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70話 セフィル編 12
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宰相の部屋を出て、すぐに仲間の騎士達と合流した。
「ブロアは?今どこにいるのか教えてもらえないか?」
「ブロア様はエイリヒ様の紹介で別荘へお連れしております。ブロア様のお連れの方達も一緒です」
「どんな状態なんだ?」
「かなり弱られていて移動などできる状態ではありません。アリーゼ国に連れて帰ることなど今は無理です」
「やはりそんな状態なのか……宰相はそのことに気がついていないようだが?」
さっきまでの会話にブロアへの心配など全くなかった。早く俺と結婚させようと思ってはいるようだったが、『見つかった』とは言ったが、会ったことは言っていない。
宰相は自分がブロアを見つけ、頬を叩いたことなど忘れてしまっているような会話だった。
他の者達に聞いてもブロアが今体調を崩していることは見てすぐにわかったというのに、父親である宰相にはブロアの姿が見えていないのか?
「俺は宰相に仕事でこの国に来ていると伝えてある。適当にご機嫌を取って話を合わせている。だが宰相が国に戻ればブロアがまだ帰っていないことがわかるだろう。その時あなた達はどうなる?」
「まぁ……クビになるかもしれませんね。しかし、こちらに来ている近衞騎士20人をまとめてクビにするのは難しいと思います。わたし達は近衛騎士なので陛下の直属ですからね、いくら宰相でもそこまではできないと思います」
「いや、あの人ならやりかねない。娘のことも道具としか思っていない。その道具でしかない娘が自分に逆らって屋敷に帰っていないとわかったらあの人は何をしでかすかわからない……何か策を考えた方がいい」
「セフィル殿はブロア様に会われたのですか?」
「まだ会っていない。早く会いたいと思ってはいるが、その前に護衛騎士のサイロを助け出したいんだ。ブロアはとても心配していると思う」
「サイロ……彼は宰相に鞭で打たれて牢に入れられています」
「鞭で?なんでだ?まだ盗んだとは決まっていないはず?ただ持っていただけかもしれないのに盗んだと決めつけるのはおかしいだろう?」
「宰相閣下は、ブロア様に対してはできない暴力を代わりにサイロに向けているのだと思います」
「ブロアに暴力……?もし屋敷に帰ればブロアは宰相に何をされるかわからない?」
「あの場面を見ていた俺達はそう思っています」
「俺は話しか聞いていない。そんなに酷かったのか?」
「ブロア様はとても動ける状態ではなかった。そんなブロア様の頬を叩き怒鳴りつけていたんだ。椅子から転んでも動くことすらできなかった。ブロア様を連れて行った騎士達から話を聞いたが車椅子に乗られていたらしい。歩くこともできなかったんだ」
俺と仲の良い騎士の一人が話してくれた。
「……嘘だろう?」
エイリヒ様はそこまで教えてくれなかった。
何故なんだ?何故、ブロアの今の状態を誰も教えてくれない?
