【完結】全てわたしが悪者みたいに言ってますが、お義姉様だって悪女ですよね?

たろ

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6話  15歳

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 学園でポツンと過ごし始めてから、屋敷でも少しずつ生活に変化が現れた。

 屋敷の使用人の態度がなんだかおかしい。

 お父様が最近よく「なんだかキツイんだよな」と言って食事の席に着かなくなった。

「お父様、大丈夫かしら?」
 お母様が「そうね、大丈夫かしら?」と心配そうにしていた。

 お義姉様は聞いていないのか何も返事はしなかった。

 この時お義姉様は、お父様に仕事をかなり振られて毎晩、睡眠すら取れずに働いていたことをわたしは知ることもなく、口で心配するだけでのんびりと好きなことをして過ごしていた。

 お義姉様の婚約者のフランク様が何度か屋敷に来られていた。

 お義姉様に近づかないように言われているので、流石にそこは守って彼が来られる時は部屋から出ないようにしていた。


 なのに本当にたまたま、偶然、運が悪く、侍女が部屋にやって来て

「旦那様から呼ばれております」と言われた。

「え?そうなの?でも今行くとフランク様がいらっしゃる時間だからお会いしてしまうかもしれないわ、お父様に後で行くと伝えてくれないかしら?」

「申し訳ありません、旦那様がすぐにと言っております」

「……わかったわ、だったら行くしかないわよね?」

「お願い致します」

 なんとなく嫌な予感がしながらも部屋を出た。
 お父様の執務室までは、かなりの距離がある。

 廊下をかなり歩いて階段を下り、また廊下を歩き、また階段を上る。大きなお屋敷は、移動するだけで大変だ。

 一人いつものようにお散歩気分で歩いていると、やはりフランク様と会ってしまった。

「久しぶりだね、ティア」

「お久しぶりです、フランク様」

 わたしは挨拶だけしてその場を去ろうとした。
 なのにやっぱりわたしはツイていない。

 足がガクッとなり転びそうになった。

「きゃっ」「危ない!」
 二人の声が重なった。
 そしてフランク様の手が私の体を抱きしめた。

 そしてその時、
「フランク?ティア?」
 低く震える声が背中から聞こえてきた。

 怖くて振り向けなかった。
「何をしているの?部屋から出てこないでって言ったわよね?」

「ち、違う……」
 振り返れない、必死で首を横に振った、勘違いなの、違うの……

「ファーラ?どうしたの?勘違いだよ」

「だったらどうして今も離れないの?」

「へっ?」「え?」

フランク様はまだ私を抱きしめたままだった。

急いで離れたけど、「痛っ」私の足首は捻って怪我をしていたみたいで、フランク様はまた慌ててわたしが転ばないように抱きしめてくれた。


「そう……二人はそんな関係だったのね」

私は恐る恐るお義姉様を見た。

怒っているのだと思ったら、傷ついた顔をして目に涙を溜めていた。

「お、義姉様?ち、違う」やっと声を振り絞って出したけどお義姉様には届かなかった。

そのままお姉様は走り去ってしまった。

「フ、フランク様?お、追いかけなきゃ」

「ティアは足を怪我してるんだろう?とりあえず手当てをしてもらおう」

「フランク様………」

フランク様は大きな溜息をついて、「もういいんだ」と呟いた。





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