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宝珠の少年は伯爵様に責められる。

逃げられない身体検査①

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ごーじゃすな部屋を出てしばらく地下に降りた所に扉があった。

自動で開いたその向こうは
温かみのない真っ白い壁に、床。
俺の両手、両足をを拘束する為の物であろう真っ白な手術台のようなものがあった。

怖い。

純粋な恐怖に、
思わず俺を抱えているレイヴンの服を掴んでしまう。
そんな可哀想な俺を意に介さず、
レイヴンとオスカーは歩を進める。

無駄かもしれないけど
俺は再度抵抗した。

「お、俺を解放しろ!谷に帰る!!」

レイヴンの腕の中でジタバタするも、少し腕の力を込められるだけで動きを封じられてしまう。

「くっ……このっ着痩せ馬鹿力……!」


「失礼な骨皮筋右衛門君ですね。
私は細マッチョですお間違いなく。」

「ほねかわすじえもん……!?」

誰だよ知らん!
でも悪口だな!?ムカつく!!

恐怖とムカつきでワナワナしている俺を見て、オスカーは楽しげに笑った。

「お前が怖がるのも無理はないがなユミト、悪いが拒否権はない。
お前が解放される条件は1つだ。
宝珠を渡せばいい。」

俺の言葉など片手で払い落とすかのように
あっさりと理不尽な話が進んでしまう。

「ふざけんなよ……俺を今から痛めつけようって奴に、誰が渡すかよ……!」

「ユミト様、あなたはまたオスカー様にむかってそんな口を……!」

レイヴンに窘められ
またお仕置きされるとではと身体を縮こませるも、
まぁまぁ、とオスカーがレイヴンを宥めた。

「別にいいさタメ口くらい。
宝を持ってしまった為に可哀想な目に遭うんだ。
そんくらい多目に見てやるよ。」

納得がいかないように腕の中の俺を睨むレイヴンと、
目を合わせられるわけが無い俺の間に嫌な沈黙が流れたが
ため息と共に腕の力が若干弱まった。

「……わかりました。」

レイヴンは返事をするや否や
態度とは裏腹に俺を優しく拘束台に寝かし

物凄い速さで俺の服を上下共に剥ぎ取りやがった。

「ぎゃあああ!!やだ!返せ服!!」

力が入らないが俺も男だ。
こんな時こそ火事場の馬鹿力が

「ぎゃん!!!」

出なかった。

いきなり身体が痺れたと思ったら、
よりにもよって俺の自身に
コードが着いたカプセルのようなものがすっぽりと装着されていた。
しかもなんか、中がぬるしてる…
気持ち悪い!

俺が服を剥かれた事と自身への未知なる刺激にショックを受けている隙に、
レイヴンが手早く俺の両手両足を拘束した。

大の字にされ動けなくなり、
さらに絶望する…。




「オスカー様、レイヴン様、
もうお越しでしたか。
遅くなり申し訳ありません。」


俺達が入って来たところから、
手術着のようなものを着た人たちが3人ほど入ってくる。

大きなマスクで顔が見えない。

「かまわない。
俺達が予定時間より早く来すぎただけだ
気にするな。
それよりこの装置起動してくれ。」

「では、こちらの観測機器の装着もお願いします。」

オスカーとレイヴンの指示に3人は
機械装着、起動の為に俺のそばに付いた。

「く、来るな、やだってば!ひっ!!」

こうなってしまってはまな板の上の鯉だ。
いや、鯉の方がまだいい。
ビチビチと最後の力を振り絞り抵抗をして
奇跡が起こるかもしれない。

俺なんかどうだ。
ガチガチに拘束されてどうしようもない。
これはもう
まな板の上の俺だ……。

非力な自分が悔しくて悲しくて
訳の分からない事を考えていたら、
急に全身に鳥肌が立った。


「は!?はひっひゃ、ん、あ あぁあ……!」

俺は一気に戦慄する。
自身から強烈な不快感を感じる。

勝手に腰が浮く

身体が熱くなる

痺れる……!



