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第23話
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「うん、まあ、ライアンがいまだに君を探しているよ」
「そうですか……もう離縁して6年も経つのにわたしを探してどうしたいのでしょう」
わたしはお母様とはサラ伯母様を通して連絡だけは取っている。
もちろんお父様には知られないようにしていた。
でも一年前アンナがジョージ様と結婚したので、わたしの居場所をアンナから探ろうとしている。
そこに何故ライアンが?
もしかしたらウランを跡取りとして引き取るためにわたしの居場所を探しているのかしら?
わたしはお母様にわたしとライアンの離縁をしたことは確かめたし、ウランの親権もわたしが持っていることもきちんと確かめた。
彼がわたしに会う必要はないはず。
まあ、一度もウランに会わせていないという酷いことはしているけど、彼がわたしにしたことを考えれば仕方がないこと。
もう彼に引っ掻き回されるのは嫌。
わたしはウランと二人で慎ましくも幸せな今の生活がとても大事だ。
そんな幸せなある日、わたしが仕事をしていると学校から連絡が来た。
ウランが倒れたと。
「ウランが?」
わたしは急いで学校に向かおうとしたが、連絡をくれた先生が
「ウラン君はかなりひどい状態なので病院へ運びました」
「ひどい?」
「はい、高熱が出ていて身体中が痛いと訴えていました、とにかくそのままにしておける状況ではないので、病院へ連れて行っています」
「い、急いで向かいます」
わたしは、職場のみんなに頭を下げて
「ごめんなさい、行ってもいいですか?」
返事も聞かずに飛び出した。
この国は先進国でかなり発達しているので車も走っている。
わたしは職場の人から車に乗せてもらいウランのもとへ急いだ。
国立病院。
広大な敷地に立つ病院は、この国で一番、医師も技術も揃っている。
ここで治らない病気はもう他所では治療することは出来ないと言われるほどの大病院だ。
「どうしてウランがこんな大きな病院に運ばれているの?」
わたしは廊下でずっと待たされた。
一緒について来てくれたジョージ様がわたしに
「大丈夫、ウランはただの熱だよ」
と、気休めに慰めてくれた。
それから数時間会うことは許されなかった。
「お母様ですね、ウラン君に会ってあげてください」
「ウラン?」
ウランはベッドでぐったりとして寝ていた。
わたしはウランの頬をそっと触った。
ウランが目を覚ましてはいけない、少しでも寝かせてあげないと。
わたしはそばでずっと見守るしかなかった。
かなり熱が高い。
息も荒く苦しそうにしている。
すると背後から
「お母様ですね、お話があります」
と、先生から声をかけられた。
他の部屋でジョージ様も付き添って話を聞くことになった。
「まだ詳しく調べないといけませんが、ウラン君は白血病の疑いがあります」
「白血病?」
わたしは何を言われたのかよくわからなかった。
何を言っているの?
確かに最近ウランは疲れ早く寝てしまっていた。
体が痛いと言っていたので病院に行ったら、成長痛だろうと言われた。
今育ち盛りだから骨痛が起きているのだと言われた。
それからの日々はわたしにとって地獄だった。
ウランの症状は良くならない。
検査の日々で、ウランの病名はやはり白血病。
この国の医療技術なら助かるかもしれないと言われた。
でもそのためにはかなり高額な治療費が必要になる。
わたしがウランのために貯めたお金だけでは到底足りない。
「僕たちもお金のことは加勢するから心配するな」
ジョージ様が言ってくれたけど、それに甘えることはできない。
これからウランのためにお金はいくらあっても足りない。
サラ伯母様に手紙を書いた。
伯母様やお母様が援助してくれた。
でも隠れて助けて貰えるお金はやはり多くはない。
これでは数回の治療費で消えてしまう。
それで治るのならいいのだけどそんな簡単に治ることはない。
わたしがお父様に会いに行き頭を下げない限り、これ以上のお金を集めることは難しい。
そんな時、商会の会頭であるロバート様が仕事でワルシャイナ王国に数ヶ月ぶりに来た。
「ミシェル、聞いたぞ、ウランが白血病だって?……話がしたい……ちょっとこっちでいいか?」
誰にも聞かれたくない話のようだ。
わたしは、ロバート様の執務室に入った。
「これは人にはあまり言ってないんだが、うちの妻は精霊の加護を受けているんだ」
「加護?精霊?」
「君のいた国は精霊とか信じられていなかったか……」
わたしはこくりと頷いた。
おとぎ話を聞いているみたいだった。
「まあ、信じられないだろうけど、癒しと緑の加護を受けていて、薬師でもあるんだ。妻の作る薬ならウランはもしかしたら…いや必ず助かるはずだ。
ただ妻は国でも珍しい加護持ちで、この国に来るのは難しいんだ。だからウランがもし体調が落ち着いていれば、我が家にしばらく来ないか?
