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第一部: 終わりと始まりの日 - 第三章: 二人で踏む雪原にて
第二話: 異世界で男メシ
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今更の話になるが、【環境維持】だの【火球】だの【炎の棘】だの、最近、平然と使っているこれら精霊術の名称にそこはかとないむず痒さを感じておられる方もいるのではなかろうか。
いや、僕自身のことなのだが……。
一応、それには理由があった。
と言うのも、決まった効果をもつ精霊術に関して話すとき、日本語として言い表していると、話す側も聞く側も戸惑ってしまうのだ。それが緊迫した探索中であったら尚更である。
いちいち効果を説明していたら長いし、使い慣れない日本語を会話に出すと聞き違いも起こる。
外国語で言えば、特殊な意味を持つ言葉であることが明白なため、すっと頭に入ってくる。
使用頻度が高い精霊術に英語で名を付けることは、結果的に見て割りと重要だったように思う。
また、これには副次的な利点もあり、特定の仕事に名付けを行ったことで精霊の理解度が増し、安定して効果が現れるようになったというのも大きい。特に、自分と相性の悪い精霊に頼む場合、その恩恵はバカにならないものがある。
今、僕はそのことを強く実感していた。
「水の精霊に我は請う、氷だけ【液化】しろ」
請願に応じ、肉の塊を覆っていた分厚い氷がとろとろ流れていく。
よし! このとき中の肉汁や脂まで溶けだしてしまわないように注意する。
この辺りの微妙な調整が、以前の僕にはまったく上手くできなかった。明らかに命名の恩恵だ。
表面の氷があらかた無くなったら、あらかじめ用意しておいた冷水に浸けて暫し放置。
この間に他の材料を用意してしまう。
まずは、深く積もった雪の下を探すことで稀に見つかる、この野草の根。
生で食べてもシャキシャキとして美味いこれを、みじん切りで細かく刻んでいく。
次に、洞窟の縦穴に自生していた、苔に似た見た目の平べったいキノコ。
こいつは特に味はせず、栄養もなさそう、毒キノコではないので一応は腹の足しになるというくらいしか取り得がない、びくつきながらも、念のため、可食テストをしておこうなどと考えた過去の自分を殴りつけたくなるような代物であった。
だが、カラカラになるまで乾かした後、少量の水分を加えることにより、くにゃくにゃとした面白い食感が得られることが最近になって分かってきた。
「水の精霊に我は請う、水分だけ【気化】しろ」
一気に乾燥させてカラカラにし……。
「地の精霊に我は請う、細かい目を持つ【石やすり】を成せ」
……ヤスリ状にした石で磨り潰すように削り、細かい粉にしていく。
このパサパサの粉が、後で材料と混ざることで絶妙な口当たりを生み出してくれるのだ。
殿に控えるは、十個に一個以下の割合でしか採れない、この氷果。
氷果は、採集する度、同じ氷樹に生ったものであっても異なる中身と味になる不思議な果実だ。初めて採ってきた実はドリアン味で驚いたものだが、そのとき一緒に採ってきた他の実はまるで味が違い、更に驚かされることとなった。ちなみに、残りは桃とグレープフルーツだった。
以来、ドリアン味は一度も当たっておらず、非常に残念な気持ちなのだが、それはさておき。
そんな氷果の中でもドリアンに次ぐ希少性を誇るのがコレだ。
中身の味は、なんと! ミルクセーキ。
牛乳と卵と砂糖を混ぜて作る、バッサリ言ってしまえば、“飲むプリン”みたいなアレだ。
もはや果物ですらないが、そんなことはどうでも良かろう。
甘さ控えめでシャーベット状やプリン状のままで食べても美味しいが、軽く熱を加えることでとろぅりとした滑らかな液体となり、飲んでもまた絶品だった。
しかし、大事に大事に少しずつ味わっているコレを、今回は料理の材料として贅沢に使う。
準備は完了だ。
「火の精霊に我は請う、冷やせ」
