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第一部: 終わりと始まりの日 - 第一章: 地方都市郊外の学園にて
第十五話: 終わりの時、逃げ続けた二人
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黒塗りの大きな高級車から降り立った老人は、ぐふぐふと口では笑いながらも、まるで笑みを浮かべていない目――いや、笑みの形になってはいるものの、そこに楽しみや喜びといった正の感情ではない、冥く澱んだ負の感情を満たした、笑みではない笑み。そんな目を向けてくる。
禿げ上がった頭頂部をさらしたサンバラな白髪、ニキビともアバタともつかぬ凸凹にびっしり覆われた顔。開かれた口内より金色の光がギラギラと漏れてくる。
背は高くないが、体重は比較的長身に属する僕以上にあるだろう。その理由は全身にまとった贅肉だ。特にその肥大した腹を見れば信楽焼のタヌキも敗北感に打ちひしがれるに違いない。
本来、上流階級の住人は容姿にも恵まれていることが多い。
衣食住や美容にこだわることができる金銭的余裕を有し、裕福な生まれであれば遺伝子的にも美男美女のそれを受け継いでいる可能性が高いのだからさもあらん。
目の前の老人も、よくよく見てみれば顔のパーツ一つ一つはそこまで悪くはないようなのだが、どうしてこんな有様になってしまっているのか。
高級な調度品で整えられた室内ではなく雪降りしきる夜の街でこうして対面すると、ある種の怪物的な怖ろしさが感じられた。
「……理事長」と、確かめるように声を漏らしてしまう。
何故、こんな場所に彼がいるのか。いや、想像は付かなくもないが。
理事長の視線が向いている先は美須磨だ。
彼女を背に庇う僕の姿など眼中にもないと言わんばかりである。
実際、入っていないのかも知れない。彼の両側に立つ黒服二名も無言で気配を消し、雪の中、微動だにしておらず、この場面でのスポットライトは老人と少女の二人だけに当たっている模様。
「ようやく顔を見せたか、月子。ぐふっふふふ、手間を掛けさせおって」
先ほどの屋台以降、フードをはだけ、口元のマスクを外したままの美須磨。
彼女は理事長の言葉に返答することなく、小さく身を竦める。
いつも微笑みを浮かべていた口元は一文字に引き結ばれ、若干青ざめた顔色で俯いていた。
――震えているのか?
気付けばその全身が、厚いコート越しでも分かるほどに激しく震え出している。
言うまでもなく、寒さが原因だとは思えない。
「ワシも若くはないのでな、こんな時間まで付き合わされてこれでも業腹としておる。これ以上、機嫌を損ねさせん方が身のためだぞ。さぁ、さっさと車に乗らんか」
「――あの、理事長」
「なんだ、白埜クン。まだいたのか。キミはもう帰って構わんよ」
あ、やっぱり存在を忘れられていたか。
まるっきり素で人を人と思っていない感じ。
この分では、美須磨の異常すら気に留まってはいないのだろう。
「いえ、彼女を一度学園まで送り届けなければいけませんので」
「キミもなかなか血の巡りが悪い男だな。ワシは一人で帰れと言っておるのだが」
当然、分かっていて言ってるんですけどね。
たとえ彼女の保護者に準ずる立場にある人であろうと、この場で身柄を引き渡すなんてことはありえないわけで。何より、こんな状態の彼女を連れていかせるわけにはいかない。
この様子では、今夜の逃走劇における直接的原因が彼にあることは疑いようもないし。
「理事長ご自身で仰ったように今晩もかなり遅いですから、何はともあれ明日、学園でっていうことにしませんか? 先生方や理事会の方もいろいろあるでしょうし――」
「貴様、ワシに意見するつもりか」
「……はい。……すみませんが、今ここでこの子をお渡しすることはできません」