うちの妻がウランの症状をみて薬を作ってくれると思うんだ」
わたしは半信半疑だったが、もし治るのならどんなことでも試したかった。
それにお父様に頭を下げないで済むかもしれないと少しだけ思ってしまった。
もうお父様に振り回される人生なんて過ごしたくない。特にウランのこれからの人生をお父様の思う通りに動かされたくはない。
「ご迷惑でなければお願いします、わたしはウランを何があっても助けたいと思っています」
そしてウランの体調をみつつ、薬で少し落ち着いたひと月後にモーリス国へと向かった。
ロバート様の屋敷は、いや、お家はとても可愛らしい普通の家だった。
世界を渡り歩くロバート商会の会頭であり、ワルシャイナ王国の王弟(これ知っている人は少ないのだけどわたしは仕事上知ることができた)が、平民のお金持ちの家よりも小さい家に住んでいたので驚いた。
「ミシェル、驚いた顔をしているな。まあ、色々あって妻がこの家が気に入っていて、引っ越したくないらしい。一応本邸もあるから君たちはそこにしばらく住んでもらうつもりだ」
わたしはロバート様の話にとりあえず頷いたがよくわからなかった。
たぶん奥様は少し変わった方なのかなと思いつつ、家の中に通された。
そこにはウランと変わらないくらいの男の子が小さな女の子を抱っこしてわたし達をみていた。
「いらっしやい、疲れたでしょう?ウラン君はすぐに横になったほうがいいから僕のベッドに案内するよ」
そう言って案内してくれた男の子は8歳でセルマ君と名乗った。
女の子はリリーちゃん、もうすぐ2歳。
二人は義兄妹らしい。
ウランは長旅でぐったりしていて、遠慮せず甘えさせてもらうことにした。
「ママは今急いでこちらに帰って来ているから、もう少しここで待っていてください」
セルマ君は、ウランに温かい薬湯を渡して
「これは君の体を楽にしてくれるから、苦いけど我慢して飲んでね、その後リンゴジュースをあげるからね」
そう言ってそばにいるわたしにもわかるくらいの薬草の匂いをさせた薬湯を、ウランは鼻をつまみながらなんとか飲んだ。
「うっ……これ……本当に苦いし不味い……」
顔を顰めっ面にしながらも、セルマ君とロバート様の手前なんとか頑張って飲んだ。
「ウラン君頑張ったね、じゃあご褒美のリンゴジュースも飲んで」
ウランはリンゴジュースを一気飲みした。
「はあ、辛かった」
ウランの呟きにみんなクスクス笑った。
そしてウランも一緒に笑った。
ウランのことでこんな風に笑ったのは何ヶ月ぶりだろう。
いつもウランの顔色だけをみてビクビクする生活に慣れてしまって、いつもの明るいウランの顔を忘れてしまっていた。
ウランがまずい薬を飲んだり美味しいジュースを飲んだりする、子供らしい表情を見て、わたし自身も笑顔すら失くしていたことに気がついた。
いつも悲しそうな不幸な顔をウランに見せていた。
ウランが一番キツくて辛いのに。
「そうですか……もう離縁して6年も経つのにわたしを探してどうしたいのでしょう」
わたしはお母様とはサラ伯母様を通して連絡だけは取っている。
もちろんお父様には知られないようにしていた。
でも一年前アンナがジョージ様と結婚したので、わたしの居場所をアンナから探ろうとしている。
そこに何故ライアンが?