手を軽く冷やした後、先ほどから冷水にさらしておいた肉を取りだし、石の包丁にてひたすら切る切る切る切る切る切る切る切る切る……叩く叩く叩く叩く叩く叩く叩く叩く叩く……――。
更に、切る切る切る切る切る切る切る切る……叩く叩く叩く叩く叩く叩く叩く叩く……――。
――ハァハァ、ハァハァ……これで、自家製挽き肉の完成だ。
ここに、同様の手順で作っておいたウサギ挽き肉を少しだけ――八:二ほどの割合で混ぜたら、塩を加えて粘りけが出てくるまで更によく混ぜる。
混ざったところで先ほど用意しておいた他の材料――野草の根のみじん切り、干しキノコの粉、ミルクセーキ氷果の果汁と果肉、それらすべてを投入し、ざっくり混ぜていく。
適当な大きさだけ取り、両手の間でキャッチボールをする要領で数回パンパンと掌に叩きつけ、材料がなくなるまで小分けにしたら、いよいよ焼きに入る。
美須磨が持ち込んだ小さなフライパンで、とりあえず二個。
じゅわ~っという肉の焼ける音が上がり、食欲をそそる匂いも立ち上がってくる。
焼き目と音に注意し、中まで火が通ったら……。
よし! 特製クマ肉ハンバーグの完成である。
端の方を少しだけ切って味見してみると……。
「うん! 思った通りだ! 上手くいった! ミルクセーキとシャキシャキ草、信じてたぞ! おぉーい! みす……つ、月子くん! 出来たから来てくれないかー! 食事にしよう」
「はい、松悟さん。何を作っていらしたのか楽しみです」
同じ作業室で離れて道具作りをしている美須磨へ声を掛け、二人前のハンバーグを皿に載せて玄室中央の談話室まで運んでいく。
皿をテーブルに並べ、精霊術でお茶を淹れ、席に着いた。
「それじゃあ」と、顔を見合わせ。
「「いただきます」」
銀のフォークで皿に載ったハンバーグを押さえ、銀のナイフを入れる。
切れ目から流れ出てきて仄かな湯気を立てる艶やかで透明な肉汁。
断面を見てみれば、中心までちゃんと火が通っており、かなり綺麗な桜色に仕上がっていた。
フォークを突き刺した、やや大きめサイズの一切れをゆっくりと持ち上げ、パクりと一口。
……うん、やはり上出来だ。
ミルクセーキ氷果の上品な甘みとまろやかさ、シャキシャキ草のピリッとした辛み、それらが渾然一体となった肉の味には、あの嫌な臭みだけが消え、なお強い癖は感じられるものの決して不快ではなく、力強く濃厚な旨みが感じられた。
今まで鼻を摘みながら食べてきたクマ肉だとは思えないほどである。
凍った肉を解かすときに旨みや脂まで逃がしてしまっていたこと、調理する前に急激な温度の上げ下げをしすぎていたこと、味付けがほとんどされていなかったこと……など、最悪の要因が合わさってしまった結果が、あの悪臭だったのだ。
ここに辿り着くまで、数多くの試作と失敗を重ねてきたが、ようやく苦労が報われた。
次は、ケチらずに美須磨の胡椒を使わせてもらっても良さそうだ。あとはソースの研究か……。
正面に目をやると、美須磨も一口一口、じっくり味わいながら食べている。
だが、彼女にしてはそのペースはやや速め。
どうやら気に入ってもらえたようだ。
僕らの食料事情は、こうした偶の贅沢が許されるほど、当初と比べて改善されている。
ストーカーのヒョウ肉は、独特のアンモニア臭があり、やはりさほど美味くはなかったものの、クマ肉に比べれば普通に食べられるし、ウサギ肉やウズラ肉、新たに発見したいくつかの野草、そして多様な味の氷果。それらはどれもなかなかに美味かった。
しかし、美須磨は僕が何も言わなければ、未だ大量に残っているクマ肉を食べることが多い。
食にこだわりがないというのもあるだろうが、一番の理由は、僕がほとんど手をつけていない食材を引き受ける気持ちからなのではないかと思われる。
そのことに気付いて以来。
僕は、必ずやクマ肉を美味しく食べられるようにしてやろうと決意し、手当たり次第に食材を集め、組み合わせ、調理法を考えてきたのである。
