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30話
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◇ ◇ ◇ ラフェ
「おい、アル、公園へ行くぞ」
わたしが縫い物をしていると突然グレン様が訪ねてきた。
「こうえん?いきたいっ!」
アルバードはグレンさ様の顔を見るなり遊んでいた積み木を投げ捨てて走ってグレン様の足に絡みついた。
「ぎゅれん、あそぼっ、いこぉ」
「アル、危ないだろう!いきなり抱きついてくるな!よっしゃ!抱っこしてやろう」
そう言うとヒョイっとアルバードを抱き上げて優しく頬を撫でた。
「きゃっ、くすぐったい、ギュレン」
久しぶりに会えたグレン様に甘えるアルバード。
もうそろそろこの王都を離れるのだろう。だからアルバードに会いに来たのだろうとすぐにわかった。
「ラフェ、お前は忙しいんだろう?ほら、ここに昼食置いとくからきちんと食えよ。アルは俺が公園に連れて行くから、頑張って仕事をしていろ」
「グレン様ありがとうございます。アルバードの我儘をあまり聞かないでください。たぶん久しぶりに会えてアルバードは甘えてしまうと思います」
「おかあしゃん!アルいいこするよ?ギュレンいいこがすきって」
「おう、グレンはアルが我儘でもいい子でも大好きだぞ。今日は特別だからいっぱいアルの言うこと聞いてやる」
「やっ、たあ!」
親子でもないのに本当の親子のように仲良しの二人。わたしはグレン様に頭を下げてまた仕事に戻った。
毎日頑張って洋裁の仕事をしても家賃を払ってアルに食べさせるのがやっとの毎日。
アルのいないこの時間少しでも捗らせようと指を必死で動かした。
◆ ◇ ◆ グレン
「おいアル!待て、走るな!」
小さな手が俺の手を必死で握りしめ、嬉しそうな顔をして見上げる。
ラフェを初めて見た時驚いた。
俺の死んだ妻に面影が似ていた。
よく見たら全く違う。なのに妻のマキナを思い出させた。
アレックス様はそんな俺の視線を追って、俺の肩を叩いた。
「おい、あの娘、男達に連れ込まれようとしてるぞ。なにボーッと突っ立ってるんだ。助けに行かないと酷い目に遭わされるぞ。王都なのになんでこんなに治安が悪いんだ!
ほら見てみろ、助けてと言ってるのにみんな見て見ぬ振りだ。酷いもんだ」
アレックス様が俺に声をかけた。
ハッと我に返り慌てて助けに入った。
ラフェは宿屋の前で必死で抵抗していた。
「やめて!手を離して!なんでこんなことをするんですか!」
「うるせえなぁ、黙れこの女」
ラフェのお腹を一人の男が蹴り上げた。
俺はカッとなって殴りかかろうとした。
アレックスが「待て、タイミングが悪い。今行けばあの娘さらに殴られるぞ」
娘のすぐそばにまだ一人の男がいていつでも殴ったり蹴ったりできる状態だった。
「おい、殺すのは犯ってからだ」
「そうだ、楽しんでからあとはその辺に殺して捨てればいいんだ」
「勿体無いぜ、売って金にしよう」
「まあ、これだけ綺麗なら高く売れるか」
「いや、三人で死ぬまで犯すのも楽しそうだぜ。クスリを手に入れてたっぷり飲ませればこの女も俺たちの言うことしか聞かなくなるんじゃないか」
ラフェから少し離れて三人が話し出したところに俺たちが助けに入った。
「へぇ、男三人で女を犯すんだ?」
力なく倒れていたラフェ。その姿を見るだけでマキナを思い出す。
「あいつら最低だね」
「うわあ、顔も最低」
俺は気持ちを抑えながら軽い口調で話す。
「お前らふざけんなよ」
男達三人が怒鳴り始めた。
「ふざけているのはあんた達だろう?」
「そうだそうだ!女を連れ込もうとしているくせに」
男達三人を俺は蹴り上げ、殴りつけ簡単に倒した。口先だけの男達、弱い女子供にしか強気な態度を取れない最低な奴らだ。