もしかしたらウランを跡取りとして引き取るためにわたしの居場所を探しているのかしら?
わたしはお母様にわたしとライアンの離縁をしたことは確かめたし、ウランの親権もわたしが持っていることもきちんと確かめた。
彼がわたしに会う必要はないはず。
まあ、一度もウランに会わせていないという酷いことはしているけど、彼がわたしにしたことを考えれば仕方がないこと。
もう彼に引っ掻き回されるのは嫌。
わたしはウランと二人で慎ましくも幸せな今の生活がとても大事だ。
そんな幸せなある日、わたしが仕事をしていると学校から連絡が来た。
ウランが倒れたと。
「ウランが?」
わたしは急いで学校に向かおうとしたが、連絡をくれた先生が
「ウラン君はかなりひどい状態なので病院へ運びました」
「ひどい?」
「はい、高熱が出ていて身体中が痛いと訴えていました、とにかくそのままにしておける状況ではないので、病院へ連れて行っています」
「い、急いで向かいます」
わたしは、職場のみんなに頭を下げて
「ごめんなさい、行ってもいいですか?」
返事も聞かずに飛び出した。
この国は先進国でかなり発達しているので車も走っている。
わたしは職場の人から車に乗せてもらいウランのもとへ急いだ。
国立病院。
広大な敷地に立つ病院は、この国で一番、医師も技術も揃っている。
ここで治らない病気はもう他所では治療することは出来ないと言われるほどの大病院だ。
「どうしてウランがこんな大きな病院に運ばれているの?」
わたしは廊下でずっと待たされた。
一緒について来てくれたジョージ様がわたしに
「大丈夫、ウランはただの熱だよ」
と、気休めに慰めてくれた。
それから数時間会うことは許されなかった。
「お母様ですね、ウラン君に会ってあげてください」
「ウラン?」
ウランはベッドでぐったりとして寝ていた。
わたしはウランの頬をそっと触った。
ウランが目を覚ましてはいけない、少しでも寝かせてあげないと。
わたしはそばでずっと見守るしかなかった。
かなり熱が高い。
息も荒く苦しそうにしている。
すると背後から
「お母様ですね、お話があります」
と、先生から声をかけられた。
他の部屋でジョージ様も付き添って話を聞くことになった。
「まだ詳しく調べないといけませんが、ウラン君は白血病の疑いがあります」
「白血病?」
わたしは何を言われたのかよくわからなかった。
何を言っているの?
確かに最近ウランは疲れ早く寝てしまっていた。
体が痛いと言っていたので病院に行ったら、成長痛だろうと言われた。
今育ち盛りだから骨痛が起きているのだと言われた。
それからの日々はわたしにとって地獄だった。
ウランの症状は良くならない。
検査の日々で、ウランの病名はやはり白血病。
この国の医療技術なら助かるかもしれないと言われた。
でもそのためにはかなり高額な治療費が必要になる。
わたしがウランのために貯めたお金だけでは到底足りない。
「僕たちもお金のことは加勢するから心配するな」
ジョージ様が言ってくれたけど、それに甘えることはできない。
これからウランのためにお金はいくらあっても足りない。
サラ伯母様に手紙を書いた。
伯母様やお母様が援助してくれた。
でも隠れて助けて貰えるお金はやはり多くはない。
これでは数回の治療費で消えてしまう。
それで治るのならいいのだけどそんな簡単に治ることはない。
わたしがお父様に会いに行き頭を下げない限り、これ以上のお金を集めることは難しい。
そんな時、商会の会頭であるロバート様が仕事でワルシャイナ王国に数ヶ月ぶりに来た。
「ミシェル、聞いたぞ、ウランが白血病だって?……話がしたい……ちょっとこっちでいいか?」
誰にも聞かれたくない話のようだ。
わたしは、ロバート様の執務室に入った。
「これは人にはあまり言ってないんだが、うちの妻は精霊の加護を受けているんだ」
「加護?精霊?」
「君のいた国は精霊とか信じられていなかったか……」
わたしはこくりと頷いた。
おとぎ話を聞いているみたいだった。
「まあ、信じられないだろうけど、癒しと緑の加護を受けていて、薬師でもあるんだ。妻の作る薬ならウランはもしかしたら…いや必ず助かるはずだ。
ただ妻は国でも珍しい加護持ちで、この国に来るのは難しいんだ。だからウランがもし体調が落ち着いていれば、我が家にしばらく来ないか?
