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9話
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部屋に入ってきたのは陛下とシルヴィオ殿下。
中に入った瞬間部屋の空気が変わった。
お二人ともとても綺麗な顔をしていてすぐに親子だとわかるほど似ていた。
普通ならば、たぶん、お二人の顔を見ればあまりの神々しさに目を見張り、惚れ惚れとしてしまうのだろう。
それくらいお二人はさすが王族と言える綺麗で高貴な空気を醸し出していた。
わたしとお父様、そして周りにいた侍従達も深々と頭を下げ続けた。
「頭をあげなさい」
陛下の声が部屋の中で響く。
声で人を制圧する。
とても怖い。体が震える。
悪いことなど何もしていないのに、陛下の声も怖い、そしてわたしを見つめるシルヴィオ殿下の目はもっと怖い。どうしてなのかわからない。
思わず体がビクッと震えた。
顔色も悪くなっているのが自分でもわかる。
庭園で会った時、わたしが王家の庭園に足を踏み入れていた。それはわたしが悪いのだし、殿下に謝罪はしたけど、今も怒っているの?
殿下はとても怖い顔をしていた。
ーーーーーー
婚約者に選ばれたのはあの庭園で出会った女の子。
ソルボン公爵の娘のアイシャ。
僕のことを怖がりながらも父親と執事に罪はないと自分を罰して欲しいと謝罪した少女。
彼女を見るとなぜかどす黒い気持ちが湧いてくる。
普段は誰にでも優しい笑顔で対応できるのに。
僕の顔を見て一瞬ビクッと体が動いたのを見逃さなかった。
イライラする。あの子を見るだけで。
なのにそれ以上に目が離せない。
あの子が欲しい。
どうしてそう思うのかわからない。だけど僕を怖がるあの子を僕は手放したくない、そう思った。
✴︎✴︎ ✴︎✴︎ ✴︎✴︎ ✴︎✴︎
「アーシャ、久しぶりだね?」
扉から顔を覗かせたシルヴァ殿下はわたしの顔を見るなりニコニコと微笑んだ。
「陛下そしてシルヴァ殿下にご挨拶申し上げます」
すぐに頭を下げて挨拶をした。
陛下はとても優しい声で話しかけてくれた。
「頭をあげなさい。君がアーシャ嬢だね?よくジャワー宰相から話は聞いているよ」
「お父様から?」
どんな話かしら?まさか殿下が言ってた話?
「ああ、屋敷でどんなふうに過ごしているのか聞いたよ。くくくっ」
陛下はそう言うと笑いながら続けた。
「君は屋敷の使用人達と雨の日はかくれんぼ大会をするんだって?なかなか上手に隠れるからみんな見つけられなくて、君は隠れたまま眠ってしまって使用人達が大慌てで本当に探し回ったと聞いたよ」
「お父様!どうしていつもわたしの変な話を人にするのですか!」
横に座っているお父様にプンプン怒りながら言うと言い訳をし始めた。
「アーシャの可愛いさを自慢したんだよ。陛下には娘がいないからね」
頭をぽりぽりとかきながら「すまんすまん」とわたしに謝ってくるお父様。
「もう変なこと言わないでください!」
「鬼と言われるジャワー宰相も娘には弱いんだな」
陛下がクスクス笑うと、隣に座っていたシルヴァ殿下も一緒に笑った。
王子様の笑顔ってなんて輝いているのかしら?
かっこいい!!!
中に入った瞬間部屋の空気が変わった。
お二人ともとても綺麗な顔をしていてすぐに親子だとわかるほど似ていた。
普通ならば、たぶん、お二人の顔を見ればあまりの神々しさに目を見張り、惚れ惚れとしてしまうのだろう。
それくらいお二人はさすが王族と言える綺麗で高貴な空気を醸し出していた。
わたしとお父様、そして周りにいた侍従達も深々と頭を下げ続けた。
「頭をあげなさい」
陛下の声が部屋の中で響く。
声で人を制圧する。
とても怖い。体が震える。
悪いことなど何もしていないのに、陛下の声も怖い、そしてわたしを見つめるシルヴィオ殿下の目はもっと怖い。どうしてなのかわからない。
思わず体がビクッと震えた。
顔色も悪くなっているのが自分でもわかる。
庭園で会った時、わたしが王家の庭園に足を踏み入れていた。それはわたしが悪いのだし、殿下に謝罪はしたけど、今も怒っているの?
殿下はとても怖い顔をしていた。
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婚約者に選ばれたのはあの庭園で出会った女の子。
ソルボン公爵の娘のアイシャ。
僕のことを怖がりながらも父親と執事に罪はないと自分を罰して欲しいと謝罪した少女。
彼女を見るとなぜかどす黒い気持ちが湧いてくる。
普段は誰にでも優しい笑顔で対応できるのに。
僕の顔を見て一瞬ビクッと体が動いたのを見逃さなかった。
イライラする。あの子を見るだけで。
なのにそれ以上に目が離せない。
あの子が欲しい。
どうしてそう思うのかわからない。だけど僕を怖がるあの子を僕は手放したくない、そう思った。
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「アーシャ、久しぶりだね?」
扉から顔を覗かせたシルヴァ殿下はわたしの顔を見るなりニコニコと微笑んだ。
「陛下そしてシルヴァ殿下にご挨拶申し上げます」
すぐに頭を下げて挨拶をした。
陛下はとても優しい声で話しかけてくれた。
「頭をあげなさい。君がアーシャ嬢だね?よくジャワー宰相から話は聞いているよ」
「お父様から?」
どんな話かしら?まさか殿下が言ってた話?
「ああ、屋敷でどんなふうに過ごしているのか聞いたよ。くくくっ」
陛下はそう言うと笑いながら続けた。
「君は屋敷の使用人達と雨の日はかくれんぼ大会をするんだって?なかなか上手に隠れるからみんな見つけられなくて、君は隠れたまま眠ってしまって使用人達が大慌てで本当に探し回ったと聞いたよ」
「お父様!どうしていつもわたしの変な話を人にするのですか!」
横に座っているお父様にプンプン怒りながら言うと言い訳をし始めた。
「アーシャの可愛いさを自慢したんだよ。陛下には娘がいないからね」
頭をぽりぽりとかきながら「すまんすまん」とわたしに謝ってくるお父様。
「もう変なこと言わないでください!」
「鬼と言われるジャワー宰相も娘には弱いんだな」
陛下がクスクス笑うと、隣に座っていたシルヴァ殿下も一緒に笑った。
王子様の笑顔ってなんて輝いているのかしら?
かっこいい!!!
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