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109話 ラフェ
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◇ ◇ ◇ ラフェ
グレン様に客室に招かれた。
アルバードはグレン様のそばから離れようとしなかった。しばらく二人で剣のお稽古をして疲れたアルバードはお昼寝をすることになった。
「ギュレン、おきても、そばにいる?」
「ああ、起きてもそばに居るから安心して昼寝してこい」
「うん、おかあしゃん、アル、お姉ちゃんと寝てくるね」
メイドさんに抱っこされてウトウトしながら「おやすみなさい」と言って部屋を出て行ったアルバード。
散歩にお稽古、しっかり体を動かしたのでしばらくはお昼寝から起きないだろう。
グレン様は少しだけ俯いてからわたしの目をしっかり見た。
「全て隠さずに話す」
そう言って、アルバードが麻薬を飲まされた時からの話を順序よく話してくれた。
そしてその時にエドワードのことを知ったらしい。さらに、その薬を売った商会の人はお母様の弟だった事実には驚いた。
今は捕まってこの国で罰を受けているらしい。全ての財産を没収され鉱山で働くという終身刑を受けた。
わたし自身はお母様の記憶はあるけど、実家のことはよく知らなかった。兄さんなら色々知っているだろうけど、もともと接点はなかったし、会ったこともないし、アルバードが死にそうになったのは商会のせいではあるけど故意ではないので、もう何も言うことはない。それに彼らがアルバードのために薬を作ってくれたから命が助かったと言うのも事実。
そしてそこにエドワードが絡んで来たのもたまたま。彼はコスナー伯爵にいいように扱われていたようだ。
それでも、記憶をなくした彼は、愛する妻と息子との温かい家庭を作り幸せな暮らしをしていた。
それが事実。わたしの中では消化されて納得していたのでそこまでのショックはなかった。
ただ、彼が守ろうとしたのは『今』の家族で、わたし達のことを知っても、わたし達のことを知ろうとは思わなかったことに多少ショックを覚えた。
今彼らは、義父であるコスナー伯爵が爵位を失い、財産も没収されて、三人は平民として暮らし始めたらしい。
それ自体がもう罰になるのだろう。だけどエドワードなら平民になっても生きていけるだろうと思う。剣はもちろん実力があったけど、語学が堪能でとても優秀な人だった。ただ、誰にでも優しすぎる人だった。
記憶を失ったエドワードは、名を変え今は「リオ」として生きているらしい。
「エドワードに会いたいか?」
「今更会いたいとは思いません。彼はわたしの知るエドワードではなく、わたしは会ったことがない『リオ』さんなんです」
「そうだな、リオは家族を守ろうと必死だった。そこにラフェ達はいなかった……すまないまた酷いことを言った」
自分で発言しておきながらシュンとなるグレン様に笑った。
「グレン様、わたしちゃんと気持ちの整理はできています。だから傷つきませんよ?」
「ラフェは強いな。俺はラフェに会うのが怖かった。お前をこれ以上傷つけることになるのに、真実を伝えなければいけない。すごく迷った」
「グレン様達と離れている間にいっぱい自分なりに考えました。それに一人守られて何も知らなかったことの方が辛いです。まだ話には続きがあるのでしょう?」
「ここからは俺の出生の秘密を語らなければいけない。だが、ラフェには聞いて欲しい」
少し怖いと思ったけど「はい、話してください」と答えた。
だけど知ってしまった話はあまりにも切なくて、グレン様に対しても、わたしとアルバードが酷いことをされたのに、王妃様に対しても、怒りよりも同情、そして王妃様の歪んでしまった愛情の話を聞いて、思わず自分もそうなっていたかもしれないと思ってしまった。
わたしには優しい近所の人たち、友人がいた。そしてアレックス様やグレン様、タウンハウスの優しい人たちがわたし達親子に手を差し伸べてくれた。
だからエドワードのことも受け入れられた。酷いことをされたのかもしれないけど、恨むよりも許すことを選ぶことが出来た。
「グレン様……王妃様はとても綺麗な方でした。わたしが幼い頃、子供が集まるお茶会でお会いしたことがあります」
「そうか、ラフェはあるのか」
「はい、わたし自身がお話をしたわけではありませんが、子供同士がはしゃいで、大人の男の人にぶつかり、その男の人は子供が持っていたお菓子が服について汚れてとても怒っていました。
子供は泣き出してさらに男の人は怒り出して怒鳴り始めました。その時王妃様は子供のそばに来てしゃがんで『泣かないで謝りましょうね』と優しく言っていました。汚された男の人にも『子供のしたことです、そこまで目くじら立てなくてもよいのでは?』と諭しておりました。
男の人は王妃様に言われたのもあるし周りの冷たい視線に仕方なく怒りを抑えて、どこかへ行ってしまいました。その後子供に『よく出来ました。悪いことをしたらきちんと謝ることも大切なのよ』と言っていました」