一人疎外感になんとも言えない気持ちになったが、ブロアにリリアンナのことを勘違いされている自分ではブロアを恨むことなんて出来ない。
でもブロアが心配で仕方がなかった。
「俺はサイロを助け出して一刻も早くブロアに会いに行きたい……サイロは犯人ではない。だが宰相の様子を見ているとサイロを牢から出す気はなさそうな気がする……サイロは何か言っているのか?」
「俺たちに守ってほしいと頼んできたよ。自分は牢から出られないと覚悟しているみたいだ」
「サイロは無実なんだろう?この国の騎士達と話し合うことはできないのか?」
「………この国の者達もサイロが無実だとわかっている。ただ、宰相が出さないように圧力をかけているんだ」
「ふざけんな!無実の者に対してなんてことを!」
俺はサイロに会えるようになんとか頼み込んだ。
ブロアの婚約者、宰相の娘婿になるという力をなんとか使うことができた。
やはり先に宰相に面会して機嫌を取っておいてよかった。
宰相は俺が娘婿になることをこの国の騎士達に伝えてくれていたので、サイロとの面会の許可をくれた。
「ブロアは?今どこにいるのか教えてもらえないか?」
「ブロア様はエイリヒ様の紹介で別荘へお連れしております。ブロア様のお連れの方達も一緒です」
「どんな状態なんだ?」
「かなり弱られていて移動などできる状態ではありません。アリーゼ国に連れて帰ることなど今は無理です」
「やはりそんな状態なのか……宰相はそのことに気がついていないようだが?」
さっきまでの会話にブロアへの心配など全くなかった。早く俺と結婚させようと思ってはいるようだったが、『見つかった』とは言ったが、会ったことは言っていない。
宰相は自分がブロアを見つけ、頬を叩いたことなど忘れてしまっているような会話だった。
他の者達に聞いてもブロアが今体調を崩していることは見てすぐにわかったというのに、父親である宰相にはブロアの姿が見えていないのか?
「俺は宰相に仕事でこの国に来ていると伝えてある。適当にご機嫌を取って話を合わせている。だが宰相が国に戻ればブロアがまだ帰っていないことがわかるだろう。その時あなた達はどうなる?」
「まぁ……クビになるかもしれませんね。しかし、こちらに来ている近衞騎士20人をまとめてクビにするのは難しいと思います。わたし達は近衛騎士なので陛下の直属ですからね、いくら宰相でもそこまではできないと思います」
「いや、あの人ならやりかねない。娘のことも道具としか思っていない。その道具でしかない娘が自分に逆らって屋敷に帰っていないとわかったらあの人は何をしでかすかわからない……何か策を考えた方がいい」
「セフィル殿はブロア様に会われたのですか?」
「まだ会っていない。早く会いたいと思ってはいるが、その前に護衛騎士のサイロを助け出したいんだ。ブロアはとても心配していると思う」
「サイロ……彼は宰相に鞭で打たれて牢に入れられています」
「鞭で?なんでだ?まだ盗んだとは決まっていないはず?ただ持っていただけかもしれないのに盗んだと決めつけるのはおかしいだろう?」
「宰相閣下は、ブロア様に対してはできない暴力を代わりにサイロに向けているのだと思います」
「ブロアに暴力……?もし屋敷に帰ればブロアは宰相に何をされるかわからない?」
「あの場面を見ていた俺達はそう思っています」
「俺は話しか聞いていない。そんなに酷かったのか?」
「ブロア様はとても動ける状態ではなかった。そんなブロア様の頬を叩き怒鳴りつけていたんだ。椅子から転んでも動くことすらできなかった。ブロア様を連れて行った騎士達から話を聞いたが車椅子に乗られていたらしい。歩くこともできなかったんだ」
俺と仲の良い騎士の一人が話してくれた。
「……嘘だろう?」
エイリヒ様はそこまで教えてくれなかった。
何故なんだ?何故、ブロアの今の状態を誰も教えてくれない?
一人疎外感になんとも言えない気持ちになったが、ブロアにリリアンナのことを勘違いされている自分ではブロアを恨むことなんて出来ない。
でもブロアが心配で仕方がなかった。
「俺はサイロを助け出して一刻も早くブロアに会いに行きたい……サイロは犯人ではない。だが宰相の様子を見ているとサイロを牢から出す気はなさそうな気がする……サイロは何か言っているのか?」
「俺たちに守ってほしいと頼んできたよ。自分は牢から出られないと覚悟しているみたいだ」
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「………この国の者達もサイロが無実だとわかっている。ただ、宰相が出さないように圧力をかけているんだ」
「ふざけんな!無実の者に対してなんてことを!」
俺はサイロに会えるようになんとか頼み込んだ。
ブロアの婚約者、宰相の娘婿になるという力をなんとか使うことができた。
やはり先に宰相に面会して機嫌を取っておいてよかった。
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