18 / 227
第一部: 終わりと始まりの日 - 第一章: 地方都市郊外の学園にて
第十六話: 流される二人とテンプレ神?
しおりを挟む
ぶぉー……っという、腹に響く低い音と振動を感じながら、徐々に意識が覚醒していく。
『ここは? えっと……』
どうも記憶がハッキリしないな。
何故、車に乗って? あ、そうだ。タクシーに乗ったんだったっけ。
あれ? そう言えば行き先をまだ告げていなかったような……?
なかなか思考がまとまっていかない頭の中で悪戦苦闘していると、ぶつぶつといった呟き声がどこからともなく耳に入ってくることに気付く。
「――あー、もー、なんでこうなっちゃったかなぁ。あそこは駆け落ちするシーンじゃないの? 君のことは僕が守る! せんせえ! 一緒に逃げよう! ああ、どこまでもついて行きますわ!みたいな!! なんで、仕方ないことだ。たぶん誰かが何とかしてくれる。諦めるのが人生さ……なんて流れになっちゃってるのよ? どんだけこじらせてるの?」
なんだろう? よく聞き取れないし、言葉の意味も上手く頭に入ってこないんだが。
「――てか、女の子の方もいろいろおかしいし! どうしてあのスペックで、何も変わりませんから……みたいなモードになってるの? いや、変わるし! 変えられるし! その気になれば物理的にも政治的にも性的にも一瞬で殺れるでしょ! あんなガマガエル! なんで二人揃って白紙解答みたいなことしちゃうのよ? いやがらせなの? 私のこと嫌いなの?」
女の子? あ、美須磨!? そうだ、彼女は!?
やけに重かった目蓋を見開き、体重を預けていた座席のシートから身を起こすと、首を回して車内を確認していく。
すると、右隣に横たわる可憐な少女がすぐさま目に留まり、ホッと一息。
「――やだー! やだやだやだ! 八十億もデータ見直したくない! いっそ、ランダムで半分くらい送っちゃえばいいんだ! つーか、なんで今日視察に来てたの!? あ、聖夜か。くそう!」
前の運転席では、安っぽいパーティーグッズにありそうな珍妙なサンタルックを身にまとった若い……幼い……? お多福……いや、ぬっぺらぼう? とにかく女性がハンドルを握っていた。
さっきからずっとブツブツ何かを言っているのは、この人か。
「あー、運転手さん? あのー、もしもし」
「ぴぎゃっ!? ……な、なに? あ? え? もお起きてたの?」
「うわ、前、ちゃんと前見て――……って」
声を掛けられ、どこかわざとらしく身を跳ねさせる運転手。
後部座席に振り向こうとするのを慌てて遮るが、そこで運転席と客席を隔つパーティションの向こう側にフロントガラス越しの景色が見え、ようやく頭が状況のおかしさを認識し始める。
「……白い。何もない? これ、外、どうなってるんだ? そもそも何処へ向かっているんです!? それに、いつの間に運転手さん変わって? な、時計も止ま……。ちょっと、これは一体――」
「待って待ってって答えるからちょっと待ってぷりーず一個ずつ――」
「……ん、んう?」
思わず運転席の背に向かって詰め寄ってしまい、次々と湧き上がってくる疑問をそのまま口に出していると、その騒ぎによってか、隣で美須磨も意識を覚醒させたようだ。
「あーあーあー、こほん。おはようございます、美須磨月子さん。それと白埜松悟さん」
「っ!?」
「おい! 君、どうして僕らの名前を――」
「お二人とも起きられ……られ? 起きたところで、説明入らせてもらいますね。いきますよ?」
運転手は、僕たちの反応を無視し、ハンドルを握って前を向いたままマイペースで話し出す。
「我が名は……ちがった、名前じゃないや。私は神です。女神です。あ、誤解しないでください。一週間で世界作ったり島ぽこぽこ生んだりした凄い神様とは違くて、ぺーぺーの神って言うか、この業界五年目くらいの、なので“様”付けとかはまだ結構です。なんだったら親しみを込めて“ちゃん”付けでもしてもらえたら――」
「あー、うん、簡潔に話まとめてもらえるかな、神ちゃん」
なんだろう、この……。とんでもない、しかもおそらく危機的な超常現象に巻き込まれているはずなのに、今にもタクシーのドアが開いて『どっきり』とか書かれたプラカード持った連中が入ってきそうな、ゆるい雰囲気は。