「ぶふぅ……、キミに問題があると分かれば、今後、施設出身者の立場が極めて悪くなるのだが、そのことをきちんと理解しておるんだろうな?」
あー、それ言っちゃうかー。まったく、人を黙らせるためだけに強いカード切らないで欲しい。心底ゲスだな、この人。だが、それを出されてしまっては、僕としてはもう……。
「ぐふふ、立場が分かったならとっとと帰れ。今のは聞かなかったことにしておいてやる」
いや、別に学園はこの人のワンマン経営というわけじゃないのだ。
他の理事、OBや保護者、そして法律。すべて無視できるほどの権力などあるとは思えない。
それに、話せば話すほどこの人に関わりたくなくなってくる。大切な人たちを関わらせたくもなくなっていく。
「そうですね。急いで帰ることにします。……行こう、美須磨、歩けるかい?」
「貴様っ!?」
後ろを振り向き、美須磨の手を取ろうと片手を伸ばす。
が、彼女は両腕で自身の身体を抱くようにして押さえ、はっ! はっ!と過呼吸に近い症状を起こし、もはや立っていられているのが不思議なほどだった。
……これでは走らせるのは無理か。
「お前たち、この下郎を取り押さえろ!」
理事長の声に合わせ、その脇に控えていた黒服の一人――傘を差していない方が動き出す。
僕は美須磨へと伸ばしていた手をそのままに、腰を曲げて路面の雪を掴むと、背後に向かって撒き散らした。それは只の雪でしかない……が。
こちらへ踏みだそうとしていた黒服Aとその場で動かずに様子を見ていた黒服Bは、念のため、撒かれた雪から理事長を庇おうと、それぞれ大きく位置を変える。
しかし、彼らに庇われた当の理事長は、撒き散らされた雪に驚いたか、正面に割り込んできた黒服の動きに戸惑ったのか、「ぶぎゅる!」と奇妙な声を上げてどたどた後ずさったと思うと、道に積もった雪に足を滑らせて体勢を崩し、まるでバック転をしようとして失敗したかのように勢いよく、仰向けにすっ転んだ。
二人の黒服は、慌てて理事長の下へと駆け寄っていく。
彼らの隙を逃さず、「失礼するよ!」と両腕で美須磨の細い身体を抱え上げた僕は、タクシー乗り場へ向かって全力で走り出した。
うん、やっぱり軽いな。
どんなに疲れきっていようが、彼女を担ぎ上げるのなんて楽なもんだ。
黒服たちは僕らを追うことよりも理事長の介抱を優先したようである。
まぁ、あんな不健康そうなお年寄りが後頭部から転んだりしたら心配するよね。
って言うか、まさか死んだりしてないよな? あ、大丈夫そうだ。起き上がった。
美須磨を横抱きしたままタクシー乗り場へと駆け込んだ僕は、対岸の火事場に気付いたらしく成り行きを窺っていた運転手の一人を捕まえてタクシーに押し込むと、「とにかく急いで出してください!」と言いながら、後部座席に二人分の身体を滑り込ませた。
「お! アンタ、さっき人捜ししてた人じゃねーか! よっしゃ、任せな! 俺がどこまででも逃がしてやるよ! うっひょー! 俺あ、昔からこういうのやってみたかったんだ!」
「すいません、話は後で――」
ウキウキとした態度でタクシーを発車させる運転手を一層急かす。
「もう大丈夫だ。きっと味方になってくれる人たちがいる。大丈夫」
「……先生」
ぐったりとシートに肢体を投げ出している美須磨。
過呼吸は治まっているが、未だその身体は小さく震え、涙を湛えた目にもまるで力がない。
その弱々しい表情を見て、無意識に手を伸ばそうとするも――。
「貴様らー!! ワシを虚仮にしおって! 逃がさん! 逃がさんぞー!!」
「ちょ!? 爺さん、オイ!!」
駅前ロータリーの出口へ向かうこのタクシーを止めようと思ったのだろう、怒鳴り声《ごえ》を響かせながら車道へと飛び出し、杖を振り上げ真っ正面からこちらに向かってくる理事長。
しかし、いくら大して速度が出ていない車にであろうと、その行動は無謀に過ぎる。
背後には、一体何があったのやら、顔面を押さえて蹲る黒服二名の姿が見える。おいおい。
――キキィ!! ダンッ!
