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第18話
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わたしと殿下が会えるようにお父様が手配をしてくれた。
わたしは久しぶりに王宮へお父様と共に向かった。
ウランはアンナと共にお母様が見てくれている。
ヴァリスのところに居候させてもらっていたけど、お父様がわたし達を屋敷に連れて帰ると言って、来たその日には実家に帰ることになった。
「ミシェル、ウランともっと一緒に遊びたかったわ」
ヴァリスはまだ子どもがいないのでウランの面倒をみるのが楽しみだった。
「またいつでもおいで」
ヴァリスの旦那様もウランとの別れを名残惜しそうにしていた。
「二人ともありがとう、落ち着いたらお邪魔させてください」
◇ ◇ ◇
殿下との謁見は、今回きちんと正式に行われた。
いつもなら友人として殿下のプライベートな時間にみんなで集まって会うのがわたしにとっては普通のことだった。
もうこれからはそんな甘えは許されなくなる。
少し寂しい気持ちはある。
いつも生徒会メンバーに助けられ、過ごしてきた学生生活。
わたしにとっては気心知れている大切な友人だった。
でもわたしはライアンと別れてもウランとは別れることはできない。
部屋に入ってきた殿下の姿を見てわたしとお父様は立ち上がり挨拶をした。
「ミシェル、久しぶりだね」
「王太子殿下にご挨拶申し上げます」
わたしは他人行儀かも知れないけどきちんと挨拶をした。
「座って話そうか」
殿下の言葉にわたし達は頭を上げて「失礼致します」と言ってから席に座った。
「ミシェル、返事を聞こう」
「はい、わたしは……お断りさせて頂きたいと…思っております」
「何故?君はこの国で一番幸せになれると思わない?」
「………わたしは主人と離縁することになるかも知れません。それでもウランを手放すことはできません。離縁しても主人に引き渡すなど到底できません………それに殿下はわたしの大切な友人です」
「……ふうん、友人…か……そうだね、僕はミシェルの良き友人だった。でも僕はずっと君を愛していたんだ」
殿下のわたしを見る顔がとても辛そうでわたしは目を合わせることが出来なかった。
「………すみません、わたしは殿下の優しさに甘えていました。ずっと……友人でいられるのだと思っていました」
「そうだね、僕が君を欲することがなければ友人として過ごせたと思う。……君に愛妾として過ごすように命令したら君は従うかい?」
「殿下……わたしは、ずるいかも知れませんがこの国から逃げます、ウランを置いて殿下と過ごすことはありません」
「………もういいよ、帰って」
「殿下……」
わたしは殿下の目を見た。
殿下は寂しげにわたしを見つめていたけど、わたしと目が合うと、学生の頃のあのいつもの優しい殿下の顔に戻っていた。
「ミシェル、僕は君に幸せになって欲しかった、出来れば僕が幸せにしてあげたかった」
「……ありがとうございます…殿下の優しさがいつもわたしにとって温かくて居心地の良いものでした」
失ってやっと気がついた。
わたしは学生の時、ライアンに傷つけられて殿下達の元へいつも逃げていた。
わたしもまた殿下を心の中で慕っていたのだ。
甘えられる大切な存在として。ライアンへの愛とは違う穏やかで優しい存在として。
ライアンと婚約解消していれば、結婚してもウランが生まれていなければ、わたしは殿下との人生を選んでいただろう。
でもわたしにはウランがいる。
この子を捨てて自分の幸せだけを選ぶなんてあり得ない。
「失礼致します」
わたしは一言も発しなかったお父様に見守られていたのだと気がついた。
お父様は殿下に向かって、ずっと頭を下げていた。
「ジョーカー侯爵、頭を上げて……ミシェル僕は君との友人関係を終わらせるつもりはないよ、また生徒会メンバーで会おう」
「よろしいのですか?」
わたしは殿下の優しさにまた甘えていいのだろうか?