「どうだユミト。気持ち良いだろ。」

「ぃやあ!ひっ…!?」

「これはお前の陰茎に刺激を与える機械だ。
内側には滑りを良くするローションと、
丁寧に刺激をくれるブラシが付いてる」

「んひっあ、取っ……!!」

「これを使うことで、
身体に副作用が出る危険性がある感覚増強剤を使わなくても
お前の身体は敏感になるわけだ。
お前の負担を減らしてやろうと思ってな、
今回使うことにしたんだ。
感謝しろよ。」

「んっんん……!」

要らぬ気遣いに逆に悪意を感じている間に
恐怖で萎えきってしまっている俺の自身を慰めるように、機械の中でゾロリ、ゾロリと刺激を送られる。

「ひ、ひっぁ、や、ゃ、やめて……!」

快楽を求める準備をしていない自身への刺激は
くすぐったくて堪らない。

しかもこのくすぐったさは笑えるものでは無い。
くすぐったすぎて痛みに近い刺激。
息が詰まりそうで、ジタバタ暴れる余裕も無くなる。
逃げたくて逃げたくて、
無意識に身体をずり上げてしまう。

しかしそれも叶わない。
俺がいくら悶えたって、拘束はビクともしない。

手術着を着た奴らめ、
こんなに嫌がってるのに表情ひとつ変えやしない。
お構いなしに俺の身体中にコードの付いた謎の吸盤を装着していく。

「オスカー様、レイヴン様。
準備が整いました。」

その言葉を受け、オスカーが俺の腹部を人差し指でなぞる。

「ぅぁあ!」

それだけで悲鳴をあげる俺を見て
感度が上がっている事を確認したのか、
オスカーはレイヴンに目配せをした。

「それでは皆さん、ユミト様の身体を調べて下さい。」

「御意。」

レイヴンが合図したと同時に、
手術着達が俺の身体をまさぐり始めた。


「ちょ、ちょっと!!やだ、触んなぁ!!」


恐怖と屈辱と不快感で涙が出てくる。

しかも、
早々に身体に嫌な感覚が浮かび始めてきた。

晒されたお腹やわき腹、わきの下や足の裏、その他広範囲。

優しいといってもいいくらいのまさぐりに、
くすぐったさを感じ始めてしまった。



「や…やめて…!!!」

いやいやと首を振って
出来る限り拘束も引っ張って抵抗する。

それはもちろん無意味で、
手術着達は変わることなく俺をまさぐる。

そんな中、コードが集結しているモニターを見てオスカーが目を丸くしているのが見えた。


「ユミト…お前、
ものの数分でこんな数値出すなんて…。
おい、手を止めろ。」


オスカーの合図で手術着達の手が止まった。


訳がわからないけど、
取り敢えずくすぐったさから解放され安堵する。


「ユミト。今からお前に質問する。正直に答えろよ。
お前が感じやすいところはどこだ?」

「はぁ…はぁ…。
……感じやすいってなに…?」

俺の返事を聞いてオスカーがクッと笑った。


「悪い。お子様には通じない表現だったか。
言い方を変える。
ユミト、お前の1番くすぐったい場所はどこだ?」

その質問に、顔がカッと熱くなった。

そんな事を
この状態で
この状況で
言えるわけがない。


もちろん、特にくすぐったい場所はある。
そりゃあるよ。
誰だってあるだろそんなもん。
……あるけど…

「どうした?言わないのか?」

オスカーが俺の脇腹に手を沿え、ゆっくり撫でる。
体に一気に鳥肌が立つ…

くすぐったい…!

「ユミト、弱点を言え。でないと…」

「ひっ!!?あ、あは、いやぁ!あははははは!!!やめ、やめ…!!!」

黙秘をしていると
オスカーはそのまま俺の脇腹を激しく揉みしだき始めた。

それだけじゃない。

脇の下を撫で

お腹をなぞられ

足の裏を引っかかれた…!


「ひああぁ!やめて!いやだあぁ!ひはっひゃははははは!助けて!!あ、あはははははは!!」


苦しいのに笑わされてしまう。
嫌なのに笑ってしまう。
なんで俺がこんな目に遭うんだ…!

