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守るべきもの
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私達は少しの話し合いをした後、早々に屋敷に戻ることにした。
アクアは当分王宮に来れなくなる為私は一足先に帰ることに。
侯爵家のものが乗る馬車だと感づかれる可能性を考え少し質素な馬車で身を隠すよう侍女達と数人の近衛兵と共に帰ることに。
メル「奥様…何があっても私が守りますからね」
フローラ「無理しないでメル。貴方も近々結婚式があるのに……」
メル「私の事よりも奥様の方が大事です。彼も理解してくれていますから…」
幼馴染の様な関係でもう20年以上の付き合いとなるメルは優しく私の手を握る。
伯爵家の三女で私よりも3歳上のメルは今年で21歳となる。その彼女も約一ヵ月後には侯爵家の執事と結婚式を挙げる予定だ。二人とも昔からの大切な人達だから幸せになってほしい。
それなのにこんなことに巻き込んでしまって…………
近衛兵「奥様!!!馬車から出ないでください!!!」
唐突に放たれる近衛兵からの言葉。
叫ぶような声で言うと馬車の外が騒がしくなる。
メルに抱え込む様に抱きしめられ2人カタカタを身体を震わしていると、刺激された馬が急に走り出した。近衛兵に声が聞こえるが段々声が遠のいていく。
馬車がガタガタと激しく揺れてそして………勢いよく何かに馬車がぶつかり私達は揺れて倒れた馬車の中で頭を強くぶつけてしまい……
フローラ「………あ…く………あ」
愛しい彼の名前を呼びながら……私は意識を手放した。
・
・
・
「お………ま………」
誰かに呼ばれている声が聞こえる。
頭が凄く痛い……その確かな痛みに意識がどんどん覚めていく。
フローラ「……め…る……?」
メル「フローラお嬢様!!よかった……目を覚まして……」
私の手を握りしめ小刻みに彼女は震える。辺りを見渡すと私はどうやらベッドの上で横になっていることと、此処が知らない部屋…という事が分かった。
フローラ「ここ……は?」
メル「実は私にも分からなくて……目が覚めたらそこのソファーで寝かされていました。それで辺りを見渡すとお嬢様がベッドで寝かされていて…頭に包帯を巻かれていて……」
泣きじゃくり説明をするメルを優しく宥めながら部屋を見渡す。
知らない装飾に知らない香り。ベッドの素材でさえも何処か違う。
そして思い出すのは気絶する前の事……
フローラ「私達は……確か……」
近衛兵が何かに襲撃され…刺激された馬がは走り出して…それで
「お目覚めかな?我が番よ」
扉が勢いよく開けられるよそこにいたのは…隣国のベルメルド・シュレイン王太子がそこにいた。
メルが私を庇うように立つとその様子に何処か苛立った表情をしたが怯える私がメルの背に隠れたことで直ぐに優しい笑顔になる。
ベルメルド「いい侍女だ。我が番を護ろうとするその姿勢…嫌いではない。だが…今は不要だ。退け」
メル「お断りします。フローラ奥様は先程目を覚まされたばかり。そもそも奥様は婚姻されておりますゆえ知らぬ男性の方と近づかせるわけにいきません」
先程まで泣いていたとは思わない程の鋭い目つきで睨みつけたメルは私を庇いながらそう伝える。
ベルメルド「ふん、その婚姻関係も直ぐになるくなる。愛しの番…フローラは私の花嫁となる事が決まっているのだ。」
フローラ「そんなこと、私が許しません。それと私は名前を呼ぶことも許可しておりません。こちらは何処なのですか?何故私達は此処に?」
怯えるばかりでは駄目だと思い、私は少し息を整えて毅然とした態度で王太子を見る。
だが王太子はとてもう嬉しそうな表情をして爛々と答える。
ベルメルド「此処は我が国!九頭国だ!そしてこの場所は我が花嫁…フローラの寝室だ。」
フローラ「は・・・?」
衝撃的な言葉に私達は言葉を失う。
この九頭国は私達の国から馬車で早くても丸一週間はかかる所にある。一週間近く私は気絶していたの……?
