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34話。
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「ダリア!気をつけて行くのよ!」
「うん!早めに帰るわ」
スケッチブックとクレヨンを持って森へと向かった。木や草花、可愛いリスやうさぎ。今日はどんな動物に会えるだろうか。ついでに野苺も摘んで帰りたいし山菜も採りたい。
空は透き通るくらい青くて空気が澄んで気持ちがいい。
「ふーっ、もうすぐ仕事に戻らないといけないなぁ……このままおばあちゃんのそばにいたい」
草の上に座り膝を抱えて頭を埋めた。
現実に戻る日々、仕事は楽しいけどロードのことを考えると……はっきりさせたいのにロードは仕事が忙しいからと会えないでいた。
でももうそろそろ落ち着いているんじゃないかな……ディーン様も何か知っているようだけど話せないと言っていた。
わたしにはわからない何かが起こっているのかもしれない。
ウジウジ考えてもいいことなんてない。
おばあちゃんが何度も『自信を持って』と言ってくれる。そういえばマリアさんも、『ダリアちゃん、自分を大切にしなさい』と言ってくれる。
自分を大切に……しすぎて逃げてばかりなのに…そう思っていた。
だけど、マリアさんがーー
『ダリアちゃんにはダリアちゃんのいいところがいっぱいあるし才能もあるの。自信を持ってその才能を伸ばしてあげて!もったいないわ』
その言葉が嬉しくもあり、そんなこと……と否定的でもあるけど、みんなが絵本を楽しみにしてくれるならもう少し頑張ろうかと思っていた。
ディーン様も各地を回るので、絵本をついでに売って回るから!と冗談を言ってくれた。
絵を描いているとポカポカ陽気のせいか、うとうとし始めた。
「少しだけ……寝ちゃおうかな」
誰もいない森の中、草の上に横になってそのまま眠ってしまった。
「………ダリア……起きて!」
「……だ…れ?………」
ーーこの声…一番聞きたくて……一番聞きたくない声………なんで夢の中にロードが出てくるの?
夢現つで眠っているせいなのかぼーっと頭の中がしてる。
夢ならいいのかな。
「ロード……もうすぐ…さよならだね…幸せになって……」
ーー本当はいやだけど……
夢の中でも本音言えないなんて……
「……ダリアは……俺と別れたいんだ……」
悲しそうな声が聞こえた。
夢なのに……夢だから……ロードの声が聞こえるのかな……ずっと彼のことばかり考えて思ってたから……
「………ロードの馬鹿、嫌い……」
「嫌いか………」
顔にふわっと何かが触れた……
わたしはまた微睡の中へと……
「う、うう…ん……」
すこし肌寒むくなって目が覚めた。
「さ、寒い」独り言を言いながらガバッと起き上がった。
まだ外は明るい。少しだけ居眠りしていたみたい。
ふと横に人の気配?
振り向くと………
「ロード?どうして?」
「おばあちゃんにダリアが森に行ったと聞いたんだ。だから多分ここだろうと思って……お前こんなところで寝てたら襲われたらどうするんだ?」
「大丈夫だよ、この森には大きな動物はいないもの。ロードは知ってるでしょう?」
ーー普通に話せる。あんなに悩んでいたのに……そうか、ロードが居たからあんな夢見たんだ。
ロードがあんなに優しく声をかけてくれるなんてあり得ないもの。
それに……どうしてロードがこの村にいるの?わたしが考えてることがわかったみたい。
「なんとか仕事が終わったんだ……ダリアに連絡をとったら休みで田舎に帰ってるって言われて……俺もしばらく休みをとっていなかったんでこっちに帰ってきたんだ」
「お疲れ様。わたしは明日向こうに戻る予定なの。入れ替わりになっちゃったね」
ーー本当は三日後のつもりだったけど、明日帰ろう。たぶん今から別れ話、そしてカリナさんと付き合っていることを聞かされるのだろう。
流石にフラれたばかりで近くにいるのは辛すぎるもの。
「………明日?」
ロードが驚いていた。おばあちゃんが三日後に帰ることを話していたのかもしれない。
