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77話 何故?
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「サイロ、大丈夫だからそこを退いてちょうだい」
震える体をなんとか抑えながら立ちあがろうとした。
このままではサイロが怪我をしてしまう。
もう嫌だ。大切な人たちを傷つけたくない。
「ブロア、俺が行くから。ここに座っていてくれ」
横にいたセフィルがわたくしの肩に優しく手を置くと、座るように促した。
「サイロが………サイロ、お願い……わたくしの声を聞いてちょうだい……そこに立たないで。わたくしはもうどうせ長くはないの……守られてまで生きる必要はないの……」
サイロはゆっくりとわたくしに振り返った。
「お嬢………」
久しぶりにわたくしを『お嬢』と呼んだサイロ。最近はずっとブロア様だったのに……
「俺は………あなたの護衛騎士です………最期まで………お護りします」
「お前達はわたしの言うことを聞いていればいいんだ!どいつもこいつもブロア、ブロア!
この娘はわたしの操り人形なんだ!ブロアが長くない?そんなことはどうでもいい。今目の前で生きているんだ。それを最後まで利用してやる!
くそっ、イライラする。ブロアを見ると腹が立って仕方がない……まるでジェリーヌに責められている気分になる……お前の存在がわたしを苦しめるんだ。いっそいなくなって仕舞えばいい」
お父様は鞭をサイロに打ちつけた。
「やめて!もうやめて!」
わたくしの声はお父様には届かないのが悔しい。全く聞こうともしない。
セフィルはお父様の腕を掴んだ。
「宰相、もうおやめください」
「離せ!お前は不敬罪で捕まりたいのか?誰かセフィルを取り押さえろ!」
アリーゼ国の騎士達は戸惑っていた。
バルン国の騎士達は「あなたの命令をこれ以上聞くつもりはありません」と動こうとしなかった。
「うるさい、無能なお前達がわたしに意見などするな!」
セフィルを鞭で打ち振り払い、わたくしのそばにきたお父様。サイロはお父様を取り押さえようとした。
しかし、お父様がセフィルの剣を奪い取り、わたくしに向けて剣を振り上げた。
ザクッ………
剣がサイロの肩から胸にかけて切り付けられた。
倒れたサイロ……わたくしの顔にサイロの生温かい血が………
「や、やだ………なんで……やだ………誰かサイロを助けて」
「邪魔だ!お前はなんで最後までわたしの前にいるんだ?邪魔をするのか?鬱陶しい、何が護衛騎士だ。ただブロアのそばにいるだけの無能なくせして」
興奮してハアハアと肩で息をするお父様。
騒然となった部屋………
わたくしは「いやぁーーーー」と泣き叫んだ。
その時……
「何があったんだ?」
入ってきたのはアリーゼ国の国王陛下だった。
「なんだ?この有り様は?宰相、気でも狂ったのか?この部屋の血はどうした?お前達、早くこの者を助けなさい!ブロア、大丈夫だ。遅れてすまなかった………宰相を捕えろ!」
「………サイロ………死んじゃ嫌だ……だめだよ……死ぬのはわたくしが先なの……」
何故ここに国王陛下が居るの?
何故サイロはこんな酷い目に遭うの?
何故………
薬が切れたのか……心の中の何かが切れてしまったのか……意識がだんだん遠のいていく………
「………セフィ……ル………サイロ………」
セフィルはわたくしの名を何度も呼んでいる……だけど返事ができない……
セフィル……幸せになってね……
わたくしはサイロと共にゆっくりと過ごすわ……馬鹿言って、笑い合いながら……
愛していたの……セフィルを……だけど、おかしいの……そばにいて当たり前なのはサイロだったの……
サイロがいなくなったらわたくし……
「ブロア?早く医者を呼べ!」
国王陛下の声……久しぶりに聞くわ………
こうしてわたくしは意識を手放した。
震える体をなんとか抑えながら立ちあがろうとした。
このままではサイロが怪我をしてしまう。
もう嫌だ。大切な人たちを傷つけたくない。
「ブロア、俺が行くから。ここに座っていてくれ」
横にいたセフィルがわたくしの肩に優しく手を置くと、座るように促した。
「サイロが………サイロ、お願い……わたくしの声を聞いてちょうだい……そこに立たないで。わたくしはもうどうせ長くはないの……守られてまで生きる必要はないの……」
サイロはゆっくりとわたくしに振り返った。
「お嬢………」
久しぶりにわたくしを『お嬢』と呼んだサイロ。最近はずっとブロア様だったのに……
「俺は………あなたの護衛騎士です………最期まで………お護りします」
「お前達はわたしの言うことを聞いていればいいんだ!どいつもこいつもブロア、ブロア!
この娘はわたしの操り人形なんだ!ブロアが長くない?そんなことはどうでもいい。今目の前で生きているんだ。それを最後まで利用してやる!
くそっ、イライラする。ブロアを見ると腹が立って仕方がない……まるでジェリーヌに責められている気分になる……お前の存在がわたしを苦しめるんだ。いっそいなくなって仕舞えばいい」
お父様は鞭をサイロに打ちつけた。
「やめて!もうやめて!」
わたくしの声はお父様には届かないのが悔しい。全く聞こうともしない。
セフィルはお父様の腕を掴んだ。
「宰相、もうおやめください」
「離せ!お前は不敬罪で捕まりたいのか?誰かセフィルを取り押さえろ!」
アリーゼ国の騎士達は戸惑っていた。
バルン国の騎士達は「あなたの命令をこれ以上聞くつもりはありません」と動こうとしなかった。
「うるさい、無能なお前達がわたしに意見などするな!」
セフィルを鞭で打ち振り払い、わたくしのそばにきたお父様。サイロはお父様を取り押さえようとした。
しかし、お父様がセフィルの剣を奪い取り、わたくしに向けて剣を振り上げた。
ザクッ………
剣がサイロの肩から胸にかけて切り付けられた。
倒れたサイロ……わたくしの顔にサイロの生温かい血が………
「や、やだ………なんで……やだ………誰かサイロを助けて」
「邪魔だ!お前はなんで最後までわたしの前にいるんだ?邪魔をするのか?鬱陶しい、何が護衛騎士だ。ただブロアのそばにいるだけの無能なくせして」
興奮してハアハアと肩で息をするお父様。
騒然となった部屋………
わたくしは「いやぁーーーー」と泣き叫んだ。
その時……
「何があったんだ?」
入ってきたのはアリーゼ国の国王陛下だった。
「なんだ?この有り様は?宰相、気でも狂ったのか?この部屋の血はどうした?お前達、早くこの者を助けなさい!ブロア、大丈夫だ。遅れてすまなかった………宰相を捕えろ!」
「………サイロ………死んじゃ嫌だ……だめだよ……死ぬのはわたくしが先なの……」
何故ここに国王陛下が居るの?
何故サイロはこんな酷い目に遭うの?
何故………
薬が切れたのか……心の中の何かが切れてしまったのか……意識がだんだん遠のいていく………
「………セフィ……ル………サイロ………」
セフィルはわたくしの名を何度も呼んでいる……だけど返事ができない……
セフィル……幸せになってね……
わたくしはサイロと共にゆっくりと過ごすわ……馬鹿言って、笑い合いながら……
愛していたの……セフィルを……だけど、おかしいの……そばにいて当たり前なのはサイロだったの……
サイロがいなくなったらわたくし……
「ブロア?早く医者を呼べ!」
国王陛下の声……久しぶりに聞くわ………
こうしてわたくしは意識を手放した。
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