ベルメルド「ふっ…嬉しすぎで言葉も出ないか……それは仕方ない。先程起きたばかりで仕方ない。メイドを呼ぼう。また後程……な」
王太子はニヤリと笑みを浮かべ部屋から出ていくと直ぐに此処のメイド数人と多分だがメイド長らしき人が部屋に入ってくる。
メイド「番様。お体を拭きにまいりました。」
メイド2「体の温まる飲み物もお持ちしました」
フローラ「番と呼ばないで。私は認めていないわ。それに世話はメルにしてもらうから貴方達は下がってて」
メイド長「ですが王太子からの命ですので……」
フローラ「ならいらないわ。人攫いのをする国の人達なんで信じられるわけがないでしょう」
淡々とそう告げると、メイド長は少し眉を寄せた後、メイド達が持ってきたものを机に置いて一礼して部屋から出た。ルアはそれを一つ一つ確認した後、温かいお湯が入ったバケツとタオルを持ってくる。
メル「取り合えず体を拭きましょう。此処が本当に九頭国であれば一週間近く眠っていたことになります。」
フローラ「そうね……」
いつの間にか着替えさせられていたシンプルな白いドレスを脱いで身体を拭いてもらう。
私が元々来ていたドレスが無いため、仕方なく体を拭いた後動きやすいワンピースの様な形のドレスに着替える。愛しい彼の瞳の色と一緒で少し安心する。
フローラ「お腹の子は……」
メル「特に気分の方が優れないなどが無ければ……大丈夫かと。ただ一週間も眠っていたので断言はできませんが」
フローラ「そう……ね…」
優しくお腹を撫でた後、小さく決意をする。
フローラ(この子とメルを守らないと……)
愛しい彼が助けに来るまでの間。私は小さく拳を握りしめた。
アクアは当分王宮に来れなくなる為私は一足先に帰ることに。
侯爵家のものが乗る馬車だと感づかれる可能性を考え少し質素な馬車で身を隠すよう侍女達と数人の近衛兵と共に帰ることに。
メル「奥様…何があっても私が守りますからね」
フローラ「無理しないでメル。貴方も近々結婚式があるのに……」
メル「私の事よりも奥様の方が大事です。彼も理解してくれていますから…」
幼馴染の様な関係でもう20年以上の付き合いとなるメルは優しく私の手を握る。
伯爵家の三女で私よりも3歳上のメルは今年で21歳となる。その彼女も約一ヵ月後には侯爵家の執事と結婚式を挙げる予定だ。二人とも昔からの大切な人達だから幸せになってほしい。
それなのにこんなことに巻き込んでしまって…………
近衛兵「奥様!!!馬車から出ないでください!!!」
唐突に放たれる近衛兵からの言葉。
叫ぶような声で言うと馬車の外が騒がしくなる。
メルに抱え込む様に抱きしめられ2人カタカタを身体を震わしていると、刺激された馬が急に走り出した。近衛兵に声が聞こえるが段々声が遠のいていく。
馬車がガタガタと激しく揺れてそして………勢いよく何かに馬車がぶつかり私達は揺れて倒れた馬車の中で頭を強くぶつけてしまい……
フローラ「………あ…く………あ」
愛しい彼の名前を呼びながら……私は意識を手放した。
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「お………ま………」
誰かに呼ばれている声が聞こえる。
頭が凄く痛い……その確かな痛みに意識がどんどん覚めていく。
フローラ「……め…る……?」
メル「フローラお嬢様!!よかった……目を覚まして……」
私の手を握りしめ小刻みに彼女は震える。辺りを見渡すと私はどうやらベッドの上で横になっていることと、此処が知らない部屋…という事が分かった。
フローラ「ここ……は?」
