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ライナ様の結婚式はとてもアットホームで思わずこちらまで涙が出てしまった。
わたしが騎士になって数年。
気がつけばオリソン国での生活に馴染んでこのままずっと一人なのだろうと思い始めた。
イアン様に告白されたあの日……
『忘れられないから、ずっとずっと愛しているから俺は君だけなんだこれからもずっと。貴女しか愛せない』
『わたしは…………』
断った。
だってオリソン国とアルク国での遠距離恋愛なんて無理がある。近くにいた時でもすれ違っていたのに……
いつも彼の近くには女性達がいる。本人は無自覚でも女性達は寄ってくる。
わたしはそんな生活にもう耐えられない。
新しい恋を見つけようと何度となくお付き合いをしてみた。
でも『イアン様ならこんな風にしてくれる』
『イアン様ならこう言うだろう』とつい彼と比べてしまい数度のデートで別れてしまう。
どんなに優しい人でもかっこいい人でも心が動かなかった。
もう恋愛はいいかなと思うようになった。
なのに……カイさんは本当に余計なことしかしない。
いつのまにかイーサン様の仕事のためと言ってイアン様をオリソン国へ連れて来た。
「オリエ、あいつは仕事ができる。いい奴をうちの国に引っ張ってこれた」と嬉しそうに言った。
わたしは顔が引き攣るしかなかった。やっと終わらせた恋をまた掻き乱そうとするカイさん。
「カイさん!どうしてイアン様を!」
「あー、もう終わったんだろう?だったら気にする必要はない。俺はこの国に必要な人材だから引っ張って来たんだ、お前のことは関係ない」
「………」
わたしは何も言えなくなった。
確かに関係ないのだからわたしが意見を言う必要はない。ううん、言う権利はない。
わたしの仕事は騎士。特に護衛が多くあまり彼と関わることはない。
王宮でも遠くから姿を見ることはあっても直接の接点はないはず。
イアン様がオリソン国に来てから話す機会はなかった。
このままお互いすれ違ったままで自然に時が過ぎると思っていた。
わたしが騎士になって数年。
気がつけばオリソン国での生活に馴染んでこのままずっと一人なのだろうと思い始めた。
イアン様に告白されたあの日……
『忘れられないから、ずっとずっと愛しているから俺は君だけなんだこれからもずっと。貴女しか愛せない』
『わたしは…………』
断った。
だってオリソン国とアルク国での遠距離恋愛なんて無理がある。近くにいた時でもすれ違っていたのに……
いつも彼の近くには女性達がいる。本人は無自覚でも女性達は寄ってくる。
わたしはそんな生活にもう耐えられない。
新しい恋を見つけようと何度となくお付き合いをしてみた。
でも『イアン様ならこんな風にしてくれる』
『イアン様ならこう言うだろう』とつい彼と比べてしまい数度のデートで別れてしまう。
どんなに優しい人でもかっこいい人でも心が動かなかった。
もう恋愛はいいかなと思うようになった。
なのに……カイさんは本当に余計なことしかしない。
いつのまにかイーサン様の仕事のためと言ってイアン様をオリソン国へ連れて来た。
「オリエ、あいつは仕事ができる。いい奴をうちの国に引っ張ってこれた」と嬉しそうに言った。
わたしは顔が引き攣るしかなかった。やっと終わらせた恋をまた掻き乱そうとするカイさん。
「カイさん!どうしてイアン様を!」
「あー、もう終わったんだろう?だったら気にする必要はない。俺はこの国に必要な人材だから引っ張って来たんだ、お前のことは関係ない」
「………」
わたしは何も言えなくなった。
確かに関係ないのだからわたしが意見を言う必要はない。ううん、言う権利はない。
わたしの仕事は騎士。特に護衛が多くあまり彼と関わることはない。
王宮でも遠くから姿を見ることはあっても直接の接点はないはず。
イアン様がオリソン国に来てから話す機会はなかった。
このままお互いすれ違ったままで自然に時が過ぎると思っていた。
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