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ロレンス編 ③
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次の日の朝、ミュゼが俺の部屋へ来た。
俺はミュゼが領地へ行ってからは乳母と侍女達に世話を頼みながらも、夜はライと眠るようにしていた。
仕事がある俺が唯一一緒にいられる時間だから。
「ミュゼ、育てる気になったのか?」
おれはミュゼの母性に期待をした。
「違います、わたしと離縁して貴方には新しい妻を娶っていただきたいと思って話に来ました。わたしはこのまま実家に帰ろうと思います」
愕然とした。本当のことを伝えようか?
だがやっと精神が落ち着いたところだ。
またライ(ジョセフ)を思い出して、マーカスのところへ押しかけようとしたら?ライを捨てようとしたら?
「駄目だ!君と離縁するつもりはない。この赤ん坊を君が育てるんだ!屋敷からは出さない!」
俺は思わずミュゼの腕を掴んでしまっていた。
「きゃっ」
そしてミュゼをベッドに押し倒した。隣にはライがまだスヤスヤと寝ていた。
そんなベッドの上で、俺はミュゼに激しくキスをした。
「いやぁ、やめて」
ミュゼの両手を押さえ込んでいたのに身体中を使って暴れて抵抗した。
「ずっと我慢していたんだ、君を離さない」
ミュゼの服のボタンを両手で一気に外した。
下着も破り開かれた胸を無理矢理揉み始めた。
「お願い、やめて、こんなことしないで!」
「ミュゼはわかっていない、俺がどんな気持ちなのかなんて」
「わかっていないのは貴方でしょう?隣で眠っている赤ん坊の母親を愛してるのでしょう?わたしの体に触れないで!気持ち悪い!」
俺はピタッと乱暴なことをするのをやめた。
ミュゼは俺を突き飛ばして、ベッドから立ち上がり扉の方へといった。
「俺が気持ち悪い?」
俺は自分の顔を手で覆った。
そして震える声で…
「……絶対に離縁はしない、君がこの子を育てるんだ!育てなければこの子は死ぬ。屋敷の者は誰もこの子の面倒はみない、君が何もしなければ死ぬしかない」
そうい言うと無理矢理ミュゼにライを渡した。
「い、いやよ、なんで?わたしは子供なんて育てたことがない、どうして貴方が他所で産ませた子供を育てさせようとするの?」
「これは命令だ、この赤ん坊を殺すのも生かすのも君次第だ」
ミュゼは呆然として赤ん坊を抱いて部屋を出た。
ーーーーー
本当はこんなこと言いたかったわけではない。
ミュゼの子供なんだ。二人で大事に育てよう。
なぜ言えない?
俺は狡い。
ミュゼを先に疑って責めたのは俺だ。
ミュゼはライ(ジョセフ)を大事に育てた。なのにこの子はお前の子ではないと言われ取り上げられて本当の息子はこの子だと言われて突然我が子を育てることになった。
そこにミュゼの気持ちはついていけなかった。
我が子が可愛くないわけではない。それ以上に最初の子に愛情を注いでいたから。だから全てを忘れてしまったのだろう。
だったら俺は裏切った最低の旦那になるしかなかった。ミュゼにとってはどちらも辛いだろうが俺は真実を知らせるよりも浮気亭主でいるほうがマシだと思った。
それでもミュゼが離縁するという言葉だけはどうしても許せなかった。
もう一度俺の子を孕めばいい。
俺は何度もミュゼを抱いた。
愛してるんだ、君だけなんだ。
俺はそう思いながら離縁だけはしない。
そう言いながら俺に触られるのを嫌がるミュゼを抱き続けた。
屋敷の者達には緘口令を敷いた。
ライには関わらないこと。手を出さないこと。
もちろん噂話は一切禁止した。
もしそんなことをすればすぐに紹介状なしで追い出すことを告げた。
紹介状なしで追い出されればまともな所で雇ってもらうことはできなくなる。俺自身も使用人がしていた噂話のせいでミュゼを疑った。
だからこそもう二度とミュゼには聞かせたくない。噂話などこの屋敷では必要ない。
少しずつミュゼのライへの接する態度が変わっていった。
ミルクを飲ませる時、おむつを替える時、寝かせる時、ライにとても優しい顔を向けるようになった。
だが俺に対しては拒絶しかなかった。
自分が間違えてしまったことはわかっている。ミュゼに浮気をしていたと思わせてよその子供だと思わせて、これがミュゼを守ることになるなんて思っていない。
でもどうすればよかった?