「ほんと、こう言う奴って口だけで実は弱いんだから、ねえ、アレックス様」
「グレン、さっさとそいつら連れて行け」
「ったく、俺こんな汚い男達触るよりそこの綺麗な女の子がいいんだけど、ねえ?」
ラフェを見てにこりと笑った。
「あ、あの、助けていただいてありがとうございました、本当に助かりました」
必死で頭を下げるラフェ。
ラフェのことが気になったが俺は男達を警備隊の詰め所に連れて行った。
簡単な事情を説明してあとは近くにいた俺の部下に後処理は頼んだ。
気になって急いで屋敷に戻った。
ラフェが玄関を出て帰ろうとしていた。
「おい、何歩いて帰ろうとしているんだ?」
帰ってきたばかりの俺はラフェのふらつく体を支えて抱き止めた。
「フラフラしてるじゃないか?こんな状態でアレックス様が一人で帰そうとしたのか?」
「違います、息子が待っているんです、早く帰らなきゃ泣いています」
「一人で?」
「隣のおばちゃんの家で待ってます。みんなにも迷惑かけてしまいます」
「あーーー、もう、息子が心配なんだ?自分の体は?そんなふらついて家に帰るの?歩けるわけでもなく?」
「…………どこかで辻馬車を見つけます」
「ねぇ?あんたさ、アレックス様なり俺なり、ここの使用人なり、誰でもいいからあの襲われている時みたいに「助けて」って大きな声出しなよ。そしたらみんななんとかするよ。なんで一人で必死になるんだ?
あんた見てるとイラつく。一人で不幸を背負ってるみたいな顔してさ」
「そんな……助けていただいてありがとうございます、帰ります」
俺の手を振り解いて玄関を出た。
ラフェの傷ついた顔。俺は口が悪い。
まだ会ったばかりの男にこんなことを言われて傷ついたのだろう。
ほんと俺って女に優しくできないんだよな。
それにマキナと重なってしまってつい強く言ってしまった。
「おい、アル、公園へ行くぞ」
わたしが縫い物をしていると突然グレン様が訪ねてきた。
「こうえん?いきたいっ!」
アルバードはグレンさ様の顔を見るなり遊んでいた積み木を投げ捨てて走ってグレン様の足に絡みついた。
「ぎゅれん、あそぼっ、いこぉ」
「アル、危ないだろう!いきなり抱きついてくるな!よっしゃ!抱っこしてやろう」
そう言うとヒョイっとアルバードを抱き上げて優しく頬を撫でた。
「きゃっ、くすぐったい、ギュレン」
久しぶりに会えたグレン様に甘えるアルバード。
もうそろそろこの王都を離れるのだろう。だからアルバードに会いに来たのだろうとすぐにわかった。
「ラフェ、お前は忙しいんだろう?ほら、ここに昼食置いとくからきちんと食えよ。アルは俺が公園に連れて行くから、頑張って仕事をしていろ」
「グレン様ありがとうございます。アルバードの我儘をあまり聞かないでください。たぶん久しぶりに会えてアルバードは甘えてしまうと思います」
「おかあしゃん!アルいいこするよ?ギュレンいいこがすきって」
「おう、グレンはアルが我儘でもいい子でも大好きだぞ。今日は特別だからいっぱいアルの言うこと聞いてやる」
「やっ、たあ!」
親子でもないのに本当の親子のように仲良しの二人。わたしはグレン様に頭を下げてまた仕事に戻った。
毎日頑張って洋裁の仕事をしても家賃を払ってアルに食べさせるのがやっとの毎日。
アルのいないこの時間少しでも捗らせようと指を必死で動かした。
◆ ◇ ◆ グレン
「おいアル!待て、走るな!」
小さな手が俺の手を必死で握りしめ、嬉しそうな顔をして見上げる。
ラフェを初めて見た時驚いた。
俺の死んだ妻に面影が似ていた。
よく見たら全く違う。なのに妻のマキナを思い出させた。
アレックス様はそんな俺の視線を追って、俺の肩を叩いた。
「おい、あの娘、男達に連れ込まれようとしてるぞ。なにボーッと突っ立ってるんだ。助けに行かないと酷い目に遭わされるぞ。王都なのになんでこんなに治安が悪いんだ!
