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76話 シャーリー
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◆ ◆ ◇ ◇ シャーリー
赤ちゃんが生まれたの。わたしのお腹の中から。
名前はオズワルド。
生まれたばかりの赤ちゃんはとても可愛い。
母乳はあまり出なかった。乳母に頼み、赤ちゃんの面倒をみることは無くなった。
貴族でも我が子を自ら子育てしたいという人たちも勿論いる。
だけどわたしは精神的にも体力的にも無理だった。
可愛いと思うのに抱っこしてあげたいと思わない。
リオが愛おしそうに我が子を見るたびに、イライラしてしまう。
どうしてわたしを見てくれないの?
わたしの方がオズワルドより大切じゃないの?
わたしはオズワルドを産むとしばらくは大人しく過ごした。
わたしにそっくりな金髪の碧眼。
とても可愛い。
『リオ、オズワルドは可愛いわね』
『なんて幸せなの』
『いつまでもお世話をしてあげたくなるわ』
生まれてしばらくは物珍しかったのか、おままごとをするようにオズワルドの面倒を見たけど、だんだん精神的に疲れてきた。夜は眠れない、抱っこしても、あやそうと頑張っても、何故か泣き続ける。
二月も経つと……
『ゆっくり眠れない』
『お乳を飲ませると体の体型が崩れるわ』
『貴族は乳母が育てるものだから』
『毎日泣くだけで面白くないわ子育てってつまらないのね』
と言って乳母として雇った二人にオズワルドを任せて、体力も回復してきたのでいつものように遊びまわるようになった。
しかし子供を産んだばかりの体型ではドレスが今まで通り着れるわけもなく
『こんな体、いや!』
『リオもう二度とわたしは子供なんて産まないわ』
『すぐ泣くオズワルドを見ているとイライラするの、わたしの目の前から見えないところにやってちょうだい』
自分でも心がコントロールできない。
イライラを抑えられない。
ーーーどうしてわたしだけが辛い思いをするの?
ーーーリオは仕事をしていればいいけど、わたしは外にも出られないし、何にもいいことなんてない!
ーーーわたしだけを愛してよ!
『シャーリー、子供が泣くのは当たり前だ。こんなに可愛いのにそんなことを言わないでやってくれ』
『リオはわたしの気持ちがわからないの?わたしが悪いと責めるの?酷い、酷いわ!お父様に言いつけてやるんだから!』
我儘だとわかっていても酷い言葉をリオに言うしかなかった。自分自身止められない。
『わかった、もう泣かないで。シャーリーは頑張ったんだ。だけど子育ては思った以上に大変だったんだ。すまないわかってあげられなくて』
『リオっ……わたし、辛かったの。外には出られないし体はきついし、赤ちゃんってすぐ泣くのよ?泣いてばかりでよくわからないし、そのせいで眠れないの……リオだってあんなに毎日抱いてくれたのに子供が出来てからずっと抱いてもくれない。
私の女の価値はもう失くなってしまったの?』
『そんなことない、俺だってシャーリーを抱きたいと何度も思った。だけど妊娠中は抱いてはいけないと思ったし産まれてからはしばらくは駄目だと医者が言ってたから我慢してたんだ?』
『じゃあ、今夜から抱いてくれる?私を女として見てくれる?』
『当たり前だ、シャーリーは今も美しく俺を誘惑する。愛してるよ』
わたしはリオの愛を確かめるように彼に抱かれる日々を過ごした。
オズワルドに会うことをこの時は避けていた。
自分が母親失格なのはわかっているのにそれを認める勇気もなかった。
『シャーリーせめてたまには顔を出してやってくれないか?』
オズワルドも4ヶ月になり可愛いさはさらに増していたわ、だけどわたしはオズワルドとは最低限しか接していなかった。
『リオがいつも会いにいっているんでしょう?だったら親の役目は果たしてるんだからいいじゃない。
それより乳母をしているミィナと最近仲が良すぎるんじゃない?』
『彼女とはオズワルドのことについて話すだけだ。仲を疑われるような関係ではない」
『ふーん、そう、不貞関係になったら許さないから!私は浮気する男は嫌いなの』
不安だった。前の婚約者が浮気をしたからまた?と思ってしまう、
自分は遊んでいるのに、リオの気持ちを試して確認しないと安心できない。
だけどわたしは噂されてはいるけど実際は友人として付き合ってはいても、浮気はしていない。だってリオを愛しているもの。
我儘言ったり遊んで歩いたり、どうしようもない奴だと思われていても、彼を愛していることだけは確かなの。
『俺はそんなことはしない。君だって昼の間、友人と言う名の男達と街に出て遊んでいると聞くけど本当なのか?』
『もうリオったらヤキモチを妬かないで!あの人たちはみんな学生の頃からの友人達よ。疑われるなんてシャーリー悲しいわ』
リオはわたしが最近男達と遊び回っていると仕事をしている関係者からも噂として聞かされていたみたい。
シャーリーが高級ホテルに入った。
レストランで食事をしていた。
男とボックス席で仲良く劇を見ていた。
などデートをしている話を聞かされていて不機嫌になっていた。
責めるようなことばかりを言われたから、泣きながら言い返した。
『私と彼らは友人なのに疑うなんて酷い』
自分は疑って試してるのに、相手には誠実さを求めるなんて、ほんとずるい女だと自分でも思うわ。
赤ちゃんが生まれたの。わたしのお腹の中から。
名前はオズワルド。
生まれたばかりの赤ちゃんはとても可愛い。
母乳はあまり出なかった。乳母に頼み、赤ちゃんの面倒をみることは無くなった。
貴族でも我が子を自ら子育てしたいという人たちも勿論いる。
だけどわたしは精神的にも体力的にも無理だった。
可愛いと思うのに抱っこしてあげたいと思わない。
リオが愛おしそうに我が子を見るたびに、イライラしてしまう。
どうしてわたしを見てくれないの?