うちの妻がウランの症状をみて薬を作ってくれると思うんだ」
わたしは半信半疑だったが、もし治るのならどんなことでも試したかった。
それにお父様に頭を下げないで済むかもしれないと少しだけ思ってしまった。
もうお父様に振り回される人生なんて過ごしたくない。特にウランのこれからの人生をお父様の思う通りに動かされたくはない。
「ご迷惑でなければお願いします、わたしはウランを何があっても助けたいと思っています」
そしてウランの体調をみつつ、薬で少し落ち着いたひと月後にモーリス国へと向かった。
ロバート様の屋敷は、いや、お家はとても可愛らしい普通の家だった。
世界を渡り歩くロバート商会の会頭であり、ワルシャイナ王国の王弟(これ知っている人は少ないのだけどわたしは仕事上知ることができた)が、平民のお金持ちの家よりも小さい家に住んでいたので驚いた。
「ミシェル、驚いた顔をしているな。まあ、色々あって妻がこの家が気に入っていて、引っ越したくないらしい。一応本邸もあるから君たちはそこにしばらく住んでもらうつもりだ」
わたしはロバート様の話にとりあえず頷いたがよくわからなかった。
たぶん奥様は少し変わった方なのかなと思いつつ、家の中に通された。
そこにはウランと変わらないくらいの男の子が小さな女の子を抱っこしてわたし達をみていた。
「いらっしやい、疲れたでしょう?ウラン君はすぐに横になったほうがいいから僕のベッドに案内するよ」
そう言って案内してくれた男の子は8歳でセルマ君と名乗った。
女の子はリリーちゃん、もうすぐ2歳。
二人は義兄妹らしい。
ウランは長旅でぐったりしていて、遠慮せず甘えさせてもらうことにした。
「ママは今急いでこちらに帰って来ているから、もう少しここで待っていてください」
セルマ君は、ウランに温かい薬湯を渡して
「これは君の体を楽にしてくれるから、苦いけど我慢して飲んでね、その後リンゴジュースをあげるからね」
そう言ってそばにいるわたしにもわかるくらいの薬草の匂いをさせた薬湯を、ウランは鼻をつまみながらなんとか飲んだ。
「うっ……これ……本当に苦いし不味い……」
顔を顰めっ面にしながらも、セルマ君とロバート様の手前なんとか頑張って飲んだ。
「ウラン君頑張ったね、じゃあご褒美のリンゴジュースも飲んで」
ウランはリンゴジュースを一気飲みした。
「はあ、辛かった」
ウランの呟きにみんなクスクス笑った。
そしてウランも一緒に笑った。
ウランのことでこんな風に笑ったのは何ヶ月ぶりだろう。
いつもウランの顔色だけをみてビクビクする生活に慣れてしまって、いつもの明るいウランの顔を忘れてしまっていた。
ウランがまずい薬を飲んだり美味しいジュースを飲んだりする、子供らしい表情を見て、わたし自身も笑顔すら失くしていたことに気がついた。
いつも悲しそうな不幸な顔をウランに見せていた。
ウランが一番キツくて辛いのに。
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