何故俺たちの元に最初からライがいなかったのだろう?
何故間違えなど起きたのか?
その理由を知ることになったのは……
俺はミュゼが領地へ行ってからは乳母と侍女達に世話を頼みながらも、夜はライと眠るようにしていた。
仕事がある俺が唯一一緒にいられる時間だから。
「ミュゼ、育てる気になったのか?」
おれはミュゼの母性に期待をした。
「違います、わたしと離縁して貴方には新しい妻を娶っていただきたいと思って話に来ました。わたしはこのまま実家に帰ろうと思います」
愕然とした。本当のことを伝えようか?
だがやっと精神が落ち着いたところだ。
またライ(ジョセフ)を思い出して、マーカスのところへ押しかけようとしたら?ライを捨てようとしたら?
「駄目だ!君と離縁するつもりはない。この赤ん坊を君が育てるんだ!屋敷からは出さない!」
俺は思わずミュゼの腕を掴んでしまっていた。
「きゃっ」
そしてミュゼをベッドに押し倒した。隣にはライがまだスヤスヤと寝ていた。
そんなベッドの上で、俺はミュゼに激しくキスをした。
「いやぁ、やめて」
ミュゼの両手を押さえ込んでいたのに身体中を使って暴れて抵抗した。
「ずっと我慢していたんだ、君を離さない」
ミュゼの服のボタンを両手で一気に外した。
下着も破り開かれた胸を無理矢理揉み始めた。
「お願い、やめて、こんなことしないで!」
「ミュゼはわかっていない、俺がどんな気持ちなのかなんて」
「わかっていないのは貴方でしょう?隣で眠っている赤ん坊の母親を愛してるのでしょう?わたしの体に触れないで!気持ち悪い!」
俺はピタッと乱暴なことをするのをやめた。
ミュゼは俺を突き飛ばして、ベッドから立ち上がり扉の方へといった。
「俺が気持ち悪い?」
俺は自分の顔を手で覆った。
そして震える声で…
「……絶対に離縁はしない、君がこの子を育てるんだ!育てなければこの子は死ぬ。屋敷の者は誰もこの子の面倒はみない、君が何もしなければ死ぬしかない」
そうい言うと無理矢理ミュゼにライを渡した。
「い、いやよ、なんで?わたしは子供なんて育てたことがない、どうして貴方が他所で産ませた子供を育てさせようとするの?」
「これは命令だ、この赤ん坊を殺すのも生かすのも君次第だ」
ミュゼは呆然として赤ん坊を抱いて部屋を出た。
ーーーーー
本当はこんなこと言いたかったわけではない。
ミュゼの子供なんだ。二人で大事に育てよう。
なぜ言えない?
俺は狡い。
ミュゼを先に疑って責めたのは俺だ。
ミュゼはライ(ジョセフ)を大事に育てた。なのにこの子はお前の子ではないと言われ取り上げられて本当の息子はこの子だと言われて突然我が子を育てることになった。
そこにミュゼの気持ちはついていけなかった。
我が子が可愛くないわけではない。それ以上に最初の子に愛情を注いでいたから。だから全てを忘れてしまったのだろう。
だったら俺は裏切った最低の旦那になるしかなかった。ミュゼにとってはどちらも辛いだろうが俺は真実を知らせるよりも浮気亭主でいるほうがマシだと思った。
それでもミュゼが離縁するという言葉だけはどうしても許せなかった。
もう一度俺の子を孕めばいい。
俺は何度もミュゼを抱いた。
愛してるんだ、君だけなんだ。
俺はそう思いながら離縁だけはしない。
そう言いながら俺に触られるのを嫌がるミュゼを抱き続けた。
屋敷の者達には緘口令を敷いた。
ライには関わらないこと。手を出さないこと。
もちろん噂話は一切禁止した。
もしそんなことをすればすぐに紹介状なしで追い出すことを告げた。
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だからこそもう二度とミュゼには聞かせたくない。噂話などこの屋敷では必要ない。
少しずつミュゼのライへの接する態度が変わっていった。
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だが俺に対しては拒絶しかなかった。
自分が間違えてしまったことはわかっている。ミュゼに浮気をしていたと思わせてよその子供だと思わせて、これがミュゼを守ることになるなんて思っていない。
でもどうすればよかった?
何故俺たちの元に最初からライがいなかったのだろう?
何故間違えなど起きたのか?
その理由を知ることになったのは……
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