「もちろんだよ」
「ありがとうございます」
わたしの目から涙が頬に流れ落ちた。
わたしは久しぶりに王宮へお父様と共に向かった。
ウランはアンナと共にお母様が見てくれている。
ヴァリスのところに居候させてもらっていたけど、お父様がわたし達を屋敷に連れて帰ると言って、来たその日には実家に帰ることになった。
「ミシェル、ウランともっと一緒に遊びたかったわ」
ヴァリスはまだ子どもがいないのでウランの面倒をみるのが楽しみだった。
「またいつでもおいで」
ヴァリスの旦那様もウランとの別れを名残惜しそうにしていた。
「二人ともありがとう、落ち着いたらお邪魔させてください」
◇ ◇ ◇
殿下との謁見は、今回きちんと正式に行われた。
いつもなら友人として殿下のプライベートな時間にみんなで集まって会うのがわたしにとっては普通のことだった。
もうこれからはそんな甘えは許されなくなる。
少し寂しい気持ちはある。
いつも生徒会メンバーに助けられ、過ごしてきた学生生活。
わたしにとっては気心知れている大切な友人だった。
でもわたしはライアンと別れてもウランとは別れることはできない。
部屋に入ってきた殿下の姿を見てわたしとお父様は立ち上がり挨拶をした。
「ミシェル、久しぶりだね」
「王太子殿下にご挨拶申し上げます」
わたしは他人行儀かも知れないけどきちんと挨拶をした。
「座って話そうか」
殿下の言葉にわたし達は頭を上げて「失礼致します」と言ってから席に座った。
「ミシェル、返事を聞こう」
「はい、わたしは……お断りさせて頂きたいと…思っております」
「何故?君はこの国で一番幸せになれると思わない?」
「………わたしは主人と離縁することになるかも知れません。それでもウランを手放すことはできません。離縁しても主人に引き渡すなど到底できません………それに殿下はわたしの大切な友人です」
「……ふうん、友人…か……そうだね、僕はミシェルの良き友人だった。でも僕はずっと君を愛していたんだ」
殿下のわたしを見る顔がとても辛そうでわたしは目を合わせることが出来なかった。
「………すみません、わたしは殿下の優しさに甘えていました。ずっと……友人でいられるのだと思っていました」
「そうだね、僕が君を欲することがなければ友人として過ごせたと思う。……君に愛妾として過ごすように命令したら君は従うかい?」
「殿下……わたしは、ずるいかも知れませんがこの国から逃げます、ウランを置いて殿下と過ごすことはありません」
「………もういいよ、帰って」
「殿下……」
わたしは殿下の目を見た。
殿下は寂しげにわたしを見つめていたけど、わたしと目が合うと、学生の頃のあのいつもの優しい殿下の顔に戻っていた。
「ミシェル、僕は君に幸せになって欲しかった、出来れば僕が幸せにしてあげたかった」
「……ありがとうございます…殿下の優しさがいつもわたしにとって温かくて居心地の良いものでした」
失ってやっと気がついた。
わたしは学生の時、ライアンに傷つけられて殿下達の元へいつも逃げていた。
わたしもまた殿下を心の中で慕っていたのだ。
甘えられる大切な存在として。ライアンへの愛とは違う穏やかで優しい存在として。
ライアンと婚約解消していれば、結婚してもウランが生まれていなければ、わたしは殿下との人生を選んでいただろう。
でもわたしにはウランがいる。
この子を捨てて自分の幸せだけを選ぶなんてあり得ない。
「失礼致します」
わたしは一言も発しなかったお父様に見守られていたのだと気がついた。
お父様は殿下に向かって、ずっと頭を下げていた。
「ジョーカー侯爵、頭を上げて……ミシェル僕は君との友人関係を終わらせるつもりはないよ、また生徒会メンバーで会おう」
「よろしいのですか?」
わたしは殿下の優しさにまた甘えていいのだろうか?
「もちろんだよ」
「ありがとうございます」
わたしの目から涙が頬に流れ落ちた。
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