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プロローグ
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夜会はいつもたくさんの人で賑わっている。
そんな中ポツンと一人で過ごすのはいつもの事。
たまに話しかけてくる知人は
「ティア様、またお一人なの?ご主人は……ふふ、またあの方とずっといらっしゃるのね?」
わかっていて話しかけてくる婦人達。
わたしはまた噂の種になり馬鹿にされ、わたしを見てせせら笑う人の中で、隅に行き時間を過ごす。
夫はわたしの義姉の手を取り楽しそうにダンスを踊っている。ダンスの後は夫が義姉の腰に手をやり仲睦まじく過ごす時間。額と額をくっつけ楽しそうに話している姿をわたしは遠くから眺めた。
早くこの時間をやり過ごして屋敷へ帰りたい。
屋敷に帰ってもわたしの居場所は別邸という名のつく小さな家なのだけど。
冬になれば冷たい風が通り抜ける。
夏になれば暑くて家の中にはいられない。そんな古びた家に住んでいる。
そんな生活を強いられてもう一年が過ぎた。
どうしてこんなことになったのだろう。
わたしはお父様とお母様が愛し合って生まれた娘。
ただ二人の結婚は反対されたらしい。
お父様には婚約者がいた。どんなに愛し合っていても政略結婚をしなければいけなかったお父様は婚約者であるお義姉様の母、クラシアナ様と結婚した。
でもお父様はお母様を忘れられず二人は密かに会っていた。二人はお互い愛し合う、真実の恋だったらしい。
ーーそして産まれたのがわたし。
わたしはお母様と同じ髪色のピンクゴールドの髪にターコイズ色の瞳で、美人だと言われたことはない。どちらかと言うと可愛いとしか言ってもらえなかった。
お義姉様はクラシアナ様に似ていてブロンドのサラサラの長い髪、ブラウンの瞳がとても綺麗、鼻立ちが極めて美しく高い。
どこから見ても美しい、人を惹きつける魅力のある人。
わたしはそんなお義姉様に憧れていた。
お母様は男爵家の娘だった。
お父様は公爵家の嫡男。身分差もあり反対され結ばれることはなかった。
お父様は嫡男として、長年婚約者だった伯爵令嬢のクラシアナ様と愛のない政略結婚をした。
不幸はその後すぐ。クラシアナ様が義姉のファーラを産んでから産後の肥立ちの悪さで寝込まれることが増えた。
そんな時お母様がわたしを妊娠した。わたしが産まれたことを知ったクラシアナ様はあまりのショックと肥立ちの悪さで精神を病まれた。
クラシアナ様はお父様をずっと慕っていたのだとわたしは後に知った。
そして数年後、わたし達親子を呪いながら自ら命を絶たれた。
お義姉様が8歳、わたしが7歳の時だった。
その後すぐにお父様はお母様と再婚した。
お父様はわたしをとても可愛がってくださった。お義姉様はお父様に反抗的でいつも不機嫌に過ごされていた。
でも幼いわたしは気づかなかった。
お義姉様がわたし達親子を恨んでいるなんて。
お義姉様の態度にお父様がお義姉様の頬を叩いたり屋根裏部屋に閉じ込める罰を与えていたこともわたしは知らなかった。
「お父様、お義姉様はどこに行ったの?」
「ティア、ファーラは今友達の家に行っているんだよ」
「お義姉様はいいな。わたしもお友達のお家に泊まりに行きたいわ」
何も知らないわたしはただ羨ましくて。
その間、お義姉様は食事も与えてもらえず暗い屋根裏部屋で一人震えていたのに……
何も知らないことは「罪」なんだと今ならわかる。
でもあの頃は優しいお父様とお母様、綺麗で知的なお義姉様がいてわたしの世界はとても幸せだった。
わたしは……何も知らないただの世間知らずの馬鹿だった。
そんな中ポツンと一人で過ごすのはいつもの事。
たまに話しかけてくる知人は
「ティア様、またお一人なの?ご主人は……ふふ、またあの方とずっといらっしゃるのね?」
わかっていて話しかけてくる婦人達。
わたしはまた噂の種になり馬鹿にされ、わたしを見てせせら笑う人の中で、隅に行き時間を過ごす。
夫はわたしの義姉の手を取り楽しそうにダンスを踊っている。ダンスの後は夫が義姉の腰に手をやり仲睦まじく過ごす時間。額と額をくっつけ楽しそうに話している姿をわたしは遠くから眺めた。
早くこの時間をやり過ごして屋敷へ帰りたい。
屋敷に帰ってもわたしの居場所は別邸という名のつく小さな家なのだけど。
冬になれば冷たい風が通り抜ける。
夏になれば暑くて家の中にはいられない。そんな古びた家に住んでいる。
そんな生活を強いられてもう一年が過ぎた。
どうしてこんなことになったのだろう。
わたしはお父様とお母様が愛し合って生まれた娘。
ただ二人の結婚は反対されたらしい。
お父様には婚約者がいた。どんなに愛し合っていても政略結婚をしなければいけなかったお父様は婚約者であるお義姉様の母、クラシアナ様と結婚した。
でもお父様はお母様を忘れられず二人は密かに会っていた。二人はお互い愛し合う、真実の恋だったらしい。
ーーそして産まれたのがわたし。
わたしはお母様と同じ髪色のピンクゴールドの髪にターコイズ色の瞳で、美人だと言われたことはない。どちらかと言うと可愛いとしか言ってもらえなかった。
お義姉様はクラシアナ様に似ていてブロンドのサラサラの長い髪、ブラウンの瞳がとても綺麗、鼻立ちが極めて美しく高い。
どこから見ても美しい、人を惹きつける魅力のある人。
わたしはそんなお義姉様に憧れていた。
お母様は男爵家の娘だった。
お父様は公爵家の嫡男。身分差もあり反対され結ばれることはなかった。
お父様は嫡男として、長年婚約者だった伯爵令嬢のクラシアナ様と愛のない政略結婚をした。
不幸はその後すぐ。クラシアナ様が義姉のファーラを産んでから産後の肥立ちの悪さで寝込まれることが増えた。
そんな時お母様がわたしを妊娠した。わたしが産まれたことを知ったクラシアナ様はあまりのショックと肥立ちの悪さで精神を病まれた。
クラシアナ様はお父様をずっと慕っていたのだとわたしは後に知った。
そして数年後、わたし達親子を呪いながら自ら命を絶たれた。
お義姉様が8歳、わたしが7歳の時だった。
その後すぐにお父様はお母様と再婚した。
お父様はわたしをとても可愛がってくださった。お義姉様はお父様に反抗的でいつも不機嫌に過ごされていた。
でも幼いわたしは気づかなかった。
お義姉様がわたし達親子を恨んでいるなんて。
お義姉様の態度にお父様がお義姉様の頬を叩いたり屋根裏部屋に閉じ込める罰を与えていたこともわたしは知らなかった。
「お父様、お義姉様はどこに行ったの?」
「ティア、ファーラは今友達の家に行っているんだよ」
「お義姉様はいいな。わたしもお友達のお家に泊まりに行きたいわ」
何も知らないわたしはただ羨ましくて。
その間、お義姉様は食事も与えてもらえず暗い屋根裏部屋で一人震えていたのに……
何も知らないことは「罪」なんだと今ならわかる。
でもあの頃は優しいお父様とお母様、綺麗で知的なお義姉様がいてわたしの世界はとても幸せだった。
わたしは……何も知らないただの世間知らずの馬鹿だった。
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