素直に白状しない子はお仕置きだと
オスカーは俺をくすぐり続けた。

弱点を言えば止めてやる。
楽になれるぞと。
俺に言う。

でも。
でもそんな命令される筋合いはない。
俺はこんな理不尽、伯爵の命令でも認めたくない。
言いなりになんかなりたくない…!!


「あはっあははははは…!!い、言うもんか、
お前らのっ、いいなりになんか、な、ならない…!!」

オスカーは一瞬驚いたように目を見開き、手を止めた。
ようやく止まったくすぐりに、
しばらく息が整わない。

そんな俺を見て、オスカーは嫌な感じに……意地悪そうに笑った。



「さっきのお前の感度確認…普通のやつなら体まさぐったぐらいなら
平均数値は100中30くらいなもんだが、お前はすでに80までいっていた。
お前みたいな全身ド級の弱点だらけみたいなヤツは初めてだよ。
しかしキツイ責め簡単に口を割らない。
上等。さすがは奇跡の宝、
宝珠を宿した男の子だ。」

酸欠の頭に、その言葉は水中で聞いているような気分だった。

意識が遠のきそうになる中、足の裏に嫌な感触がよみがえる。

オスカーが、人差し指を突き立てている…。



「さて、俺はそんなお前の心をバッキリ折りたい。
理由はわかるよな?宝珠を手に入れたいからだ。
どうやったらお前は俺に宝珠を差し出すんだ?」

冗談じゃない、いったい何様のつもりでそんなことを言うのか。

こんなことされても、はいどうぞなんて出来ない。
この宝は俺が持ち続ける。
俺の身が朽ちる時、この宝珠もこの世から消える。
そうでなきゃいけないんだ…!

とても返事ができなくて、俺はオスカーから顔をそらした。

それを見たオスカーは…容赦なく俺の足の裏に突き立てた指を上下に動かす…!!



「や、やめてぇ!やだやだやだ!!あはは、あ、あははははは!!」


「お前が情報吐くまでやめないよ。」

「そ、そんなの!いやだ!
んぁははは!!!そこはやめて!
もうやだーーー!!」

「よく喋るなぁ。
余裕そうだからもう少しキツくしてもいいよな」

お前達、俺と変われー
オスカーが言うと、手術着達が一斉に身体をくすぐり出す。

「へ、へぁ、あは、あはひひははは!!や、やははは!!!」

1人は脇腹から股関節にかけて指を立てて少し圧力をかけるように滑らせながら行ったり来たりする。
俺がビクンと身体を跳ねさせる箇所があればそこで止まり、つついたり、揉んだり、引っ掻いたりと、あらゆる刺激を送ってくる。

