【完結】全てわたしが悪者みたいに言ってますが、お義姉様だって悪女ですよね?

たろ

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30話

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 疲れを誤魔化しながら過ごしてきた。

 そんな疲弊した時、いつものようにパラパラと古書をめくっていた。

「うん?」

 もう一度読み直す。

「ク、クロード様?」

「何?またあった!だけど違った!って言うんだろう?」

「こ、これ、ここ、読んでみてください」

 フランク様の病気は肺の病気だった。

「確かにこの薬だったら症状が同じだから効くかもしれないな」

「うん、この薬草だったら……この屋敷の庭で採れます」

「は?嘘だろう?」

「お爺さんがたくさんの薬草を栽培しているんです。わたしもポプリに使えるハーブとか貰っているのでこの薬草見たことあります」

「わかった、とりあえず庭に行こう」

「はい。その前にお医者様を呼ばなくっちゃ。薬師さんも!」

 カリンに頼んで呼んでもらうように頼むと庭へ。

「お爺さん!薬草、薬草、あ、あった!これです、ほら!」

 緑色のギザギザした葉に産毛のようなものが生えている。その産毛のせいか緑なのに角度により白っぽく見える。

 お爺さんに「この葉っぱ綺麗!」と言ったら「芽から葉になる直前のごく短い間だけ生えている産毛でな、幼く柔らかい葉は成長するにつれて硬くなるんだ」と教えてくれた。

「これは友人が海外に行った時に土産でくれた種から育てたんだ。よくわからんが、珍しい薬草だと言っていた、後1週間もしたら普通の葉になってしまう」


「い、今、今採らなきゃ。クロード様!早く」

「ティア、そんなに急がなくても」
 クロード様は呆れていたけど、もし何かあってこの大事な葉が駄目になったらどうするの?と思ってしまう。

「お爺さん、この葉っぱからフランク様の病気を治せる薬を作れるかもしれないの」

「本当なのか?」

「うん!………あったぶん」少し自信がなくなってきた。本当かしら?
 クロード様をチラリと見ると「信じるしかない」と言ってくれた。

 それからはお医者様と薬師さんとクロード様、お爺さんが色々話し合っていた。

 わたしは難しすぎる話は苦手なので、とりあえずいつものカリンが受けてくれた仕事をこなす。

 ポプリを作る時についでにハーブも乾燥させて匂い袋を作ったり、ハーブティーとしてドライハーブも作っている。

 いろんな医療書や薬の本を読んでいるとわたしが扱っているハーブは香りの効果ならリラックスやリフレッシュされるとわかった。だから匂い袋を作っている。

 薬理効果として、老化予防、美容効果、免疫力アップ、代謝促進など何だか凄すぎる効果があると書かれていたので、わたしの美容と健康のために作り始めた。

 おかげで吹き出物が治ったし、お肌も以前より綺麗になった気がする。カリン達メイドや侍女にも毎日飲んでもらったらお通じが良くなったとかお肌が綺麗になったとかよく眠れるとか良いことばかり。

 カリンと「これは売れる!」と今頑張って作っているイチオシ商品だ。

 フランク様とは離縁して平民になる予定なので、一人でも働いて生きていけるようにカリンにいろいろ教えてもらって、絶賛お金を貯めている最中。

 フランク様の病気が治れば、あとは安心してこの屋敷を去れる。

 いくらお花畑のわたしでも、愛する二人が結ばれないなんておかしい。それくらいはわかる。

 やっと二人は愛し合っていると周囲の人達が認め始めた。あとはわたしが消えてお義姉様が結ばれれば良い。
 クロード様もフランク様が元気になられたらこの屋敷を去ると言っていた。
 お互いお役御免だ。


 そして………総仕上げがクロード様とお義姉様の夜会での一幕。
 フランク様はまだ元気に夜会に出ることは出来ない。少しずつ歩く時間は増えてきたけど、一年以上歩くことがなかったので足の筋力もかなり弱っている。

 だからクロード様がフランク様になって二人の熱烈なところを周知させることにしたのだ。

『ティア様、またお一人なの?ご主人は……ふふ、またあの方とずっといらっしゃるのね?』

 こんな言葉をいろんな人に言われた。
 わたしは夜会に参加して離縁前の夫婦を演じ一人寂しく過ごす婦人の姿を演じているつもりだった。

 だけど周囲は違った。
 わたしが今までしてきた態度に対してしっかりと制裁を加えてきた。

 ワインを態とかけられたり、一人でいるところに数人で来てクスクスと笑い合い去っていく。

 わたしが何をしたと言うの?そう思った。だけどわたしは自分では何もしていないつもりだっただけ。

 本当は学生の時、男の子達にチヤホヤされてその子達を自分に夢中にさせて婚約解消した人たちもいたらしい。
 恋人だったのに別れさせたこともあったらしい。

 そんな話を彼女達から聞かされた。

「これ可愛い」と言って意味もなく言っては人の物を貰っていたらしい。

 悪気なんてなかった。

 ただみんなが優しくてみんなに愛されるのが当たり前だと思っていた。そんな自分の我儘で傲慢な態度が、今返ってきていたのだ。

 自分の家に帰って思わず泣いてしまった。

 みんなの前では泣けない。自分がしでかしたことなのだから泣いて済むことではないのもわかっているから。

 でも……早めにこの屋敷を去ろう。

もうこの家ともさよならしなくっちゃ。


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