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16話

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「わたしは……フランク様にお義姉様のお話をいつも聞かせてもらっていました。わたしの知らない子供の頃のお話をお願いして聞かせていただいていたのです」

「は?そんな言い訳を……「だから何も返事をしたくなかったんです。どうせ言ってもわかってはもらえないでしょうから。お義姉様はわたしにとって憧れの人なんです」

 わたしの言葉に驚き呆れた顔をしているのがわかる。

「君たち親子はファーラに冷たい態度をとっていたんだろう?」

「……わかりません。わたしの態度がお義姉様にとってそう感じていたのならそうなんだと思います。わたしは何も見ていなくて何も知ろうとしなかった。そしてお義姉様を傷つけたんです。だから……今この状況も受け入れようと思っています。
 でも貴方は誰ですか?フランク様はお元気にされているのですか?」

「僕は誰だと思う?」

「兄弟?それとも従兄弟?」

「ふっ、君と同じで異母弟だよ」

「では……境遇は……」

「ファーラと同じだよ。だからファーラの話に乗ったんだ」

「貴方の本当の名前は何ですか?」

「僕の?聞いてどうするの?知ったところで僕は貴族社会に出ることはない」

「どうしてですか?」

「僕は庶子なんだ、ずっと日陰者の子供として育ったんだ。君は後妻に入った母親のおかげで幸せに暮らしファーラを虐げてきた。僕はずっと妾の子としてフランクの母親から虐げられてきたんだ。使用人と変わらない生活を強いられてね」

「そんな……酷い」
 わたしはやはりそんな世界を知らなかった。だって子供は親に愛されるものだと思っていたから。

 お義姉様だって愛されていると思っていた。
 ううん、見ようとしなかっただけだけど。

「やはり辛い思いをされて来たんですね?わたしは本当に馬鹿ですね。自分が見ている世界しか知らなかった。貴方もやはり現実を教えてくれようとしているのですか?」

「はっ、いい言い方だね?現実?確かにそうだな。フランクも君ものうのうと生きて、他人の不幸に全く気がついてもいない。だから教えてあげたんだよ。俺たちがされて来た生活を。君が今住んでいる家は俺と母さんがずっと暮らして来た家なんだ」

「あ……だからなんですね。すごくホッとする場所でした」

「……君は馬鹿なのか?あんな夏は暑くて冬は寒い何もない家に住んで辛くなかったのか?」

「でも、いつもカリンが食事を運んでくれましたし、少し歩いたら綺麗なお庭もありました。木々もあってとても落ち着いた家で大好きになりました」

 わたしが微笑むと顔を歪めた。

「もういい、あの家にはもう帰れない。君はここで僕の妻として暮らすんだ」

彼は命令すると部屋を出て行った。








 ◆ ◆ ◆

 プロローグで



 {そんな生活を強いられてもう二年が過ぎた。}

 二年から一年に変更しました。すみません。
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