「俺、ずっとダリアと話したかったんだ……」
「うん!早めに帰るわ」
スケッチブックとクレヨンを持って森へと向かった。木や草花、可愛いリスやうさぎ。今日はどんな動物に会えるだろうか。ついでに野苺も摘んで帰りたいし山菜も採りたい。
空は透き通るくらい青くて空気が澄んで気持ちがいい。
「ふーっ、もうすぐ仕事に戻らないといけないなぁ……このままおばあちゃんのそばにいたい」
草の上に座り膝を抱えて頭を埋めた。
現実に戻る日々、仕事は楽しいけどロードのことを考えると……はっきりさせたいのにロードは仕事が忙しいからと会えないでいた。
でももうそろそろ落ち着いているんじゃないかな……ディーン様も何か知っているようだけど話せないと言っていた。
わたしにはわからない何かが起こっているのかもしれない。
ウジウジ考えてもいいことなんてない。
おばあちゃんが何度も『自信を持って』と言ってくれる。そういえばマリアさんも、『ダリアちゃん、自分を大切にしなさい』と言ってくれる。
自分を大切に……しすぎて逃げてばかりなのに…そう思っていた。
だけど、マリアさんがーー
『ダリアちゃんにはダリアちゃんのいいところがいっぱいあるし才能もあるの。自信を持ってその才能を伸ばしてあげて!もったいないわ』
その言葉が嬉しくもあり、そんなこと……と否定的でもあるけど、みんなが絵本を楽しみにしてくれるならもう少し頑張ろうかと思っていた。
ディーン様も各地を回るので、絵本をついでに売って回るから!と冗談を言ってくれた。
絵を描いているとポカポカ陽気のせいか、うとうとし始めた。
「少しだけ……寝ちゃおうかな」
誰もいない森の中、草の上に横になってそのまま眠ってしまった。
「………ダリア……起きて!」
「……だ…れ?………」
ーーこの声…一番聞きたくて……一番聞きたくない声………なんで夢の中にロードが出てくるの?
夢現つで眠っているせいなのかぼーっと頭の中がしてる。
夢ならいいのかな。
「ロード……もうすぐ…さよならだね…幸せになって……」
ーー本当はいやだけど……
夢の中でも本音言えないなんて……
「……ダリアは……俺と別れたいんだ……」
悲しそうな声が聞こえた。
夢なのに……夢だから……ロードの声が聞こえるのかな……ずっと彼のことばかり考えて思ってたから……
「………ロードの馬鹿、嫌い……」
「嫌いか………」
顔にふわっと何かが触れた……
わたしはまた微睡の中へと……
「う、うう…ん……」
すこし肌寒むくなって目が覚めた。
「さ、寒い」独り言を言いながらガバッと起き上がった。
まだ外は明るい。少しだけ居眠りしていたみたい。
ふと横に人の気配?
振り向くと………
「ロード?どうして?」
「おばあちゃんにダリアが森に行ったと聞いたんだ。だから多分ここだろうと思って……お前こんなところで寝てたら襲われたらどうするんだ?」
「大丈夫だよ、この森には大きな動物はいないもの。ロードは知ってるでしょう?」
ーー普通に話せる。あんなに悩んでいたのに……そうか、ロードが居たからあんな夢見たんだ。
ロードがあんなに優しく声をかけてくれるなんてあり得ないもの。
それに……どうしてロードがこの村にいるの?わたしが考えてることがわかったみたい。
「なんとか仕事が終わったんだ……ダリアに連絡をとったら休みで田舎に帰ってるって言われて……俺もしばらく休みをとっていなかったんでこっちに帰ってきたんだ」
「お疲れ様。わたしは明日向こうに戻る予定なの。入れ替わりになっちゃったね」
ーー本当は三日後のつもりだったけど、明日帰ろう。たぶん今から別れ話、そしてカリナさんと付き合っていることを聞かされるのだろう。
流石にフラれたばかりで近くにいるのは辛すぎるもの。
「………明日?」
ロードが驚いていた。おばあちゃんが三日後に帰ることを話していたのかもしれない。
「俺、ずっとダリアと話したかったんだ……」
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