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もう一つの世界では……⑦
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「セフィルが………?」
ーーどうしてここに?リリアンナ様と幸せに過ごしているのではなかったの?
「セフィル殿は会ってお話をしたいと仰っております」
「………エイリヒさんにご迷惑をかけてすみません……お忙しいのに私事でお手を煩わせました」
ーー何故セフィルがエイリヒさんのところへ行ったの?
「彼はあなたの体調が悪いことを噂で聞いて知っておりますが、どんな状態かはご存知ありません」
「……そうですか……彼には何も伝えておりません。ただ……『飽きたので婚約解消して欲しい』と言っただけなんです。屋敷を出る時……婚約解消するための書類を弁護士に頼みました。探さないで欲しい、幸せに暮らして欲しいと手紙で伝えました」
「彼は納得していないのでしょう。あなたから一方的に告げられただけみたいですね」
「……納得……」
ーーええ、そうかもしれない。わたくしはもう余生が残りわずかだと思った時に、セフィルを解放して愛する方と幸せになって欲しいと思った……
………彼に自分の病気を告げることも彼を愛することもやめた……
「わたくしは彼に向き合わなければいけないわね」
ポツリとつぶやいたわたくしの言葉にエイリヒさんは「お断りすることもできますよ?」と言ってくれた。
「わたくしは……もう長くない……ならば彼ときちんとサヨナラしないと彼も前へ進めないと思うの」
「わかりました……いつになさいますか?」
「今日のお昼過ぎに……向こうの都合が合えば……」
ーー早く終わらせてしまいましょう。
「了解しました」
エイリヒさんが部屋を出て行った後サイロを呼んだ。
「サイロはセフィルがこの国に来ていることを知っていたの?」
「………正確には知りません。でも……多分……くるだろうとは思っていました」
「……そう……」
「お嬢、昼からお会いになると聞きましたが大丈夫ですか?」
「大丈夫……とは?」
「今の姿をお見せになれば……誤魔化しはきかないと思います」
ーーそうね、こんなに痩せ細って青白い顔をしているもの。
「サイロ……そばにいてくれる?」
「えっ?嫌ですよ」
「どうして……?」
ーーあなたがいてくれたら心強いのに……
「ちゃんと向き合ってください……もうセフィル様から逃げないで。わかってるでしょう?お嬢はこれから病とも向き合って生き抜くんです。俺たちはそう信じています。その先にあなたはセフィル様と幸せになる未来があるんです」
「……未来……あるわけない…じゃない」
ーーもう満足しているわ。みんなに見守られてそれだけで十分幸せなの。
「お嬢、俺たちは希望を捨てていません。最後の一秒まで諦めません。先生は必死で薬を作っています。ミリナ様だってあなたのことを慕ってずっと祈っていますしウエラだって治ると思って必死で看病しています。俺は……悔しいけど何もできず今は無力です……だけど俺はあなたの護衛騎士です。ずっと命をかけてお守りいたします」
サイロの目はとても優しかった。そして聞き取れないほど小さな声で何か呟いた。
「………今度こそ助けます」
「ごめんなさい……みんなが必死なのに……わたくし……」
ーーサイロは諦めないのね。わたくし……生きても……いいの?希望を持っても……いいの?
まだ生きる……諦めていたはずなのに……期待したらいけないと思っていたのに……
サイロがわたくしの手を握った。
「お嬢の手はまだこんなに温かいんです、生きてるんです。セフィル様との未来を夢見てもいいんじゃないですか?」
「……サイロは……わたくしの……未来には…いないの?」
「俺は護衛騎士です。あなたが必要としてくださるなら一生あなたのそばで仕えます」
「………そう」
ーーサイロは……護衛騎士……
どうしてこの言葉に胸が痛むのかしら?
セフィルが来るお昼まで少し時間があったので眠ることにした。
先生の薬のおかげで少し楽になった体……
夢の中でサイロが笑っていた。
いつものように、ニカっと笑い楽しそうにわたくしのそばにいる。
なのに夢は変わり、彼は何故か捕まり牢の中にいた。
お父様に鞭で打たれ大怪我をして……ぐったりとしている。
ーーいや、やめて!
夢の中で必死でわたくしはお父様をとめた。
サイロを助けて!何故そんな酷いことを!
サイロは意識がなくなり……わたくしより先に死んでいった。
嫌だ、サイロ、死なないで!
死ぬのはわたくしだけでいいの。
ごめんなさい、あなたを巻き込んで。
夢の中でどんなに泣き叫んでもサイロは生き返らない。夢なんだからわたくしの思う通りになって!夢なんだから生き返ってよ!
心が壊れてしまいそう……サイロ……
やっと会えたのに。サイロとあんなに離れたことなかったのに。旅をしてる日々、何度サイロがそばにいてくれたらと思ったか……自分から離れておいて……
サイロ、何故わたくしをおいて先に死ぬの?
夢の中でわたくしは……泣き続けた。
ーーどうしてここに?リリアンナ様と幸せに過ごしているのではなかったの?
「セフィル殿は会ってお話をしたいと仰っております」
「………エイリヒさんにご迷惑をかけてすみません……お忙しいのに私事でお手を煩わせました」
ーー何故セフィルがエイリヒさんのところへ行ったの?
「彼はあなたの体調が悪いことを噂で聞いて知っておりますが、どんな状態かはご存知ありません」
「……そうですか……彼には何も伝えておりません。ただ……『飽きたので婚約解消して欲しい』と言っただけなんです。屋敷を出る時……婚約解消するための書類を弁護士に頼みました。探さないで欲しい、幸せに暮らして欲しいと手紙で伝えました」
「彼は納得していないのでしょう。あなたから一方的に告げられただけみたいですね」
「……納得……」
ーーええ、そうかもしれない。わたくしはもう余生が残りわずかだと思った時に、セフィルを解放して愛する方と幸せになって欲しいと思った……
………彼に自分の病気を告げることも彼を愛することもやめた……
「わたくしは彼に向き合わなければいけないわね」
ポツリとつぶやいたわたくしの言葉にエイリヒさんは「お断りすることもできますよ?」と言ってくれた。
「わたくしは……もう長くない……ならば彼ときちんとサヨナラしないと彼も前へ進めないと思うの」
「わかりました……いつになさいますか?」
「今日のお昼過ぎに……向こうの都合が合えば……」
ーー早く終わらせてしまいましょう。
「了解しました」
エイリヒさんが部屋を出て行った後サイロを呼んだ。
「サイロはセフィルがこの国に来ていることを知っていたの?」
「………正確には知りません。でも……多分……くるだろうとは思っていました」
「……そう……」
「お嬢、昼からお会いになると聞きましたが大丈夫ですか?」
「大丈夫……とは?」
「今の姿をお見せになれば……誤魔化しはきかないと思います」
ーーそうね、こんなに痩せ細って青白い顔をしているもの。
「サイロ……そばにいてくれる?」
「えっ?嫌ですよ」
「どうして……?」
ーーあなたがいてくれたら心強いのに……
「ちゃんと向き合ってください……もうセフィル様から逃げないで。わかってるでしょう?お嬢はこれから病とも向き合って生き抜くんです。俺たちはそう信じています。その先にあなたはセフィル様と幸せになる未来があるんです」
「……未来……あるわけない…じゃない」
ーーもう満足しているわ。みんなに見守られてそれだけで十分幸せなの。
「お嬢、俺たちは希望を捨てていません。最後の一秒まで諦めません。先生は必死で薬を作っています。ミリナ様だってあなたのことを慕ってずっと祈っていますしウエラだって治ると思って必死で看病しています。俺は……悔しいけど何もできず今は無力です……だけど俺はあなたの護衛騎士です。ずっと命をかけてお守りいたします」
サイロの目はとても優しかった。そして聞き取れないほど小さな声で何か呟いた。
「………今度こそ助けます」
「ごめんなさい……みんなが必死なのに……わたくし……」
ーーサイロは諦めないのね。わたくし……生きても……いいの?希望を持っても……いいの?
まだ生きる……諦めていたはずなのに……期待したらいけないと思っていたのに……
サイロがわたくしの手を握った。
「お嬢の手はまだこんなに温かいんです、生きてるんです。セフィル様との未来を夢見てもいいんじゃないですか?」
「……サイロは……わたくしの……未来には…いないの?」
「俺は護衛騎士です。あなたが必要としてくださるなら一生あなたのそばで仕えます」
「………そう」
ーーサイロは……護衛騎士……
どうしてこの言葉に胸が痛むのかしら?
セフィルが来るお昼まで少し時間があったので眠ることにした。
先生の薬のおかげで少し楽になった体……
夢の中でサイロが笑っていた。
いつものように、ニカっと笑い楽しそうにわたくしのそばにいる。
なのに夢は変わり、彼は何故か捕まり牢の中にいた。
お父様に鞭で打たれ大怪我をして……ぐったりとしている。
ーーいや、やめて!
夢の中で必死でわたくしはお父様をとめた。
サイロを助けて!何故そんな酷いことを!
サイロは意識がなくなり……わたくしより先に死んでいった。
嫌だ、サイロ、死なないで!
死ぬのはわたくしだけでいいの。
ごめんなさい、あなたを巻き込んで。
夢の中でどんなに泣き叫んでもサイロは生き返らない。夢なんだからわたくしの思う通りになって!夢なんだから生き返ってよ!
心が壊れてしまいそう……サイロ……
やっと会えたのに。サイロとあんなに離れたことなかったのに。旅をしてる日々、何度サイロがそばにいてくれたらと思ったか……自分から離れておいて……
サイロ、何故わたくしをおいて先に死ぬの?
夢の中でわたくしは……泣き続けた。
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