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話し合う。

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ロレンスが帰ってきたのは夜中だったらしい。
早くに帰ってくると言ったはずなのに……

夜中までは起きていたけど流石に眠たくなって気がついたらライと二人朝までぐっすり眠っていた。

ライが起きてきてぐずったのであやしてから

「ライ、お着替えしてご飯食べようね」
ライのお世話はわたしがほとんどしている。
パジャマを脱がせて服を着せる。

料理は料理長が作ってくれるので、それをわたしが一口ずつ食べさせている。

服を脱がせる時はじっとしていなくて暴れるのを「ライはいい子だね、はい、おててをバンザイしてね」と話しながら機嫌をとりなんとか着替えさせる。

食事はライにとって大好きな時間。

大きな口を開けて「あーん」と言いながらもぐもぐと食べ続ける。その時の顔がとても可愛くて。
すぐになくなるのでお代わりをすることも多くなってきた。

オムツを替えたり散歩に行ったりと、わたしの一日のほとんどはライと共に過ごすことが多い。
彼が昼寝をしている時はわたしの仕事でもある帳簿をつけたり屋敷の使用人達の仕事を指示したりと忙しく仕事をしている。

今回実家に帰っていて滞っていた屋敷の仕事を一つずつこなしているので疲れてしまい早く寝てしまうことが多い。

ロレンスは毎晩遅く帰ってきていてわたしと彼はすれ違いばかりで会うことがない。
朝も早くに出ていく彼と、ライの世話に追われて彼に会う時間がないわたし。

完全にすれ違いの生活が続いている。

話し合わなければ……そう思うのに時間が取れない。ううん、お互い会う事が怖くて避けているのかもしれない。
彼は夜もわたしの部屋に入ってこようとはしない。

以前はあんなにわたしに会いにきていたのに……

わたしはこれからロレンスとどうなりたいのだろう?どうすればいいのだろう。

一週間以上すれ違いが続いたある日、とうとうロレンスと屋敷ですれ違う。

朝早く愚図るライのおでこを触るとかなり熱い。

ライは顔を真っ赤にしてグッタリとしていた。

慌てて部屋を出て、お水とタオルを取りに行行とした時、出かけようとするロレンスに会った。

「お仕事ですか?」

わたしは冷たく彼に言うと

「こんな朝早くそんな格好でどうしたんだ?」

咎めるような言葉に傷つきながらも

「あなたには関係ありません。ライにお水をと思っただけです」

「水?使用人達は水の用意をしてくれないのか?」

「……違いますわ、ライが少し熱があるみたいなのでおでこを冷やしてあげようと思って水とタオルを取りに出てきたのです」

「ライが熱?大丈夫なのか?」

「かなり熱いしグッタリしています。とりあえず様子を見て日が登ったらお医者様をお願いするつもりです」

「すぐに医者を呼ぼう」
ロレンスは外へと行こうとした。

「お待ちください!まだ熱がで始めたばかりです。とりあえず体を冷やしてあげて様子を見るつもりです、子供には良くある熱なので慌てなくても大丈夫です」

「君は心配ではないのか?」

「心配です、でもこの前も実家で熱を出した時慌ててお医者様を呼びましたが、熱が出てすぐの時は急がなくてもいいとお医者様に言われました。もちろん他に痙攣や息苦しそうとか症状が出た時はすぐに呼ばないといけませんが。熱でグッタリはしていますが慌てるほどではありません」

わたしがキッパリと言うと

「わかった、だったら俺が水とタオルを持ってくるからミュゼはライのそばにいてやってくれ」

「わかりました、でしたらお願いします」

久しぶりの会話はライのことを通してだったけど、思ったよりも普通に話せてホッとした。


部屋に戻るとライはグッタリはしているが眠り続けていた。

体を触るとまだたくさんの汗は出ていないみたいなので寝間着はそのままにしておく。

引き出しから予備の寝間着を出していつでも着替えられるように準備をした。

「遅くなってすまない」
ロレンスが水とタオル、それからおしぼりも持ってきてくれた。
おしぼりの方が小さな体のライのおでこにはちょうど良かった。

今のところはあと特にすることがない。
ぐずって泣くまでは静かに寝かせておくことにした。

「ロレンスありがとうございました。夜が明けたらお医者様にきていただきますのでどうぞお仕事に行かれてください、急いでいるのでしょう?」

彼が夜が明ける前に出ていくのはわたしに会いたくないだけ。わかっているのでこの部屋からさっさと追い出すつもりだった。

ーーわたしと話したくないのならわたしだってもう話なんてしない。
そう思った。

「いや、急ぎではない。ライが心配だから少し遅れて行くことにするよ」

「そうですか、ではご自分の部屋に戻られてください。何かあれば声をかけます」

心配いらないから早く出て行け、と言ったつもりだったのに。
「ライの顔を見るのは久しぶりだからね、ここに居てあげたいんだ」

ーー何を今更、わたしが帰ってきてもライに会いにこようとしなかったくせに!

「そうですか、ではわたしはもうひと寝入りさせてもらいます。ライのことはロレンスにお任せします。あなたの子供ですからね」

わたしが記憶を取り戻したことを知らないロレンスは、わたしの言葉を聞いて眉を顰めたが何も言わなかった。
冷たい人だと思われただろう。ライのことは心配だったけど思ったよりも熱は高くないし寝息も安定していたのでそこまでの心配はなかった。

だから敢えてわたしは眠りにつくことにした。
わたしの隣で眠るライ。わたしはライの小さな手を軽く握りながら疲れてしまっているのでウトウトとし始めた。

もうロレンスのことなど気にもしていなかった。


ーーーー

何かモゾモゾとする。

「え?」

わたしが眠っている間にロレンスはわたしを抱きしめていた。

「やめて!」

「ミュゼ、君の仕事は俺の子供を産むことだ、君を離すことは出来ない、諦めて俺に抱かれろ」

「ライが体調悪いのに何を言っているの?」

「君が寝ている間にライの熱は下がってゆっくりと眠っているよ、もうベビーベッドに寝かせているよ」

気がつけば横にいたはずのライがいなかった。
心配だったのでロレンスの腕から逃れて、ライの姿を確認しに行った。

おでこを触るとほのかにいつもより温かいだけで熱まではいかないようだ。

「良かったわ」
ライの頭をそっと触りホッとした。


「ミュゼ、安心した?」

「ええ、ありがとう。みていてくれて」

お礼を言うとロレンスはわたしの体を後ろから抱きしめた。

「ミュゼ……」

首筋に顔を埋めてキスをしてきた。そして胸を触り始めた。

「や、やめて、こんなことするよりも話をしましょう」

「……今はこっちの方が大事なことだ」

彼は強引にベッドに連れてきてわたしを押し倒した。
そしてわたしの上に被さるとわたしの上の寝間着のボタンを引きちぎって胸があらわになった。

「ミュゼ綺麗だ」
そう言うとわたしの胸を優しく舐め始める。
とても愛おしそうに優しくわたしを抱く。

久しぶりの彼との行為は嫌だと言いながらも自分自身も抵抗できずに溺れてしまった。

何度も彼に求められて気がつけば夜が明けて部屋の外はいつもの使用人達が仕事をする音が聞こえてきた。

「お願い、人が来るわ、もうやめて」

何度彼に抱かれたのだろう、ぐったりとしていると

「人払いは先にしてある。誰も来ない」

ロレンスはそう言うとわたしが意識を失うまで抱き続けた。
ライは熱が出たせいか大人しく眠っていた。


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