わたしはグレン様の目を見てから
「王妃様はあまりにも辛くて悪いことを悪いと感じなくなってしまっていたのかもしれませんね。そして、自分なりにけじめをつけられたのかもしれない。
本人にしかわかりませんが………
王妃様はグレン様に幸せになって欲しいと書かれていたのでしたらそれが王妃様の気持ちなのだと思います。生まれて来ては駄目なんてある訳がないです。
グレン様が生まれて来てくれたから、貴方の義両親は貴方を息子として受け入れて幸せに暮らせたのだと思うし、アレックス様だって弟のように可愛がられたのだと思います。騎士団の方達だってグレン様が大好きです。
それにアルバードはグレン様が好き過ぎて寝言でグレン様の名前をよく呼んでいます。かく言うわたしも、グレン様のおかげでこの素直じゃない性格も少しは良くなりました」
「ははっ、ラフェは王妃を恨まないのか?」
「恨んでばかりでは幸せが逃げちゃいます。わたしはアルバードのためにも自分のためにも前を向いて生きたいんです。
グレン様も過去のことは忘れることはできなくても、出来れば前を向いて生きて欲しいです。いつもふざけたフリをして口が悪い。すべて人を寄せ付けないためですよね?」
「俺が大切なものを守るためにはこうしてた方がいいと思っていたが、案外こっちが本当の俺の性格なのかもしれない。貴族らしくない方が楽でいいんだ」
「少しわかります。わたしも貴族令嬢だった頃より今の方が楽です。エドワードと結婚してまた貴族に戻った時も無理していましたから」
「………貴族に戻るのは嫌か?」
「えっ?」
「俺はもう少ししたらアレックス様と辺境伯地へ帰らないといけない。出来ればラフェとアルを一緒に連れて行きたい。俺は二人と一緒にいたい。ずっとそばで守ってやりたい。ラフェを好きなんだ、愛してる」
「………わたしは……わたしも…………アルと二人で生きていくと決めていたのに……グレン様に会えないのは自分のせいなのに……会えなくて辛くて……わたし、グレン様がいないとダメなんです。好きになってしまったんです」
こんなに苦しくて辛いのは初めて。
いつも諦めてきた。
両親が亡くなった時も、兄さんに気がついてもらえなくても、お義姉さんに辛く当たられても、エドワードが亡くなって悲しくても、貧乏でも、いつも諦めて心に蓋をしていた。
そうすれば、時が経てば、辛くてもなんとか頑張ってこれたから。
なのにグレン様はわたしを甘やかしてわたしを弱くする。
「ああー、俺、ラフェに嫌われてると思ってた。だけど諦める気なかった、何度でも告白するつもりだった」
グレン様に客室に招かれた。
アルバードはグレン様のそばから離れようとしなかった。しばらく二人で剣のお稽古をして疲れたアルバードはお昼寝をすることになった。
「ギュレン、おきても、そばにいる?」
「ああ、起きてもそばに居るから安心して昼寝してこい」
「うん、おかあしゃん、アル、お姉ちゃんと寝てくるね」
メイドさんに抱っこされてウトウトしながら「おやすみなさい」と言って部屋を出て行ったアルバード。
散歩にお稽古、しっかり体を動かしたのでしばらくはお昼寝から起きないだろう。
グレン様は少しだけ俯いてからわたしの目をしっかり見た。
「全て隠さずに話す」
そう言って、アルバードが麻薬を飲まされた時からの話を順序よく話してくれた。
そしてその時にエドワードのことを知ったらしい。さらに、その薬を売った商会の人はお母様の弟だった事実には驚いた。
今は捕まってこの国で罰を受けているらしい。全ての財産を没収され鉱山で働くという終身刑を受けた。
わたし自身はお母様の記憶はあるけど、実家のことはよく知らなかった。兄さんなら色々知っているだろうけど、もともと接点はなかったし、会ったこともないし、アルバードが死にそうになったのは商会のせいではあるけど故意ではないので、もう何も言うことはない。それに彼らがアルバードのために薬を作ってくれたから命が助かったと言うのも事実。
そしてそこにエドワードが絡んで来たのもたまたま。彼はコスナー伯爵にいいように扱われていたようだ。
それでも、記憶をなくした彼は、愛する妻と息子との温かい家庭を作り幸せな暮らしをしていた。
それが事実。わたしの中では消化されて納得していたのでそこまでのショックはなかった。
ただ、彼が守ろうとしたのは『今』の家族で、わたし達のことを知っても、わたし達のことを知ろうとは思わなかったことに多少ショックを覚えた。
今彼らは、義父であるコスナー伯爵が爵位を失い、財産も没収されて、三人は平民として暮らし始めたらしい。
それ自体がもう罰になるのだろう。だけどエドワードなら平民になっても生きていけるだろうと思う。剣はもちろん実力があったけど、語学が堪能でとても優秀な人だった。ただ、誰にでも優しすぎる人だった。
記憶を失ったエドワードは、名を変え今は「リオ」として生きているらしい。
「エドワードに会いたいか?」
「今更会いたいとは思いません。彼はわたしの知るエドワードではなく、わたしは会ったことがない『リオ』さんなんです」