「やめへ、くすぐらないでぇ!……ひあああ!あし、あ、足、やめてぇ!」

脇腹のくすぐったさに気取られていたら足の裏の刺激が追加された。

カリカリカリカリ…と頭の中に音が聴こえるようだ。
爪を立てて細かくくすぐられている。

助けて欲しくて
いもしない救世主を探すも、
目に映ったのは厳しい目で俺を見つめるレイヴンと

その横で何が表示されてるかわからないモニターを真剣に見つめるオスカーだけだった。

ダメだここには悪魔しかいない…。

「ひはっひはぁ……」


「よーし、一旦やめだ。」

「御意」

「は…はぅ…っは、んん…!ぃやぁあ…!」

手術着達の手が止まったのに身体に安らぎが訪れない。
変な機械で弄ばれ、神経の核のようになってしまった俺の自身からの
暴力的なくすぐったさが止まっていないからだ。

「こ……こぇも……!これも、と、とめてぇ……!」

「ん?ああ、良いぜ。」

意外にもオスカーはあっさりと機械を外してくれた。

キツすぎる刺激に萎え、ローションによって濡れぞぼった可哀想な自身は……

オスカーの突然の扱きによってまた目覚めさせられる。


「ぅあぁあああ!お、オすカ、おすかぁ!やめてぇええ!!」

「機械外しちまったんだから仕方ないだろ。
俺が変わりに扱いてやるよ。」

「やだ、違、そういう意味じゃない!
いやぁ!怖いよ、オスカー嫌ぁ!!」

子供が駄々をこねるように嫌がる俺を、オスカーは楽しげに眺めている。
オスカーが手を上下すると、もうどうしようもなくくすぐったい。
全身がくすぐったくなる。

舌が、耳が、首が、手が、脇が、胸が、腰が、お腹が、太ももが、膝が、足が、
身体中が脳に
『 くすぐったさを消して 』
と訴えている。

しかし困ったことに
脳もくすぐったいのだから
どうしようもない。

「やだぁ!やめてぇ!!」

「ユミト、宝珠は?」

「だ……だ……っだめっ……!」

「へぇ。耐えるねぇ。」


ならこれは……
とオスカーが手数を増やそうとした時
レイヴンがオスカーを呼んだ。

「オスカー様、ユミト様の各所の感度数値を確認しました。
弱すぎます。ザコ感度です。
これでは尋問どころの話ではありません。」

「俺ザコ感度って単語初めて聞いたわ。
お前時々言葉キツくない?」

「はて。」

「ぉい…!無視すんなぁ!止めろぉ!」

「あぁ、悪ぃ……ぅお。
あらまー、いつの間にかイチモツがパンパンだ。」

ローションのおかげで摩擦なく滑らかに扱かれた俺の自身はドクドクと脈を打ちグロテスクに勃ち上がっていた。

「オスカー様、扱きすぎです。
その子に負担がかかっています。」

「え、マジ」

手術着の1人に注意され、
オスカーはパッと自身から手を離す。

「恐らくこのような強制的な射精の誘導に繋がる行為の経験が無いため、
身体の準備が出来てい無いのでしょう。
自身への扱きだけでは射精の際体調に不良が出る恐れがあります。」

「マジか。」 

「はい。しかしこのまま射精感を長引かせてもよくありません。
いかがしますか?」

オスカーはようやく俺の自身から手を離し、何やら考え込んでいる。

手を離された瞬間、名残惜しく感じてしまったのは俺の脳がバカになってるからだ。


「わかった。1回出すわ。
全員外してくれ。」

「御意。」

「レイヴン、お前もだ。」

「……わかりました。」


次なる恐ろしい責めを覚悟していたけれど、
意外にも部下には退室令を出した。

何でかな

なんて事を考えたがそんな事はどうでもいい。
身体がザワついて落ち着かない。
自身が熱い。
それなのに身体ひとつ動かせない事がツラい。

「ユミト」

「は……な……んん……!」

「コレ知ってる?」

「へ……んむっ」


ボヤける視界にオスカーが見えたと思えば
その視界はオスカーによって覆われた。

瞬間、唇に触れる柔らかい感触。
ビクつき震えるオレの唇を慰めるように
ゆっくり、繰り返し啄む
オスカーの口付け。

数回それをした後顔を離し
俺の顔を見て、
オスカーはブハッっと笑った。

「鳩豆鉄砲顔だぞお前。」

「……っ。」

「キスっていうんだぜ、コレ。」

「は!?き、キスくらい知ってるっ。
な、なんで、こんな事…!」

俺は突然の事に驚き戸惑った。
男の俺に、なんでオスカーがキスなんてするんだ。
この行為は男女が愛を育む為にするものだ。
なのになんでこんな……優しいキス……。

「俺は粗雑に見えて紳士って事だ。」

「は……?」

「流石に行為を見られんのはヤだろ。
人払いしてやる俺、マジジェントルメン。」

「は……!?や、やめ、んん!」

拘束台の上で顔を赤くしたり青くしたりしている俺の顔を、舌なめずりしながら眺め
オスカーは俺の乳首をクニクニと弄る。

「あひゃあぁ!」

「気絶されても面倒だからな。
国の救世主様を伯爵の俺が
優しくイかせてやるよ。
ゆっくり、気持ちよくしてやる。」

オスカーの唇がまた近づいてくる。
俺は緊張と不安で顔を逸らす事も出来ない。


俺は救世主じゃない

気持ちよさなんていらない

早く、早く解放して……!



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