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第16話 ※ライアン編⑧
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こちらの話、少しだけR18です。
お気をつけください。
─── ──── ─── ────
「もう諦めるのも一つの案だと思うわ。流石にミシェルは殿下と結ばれた方が幸せだと思ってしまうの」
「嫌です。僕はずっとミシェルを愛しています」
ミシェルの母上に頭を下げて俺は彼女の行き先を聞いた。
「ライアンはミシェルの行き先すら心当たりはないのね。あのこの友人関係をご存知?」
「僕が知っているのは生徒会メンバーだけです」
悔しいがそれ以外の事を覚えていない。
いや、そこしか目に入らなかった。
ミシェルが心を許し笑い合う生徒会のメンバー達。
あの笑顔が僕に向けられることがないのを分かっていながら、ずっと欲してきた。
自分が捨てたミシェルの笑顔。
どんなに後悔してももう遅いのか……
「ライアンがミシェルを愛していると言っても、あの子のことを何も理解していないのでは、もう一度やり直しても無理だと思うわ、はっきり言ってやめた方がいいわ、諦めなさい」
僕は呆然として何も言い返せなかった。
「ミシェルが何処にいるかは何となくわかっているわ、でも貴方が探すことが出来なければそれまでね、ミシェルから弁護士がくるのでしょう?
その時は黙って離縁状にサインしてあげてちょうだい」
僕は項垂れたまま、黙って帰るしかなかった。
ミシェルのことを理解していない。
確かにそうだけど。
学園にいる時もルシアから離れることなく引っ付いていて、ミシェルの生徒会メンバーとの仲の良さに嫉妬するだけだった。
態とに彼女にルシアとの仲を見せびらかせていた。彼女が悲しそうにする姿が心地よかった。
まだ僕を好きなんだと確認できた。
そして卒業してルシアの家の罪を暴き断罪して、プラード公爵からの横槍もなくなり、我が家の憂いを取り除けて、やっとミシェルと幸せな家庭を築けると勝手に思い込んでいた。
だけど僕の態度は最初から間違えていた。
ルシアに対して近づきすぎていたんだ。
ミシェルの心はもう僕にはなかった。
結婚式もしないでいいと言い出した時は驚いた。
一応形だけでもと、親しい人たちを招いて簡単な結婚式は挙げたが、それからの結婚生活は寂しいものだった。
僕自身、彼女の淡々とした態度に苛立ち、冷たい態度をとった。
ルシアのことを何か言われたらとつい敏感になっていたのもあるし、自分の後ろめたさからミシェルの顔を見ることが出来なくなっていた。
全て言い訳なんだけど。
それでも僕は彼女に焦がれていた。
初めてミシェルを抱いた時、僕自身も全てが初めての経験だった。
ルシアには何があってもキスすらしなかった。
ルシアは何度か僕に言い寄ってきたが、それだけは避けてきた。
僕はミシェルを愛していた。どんなに魅力的なルシアの態度にも靡くことはなかった。
気持ちがルシアに惹かれた時もある。それでもルシアに誘われても抱きたいとは思わなかった。
抱きたいと思っていたのはミシェルだけ。
ミシェルだから欲したのだ。
体も心もそしてあの笑顔も。
ミシェルは夜の閨だけは拒否をすることはなかった。
政略結婚には世継ぎを産むことも含まれていたから。
ミシェルの柔らかい体を僕は堪能する。
ベッドの彼女はとても美しい。
両乳房を手で揉みながら口でさらに堪能した。
「……あっ……うっ…」
深い口づけを繰り返しながら、僕の左手は胸を、右手は秘めやかな部分を愛撫する。
彼女の声も体も僕の全身を煽った。
僕はいつもミシェルを無我夢中で抱いた。
「愛している」その一言を言えず、彼女が「いや」と言えないように蕩けさせる。
毎晩僕は身も心もミシェルに夢中になる。
彼女が抱き潰されて毎晩崩れ落ちるまで抱く。
そして寝てしまったミシェルの体を綺麗にして僕はミシェルを抱き抱えて早朝まで寝るのだ。
ミシェルが起きてしまう前に僕はそっそり彼女の部屋を出て行く。
本当は朝まで一緒に迎えたい。だが彼女の顔を見るのが怖かった。
僕を見る冷たい目が、愛していないと感じてしまう目が怖くて僕は逃げる狡い奴なんだ。
お気をつけください。
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「もう諦めるのも一つの案だと思うわ。流石にミシェルは殿下と結ばれた方が幸せだと思ってしまうの」
「嫌です。僕はずっとミシェルを愛しています」
ミシェルの母上に頭を下げて俺は彼女の行き先を聞いた。
「ライアンはミシェルの行き先すら心当たりはないのね。あのこの友人関係をご存知?」
「僕が知っているのは生徒会メンバーだけです」
悔しいがそれ以外の事を覚えていない。
いや、そこしか目に入らなかった。
ミシェルが心を許し笑い合う生徒会のメンバー達。
あの笑顔が僕に向けられることがないのを分かっていながら、ずっと欲してきた。
自分が捨てたミシェルの笑顔。
どんなに後悔してももう遅いのか……
「ライアンがミシェルを愛していると言っても、あの子のことを何も理解していないのでは、もう一度やり直しても無理だと思うわ、はっきり言ってやめた方がいいわ、諦めなさい」
僕は呆然として何も言い返せなかった。
「ミシェルが何処にいるかは何となくわかっているわ、でも貴方が探すことが出来なければそれまでね、ミシェルから弁護士がくるのでしょう?