元々、僕自身も食にこだわる方ではなく、知っている料理のレシピなど両手の指にも満たない程度、調味料や道具さえまるで足りていない現状では試行錯誤の連続だった、が。
「我ながら、なかなか上手くできたと思う」
「はい、とても……美味しいですね」
ああ、その言葉が聞きたかったんだ。
いや、僕自身のことなのだが……。
一応、それには理由があった。
と言うのも、決まった効果をもつ精霊術に関して話すとき、日本語として言い表していると、話す側も聞く側も戸惑ってしまうのだ。それが緊迫した探索中であったら尚更である。
いちいち効果を説明していたら長いし、使い慣れない日本語を会話に出すと聞き違いも起こる。
外国語で言えば、特殊な意味を持つ言葉であることが明白なため、すっと頭に入ってくる。
使用頻度が高い精霊術に英語で名を付けることは、結果的に見て割りと重要だったように思う。
また、これには副次的な利点もあり、特定の仕事に名付けを行ったことで精霊の理解度が増し、安定して効果が現れるようになったというのも大きい。特に、自分と相性の悪い精霊に頼む場合、その恩恵はバカにならないものがある。
今、僕はそのことを強く実感していた。
「水の精霊に我は請う、氷だけ【液化】しろ」
請願に応じ、肉の塊を覆っていた分厚い氷がとろとろ流れていく。
よし! このとき中の肉汁や脂まで溶けだしてしまわないように注意する。
この辺りの微妙な調整が、以前の僕にはまったく上手くできなかった。明らかに命名の恩恵だ。
表面の氷があらかた無くなったら、あらかじめ用意しておいた冷水に浸けて暫し放置。
この間に他の材料を用意してしまう。
まずは、深く積もった雪の下を探すことで稀に見つかる、この野草の根。
生で食べてもシャキシャキとして美味いこれを、みじん切りで細かく刻んでいく。
次に、洞窟の縦穴に自生していた、苔に似た見た目の平べったいキノコ。
こいつは特に味はせず、栄養もなさそう、毒キノコではないので一応は腹の足しになるというくらいしか取り得がない、びくつきながらも、念のため、可食テストをしておこうなどと考えた過去の自分を殴りつけたくなるような代物であった。
だが、カラカラになるまで乾かした後、少量の水分を加えることにより、くにゃくにゃとした面白い食感が得られることが最近になって分かってきた。
「水の精霊に我は請う、水分だけ【気化】しろ」
一気に乾燥させてカラカラにし……。
「地の精霊に我は請う、細かい目を持つ【石やすり】を成せ」
……ヤスリ状にした石で磨り潰すように削り、細かい粉にしていく。
このパサパサの粉が、後で材料と混ざることで絶妙な口当たりを生み出してくれるのだ。
殿に控えるは、十個に一個以下の割合でしか採れない、この氷果。
氷果は、採集する度、同じ氷樹に生ったものであっても異なる中身と味になる不思議な果実だ。初めて採ってきた実はドリアン味で驚いたものだが、そのとき一緒に採ってきた他の実はまるで味が違い、更に驚かされることとなった。ちなみに、残りは桃とグレープフルーツだった。
以来、ドリアン味は一度も当たっておらず、非常に残念な気持ちなのだが、それはさておき。
そんな氷果の中でもドリアンに次ぐ希少性を誇るのがコレだ。
中身の味は、なんと! ミルクセーキ。
牛乳と卵と砂糖を混ぜて作る、バッサリ言ってしまえば、“飲むプリン”みたいなアレだ。
もはや果物ですらないが、そんなことはどうでも良かろう。
甘さ控えめでシャーベット状やプリン状のままで食べても美味しいが、軽く熱を加えることでとろぅりとした滑らかな液体となり、飲んでもまた絶品だった。
しかし、大事に大事に少しずつ味わっているコレを、今回は料理の材料として贅沢に使う。
準備は完了だ。
「火の精霊に我は請う、冷やせ」
手を軽く冷やした後、先ほどから冷水にさらしておいた肉を取りだし、石の包丁にてひたすら切る切る切る切る切る切る切る切る切る……叩く叩く叩く叩く叩く叩く叩く叩く叩く……――。
更に、切る切る切る切る切る切る切る切る……叩く叩く叩く叩く叩く叩く叩く叩く……――。