わたしの方がオズワルドより大切じゃないの?
わたしはオズワルドを産むとしばらくは大人しく過ごした。
わたしにそっくりな金髪の碧眼。
とても可愛い。
『リオ、オズワルドは可愛いわね』
『なんて幸せなの』
『いつまでもお世話をしてあげたくなるわ』
生まれてしばらくは物珍しかったのか、おままごとをするようにオズワルドの面倒を見たけど、だんだん精神的に疲れてきた。夜は眠れない、抱っこしても、あやそうと頑張っても、何故か泣き続ける。
二月も経つと……
『ゆっくり眠れない』
『お乳を飲ませると体の体型が崩れるわ』
『貴族は乳母が育てるものだから』
『毎日泣くだけで面白くないわ子育てってつまらないのね』
と言って乳母として雇った二人にオズワルドを任せて、体力も回復してきたのでいつものように遊びまわるようになった。
しかし子供を産んだばかりの体型ではドレスが今まで通り着れるわけもなく
『こんな体、いや!』
『リオもう二度とわたしは子供なんて産まないわ』
『すぐ泣くオズワルドを見ているとイライラするの、わたしの目の前から見えないところにやってちょうだい』
自分でも心がコントロールできない。
イライラを抑えられない。
ーーーどうしてわたしだけが辛い思いをするの?
ーーーリオは仕事をしていればいいけど、わたしは外にも出られないし、何にもいいことなんてない!
ーーーわたしだけを愛してよ!
『シャーリー、子供が泣くのは当たり前だ。こんなに可愛いのにそんなことを言わないでやってくれ』
『リオはわたしの気持ちがわからないの?わたしが悪いと責めるの?酷い、酷いわ!お父様に言いつけてやるんだから!』
我儘だとわかっていても酷い言葉をリオに言うしかなかった。自分自身止められない。
『わかった、もう泣かないで。シャーリーは頑張ったんだ。だけど子育ては思った以上に大変だったんだ。すまないわかってあげられなくて』
『リオっ……わたし、辛かったの。外には出られないし体はきついし、赤ちゃんってすぐ泣くのよ?泣いてばかりでよくわからないし、そのせいで眠れないの……リオだってあんなに毎日抱いてくれたのに子供が出来てからずっと抱いてもくれない。
私の女の価値はもう失くなってしまったの?』
『そんなことない、俺だってシャーリーを抱きたいと何度も思った。だけど妊娠中は抱いてはいけないと思ったし産まれてからはしばらくは駄目だと医者が言ってたから我慢してたんだ?』
『じゃあ、今夜から抱いてくれる?私を女として見てくれる?』
『当たり前だ、シャーリーは今も美しく俺を誘惑する。愛してるよ』
わたしはリオの愛を確かめるように彼に抱かれる日々を過ごした。
オズワルドに会うことをこの時は避けていた。
自分が母親失格なのはわかっているのにそれを認める勇気もなかった。
『シャーリーせめてたまには顔を出してやってくれないか?』
オズワルドも4ヶ月になり可愛いさはさらに増していたわ、だけどわたしはオズワルドとは最低限しか接していなかった。
『リオがいつも会いにいっているんでしょう?だったら親の役目は果たしてるんだからいいじゃない。
それより乳母をしているミィナと最近仲が良すぎるんじゃない?』
『彼女とはオズワルドのことについて話すだけだ。仲を疑われるような関係ではない」
『ふーん、そう、不貞関係になったら許さないから!私は浮気する男は嫌いなの』
不安だった。前の婚約者が浮気をしたからまた?と思ってしまう、
自分は遊んでいるのに、リオの気持ちを試して確認しないと安心できない。
だけどわたしは噂されてはいるけど実際は友人として付き合ってはいても、浮気はしていない。だってリオを愛しているもの。
我儘言ったり遊んで歩いたり、どうしようもない奴だと思われていても、彼を愛していることだけは確かなの。
『俺はそんなことはしない。君だって昼の間、友人と言う名の男達と街に出て遊んでいると聞くけど本当なのか?』
『もうリオったらヤキモチを妬かないで!あの人たちはみんな学生の頃からの友人達よ。疑われるなんてシャーリー悲しいわ』
リオはわたしが最近男達と遊び回っていると仕事をしている関係者からも噂として聞かされていたみたい。
シャーリーが高級ホテルに入った。
レストランで食事をしていた。
男とボックス席で仲良く劇を見ていた。
などデートをしている話を聞かされていて不機嫌になっていた。
責めるようなことばかりを言われたから、泣きながら言い返した。
『私と彼らは友人なのに疑うなんて酷い』
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