「そうだな、リオは家族を守ろうと必死だった。そこにラフェ達はいなかった……すまないまた酷いことを言った」
自分で発言しておきながらシュンとなるグレン様に笑った。
「グレン様、わたしちゃんと気持ちの整理はできています。だから傷つきませんよ?」
「ラフェは強いな。俺はラフェに会うのが怖かった。お前をこれ以上傷つけることになるのに、真実を伝えなければいけない。すごく迷った」
「グレン様達と離れている間にいっぱい自分なりに考えました。それに一人守られて何も知らなかったことの方が辛いです。まだ話には続きがあるのでしょう?」
「ここからは俺の出生の秘密を語らなければいけない。だが、ラフェには聞いて欲しい」
少し怖いと思ったけど「はい、話してください」と答えた。
だけど知ってしまった話はあまりにも切なくて、グレン様に対しても、わたしとアルバードが酷いことをされたのに、王妃様に対しても、怒りよりも同情、そして王妃様の歪んでしまった愛情の話を聞いて、思わず自分もそうなっていたかもしれないと思ってしまった。
わたしには優しい近所の人たち、友人がいた。そしてアレックス様やグレン様、タウンハウスの優しい人たちがわたし達親子に手を差し伸べてくれた。
だからエドワードのことも受け入れられた。酷いことをされたのかもしれないけど、恨むよりも許すことを選ぶことが出来た。
「グレン様……王妃様はとても綺麗な方でした。わたしが幼い頃、子供が集まるお茶会でお会いしたことがあります」
「そうか、ラフェはあるのか」
「はい、わたし自身がお話をしたわけではありませんが、子供同士がはしゃいで、大人の男の人にぶつかり、その男の人は子供が持っていたお菓子が服について汚れてとても怒っていました。
子供は泣き出してさらに男の人は怒り出して怒鳴り始めました。その時王妃様は子供のそばに来てしゃがんで『泣かないで謝りましょうね』と優しく言っていました。汚された男の人にも『子供のしたことです、そこまで目くじら立てなくてもよいのでは?』と諭しておりました。
男の人は王妃様に言われたのもあるし周りの冷たい視線に仕方なく怒りを抑えて、どこかへ行ってしまいました。その後子供に『よく出来ました。悪いことをしたらきちんと謝ることも大切なのよ』と言っていました」
わたしはグレン様の目を見てから
「王妃様はあまりにも辛くて悪いことを悪いと感じなくなってしまっていたのかもしれませんね。そして、自分なりにけじめをつけられたのかもしれない。
本人にしかわかりませんが………
王妃様はグレン様に幸せになって欲しいと書かれていたのでしたらそれが王妃様の気持ちなのだと思います。生まれて来ては駄目なんてある訳がないです。
グレン様が生まれて来てくれたから、貴方の義両親は貴方を息子として受け入れて幸せに暮らせたのだと思うし、アレックス様だって弟のように可愛がられたのだと思います。騎士団の方達だってグレン様が大好きです。
それにアルバードはグレン様が好き過ぎて寝言でグレン様の名前をよく呼んでいます。かく言うわたしも、グレン様のおかげでこの素直じゃない性格も少しは良くなりました」
「ははっ、ラフェは王妃を恨まないのか?」
「恨んでばかりでは幸せが逃げちゃいます。わたしはアルバードのためにも自分のためにも前を向いて生きたいんです。
グレン様も過去のことは忘れることはできなくても、出来れば前を向いて生きて欲しいです。いつもふざけたフリをして口が悪い。すべて人を寄せ付けないためですよね?」
「俺が大切なものを守るためにはこうしてた方がいいと思っていたが、案外こっちが本当の俺の性格なのかもしれない。貴族らしくない方が楽でいいんだ」
「少しわかります。わたしも貴族令嬢だった頃より今の方が楽です。エドワードと結婚してまた貴族に戻った時も無理していましたから」
「………貴族に戻るのは嫌か?」
「えっ?」
「俺はもう少ししたらアレックス様と辺境伯地へ帰らないといけない。出来ればラフェとアルを一緒に連れて行きたい。俺は二人と一緒にいたい。ずっとそばで守ってやりたい。ラフェを好きなんだ、愛してる」
「………わたしは……わたしも…………アルと二人で生きていくと決めていたのに……グレン様に会えないのは自分のせいなのに……会えなくて辛くて……わたし、グレン様がいないとダメなんです。好きになってしまったんです」
こんなに苦しくて辛いのは初めて。
いつも諦めてきた。
両親が亡くなった時も、兄さんに気がついてもらえなくても、お義姉さんに辛く当たられても、エドワードが亡くなって悲しくても、貧乏でも、いつも諦めて心に蓋をしていた。
そうすれば、時が経てば、辛くてもなんとか頑張ってこれたから。
なのにグレン様はわたしを甘やかしてわたしを弱くする。
「ああー、俺、ラフェに嫌われてると思ってた。だけど諦める気なかった、何度でも告白するつもりだった」
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