――ハァハァ、ハァハァ……これで、自家製挽き肉の完成だ。
ここに、同様の手順で作っておいたウサギ挽き肉を少しだけ――八:二ほどの割合で混ぜたら、塩を加えて粘りけが出てくるまで更によく混ぜる。
混ざったところで先ほど用意しておいた他の材料――野草の根のみじん切り、干しキノコの粉、ミルクセーキ氷果の果汁と果肉、それらすべてを投入し、ざっくり混ぜていく。
適当な大きさだけ取り、両手の間でキャッチボールをする要領で数回パンパンと掌に叩きつけ、材料がなくなるまで小分けにしたら、いよいよ焼きに入る。
美須磨が持ち込んだ小さなフライパンで、とりあえず二個。
じゅわ~っという肉の焼ける音が上がり、食欲をそそる匂いも立ち上がってくる。
焼き目と音に注意し、中まで火が通ったら……。
よし! 特製クマ肉ハンバーグの完成である。
端の方を少しだけ切って味見してみると……。
「うん! 思った通りだ! 上手くいった! ミルクセーキとシャキシャキ草、信じてたぞ! おぉーい! みす……つ、月子くん! 出来たから来てくれないかー! 食事にしよう」
「はい、松悟さん。何を作っていらしたのか楽しみです」
同じ作業室で離れて道具作りをしている美須磨へ声を掛け、二人前のハンバーグを皿に載せて玄室中央の談話室まで運んでいく。
皿をテーブルに並べ、精霊術でお茶を淹れ、席に着いた。
「それじゃあ」と、顔を見合わせ。
「「いただきます」」
銀のフォークで皿に載ったハンバーグを押さえ、銀のナイフを入れる。
切れ目から流れ出てきて仄かな湯気を立てる艶やかで透明な肉汁。
断面を見てみれば、中心までちゃんと火が通っており、かなり綺麗な桜色に仕上がっていた。
フォークを突き刺した、やや大きめサイズの一切れをゆっくりと持ち上げ、パクりと一口。
……うん、やはり上出来だ。
ミルクセーキ氷果の上品な甘みとまろやかさ、シャキシャキ草のピリッとした辛み、それらが渾然一体となった肉の味には、あの嫌な臭みだけが消え、なお強い癖は感じられるものの決して不快ではなく、力強く濃厚な旨みが感じられた。
今まで鼻を摘みながら食べてきたクマ肉だとは思えないほどである。
凍った肉を解かすときに旨みや脂まで逃がしてしまっていたこと、調理する前に急激な温度の上げ下げをしすぎていたこと、味付けがほとんどされていなかったこと……など、最悪の要因が合わさってしまった結果が、あの悪臭だったのだ。
ここに辿り着くまで、数多くの試作と失敗を重ねてきたが、ようやく苦労が報われた。
次は、ケチらずに美須磨の胡椒を使わせてもらっても良さそうだ。あとはソースの研究か……。
正面に目をやると、美須磨も一口一口、じっくり味わいながら食べている。
だが、彼女にしてはそのペースはやや速め。
どうやら気に入ってもらえたようだ。
僕らの食料事情は、こうした偶の贅沢が許されるほど、当初と比べて改善されている。
ストーカーのヒョウ肉は、独特のアンモニア臭があり、やはりさほど美味くはなかったものの、クマ肉に比べれば普通に食べられるし、ウサギ肉やウズラ肉、新たに発見したいくつかの野草、そして多様な味の氷果。それらはどれもなかなかに美味かった。
しかし、美須磨は僕が何も言わなければ、未だ大量に残っているクマ肉を食べることが多い。
食にこだわりがないというのもあるだろうが、一番の理由は、僕がほとんど手をつけていない食材を引き受ける気持ちからなのではないかと思われる。
そのことに気付いて以来。
僕は、必ずやクマ肉を美味しく食べられるようにしてやろうと決意し、手当たり次第に食材を集め、組み合わせ、調理法を考えてきたのである。
元々、僕自身も食にこだわる方ではなく、知っている料理のレシピなど両手の指にも満たない程度、調味料や道具さえまるで足りていない現状では試行錯誤の連続だった、が。
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