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宝珠の少年は伯爵様に責められる。
躾とお仕置
しおりを挟むごーじゃすな部屋に似つかわしくない
ガチャガチャと煩く耳障りな音がする。
目の端に見える絶え間く動いているのは、
本物にそっくりな機械の手。
忙しそうに動くそれに合わせて、
俺の息も「はっはっ」と荒くなった。
もうやめて
と、俺は上手く言えてるのだろうか。
耳鳴りが酷くてよくわからない。
目もボヤけている。
ずっと涙の膜が張ってるからだ。
瞬きする度に涙がこぼれるものだから、
それが頬をつたっては乾きを繰り返している。
「ひぁっ!!」
急に乳首に濡れた感触が走り、
意識が浮上する。
途端に鮮明になる視界、聴覚、そして感覚……
俺は長い事マジックハンドに上半身をくすぐりまわされ
酸欠で朦朧としていた事を思い出す。
また嫌な感覚を強く感じた。
原因は俺の乳首を口に含んでいる金髪のコイツ……!
「や、舐めないで、やだ、なんでぇ……!」
濡れた感触の正体は、
オスカーの側近レイヴンだ。
先程から俺が意識を飛ばしそうになると、
くすぐったさとは違う感覚を俺に与え
気絶を許して貰えない。
「や、や、胸ヤダ、舐めないで!
ひっは、あ、脇もっく、くすぐったい……!もうやだ、やめて…!限界!止めてくれよ…!」
唯一自由な首をイヤイヤと振るも、レイヴンの舌は止まらない。
「いけませんねユミト様。
また居眠りなんて。これで何回目ですか。」
「ううぅ……居眠りじゃな…うぁっひは、ひははは!機械、止めてぇ!んは、あはははは!」
言い訳無用、と言わんばかりに、脇を責めている機械の手のくすぐりの強さが増す。
「いやだあああ!
やめて、あっはは!ひゃははは!!」
小一時間前から何度も繰り返されるこの光景に、レイヴンはため息をついた。
「ではもう一度お聞きしますよ。
私が先程お教えした、伯爵に対する作法を言ってください。」
「んは、は、は、は、話す時は敬語れ、
口ごたえしな、い!
ひは…んぁあっ…!
悪口、言わない、言う事聞く…!」
笑い声で聞き取れなかったらまたお仕置されると思い、
俺はくすぐったいのを我慢して必死に答えた。
それなのに……。
「不正解です。
言う事を聞く…ではなくて、
命令には絶対逆らわない、です。」
「い、意味、一緒…じゃん…!」
「いいえ一緒ではありません。
内容の重さが違います。
居眠りなんかしてるから間違えるんですよ。
もう一度、お仕置です。」
「いや!ごめんなさい!」
「いけません。」
レイヴンは俺の足もへ移動すると、
なんの前フリもなく
足の裏を柔らかく引っ掻くようにくすぐってきた!
「いやぁあああはははは!
うぁっは、や、足や、やめ、ひゃはははは!」
先程までしつこく脇を責められていたので、急にあたらしい所をくすぐられて辛くてたまらない。
もちろん脇のくすぐりも止まっていない。
肺の息が絞り出されるような笑い声が口から溢れる。
「いいですかユミト様。
あなたの境遇を気の毒に思います。
しかし、我が国も隣国からの脅威に晒され疲弊している。
オスカー様は不安が募る民を不憫に思い、
精鋭を引き連れ命懸けであの谷へ行」
「待て、レイヴン。余計なことを言うな。」
いつの間にかレイヴンの後ろにはオスカーが立っており、憮然と腕を組んでいる。
「オスカー様。おもどりでしたか。」
「ああ。頭硬い幹部の連中との楽しい会議が終わったからな。
てかそいつ大丈夫かよ。
なんかホカホカしてないか?」
「オ”、オスカー!!
止め、れいヴんを、止めてぇ!」
泣き叫ぶ俺を、レイヴンが厳しい目で睨む。
「ユミト様。オスカー〖 様〗でしょうが。
また間違えましたね。
まったく呆れたものです。
お仕置が足りないようですね。」
「や、や、やめて、ごめなさ」
「問答無です。」
「もうやめとけレイヴン。」
オスカーがひとこと言うと、
レイヴンはすぐさまくすぐるのをやめて
くすぐりハンドの電源を切った。
「まだそこまでしなくていい。
急に刺激を与えすぎて
廃人にでもなられたら困る。」
オスカーが俺の様子を見てため息をつく。
涙と汗と涎でぐしゃぐしゃな顔。
肌触りのいい肌着、ベッドのシーツも
俺の汗でジットリして台無しだ。
くすぐり責められた足も
ピクピクと痙攣している。
「あのなぁ、これはヤバいぞお前。」
呆れた顔で俺の拘束を外しながら、オスカーは苦言を定す。
全くその通りだ。
攫ってきたばかりの人間に
国のルールに反してるからといって
こんな仕打ちをしていいわけが無い。
理不尽だ。
あんまりだ。
「これからもっとお前の身体調べなきゃいけないのに、
レイヴンに責められたくらいで死にかけてんじゃねぇよ。」
「……は?」
なんて事だ
今の苦言はレイヴンに対して言ったのではなくて、
俺に言ったのか!?
被害者の、この俺に!?
「会議と並行して身体検査の準備をしてた。」
「な、な、何だよ身体検査って…」
「俺は効率良く物事を進めたくてな。
お前がどんな刺激に弱いか、どんな事されたら嫌か、
どんな風に責めたら耐えられなくなって宝珠を差し出すか…。
お前の弱点を徹底的に調べて、
今後の尋問に役立てる為の身体検査。」
「なんだよ…それ…ふざけ」
「レイヴン。行くぞ。」
「はい。オスカー様。」
「お、おい、ちょ、やめ…!!」
あまりのショックに戦慄いている俺を
レイヴンは軽々と抱き上げ
オスカーの後ろに続いた。
「や、やだ、おろして、
俺、帰る…谷帰るから…!」
拘束具もなく、レイヴンの腕のからはすぐに抜け出せそうな状況なのに
先程のくすぐり責めのせいで
身体が震えて力が出せない。
「離せ、帰る!俺を谷に帰して!」
「じゃあ宝珠を出しな。
そしたらすぐに谷に帰してやる。」
「……っ」
「じゃあ帰さない。行くぞレイヴン。」
「はい。オスカー様。」
「や、やだ!助けて!助けてぇ!!」
今から始まる事の恐怖で叫び喚いても、
俺の声はごーじゃすな部屋に吸音されるだけだった……。
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