【完結】全てわたしが悪者みたいに言ってますが、お義姉様だって悪女ですよね?

たろ

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32話

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 フランク様に会いに行った。

 やつれていた顔も痩せていた身体も少しずつ食事が摂れるようになり、体重が増えてきて顔色も良くなってきた。

「フランク様……」

「ティア、久しぶりだね?」

「はい」

 わたしはお義姉様がフランク様の看病に来ていたので遠慮して顔を出したことはなかった。

 クロード様にフランク様の経過は聞いていた。でも本人に会えてホッとした。

「フランク様……わたしのせいでお義姉様との婚約をダメにしてすみませんでした」

「もう何回謝るんだい?それよりもいいのかい?離縁してどこへいくつもり?」

「お爺さ……まと暮らそうと思っています」

「僕は君を不幸にしてしまった。僕の方こそ謝らなければいけないと思っていた。君の未来を壊してしまった」

「……違います。わたしが何も知らない、見ようともしないで生きてきたことが全て悪いのです」

 その時お義姉様が部屋に入って来た。

「ティア?」その声は少し怖く感じた。

「どうしてここに居るの?」

「あ……今離縁状にサインを書いたところなんです」

 テーブルに置いてある用紙をお義姉様がチラッと見た。
「そう………ティアごめんなさい。貴女には離縁させることになって」

「わたしが悪いのです。お二人が結婚するはずだったのに…わたしのバカな行動がたくさんの人を不幸にしました」

「そうね、ティア。貴女はたくさんの婚約者がいる女の子の気持ちを踏み躙って来たのよ。貴女の所為で婚約解消した人達もわたし以外にも居るわ」

「………はい」

「反省したところでもう取り返しはつかないの」

 唇を噛んで泣かないように涙を堪えた。ここで泣いてはいつもの泣き落としになってしまう。

「………わかっ…てます」

「ファーラもういいだろう」

「フランク、わたしフランクの前だからこそ言いたいの。フランクはわたしを愛してくれた。なのに何故あの頃、態とティアと仲良くしていたの?わたしに見せつけるように」

「あれは……知りたかったんだ。ファーラが何故あの屋敷で酷い目にあっているのか。知るのが遅過ぎた。
 なんとかあの屋敷から助け出そうと思ってティアに近づいた。だけどこの子はあまりにも無自覚で人を傷つけていたんだ」

「私の為?でも婚約解消を受け入れたわ」

「僕はもう助からないと言われたから……その時はなんの力もない僕には諦めるしかなかった……ファーラを助けたいのに僕はどんどん弱って……動くことも話すことも出来なくなっていって…すまなかった」

「………許さないわ、わたしはヤキモチを妬いて……貴方が苦しんでいるのに何も知らずに過ごしていたのよ?ティアがフランクのところに嫁ぐことになったと知った時のわたしの惨めさがわかる?」

「すまない……母上は君たち姉妹を不幸にすることを楽しんでいたようなんだ。僕のフリをしたクロードにティアを娶らせて歪んだ夫婦関係になることを楽しんだんだ。そしてファーラにも辛い思いをさせられる。あの人は狂っている。自尊心が強い分人を見下しているんだ」

「わたしの人生は他人に振り回されてばかりね」

「ごめんなさいお義姉様」

「もういいわ、ティアが何度謝ってもなかったことにはならないの。だからティア、これから貴女がどう生きていくか、きちんと考えなさい。両親のところへ帰るの?公爵家はわたしが当主になりお父様達は領地へと移り住むわよ」

「両親とはもう会いません。わたしは平民なって暮らしていくつもりです。ただ嘘はつきたくないのでここで話します。わたしここのお屋敷に来てから内職をしていました」

「内職?」

「はい、刺繍やポプリ作り、最近はハーブを使った商品もあります。だから一人で暮らせると思ったのですが大きな問題がありまして」

「問題?」

「はい、この屋敷を出たらポプリ用の花もハーブも手に入れられないという事です」

「確かに……そうね」

「そしたらお爺さ…まがこの屋敷を離れるので一緒に暮らそうと言ってくれました。その時ちょうどクロード様もいらっしゃっていて………三人で暮らそうという話になりました」

「三人で?え?」

「ですよね?え?と思いますよね?」

「ふふ、なんだかティアらしいわ。わたしも罪悪感を感じなくて済むわ。貴女をこの屋敷から追い出したと思うと……フランクと幸せに暮らせないもの」

「認めていただけるのですか?」

「貴女の人生だもの。そろそろ自分で決めてもいいと思うの、いつも大人に方向を示してもらわないとダメだったティアとは今は違うわ」

「………はい、許されるとは思っていません。でも少しでも許してもらえるような生き方をして行きたいです」

 お義姉様が優しく笑った顔を初めて向けられた。













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