その時は黙って離縁状にサインしてあげてちょうだい」
僕は項垂れたまま、黙って帰るしかなかった。
ミシェルのことを理解していない。
確かにそうだけど。
学園にいる時もルシアから離れることなく引っ付いていて、ミシェルの生徒会メンバーとの仲の良さに嫉妬するだけだった。
態とに彼女にルシアとの仲を見せびらかせていた。彼女が悲しそうにする姿が心地よかった。
まだ僕を好きなんだと確認できた。
そして卒業してルシアの家の罪を暴き断罪して、プラード公爵からの横槍もなくなり、我が家の憂いを取り除けて、やっとミシェルと幸せな家庭を築けると勝手に思い込んでいた。
だけど僕の態度は最初から間違えていた。
ルシアに対して近づきすぎていたんだ。
ミシェルの心はもう僕にはなかった。
結婚式もしないでいいと言い出した時は驚いた。
一応形だけでもと、親しい人たちを招いて簡単な結婚式は挙げたが、それからの結婚生活は寂しいものだった。
僕自身、彼女の淡々とした態度に苛立ち、冷たい態度をとった。
ルシアのことを何か言われたらとつい敏感になっていたのもあるし、自分の後ろめたさからミシェルの顔を見ることが出来なくなっていた。
全て言い訳なんだけど。
それでも僕は彼女に焦がれていた。
初めてミシェルを抱いた時、僕自身も全てが初めての経験だった。
ルシアには何があってもキスすらしなかった。
ルシアは何度か僕に言い寄ってきたが、それだけは避けてきた。
僕はミシェルを愛していた。どんなに魅力的なルシアの態度にも靡くことはなかった。
気持ちがルシアに惹かれた時もある。それでもルシアに誘われても抱きたいとは思わなかった。
抱きたいと思っていたのはミシェルだけ。
ミシェルだから欲したのだ。
体も心もそしてあの笑顔も。
ミシェルは夜の閨だけは拒否をすることはなかった。
政略結婚には世継ぎを産むことも含まれていたから。
ミシェルの柔らかい体を僕は堪能する。
ベッドの彼女はとても美しい。
両乳房を手で揉みながら口でさらに堪能した。
「……あっ……うっ…」
深い口づけを繰り返しながら、僕の左手は胸を、右手は秘めやかな部分を愛撫する。
彼女の声も体も僕の全身を煽った。
僕はいつもミシェルを無我夢中で抱いた。
「愛している」その一言を言えず、彼女が「いや」と言えないように蕩けさせる。
毎晩僕は身も心もミシェルに夢中になる。
彼女が抱き潰されて毎晩崩れ落ちるまで抱く。
そして寝てしまったミシェルの体を綺麗にして僕はミシェルを抱き抱えて早朝まで寝るのだ。
ミシェルが起きてしまう前に僕はそっそり彼女の部屋を出て行く。
本当は朝まで一緒に迎えたい。だが彼女の顔を見るのが怖かった。
僕を見る冷たい目が、愛していないと感じてしまう目が怖くて僕は逃げる狡い奴なんだ。
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