ほら見てみろ、助けてと言ってるのにみんな見て見ぬ振りだ。酷いもんだ」
アレックス様が俺に声をかけた。
ハッと我に返り慌てて助けに入った。
ラフェは宿屋の前で必死で抵抗していた。
「やめて!手を離して!なんでこんなことをするんですか!」
「うるせえなぁ、黙れこの女」
ラフェのお腹を一人の男が蹴り上げた。
俺はカッとなって殴りかかろうとした。
アレックスが「待て、タイミングが悪い。今行けばあの娘さらに殴られるぞ」
娘のすぐそばにまだ一人の男がいていつでも殴ったり蹴ったりできる状態だった。
「おい、殺すのは犯ってからだ」
「そうだ、楽しんでからあとはその辺に殺して捨てればいいんだ」
「勿体無いぜ、売って金にしよう」
「まあ、これだけ綺麗なら高く売れるか」
「いや、三人で死ぬまで犯すのも楽しそうだぜ。クスリを手に入れてたっぷり飲ませればこの女も俺たちの言うことしか聞かなくなるんじゃないか」
ラフェから少し離れて三人が話し出したところに俺たちが助けに入った。
「へぇ、男三人で女を犯すんだ?」
力なく倒れていたラフェ。その姿を見るだけでマキナを思い出す。
「あいつら最低だね」
「うわあ、顔も最低」
俺は気持ちを抑えながら軽い口調で話す。
「お前らふざけんなよ」
男達三人が怒鳴り始めた。
「ふざけているのはあんた達だろう?」
「そうだそうだ!女を連れ込もうとしているくせに」
男達三人を俺は蹴り上げ、殴りつけ簡単に倒した。口先だけの男達、弱い女子供にしか強気な態度を取れない最低な奴らだ。
「ほんと、こう言う奴って口だけで実は弱いんだから、ねえ、アレックス様」
「グレン、さっさとそいつら連れて行け」
「ったく、俺こんな汚い男達触るよりそこの綺麗な女の子がいいんだけど、ねえ?」
ラフェを見てにこりと笑った。
「あ、あの、助けていただいてありがとうございました、本当に助かりました」
必死で頭を下げるラフェ。
ラフェのことが気になったが俺は男達を警備隊の詰め所に連れて行った。
簡単な事情を説明してあとは近くにいた俺の部下に後処理は頼んだ。
気になって急いで屋敷に戻った。
ラフェが玄関を出て帰ろうとしていた。
「おい、何歩いて帰ろうとしているんだ?」
帰ってきたばかりの俺はラフェのふらつく体を支えて抱き止めた。
「フラフラしてるじゃないか?こんな状態でアレックス様が一人で帰そうとしたのか?」
「違います、息子が待っているんです、早く帰らなきゃ泣いています」
「一人で?」
「隣のおばちゃんの家で待ってます。みんなにも迷惑かけてしまいます」
「あーーー、もう、息子が心配なんだ?自分の体は?そんなふらついて家に帰るの?歩けるわけでもなく?」
「…………どこかで辻馬車を見つけます」
「ねぇ?あんたさ、アレックス様なり俺なり、ここの使用人なり、誰でもいいからあの襲われている時みたいに「助けて」って大きな声出しなよ。そしたらみんななんとかするよ。なんで一人で必死になるんだ?
あんた見てるとイラつく。一人で不幸を背負ってるみたいな顔してさ」
「そんな……助けていただいてありがとうございます、帰ります」
俺の手を振り解いて玄関を出た。
ラフェの傷ついた顔。俺は口が悪い。
まだ会ったばかりの男にこんなことを言われて傷ついたのだろう。
ほんと俺って女に優しくできないんだよな。
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