですね。あえて使わない理由にはなっていませんか。
実は使っていたが、使っていてもあれだけの被害が出た……ということにしておきましょう。
登場回: 第一部 第四章 第十一話「気になる小峰、不気味な顔」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/869536688/458910885/episode/8905841
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まだ大迷宮のモンスターが残っていますが、キリがありませんのでここまでとします。
設定集は以上! こんな駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました!
……現地語名称なんて間違いなく本編中では使いませんから、どうか適当にお流しください。覚えにくいし、統一感無いですし、削ろうかとも思ったんですが、どうにも貧乏性で。
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