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12話
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ブルダと交代でそばについていた。
「そろそろ代わりましょう。オリエ様は隣の仮眠室で眠ってください。ギルが目覚めたらすぐに声をかけますから」
「ううん、そばに居たい」
ブルダは「仕方ないですね」と諦めてわたしの隣に座った。どこからか持ってきたサンドイッチとジュースをわたしに手渡した。
「これは?」
「カイ様の奥様のメルー様が持ってきてくれました。ギルのことも可愛がって下さっているのですね。心配して顔を出しに来てくれました」
「さっき離れている時に?」
明日の仕事を休むため騎士団へ顔を出していた時に来ていたみたいだ。
「はい、オリエ様のことも心配しておりました。無理しないようにと」
「ブルダこそ心配でしょう?」
「ギルは男ですから、騎士になると言うことは親も覚悟しています」
「うん、そうね。でも理不尽な暴力は許せないわ」
「イアン様と旦那様がしっかり動いてくれるでしょうからわたしはギルが元気になるのを待つだけです」
「うん、わたしも感情的にならずにギルが元気になるのを待つわ」
ギルが目を覚ましたのは夜遅い時間だった。
「ギル?」
うっすらと目を開けて
「オリエ様……喉渇いた……腹減った……」
と呟いた。
「すぐに用意するわ」
水差しからコップに水を注ぎ、急いでギルを起こして飲ませた。
「……はあー、美味しい」
「父ちゃん、腹減った」
頭には包帯を巻かれ、体にはたくさんのあざがあるのに、ヘラっと笑いながら食べ物をねだるギルに苦笑した。
「メルーさんが作ってくれたサンドイッチ食べる?」
差し出すと「いただきます」と言って美味しそうに食べている。
「い、いってぇ」口の中も切れているみたいで痛がりながらも食べ続けた。
「食べ物は逃げないからゆっくり食べなさい」
苦笑しながら言うと
「だって腹減って仕方ないんだもん」と食べるのをやめない。
ブルダと二人で目を合わせてクスリと笑い、ギルの食べている姿を見ていた。
「ギル、ありがとう。わたしのために頑張ってくれたのよね?」
「っぐっ、ごほっ……」
ギルは喉に食べ物を詰まらせて慌てて水を飲んだ。
「な、なんで、知ってるの?俺……かっこ悪いじゃん、コテンパンにやられてこんな怪我してさ」
「ううん、嬉しかったよ?でもわたしの所為で怪我したと聞いて腹が立ってクラウス・ベニングの奴、殴りにいきたかったんだけどみんなに止められちゃった」
「オリエ様が暴力振るったらダメじゃん。オリエ様は人を守るために騎士になったんだから」
「ギルもそうでしょう?わたしを守るために戦おうとしてくれたのでしょう?」
「俺まだまだ弱いからさ、もっと強くなるよ」
「うん、怪我が治ったら一緒に鍛錬しようね」
「え?嫌だよ。オリエ様の鍛錬はキツイじゃん、俺もう少し楽な方がいいや」
「じゃあ、うちに帰って来い、俺が鍛え直してやるから」
ブルダの言葉にギルは「絶対やだ、俺はイアン様と鍛錬するから遠慮する」と言い出した。
「そう言えばイアン様は?」
わたしに聞いてくるギルに
「ギルの怪我の原因を突き止めて相手に罰をしっかり与えるつもりらしいわ。今お父様と二人で動いているわ」
「え?公爵様まで?」
ギルが驚いていた。
「お父様はギルのこと大切な息子だと言って怒っていらしたわ」
「…へへっ、なんだか嬉しいね」
「そんなことで喜ばないの!」
わたしが注意するとギルが突然言い出した。
「イアン様がこの国にいるのは2年だけなんだよ?オリエ様は知っているの?うじうじしてたらもう会えなくなるんだよ?いいの?」
「そろそろ代わりましょう。オリエ様は隣の仮眠室で眠ってください。ギルが目覚めたらすぐに声をかけますから」
「ううん、そばに居たい」
ブルダは「仕方ないですね」と諦めてわたしの隣に座った。どこからか持ってきたサンドイッチとジュースをわたしに手渡した。
「これは?」
「カイ様の奥様のメルー様が持ってきてくれました。ギルのことも可愛がって下さっているのですね。心配して顔を出しに来てくれました」
「さっき離れている時に?」
明日の仕事を休むため騎士団へ顔を出していた時に来ていたみたいだ。
「はい、オリエ様のことも心配しておりました。無理しないようにと」
「ブルダこそ心配でしょう?」
「ギルは男ですから、騎士になると言うことは親も覚悟しています」
「うん、そうね。でも理不尽な暴力は許せないわ」
「イアン様と旦那様がしっかり動いてくれるでしょうからわたしはギルが元気になるのを待つだけです」
「うん、わたしも感情的にならずにギルが元気になるのを待つわ」
ギルが目を覚ましたのは夜遅い時間だった。
「ギル?」
うっすらと目を開けて
「オリエ様……喉渇いた……腹減った……」
と呟いた。
「すぐに用意するわ」
水差しからコップに水を注ぎ、急いでギルを起こして飲ませた。
「……はあー、美味しい」
「父ちゃん、腹減った」
頭には包帯を巻かれ、体にはたくさんのあざがあるのに、ヘラっと笑いながら食べ物をねだるギルに苦笑した。
「メルーさんが作ってくれたサンドイッチ食べる?」
差し出すと「いただきます」と言って美味しそうに食べている。
「い、いってぇ」口の中も切れているみたいで痛がりながらも食べ続けた。
「食べ物は逃げないからゆっくり食べなさい」
苦笑しながら言うと
「だって腹減って仕方ないんだもん」と食べるのをやめない。
ブルダと二人で目を合わせてクスリと笑い、ギルの食べている姿を見ていた。
「ギル、ありがとう。わたしのために頑張ってくれたのよね?」
「っぐっ、ごほっ……」
ギルは喉に食べ物を詰まらせて慌てて水を飲んだ。
「な、なんで、知ってるの?俺……かっこ悪いじゃん、コテンパンにやられてこんな怪我してさ」
「ううん、嬉しかったよ?でもわたしの所為で怪我したと聞いて腹が立ってクラウス・ベニングの奴、殴りにいきたかったんだけどみんなに止められちゃった」
「オリエ様が暴力振るったらダメじゃん。オリエ様は人を守るために騎士になったんだから」
「ギルもそうでしょう?わたしを守るために戦おうとしてくれたのでしょう?」
「俺まだまだ弱いからさ、もっと強くなるよ」
「うん、怪我が治ったら一緒に鍛錬しようね」
「え?嫌だよ。オリエ様の鍛錬はキツイじゃん、俺もう少し楽な方がいいや」
「じゃあ、うちに帰って来い、俺が鍛え直してやるから」
ブルダの言葉にギルは「絶対やだ、俺はイアン様と鍛錬するから遠慮する」と言い出した。
「そう言えばイアン様は?」
わたしに聞いてくるギルに
「ギルの怪我の原因を突き止めて相手に罰をしっかり与えるつもりらしいわ。今お父様と二人で動いているわ」
「え?公爵様まで?」
ギルが驚いていた。
「お父様はギルのこと大切な息子だと言って怒っていらしたわ」
「…へへっ、なんだか嬉しいね」
「そんなことで喜ばないの!」
わたしが注意するとギルが突然言い出した。
「イアン様がこの国にいるのは2年だけなんだよ?オリエ様は知っているの?うじうじしてたらもう会えなくなるんだよ?いいの?」
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