「私たちは生命を落としたということなのでしょうか?」
「あぁ、交通事故とか……で。さしずめここは三途の川、いや、カローンの渡し舟とやらか?」
「ブー! ブー! 話してる最中に予想すんのやめて! ネタつぶし反対!」
じゃ、早く本題に入ってよ。
「えふん、けふん。あなたたちはまだ亡くなってないんですが、誠に勝手ながら弊社都合で転生してもらうことになっちゃいました。ごめんね。だって、これバグなんじゃないの? ちゃんとチェックした? あれでフラグ立たないの設定ミスじゃね?とか、みんなで寄ってたかって――」
「はいはい、また脱線してる。先進めて」
「……転生ですか?」
「あ、うん。まー、ご想像通りの異世界転生ですよ。テンプレ通りだし説明いらないよね?」
「異世界?」
「テンプレ?」
「えー……、まさか知らないとか? ウソでしょ? じゃチートとかも説明しなきゃダメ?」
「いや、それくらいは……英語で言ういかさまだろう? カードゲームでもやらせるつもりかな」
「あの、転生というのは、仏教における輪廻転生の概念で合っていますか?」
「……うあ、これダメだ」
ひとまず、理由は説明されてもよく分からなかったんだが、僕たちの魂に何らかの問題があり、地球から追放されて異なる世界に転生させられることになったのだと言う。
何やら、近頃の若者向けサブカルチャーではよくあることらしいのだが、すまない、不勉強で。
また、チートというのは、こうした強引な転生が施行される際、特別な温情として与えられる便利な能力や道具のことらしい。なるほど、だからチートというわけか。
「ところで、私たちの存在は元の世界ではどういう扱いになるのでしょう?」
「そうだな、僕も気になっていた。行方不明で生徒たちの進路に悪影響が出ないと良いんだが」
「うーん、あなたたちに関する記憶だけが地球全体から永遠に失われるイメージかなぁ。名前や写真を見ても誰か思い出せないし、認識もしづらい。一緒にいたり影響を与えたりした出来事は各自なんとなくつじつま合わせて納得しちゃう。進路指導は副担任が最初からやってたし。別の先生から授業を教わってたはず。いつも一緒にいた美少女は遠くへ転校しちゃった。行方不明は誤報でした……とかね。あ、今のは全部てきとーですけど」
「そうですか」
「……どうにも怖い話だな。誰にも覚えていてさえもらえないわけか」
「あれれ? そういうの気にする人だったんですか? ふっ、俺に人間関係など必要ないぜ……とかいつも言ってましたよね?」
「いや、言ってないよ? 友人も教え子も大事だよ」
「やー、まー、原因が消えても結果だけはちゃんと残るわけですし、切り替えていきましょーよ」
確かに、今更何ができるわけでもなさそうだし、あまり未練を残しても仕方ないのか。
『ここは? えっと……』
どうも記憶がハッキリしないな。
何故、車に乗って? あ、そうだ。タクシーに乗ったんだったっけ。
あれ? そう言えば行き先をまだ告げていなかったような……?
なかなか思考がまとまっていかない頭の中で悪戦苦闘していると、ぶつぶつといった呟き声がどこからともなく耳に入ってくることに気付く。
「――あー、もー、なんでこうなっちゃったかなぁ。あそこは駆け落ちするシーンじゃないの? 君のことは僕が守る! せんせえ! 一緒に逃げよう! ああ、どこまでもついて行きますわ!みたいな!! なんで、仕方ないことだ。たぶん誰かが何とかしてくれる。諦めるのが人生さ……なんて流れになっちゃってるのよ? どんだけこじらせてるの?」
なんだろう? よく聞き取れないし、言葉の意味も上手く頭に入ってこないんだが。
「――てか、女の子の方もいろいろおかしいし! どうしてあのスペックで、何も変わりませんから……みたいなモードになってるの? いや、変わるし! 変えられるし! その気になれば物理的にも政治的にも性的にも一瞬で殺れるでしょ! あんなガマガエル! なんで二人揃って白紙解答みたいなことしちゃうのよ? いやがらせなの? 私のこと嫌いなの?」
女の子? あ、美須磨!? そうだ、彼女は!?
