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日記

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食事を運び、再び陽菜ちゃんの病室に戻る

「はい。しっかり噛んで食べてね」

食べ終わるまでは片づけられないので、黙々と食べる陽菜ちゃんを眺める

「…アイス、半分こする?」

…そういうつもりじゃなかったんだけどな。まあ

「いや、先生もさっき買ってきたから」

なんてちゃっかり白衣のポケットから取り出してみれば、少し驚いた後に

「先生もお揃いだね。キャラメル」

なんだそれ、かわいいな。
軽く微笑んだ後、二人でまくまくとアイスを食べる。

「…先生は、私の病気の事知ってるの?」

…危ないうっかり忘れるところだった、問診も頼まれてたんだった。ありがとう陽菜ちゃん。

「珍しい病気なんだってね。体から蔦が生えるなんて。ファンタジーみたい」
「今は蔦だけだけど、そのうち花が咲くんだって。だんだんつぼみが膨らんで花が咲くんだよ」

そんな事前任からの資料には書かれてなかった…というか前任の資料ほぼ真っ白だったけど。マジでふざけんな

「え、そうなの?」
「うん。なんか、前にこの病気にかかってた人はそうだったんだって」

書いてあった情報なんて、患者の年齢、性別、今までの病状(ほとんど問題なしだった)くらいで…
待てよ、前にもこの病気の患者がいたのか?

「陽菜ちゃんのほかにもこの病気になった人が居たんだ?」
「ちょっとだけ居たって聞いた。私で6人目なんだって。」

全部初めて聞いたが?前任は何してたんだよ本当に…

「なるほど、前の先生とはどんな話してたの?」

こうなったら自力で情報を集めるしかないか、後で前任を問い詰めよう。

「えっとね、病気の事とか、映画の事とか…日記を見れば書いてあると思う」
「日記?」
「うん、前の先生がつけとくといいことあるよーって教えてくれたから」

日記か、少しでも情報がもらえるならありがたい。

「それって、見せてもらってもいい?」
「…今日の夕飯にヨーグルト付けてくれたら見せてあげてもいいよ?」
「…頼んでみるよ」
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