いや、それは当然こうなるよね?
『走っている車の前に飛び出しちゃいけません』って誰かから教わらなかったのかな?
僕らが乗るタクシーに跳ね飛ばされ、道の端で横たわったまま路肩の雪を赤く染め上げていく理事長の姿を、僕らは呆れる感情を隠すこともできず眺めてしまうのだった。
――……そして。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
呆然としていたのは、どれくらいの時間だったのか。
「……え?」
隣で美須磨が小さな声を上げ、やや遅れて僕も違和感を覚える。
……いつの間にか、周囲よりあらゆる音が消えていた。
……窓の外が、降りしきる雪ではなく、インクで塗りつぶしたような白に染まっていた。
――そして、運転席に座っていたはずの、タクシー運転手の姿が……跡形もなく消えていた。
禿げ上がった頭頂部をさらしたサンバラな白髪、ニキビともアバタともつかぬ凸凹にびっしり覆われた顔。開かれた口内より金色の光がギラギラと漏れてくる。
背は高くないが、体重は比較的長身に属する僕以上にあるだろう。その理由は全身にまとった贅肉だ。特にその肥大した腹を見れば信楽焼のタヌキも敗北感に打ちひしがれるに違いない。
本来、上流階級の住人は容姿にも恵まれていることが多い。
衣食住や美容にこだわることができる金銭的余裕を有し、裕福な生まれであれば遺伝子的にも美男美女のそれを受け継いでいる可能性が高いのだからさもあらん。
目の前の老人も、よくよく見てみれば顔のパーツ一つ一つはそこまで悪くはないようなのだが、どうしてこんな有様になってしまっているのか。
高級な調度品で整えられた室内ではなく雪降りしきる夜の街でこうして対面すると、ある種の怪物的な怖ろしさが感じられた。
「……理事長」と、確かめるように声を漏らしてしまう。
何故、こんな場所に彼がいるのか。いや、想像は付かなくもないが。
理事長の視線が向いている先は美須磨だ。
彼女を背に庇う僕の姿など眼中にもないと言わんばかりである。
実際、入っていないのかも知れない。彼の両側に立つ黒服二名も無言で気配を消し、雪の中、微動だにしておらず、この場面でのスポットライトは老人と少女の二人だけに当たっている模様。
「ようやく顔を見せたか、月子。ぐふっふふふ、手間を掛けさせおって」
先ほどの屋台以降、フードをはだけ、口元のマスクを外したままの美須磨。
彼女は理事長の言葉に返答することなく、小さく身を竦める。
いつも微笑みを浮かべていた口元は一文字に引き結ばれ、若干青ざめた顔色で俯いていた。
――震えているのか?
気付けばその全身が、厚いコート越しでも分かるほどに激しく震え出している。
言うまでもなく、寒さが原因だとは思えない。
「ワシも若くはないのでな、こんな時間まで付き合わされてこれでも業腹としておる。これ以上、機嫌を損ねさせん方が身のためだぞ。さぁ、さっさと車に乗らんか」
「――あの、理事長」
「なんだ、白埜クン。まだいたのか。キミはもう帰って構わんよ」
あ、やっぱり存在を忘れられていたか。
まるっきり素で人を人と思っていない感じ。
この分では、美須磨の異常すら気に留まってはいないのだろう。
「いえ、彼女を一度学園まで送り届けなければいけませんので」
「キミもなかなか血の巡りが悪い男だな。ワシは一人で帰れと言っておるのだが」
当然、分かっていて言ってるんですけどね。
たとえ彼女の保護者に準ずる立場にある人であろうと、この場で身柄を引き渡すなんてことはありえないわけで。何より、こんな状態の彼女を連れていかせるわけにはいかない。
この様子では、今夜の逃走劇における直接的原因が彼にあることは疑いようもないし。
「理事長ご自身で仰ったように今晩もかなり遅いですから、何はともあれ明日、学園でっていうことにしませんか? 先生方や理事会の方もいろいろあるでしょうし――」
「貴様、ワシに意見するつもりか」
「……はい。……すみませんが、今ここでこの子をお渡しすることはできません」
「ぶふぅ……、キミに問題があると分かれば、今後、施設出身者の立場が極めて悪くなるのだが、そのことをきちんと理解しておるんだろうな?」