やけに重かった目蓋を見開き、体重を預けていた座席のシートから身を起こすと、首を回して車内を確認していく。
すると、右隣に横たわる可憐な少女がすぐさま目に留まり、ホッと一息。
「――やだー! やだやだやだ! 八十億もデータ見直したくない! いっそ、ランダムで半分くらい送っちゃえばいいんだ! つーか、なんで今日視察に来てたの!? あ、聖夜か。くそう!」
前の運転席では、安っぽいパーティーグッズにありそうな珍妙なサンタルックを身にまとった若い……幼い……? お多福……いや、ぬっぺらぼう? とにかく女性がハンドルを握っていた。
さっきからずっとブツブツ何かを言っているのは、この人か。
「あー、運転手さん? あのー、もしもし」
「ぴぎゃっ!? ……な、なに? あ? え? もお起きてたの?」
「うわ、前、ちゃんと前見て――……って」
声を掛けられ、どこかわざとらしく身を跳ねさせる運転手。
後部座席に振り向こうとするのを慌てて遮るが、そこで運転席と客席を隔つパーティションの向こう側にフロントガラス越しの景色が見え、ようやく頭が状況のおかしさを認識し始める。
「……白い。何もない? これ、外、どうなってるんだ? そもそも何処へ向かっているんです!? それに、いつの間に運転手さん変わって? な、時計も止ま……。ちょっと、これは一体――」
「待って待ってって答えるからちょっと待ってぷりーず一個ずつ――」
「……ん、んう?」
思わず運転席の背に向かって詰め寄ってしまい、次々と湧き上がってくる疑問をそのまま口に出していると、その騒ぎによってか、隣で美須磨も意識を覚醒させたようだ。
「あーあーあー、こほん。おはようございます、美須磨月子さん。それと白埜松悟さん」
「っ!?」
「おい! 君、どうして僕らの名前を――」
「お二人とも起きられ……られ? 起きたところで、説明入らせてもらいますね。いきますよ?」
運転手は、僕たちの反応を無視し、ハンドルを握って前を向いたままマイペースで話し出す。
「我が名は……ちがった、名前じゃないや。私は神です。女神です。あ、誤解しないでください。一週間で世界作ったり島ぽこぽこ生んだりした凄い神様とは違くて、ぺーぺーの神って言うか、この業界五年目くらいの、なので“様”付けとかはまだ結構です。なんだったら親しみを込めて“ちゃん”付けでもしてもらえたら――」
「あー、うん、簡潔に話まとめてもらえるかな、神ちゃん」
なんだろう、この……。とんでもない、しかもおそらく危機的な超常現象に巻き込まれているはずなのに、今にもタクシーのドアが開いて『どっきり』とか書かれたプラカード持った連中が入ってきそうな、ゆるい雰囲気は。
「私たちは生命を落としたということなのでしょうか?」
「あぁ、交通事故とか……で。さしずめここは三途の川、いや、カローンの渡し舟とやらか?」
「ブー! ブー! 話してる最中に予想すんのやめて! ネタつぶし反対!」
じゃ、早く本題に入ってよ。
「えふん、けふん。あなたたちはまだ亡くなってないんですが、誠に勝手ながら弊社都合で転生してもらうことになっちゃいました。ごめんね。だって、これバグなんじゃないの? ちゃんとチェックした? あれでフラグ立たないの設定ミスじゃね?とか、みんなで寄ってたかって――」
「はいはい、また脱線してる。先進めて」
「……転生ですか?」
「あ、うん。まー、ご想像通りの異世界転生ですよ。テンプレ通りだし説明いらないよね?」
「異世界?」
「テンプレ?」
「えー……、まさか知らないとか? ウソでしょ? じゃチートとかも説明しなきゃダメ?」
「いや、それくらいは……英語で言ういかさまだろう? カードゲームでもやらせるつもりかな」
「あの、転生というのは、仏教における輪廻転生の概念で合っていますか?」
「……うあ、これダメだ」
ひとまず、理由は説明されてもよく分からなかったんだが、僕たちの魂に何らかの問題があり、地球から追放されて異なる世界に転生させられることになったのだと言う。
何やら、近頃の若者向けサブカルチャーではよくあることらしいのだが、すまない、不勉強で。
また、チートというのは、こうした強引な転生が施行される際、特別な温情として与えられる便利な能力や道具のことらしい。なるほど、だからチートというわけか。
「ところで、私たちの存在は元の世界ではどういう扱いになるのでしょう?」
「そうだな、僕も気になっていた。行方不明で生徒たちの進路に悪影響が出ないと良いんだが」
「うーん、あなたたちに関する記憶だけが地球全体から永遠に失われるイメージかなぁ。名前や写真を見ても誰か思い出せないし、認識もしづらい。一緒にいたり影響を与えたりした出来事は各自なんとなくつじつま合わせて納得しちゃう。進路指導は副担任が最初からやってたし。別の先生から授業を教わってたはず。いつも一緒にいた美少女は遠くへ転校しちゃった。行方不明は誤報でした……とかね。あ、今のは全部てきとーですけど」
「そうですか」
「……どうにも怖い話だな。誰にも覚えていてさえもらえないわけか」
「あれれ? そういうの気にする人だったんですか? ふっ、俺に人間関係など必要ないぜ……とかいつも言ってましたよね?」
「いや、言ってないよ? 友人も教え子も大事だよ」
「やー、まー、原因が消えても結果だけはちゃんと残るわけですし、切り替えていきましょーよ」
確かに、今更何ができるわけでもなさそうだし、あまり未練を残しても仕方ないのか。
3
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説


夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。
彩華(あやはな)
恋愛
最後に見たのは恋人の手をとる婚約者の姿。私はそれを見ながら階段から落ちた。
目を覚ましたわたしは変わった。見舞いにも来ない両親にー。婚約者にもー。わたしは私の為に彼らをやり込める。わたしは・・・私の為に、笑う。

【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜
早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。

婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる