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二つの世界が交わる時。
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「………わかった…」
セフィルはもうそれ以上何も言わなかった。
サイロが代わりに口を開いた。
「お嬢、あんたは何ふざけたこと言ってるんだ?」
「だって……サイロが死んじゃった時悲しくて辛くて胸が張り裂けそうだった………サイロがいなくなってからの世界は真っ暗だった……」
「俺にとってあなたはずっと守るべき人で、あなたの幸せだけを願って来たんです……その幸せの中に俺はいません」
「………いいの、だって……もう終わった恋なのにセフィルに嘘ついて受け入れるなんてできないもの」
ーーセフィルとわたくしの気持ちは一度も交わることはなかった。
すれ違ったままだったの。お互い好きだったなんて……遅すぎたの。
「サイロがわたくしの気持ちを受け入れる必要はないわ。あなたがわたくしを妹のようにしかみていないこともわかってるの……ただ……思い出したの。サイロが亡くなってわたくしも長い眠りについてそのまま意識を取り戻さず死んでしまったことを……なのに……まだ生きてる……以前とは違うこの世界で…わたくしはまだ生きているの…そこにサイロが生きていてくれることが嬉しいの」
「………記憶があるんですか?」
「最近夢を見て…なんとなく違和感を感じたり頭の中に違う自分の感情が流れて来たりして……よくわからなくて戸惑っていたの」
わたくしはサイロの目を見た。
「さっき、思い出したの。わたくしのせいでセフィルにこれ以上犠牲になってほしくない。彼にはまだ新しい人生があるの……わたくしが治療薬で治るかわからないのに、彼を犠牲にはできない……それにわたくしの本当の気持ちはもうセフィルにはない…の……」
サイロは何も返事をしなかった。
それでもいいと思った。わたくしの命は助かるかわからない。そんな状況で彼に愛されても虚しいだけ。
ううん、妹としか思えないとはっきりと言われたわ。自分の気持ちに気がついたら失恋するなんて……でもねサイロが生きている。
それでもう十分だわ。
初めて自分の気持ちを相手に伝えられた。
お父様がわたくしを手放してくれた。使い物にならないとやっとわかってくれた。
「ふーっ………」
疲れた……体も心も……
食欲もなくウトウトと眠っていたら誰かが部屋に入って来た。
ーー誰かしら?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……あーー、スヤスヤと眠ってる……お嬢がまさか思い出すなんて……」
髪をくしゃっとむしった。
「わたしは全く記憶はありませんがブロア様は覚えているのですね。お二人には愛とは違うかもしれないけど強い絆があるのでしょう」
エイリヒはサイロの顔を見て苦笑した。サイロの顔がなんとも言えない顔をしたから。
「サイロ、もう少しで薬ができそうです。君が助言してくれたおかげです、あとは薬を飲んでブロア様の胸にできている痣が消えてくれることを願うだけです」
先生は疲れ切った顔をなのに、満足そうな顔をしていた。
「お嬢が救われれば俺はそれでいいんです」
「ブロア様の愛の告白は流されるんですか?」
「お嬢は俺に依存して生きてきたんです。俺しかそばに居なかったから。それを愛と勘違いしてるんですよ」
サイロは静かに眠るブロアの顔を見ていた。
その顔はどう見ても愛しかないのに。二人は隣にいてそう思った。
「そうですか……ブロア様もサイロに告白するだけで満足だったみたいですから二人の関係はこのままで主従関係が続くのでしょう」
「ブロア様がお元気になられたら、彼女はもうあの父親からのしがらみから抜け出して、あとは幸せになるだけです。その時あなたは……彼女を手放さないといけないかもしれません。彼女に恋人ができれば平民の彼女のそばにあなたがいるのはおかしいでしょう?」
「………俺は……お嬢が幸せになってくれるならそれだけで十分なんです」
「そこにあなたはいなくていいのですか?」
「俺は…………」
お嬢が完成した治療薬を飲んだ。
しかし前回と同じまた眠りについてしまった。ただ静かに眠るだけ。
眠り姫のように……
くそっ!すぐに治る訳ではなかった!
セフィル様はアリーゼ国へ戻られ今も騎士団で働いている。リリアンナ様と婚約……なんてことはなかった。
ただいずれは実家のために政略結婚をすることになるだろう。
貴族なんて所詮実家の駒でしかない。
親に言われた相手と愛のない結婚をする。多少は拒否権もあるが特に相手がいなければそのまま受け入れることが多い。
そんな中、お嬢とセフィル様の婚約はお互いが好き合っていての婚約だった。
あの公爵様は親として最低で最悪だ。
しかし今思えば、あの人はお嬢の想い人を敢えて婚約者として選んだのかもしれない。
主治医である先生に治療薬の研究をさせていたのもお嬢の体を定期的に診てもらっていたのもあの人なりの娘への愛情があったからでは?
今ならそんな風に思える。
あの人は娘を嫌いながらも、セフィル様と結婚にこだわったのもお嬢のためだったのかもしれない。
ただお嬢の余命があと僅かだと知った時淡々として見えたが、手を握りしめて震えていたのを俺は見逃さなかった。
どんなに捨てたと言っていても無意識に娘のための行動をしていた?
まぁ、胸の内は本人しかわからないけど。
それにあの人を許すつもりもないし、お嬢が目を覚ましても教えるつもりはない。
俺にとってお嬢は妹だ。
ずっとそう思ってそばに居た。いつも周りに気を遣い、努力を惜しまないお嬢。優しくて可愛い、俺の愛するご主人様だ。
お嬢、早く目を覚ましてくれよ。
ああ、そう言えばカイラン様が突然この屋敷に来られたんだ。
公爵様が宰相の地位をおりたらしい。
そしてカイラン様に公爵の地位を譲って今は遠い領地で暮らしているんだと。
横暴過ぎた仕事のやり方に是非を問われ、部下たちから追及されたらしい。そして陛下が宰相を辞めさせることにしたと言っていた。
公爵様はそれを受けて、公爵の地位もカイラン様に譲り王都を追われて寂しい片田舎の領地で暮らしていると聞いた。
カイラン様はお嬢が病気になったことや父親に捨てられたことを後に聞かされたが、公爵家を引き継ぐためにバタバタしていて、やっと会いに来られたと言っていた。
だけど、エイリヒ様のところに毎月多額の生活費を送ってくれていた。
お嬢は、それなりにお金は用意していたが流石に数年も眠り続ければ底をつくだろう。
そこは助かった。
俺じゃあ、そこまでのお金稼げないからな。
ウエラはエイリヒ様の屋敷でメイドとして働いてるよ。最近恋人ができたらしい。
ヨゼフもエイリヒ様のところで庭師として働いてる。
先生もしっかり主治医としてこの屋敷で過ごしている。
みんなお嬢の近くにいる。
俺もエイリヒ商会で護衛騎士として雇われてる。
ミリナ様も13歳になって今は学校に通ってる。最近はお洒落に目覚めたらしい。
お嬢が『綺麗になったわね』と笑顔で言いそうだ。
俺もいい加減いい歳になったよ。まぁ、男爵家の三男じゃ、誰も嫁に来ないからのんびり目覚めるの待ってやるよ。
お嬢、前回のようにそのまま死ぬなんて許さねえよ。
俺は生きてるんだ。前回とは違う。
まだまだ報告しないといけないことはいっぱいあるんだ。
なぁ、お嬢、もしも、もしも、あんたが、まだ、俺でもいいって言うんなら、俺の嫁にならないか……?
あんたも行き遅れになったし、相手もいないんじゃ可哀想だからな。俺しか貰ってやる奴いないだろう?
貴族の暮らしはさせてやれない。平民の普通の暮らししかさせてやれないけど、幸せにはしてやれる。
妹のはずのお嬢、幸せになってほしい。ずっとそう願ってた。俺の手で幸せにするなんて考えたことはなかった。
いつも思っていたのは、お嬢が誰かに幸せにしてもらう姿だった。そこに俺はいなかった。
でも、俺馬鹿だから、俺がお嬢を幸せにしてやりたいなんて考えたらいけないと思ってた。
だけど………本当は………
…………俺が幸せにしてやりたい。
なぁ、早く目覚めてくれよ。
『サイロ、愛しているの、あなたを……』
お嬢は目覚めなかった。やっぱり亡くなってしまった。運命は変えられなかった。ならば俺も………俺はお嬢の元へ会いに行く。
早く伝えないと………
『ブロア………愛してる』と…………
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
番外編も終わりました。
お付き合いありがとうございました。
皆様のご感想ありがとうございました。
セフィルはもうそれ以上何も言わなかった。
サイロが代わりに口を開いた。
「お嬢、あんたは何ふざけたこと言ってるんだ?」
「だって……サイロが死んじゃった時悲しくて辛くて胸が張り裂けそうだった………サイロがいなくなってからの世界は真っ暗だった……」
「俺にとってあなたはずっと守るべき人で、あなたの幸せだけを願って来たんです……その幸せの中に俺はいません」
「………いいの、だって……もう終わった恋なのにセフィルに嘘ついて受け入れるなんてできないもの」
ーーセフィルとわたくしの気持ちは一度も交わることはなかった。
すれ違ったままだったの。お互い好きだったなんて……遅すぎたの。
「サイロがわたくしの気持ちを受け入れる必要はないわ。あなたがわたくしを妹のようにしかみていないこともわかってるの……ただ……思い出したの。サイロが亡くなってわたくしも長い眠りについてそのまま意識を取り戻さず死んでしまったことを……なのに……まだ生きてる……以前とは違うこの世界で…わたくしはまだ生きているの…そこにサイロが生きていてくれることが嬉しいの」
「………記憶があるんですか?」
「最近夢を見て…なんとなく違和感を感じたり頭の中に違う自分の感情が流れて来たりして……よくわからなくて戸惑っていたの」
わたくしはサイロの目を見た。
「さっき、思い出したの。わたくしのせいでセフィルにこれ以上犠牲になってほしくない。彼にはまだ新しい人生があるの……わたくしが治療薬で治るかわからないのに、彼を犠牲にはできない……それにわたくしの本当の気持ちはもうセフィルにはない…の……」
サイロは何も返事をしなかった。
それでもいいと思った。わたくしの命は助かるかわからない。そんな状況で彼に愛されても虚しいだけ。
ううん、妹としか思えないとはっきりと言われたわ。自分の気持ちに気がついたら失恋するなんて……でもねサイロが生きている。
それでもう十分だわ。
初めて自分の気持ちを相手に伝えられた。
お父様がわたくしを手放してくれた。使い物にならないとやっとわかってくれた。
「ふーっ………」
疲れた……体も心も……
食欲もなくウトウトと眠っていたら誰かが部屋に入って来た。
ーー誰かしら?
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「……あーー、スヤスヤと眠ってる……お嬢がまさか思い出すなんて……」
髪をくしゃっとむしった。
「わたしは全く記憶はありませんがブロア様は覚えているのですね。お二人には愛とは違うかもしれないけど強い絆があるのでしょう」
エイリヒはサイロの顔を見て苦笑した。サイロの顔がなんとも言えない顔をしたから。
「サイロ、もう少しで薬ができそうです。君が助言してくれたおかげです、あとは薬を飲んでブロア様の胸にできている痣が消えてくれることを願うだけです」
先生は疲れ切った顔をなのに、満足そうな顔をしていた。
「お嬢が救われれば俺はそれでいいんです」
「ブロア様の愛の告白は流されるんですか?」
「お嬢は俺に依存して生きてきたんです。俺しかそばに居なかったから。それを愛と勘違いしてるんですよ」
サイロは静かに眠るブロアの顔を見ていた。
その顔はどう見ても愛しかないのに。二人は隣にいてそう思った。
「そうですか……ブロア様もサイロに告白するだけで満足だったみたいですから二人の関係はこのままで主従関係が続くのでしょう」
「ブロア様がお元気になられたら、彼女はもうあの父親からのしがらみから抜け出して、あとは幸せになるだけです。その時あなたは……彼女を手放さないといけないかもしれません。彼女に恋人ができれば平民の彼女のそばにあなたがいるのはおかしいでしょう?」
「………俺は……お嬢が幸せになってくれるならそれだけで十分なんです」
「そこにあなたはいなくていいのですか?」
「俺は…………」
お嬢が完成した治療薬を飲んだ。
しかし前回と同じまた眠りについてしまった。ただ静かに眠るだけ。
眠り姫のように……
くそっ!すぐに治る訳ではなかった!
セフィル様はアリーゼ国へ戻られ今も騎士団で働いている。リリアンナ様と婚約……なんてことはなかった。
ただいずれは実家のために政略結婚をすることになるだろう。
貴族なんて所詮実家の駒でしかない。
親に言われた相手と愛のない結婚をする。多少は拒否権もあるが特に相手がいなければそのまま受け入れることが多い。
そんな中、お嬢とセフィル様の婚約はお互いが好き合っていての婚約だった。
あの公爵様は親として最低で最悪だ。
しかし今思えば、あの人はお嬢の想い人を敢えて婚約者として選んだのかもしれない。
主治医である先生に治療薬の研究をさせていたのもお嬢の体を定期的に診てもらっていたのもあの人なりの娘への愛情があったからでは?
今ならそんな風に思える。
あの人は娘を嫌いながらも、セフィル様と結婚にこだわったのもお嬢のためだったのかもしれない。
ただお嬢の余命があと僅かだと知った時淡々として見えたが、手を握りしめて震えていたのを俺は見逃さなかった。
どんなに捨てたと言っていても無意識に娘のための行動をしていた?
まぁ、胸の内は本人しかわからないけど。
それにあの人を許すつもりもないし、お嬢が目を覚ましても教えるつもりはない。
俺にとってお嬢は妹だ。
ずっとそう思ってそばに居た。いつも周りに気を遣い、努力を惜しまないお嬢。優しくて可愛い、俺の愛するご主人様だ。
お嬢、早く目を覚ましてくれよ。
ああ、そう言えばカイラン様が突然この屋敷に来られたんだ。
公爵様が宰相の地位をおりたらしい。
そしてカイラン様に公爵の地位を譲って今は遠い領地で暮らしているんだと。
横暴過ぎた仕事のやり方に是非を問われ、部下たちから追及されたらしい。そして陛下が宰相を辞めさせることにしたと言っていた。
公爵様はそれを受けて、公爵の地位もカイラン様に譲り王都を追われて寂しい片田舎の領地で暮らしていると聞いた。
カイラン様はお嬢が病気になったことや父親に捨てられたことを後に聞かされたが、公爵家を引き継ぐためにバタバタしていて、やっと会いに来られたと言っていた。
だけど、エイリヒ様のところに毎月多額の生活費を送ってくれていた。
お嬢は、それなりにお金は用意していたが流石に数年も眠り続ければ底をつくだろう。
そこは助かった。
俺じゃあ、そこまでのお金稼げないからな。
ウエラはエイリヒ様の屋敷でメイドとして働いてるよ。最近恋人ができたらしい。
ヨゼフもエイリヒ様のところで庭師として働いてる。
先生もしっかり主治医としてこの屋敷で過ごしている。
みんなお嬢の近くにいる。
俺もエイリヒ商会で護衛騎士として雇われてる。
ミリナ様も13歳になって今は学校に通ってる。最近はお洒落に目覚めたらしい。
お嬢が『綺麗になったわね』と笑顔で言いそうだ。
俺もいい加減いい歳になったよ。まぁ、男爵家の三男じゃ、誰も嫁に来ないからのんびり目覚めるの待ってやるよ。
お嬢、前回のようにそのまま死ぬなんて許さねえよ。
俺は生きてるんだ。前回とは違う。
まだまだ報告しないといけないことはいっぱいあるんだ。
なぁ、お嬢、もしも、もしも、あんたが、まだ、俺でもいいって言うんなら、俺の嫁にならないか……?
あんたも行き遅れになったし、相手もいないんじゃ可哀想だからな。俺しか貰ってやる奴いないだろう?
貴族の暮らしはさせてやれない。平民の普通の暮らししかさせてやれないけど、幸せにはしてやれる。
妹のはずのお嬢、幸せになってほしい。ずっとそう願ってた。俺の手で幸せにするなんて考えたことはなかった。
いつも思っていたのは、お嬢が誰かに幸せにしてもらう姿だった。そこに俺はいなかった。
でも、俺馬鹿だから、俺がお嬢を幸せにしてやりたいなんて考えたらいけないと思ってた。
だけど………本当は………
…………俺が幸せにしてやりたい。
なぁ、早く目覚めてくれよ。
『サイロ、愛しているの、あなたを……』
お嬢は目覚めなかった。やっぱり亡くなってしまった。運命は変えられなかった。ならば俺も………俺はお嬢の元へ会いに行く。
早く伝えないと………
『ブロア………愛してる』と…………
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追記です
前の投稿で、サイロがすぐ後追いすると読んでいたのに、「サイロは主人公をずっと思い続けるでしょうから」みたいに書いてしまったので、「仮にそのあとずっと生きていたとしても」と付け加えさせて下さい。
本編で、最後にセフィルがミリアと結ばれる的な展開でしたので、セフィルはなんだかんだ言って他の人でも良かったのね…みたいに思ってしまったので、サイロが一途で良いなぁ…と思ってしまったのでした。
色々考えさせられて興味深いお話でした。有難うございました。