あー、それ言っちゃうかー。まったく、人を黙らせるためだけに強いカード切らないで欲しい。心底ゲスだな、この人。だが、それを出されてしまっては、僕としてはもう……。
「ぐふふ、立場が分かったならとっとと帰れ。今のは聞かなかったことにしておいてやる」
いや、別に学園はこの人のワンマン経営というわけじゃないのだ。
他の理事、OBや保護者、そして法律。すべて無視できるほどの権力などあるとは思えない。
それに、話せば話すほどこの人に関わりたくなくなってくる。大切な人たちを関わらせたくもなくなっていく。
「そうですね。急いで帰ることにします。……行こう、美須磨、歩けるかい?」
「貴様っ!?」
後ろを振り向き、美須磨の手を取ろうと片手を伸ばす。
が、彼女は両腕で自身の身体を抱くようにして押さえ、はっ! はっ!と過呼吸に近い症状を起こし、もはや立っていられているのが不思議なほどだった。
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「お前たち、この下郎を取り押さえろ!」
理事長の声に合わせ、その脇に控えていた黒服の一人――傘を差していない方が動き出す。
僕は美須磨へと伸ばしていた手をそのままに、腰を曲げて路面の雪を掴むと、背後に向かって撒き散らした。それは只の雪でしかない……が。
こちらへ踏みだそうとしていた黒服Aとその場で動かずに様子を見ていた黒服Bは、念のため、撒かれた雪から理事長を庇おうと、それぞれ大きく位置を変える。
しかし、彼らに庇われた当の理事長は、撒き散らされた雪に驚いたか、正面に割り込んできた黒服の動きに戸惑ったのか、「ぶぎゅる!」と奇妙な声を上げてどたどた後ずさったと思うと、道に積もった雪に足を滑らせて体勢を崩し、まるでバック転をしようとして失敗したかのように勢いよく、仰向けにすっ転んだ。
二人の黒服は、慌てて理事長の下へと駆け寄っていく。
彼らの隙を逃さず、「失礼するよ!」と両腕で美須磨の細い身体を抱え上げた僕は、タクシー乗り場へ向かって全力で走り出した。
うん、やっぱり軽いな。
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黒服たちは僕らを追うことよりも理事長の介抱を優先したようである。
まぁ、あんな不健康そうなお年寄りが後頭部から転んだりしたら心配するよね。
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「……先生」
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過呼吸は治まっているが、未だその身体は小さく震え、涙を湛えた目にもまるで力がない。
その弱々しい表情を見て、無意識に手を伸ばそうとするも――。
「貴様らー!! ワシを虚仮にしおって! 逃がさん! 逃がさんぞー!!」
「ちょ!? 爺さん、オイ!!」
駅前ロータリーの出口へ向かうこのタクシーを止めようと思ったのだろう、怒鳴り声《ごえ》を響かせながら車道へと飛び出し、杖を振り上げ真っ正面からこちらに向かってくる理事長。
しかし、いくら大して速度が出ていない車にであろうと、その行動は無謀に過ぎる。
背後には、一体何があったのやら、顔面を押さえて蹲る黒服二名の姿が見える。おいおい。
――キキィ!! ダンッ!
いや、それは当然こうなるよね?
『走っている車の前に飛び出しちゃいけません』って誰かから教わらなかったのかな?
僕らが乗るタクシーに跳ね飛ばされ、道の端で横たわったまま路肩の雪を赤く染め上げていく理事長の姿を、僕らは呆れる感情を隠すこともできず眺めてしまうのだった。
――……そして。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
呆然としていたのは、どれくらいの時間だったのか。
「……え?」
隣で美須磨が小さな声を上げ、やや遅れて僕も違和感を覚える。
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