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5話 15歳
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学校でいつも男の子達がそばにいて話しかけてくれる。
荷物も持ってくれるし、楽しい会話もしてくれる。
女の子達の微妙な空気も気にはならなかった。
そんなある日、いつものように男の子達と食事をしていたら一人の女の子がわたしのそばにやって来た。
「ティア様、ルークはわたしの婚約者です。お願いですから返してください」
「わ、わたしも彼の婚約者です。婚約者のいる男子と仲良くするのは如何なものでしょう?もう15歳になるのだから周りのこともお考えになっては如何ですか?」
「え?」
わたしは何を言われているのかわからなかった。
自分から男の子に声をかけたわけではない。みんなわたしに優しくしてくれているだけなのに。
「ごめんなさい、言っていることの意味がわからないわ。わたしは男の子達が優しくしてくださるからその好意を素直に受け入れているだけなのよ?」
キョトンとして首を横に傾けた。
「公爵令嬢だからと言ってなんでも許されると思ったら間違いだと思わないのですか?」
一人の女子生徒が興奮して大きな声を出し始めた。
「お、おい、やめろ」
「うるさいわね!婚約者のくせにわたしを蔑ろにしておいて!」
いつもわたしの鞄を持ってくれるニックが女の子に詰め寄られている。
「二人ともこんなところでやめろよ」
止めに入った他の男の子達が女の子達に詰め寄られ罵声を浴びせられ始めた。
「うるさい!カスクールだってティア様にデレデレして浮気者のくせに!」
「ルーク様もティア様のそばでいつもニヤニヤして気持ち悪いわ」
「ほんと、ティア様のどこがいいのよ!勉強もまともに出来ない頭空っぽのお花畑に住んでいるだけの何も出来ない子じゃない!」
「えっ?」
わたしは最後に言われた言葉に驚き大きな声を出してしまった。
興奮気味に言った女の子も、我に返り手で口を押さえた。
「あ、本当のこと思わず言ってしまったわ」
「駄目よ、本当のことを言っては」
「そうよ、ティア様は無自覚な馬鹿なんだから」
そんな嘲笑う声が聞こえてきた。
ーーみんなにそんなふうに思われていたの?
もしかして女の子の輪に入れてもらえなかったのは……嫌われていたから?
みんなチヤホヤしてくれていたのに。みんなに愛されていると思っていたのに。
そのあと呆然としているわたしの側には……誰も居なくなっていた。
教室に戻ると周りの空気は完全に冷たいものになっていた。
それからの日々は学校に行ってもポツンと一人。
みんなわたしから目を逸らすようになっていた。男の子達もわたしと目が合うと慌てて逸らしてしまう。もちろんわたしの側に寄ってくる人はいなくなった。
どうして突然こんなことになったのだろう。
それも後にお義姉様に言われたこと。
『あんたがいろんな女子生徒の婚約者に色目を使うから他の女子生徒達がわたしに相談に来たのよ。だから本当のことを伝えればいい、わたしが責任を持つからと言ったの』
お父様が倒れた後、お義姉様はわたしに吐き捨てるように言うのだった。
『あんたなんか大っ嫌いよ』
わたしの新しい人生はここから始まった。
荷物も持ってくれるし、楽しい会話もしてくれる。
女の子達の微妙な空気も気にはならなかった。
そんなある日、いつものように男の子達と食事をしていたら一人の女の子がわたしのそばにやって来た。
「ティア様、ルークはわたしの婚約者です。お願いですから返してください」
「わ、わたしも彼の婚約者です。婚約者のいる男子と仲良くするのは如何なものでしょう?もう15歳になるのだから周りのこともお考えになっては如何ですか?」
「え?」
わたしは何を言われているのかわからなかった。
自分から男の子に声をかけたわけではない。みんなわたしに優しくしてくれているだけなのに。
「ごめんなさい、言っていることの意味がわからないわ。わたしは男の子達が優しくしてくださるからその好意を素直に受け入れているだけなのよ?」
キョトンとして首を横に傾けた。
「公爵令嬢だからと言ってなんでも許されると思ったら間違いだと思わないのですか?」
一人の女子生徒が興奮して大きな声を出し始めた。
「お、おい、やめろ」
「うるさいわね!婚約者のくせにわたしを蔑ろにしておいて!」
いつもわたしの鞄を持ってくれるニックが女の子に詰め寄られている。
「二人ともこんなところでやめろよ」
止めに入った他の男の子達が女の子達に詰め寄られ罵声を浴びせられ始めた。
「うるさい!カスクールだってティア様にデレデレして浮気者のくせに!」
「ルーク様もティア様のそばでいつもニヤニヤして気持ち悪いわ」
「ほんと、ティア様のどこがいいのよ!勉強もまともに出来ない頭空っぽのお花畑に住んでいるだけの何も出来ない子じゃない!」
「えっ?」
わたしは最後に言われた言葉に驚き大きな声を出してしまった。
興奮気味に言った女の子も、我に返り手で口を押さえた。
「あ、本当のこと思わず言ってしまったわ」
「駄目よ、本当のことを言っては」
「そうよ、ティア様は無自覚な馬鹿なんだから」
そんな嘲笑う声が聞こえてきた。
ーーみんなにそんなふうに思われていたの?
もしかして女の子の輪に入れてもらえなかったのは……嫌われていたから?
みんなチヤホヤしてくれていたのに。みんなに愛されていると思っていたのに。
そのあと呆然としているわたしの側には……誰も居なくなっていた。
教室に戻ると周りの空気は完全に冷たいものになっていた。
それからの日々は学校に行ってもポツンと一人。
みんなわたしから目を逸らすようになっていた。男の子達もわたしと目が合うと慌てて逸らしてしまう。もちろんわたしの側に寄ってくる人はいなくなった。
どうして突然こんなことになったのだろう。
それも後にお義姉様に言われたこと。
『あんたがいろんな女子生徒の婚約者に色目を使うから他の女子生徒達がわたしに相談に来たのよ。だから本当のことを伝えればいい、わたしが責任を持つからと言ったの』
お父様が倒れた後、お義姉様はわたしに吐き捨てるように言うのだった。
『あんたなんか大っ嫌いよ』
わたしの新しい人生はここから始まった。
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