メル「実は私にも分からなくて……目が覚めたらそこのソファーで寝かされていました。それで辺りを見渡すとお嬢様がベッドで寝かされていて…頭に包帯を巻かれていて……」
泣きじゃくり説明をするメルを優しく宥めながら部屋を見渡す。
知らない装飾に知らない香り。ベッドの素材でさえも何処か違う。
そして思い出すのは気絶する前の事……
フローラ「私達は……確か……」
近衛兵が何かに襲撃され…刺激された馬がは走り出して…それで
「お目覚めかな?我が番よ」
扉が勢いよく開けられるよそこにいたのは…隣国のベルメルド・シュレイン王太子がそこにいた。
メルが私を庇うように立つとその様子に何処か苛立った表情をしたが怯える私がメルの背に隠れたことで直ぐに優しい笑顔になる。
ベルメルド「いい侍女だ。我が番を護ろうとするその姿勢…嫌いではない。だが…今は不要だ。退け」
メル「お断りします。フローラ奥様は先程目を覚まされたばかり。そもそも奥様は婚姻されておりますゆえ知らぬ男性の方と近づかせるわけにいきません」
先程まで泣いていたとは思わない程の鋭い目つきで睨みつけたメルは私を庇いながらそう伝える。
ベルメルド「ふん、その婚姻関係も直ぐになるくなる。愛しの番…フローラは私の花嫁となる事が決まっているのだ。」
フローラ「そんなこと、私が許しません。それと私は名前を呼ぶことも許可しておりません。こちらは何処なのですか?何故私達は此処に?」
怯えるばかりでは駄目だと思い、私は少し息を整えて毅然とした態度で王太子を見る。
だが王太子はとてもう嬉しそうな表情をして爛々と答える。
ベルメルド「此処は我が国!九頭国だ!そしてこの場所は我が花嫁…フローラの寝室だ。」
フローラ「は・・・?」
衝撃的な言葉に私達は言葉を失う。
この九頭国は私達の国から馬車で早くても丸一週間はかかる所にある。一週間近く私は気絶していたの……?
ベルメルド「ふっ…嬉しすぎで言葉も出ないか……それは仕方ない。先程起きたばかりで仕方ない。メイドを呼ぼう。また後程……な」
王太子はニヤリと笑みを浮かべ部屋から出ていくと直ぐに此処のメイド数人と多分だがメイド長らしき人が部屋に入ってくる。
メイド「番様。お体を拭きにまいりました。」
メイド2「体の温まる飲み物もお持ちしました」
フローラ「番と呼ばないで。私は認めていないわ。それに世話はメルにしてもらうから貴方達は下がってて」
メイド長「ですが王太子からの命ですので……」
フローラ「ならいらないわ。人攫いのをする国の人達なんで信じられるわけがないでしょう」
淡々とそう告げると、メイド長は少し眉を寄せた後、メイド達が持ってきたものを机に置いて一礼して部屋から出た。ルアはそれを一つ一つ確認した後、温かいお湯が入ったバケツとタオルを持ってくる。
メル「取り合えず体を拭きましょう。此処が本当に九頭国であれば一週間近く眠っていたことになります。」
フローラ「そうね……」
いつの間にか着替えさせられていたシンプルな白いドレスを脱いで身体を拭いてもらう。
私が元々来ていたドレスが無いため、仕方なく体を拭いた後動きやすいワンピースの様な形のドレスに着替える。愛しい彼の瞳の色と一緒で少し安心する。
フローラ「お腹の子は……」
メル「特に気分の方が優れないなどが無ければ……大丈夫かと。ただ一週間も眠っていたので断言はできませんが」
フローラ「そう……ね…」
優しくお腹を撫でた後、小さく決意をする。
フローラ(この子とメルを守らないと……)
愛しい彼が助けに来るまでの間。私は小さく拳を握りしめた。
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