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25話。  ロード編 ②

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「ロード、明日はお休みなの。どこかお出かけしない?」

「……そうだな、どこか行きたいところはある?」

「うーん、そうね、隣町にある雑貨屋さんと新しくできたカフェに行ってみたいの、どうかな?」

「わかったよ。明日馬車の用意をしておくから迎えに行く」

「嬉しい!絶対よ!」

 カリナは俺に抱きついて、「また明日」と言って嬉しそうに自分の家へと帰って行った。

 俺はしばらく立ったままでいた。そして、警備隊の詰め所へと戻った。


「ただいま戻りました」

 中に入ると団長がいる部屋へと向かう。

「失礼します」

 部屋の中には団長とジャックがいた。

「今日も恋人役お疲れ様だったな」

 団長はそう言っているが、本心は「仕事だから」としか思っていない。

「明日隣町の雑貨屋とカフェに行くことになりました」

「やっと動き出したか」

「はい」

「ダリアちゃんを犠牲にしてまでここまで来たんだ。失敗は許されないよ?」
 ジャックの言葉にイラッとした。

「犠牲にするつもりはない。この仕事の方が付いたら全て話して許してもらう」

 ジャックを睨みつけて吐き捨てた。

「全て終われば話していい。だがまだカリナに悟られては困る。しっかり恋人として仲良くしてくれ」
 団長はそう言うともう用事はないと俺のことを無視して、溜まっている書類の仕事に戻った。

 仕事なんてクソ喰らえだ!そう言いたい。だけど、この仕事がうまくいけば警備隊から騎士団に入れる。そうなれば今よりも給金が良くなり生活も安定する。ダリアにちゃんと告白して本当の恋人として過ごして、いずれは結婚したい。

 もちろんダリアが受け入れてくれれば……

 くそっ、最初から恋人として付き合っていれば……



『カリナの恋人役』をやれと命令を受けた。

 頼まれたのではなく命令。
 見目の良い俺が選ばれた。
 俺の都合など全く配慮されずに。独身で恋人がいないとその時の調査では思われていた。
 命令を受ける前、ダリアになんとか(偽)とはいえ恋人になってもらったのに。
 ダリアのことを命令を下された後で団長達に話して、断ろうとしたが却下された。


『もう決定したことだ。動き始めたんだ。断ることはできない』


 俺はダリアと理由を作らなくても会えることが嬉しくて恋人として接していた。

 なのにカリナの恋人役に選ばれた。
 そして、ダリアに勘違いされたまま俺はカリナの恋人として過ごしている。

 団長には、せめてダリアに説明したいと訴えたが、駄目だと言われた。それでも、俺はダリアに『信じて待っていて欲しい、必ず後日理由を説明するから』と言うつもりだった。
 なのに今も誤解されたまま。

 でもこんなバカな仕事もあともう少し。



 カリナは元貴族令嬢。
 明るく誰とでも仲良くなれる食堂で働く人気者。

 これが表の顔。

 噂では、婚約者には愛する人が出来て、その愛する人に嫌がらせをして婚約破棄をされた。そして自分の地位が大切な父親に捨てられて平民になったと言われている。

 貴族社会では醜聞かもしれない。
 だけど庶民の間では、カリナは『浮気した婚約者と相手の女性に文句を言っただけで婚約者にも親にも捨てれられた可哀想な女の子』と認識されている。

 そんなカリナがなぜ警備団に監視されているのか……理由は、『売人』だからだ。















 ーーーーー

 1話目。

 付き合いだして1年から数ヶ月に変わりました。

 申し訳ありません。

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