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62話 セフィル編 8
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ブロアの向かった国。
バルン国だとわかり山道をなんとか通れないか伝手を頼って聞いてもらっていた。
この宿は、ブロアも泊まっていた宿。
ブロアが体調を崩しているのではとここの宿屋の主人が語っていた。怪我だけではない?
先を急ぎたい。
だけど、今の俺にすぐに通行許可は下りなかった。ならば夜通し元々あった道を走るしかない。
気持ちだけが常に焦る。
早く、早く。
三日ほど仮眠だけで休むことなく走り続けた。後少し……そう思った時、運悪く俺は熱を出してしまった。
雨の中走り続けたのがまずかった。
仕方なく、ふらふらになりながら宿をとり、熱が下がるのを待った。
宿の主人の娘のマナが俺の世話をしてくれた。
「セフィル様、スープです」
食欲がない俺にスープを運んでくれたり、体を拭いてくれたりと、世話になった。
「忙しいのに世話をしてくれてありがとう。明日にはなんとか出発できそうだよ」
少し体が楽になった時にお礼を言うと、突然マナは服を脱ぎ始めた。
「何をしているんだ?」
「わたし、セフィル様が好きです。お礼はわたしをもらって欲しいのです」
「はっ?」
何度となく令嬢達に誘われたことはある。しかし、流石にこんなことはなかった。
「宿屋の娘なんてみんな簡単に体を開くと思っていますが私は生娘です……初めては好きな人がいいんです」
涙を潤ませて俺を求めてくる。
「やめてくれ!俺には愛する婚約者がいる。君のことをそんな風にみたことはない。世話になったことは感謝する。しかし君を抱きたいなんて思えない」
「……どうしてですか?私じゃだめですか?」
「悪いが今から旅立つことにした」
俺は彼女を振り払い部屋を出た。
「セフィル様!」彼女の声を無視した。
宿屋の主人には、「お前の娘には看病をしてもらい助かった。しかし、あんなことをさせて親としてどうかと思う」と睨みつけて言った。
宿屋の主人は、一瞬固まったが、俺の言葉の意味がわかったようだ。
「も、申し訳ございません……一晩のお情けをいただければ娘も貴方様の愛妾として幸せになれると思いました」
何度も謝ってきた。
娘を貴族の愛妾にして幸せになれる?
そんな訳ないだろう?
不愉快だったが、世話になったことは確かだし感謝はしている。
「娘が大事ならこんなことはやめた方がいい」
俺は礼だけを言って宿屋を出た。
俺が寝込んでいる間、馬の世話をしてくれた宿屋の主人。悪い人ではない、いつでも出発できるように装具もきちんと付けてくれていた。
腹一杯餌を与え、ブラッシングもしてくれていた。
払った金額以上の世話をしてくれたことは馬を見ればわかる。俺に対しても高熱の俺の看病をしてくれた。
しかし、感謝はするがそれ以上の感情は持てなかった。
あと少し……あと少しの距離でブロアのいるバルン国に着く。
そこからエイリヒ商会の当主の屋敷を探し出さなければならない。
寝込んだせいで無駄な数日を過ごしてしまった。ブロアの体調が気になる。
俺はひたすら馬を飛ばした。
そして二日後、バルン国の街へと辿り着いた。すぐに、この街にあるギルドへと顔を出した。
「エイリヒ商会の屋敷の場所が知りたい」
自分の身分証明書を出して、ギルド長に見せた。
「何故?屋敷を知りたいのですか?」
「婚約者が今そちらに世話になっていると聞いたのです。彼女に会いに来ました」
事情まで話すつもりはない。だが、エイリヒ商会は、この国でもかなり力を持っている商会だと聞いていた。
ギルド長は俺のことを怪しんだ。
何かを知っているのだろうか。
何を?
何かがある。
バルン国だとわかり山道をなんとか通れないか伝手を頼って聞いてもらっていた。
この宿は、ブロアも泊まっていた宿。
ブロアが体調を崩しているのではとここの宿屋の主人が語っていた。怪我だけではない?
先を急ぎたい。
だけど、今の俺にすぐに通行許可は下りなかった。ならば夜通し元々あった道を走るしかない。
気持ちだけが常に焦る。
早く、早く。
三日ほど仮眠だけで休むことなく走り続けた。後少し……そう思った時、運悪く俺は熱を出してしまった。
雨の中走り続けたのがまずかった。
仕方なく、ふらふらになりながら宿をとり、熱が下がるのを待った。
宿の主人の娘のマナが俺の世話をしてくれた。
「セフィル様、スープです」
食欲がない俺にスープを運んでくれたり、体を拭いてくれたりと、世話になった。
「忙しいのに世話をしてくれてありがとう。明日にはなんとか出発できそうだよ」
少し体が楽になった時にお礼を言うと、突然マナは服を脱ぎ始めた。
「何をしているんだ?」
「わたし、セフィル様が好きです。お礼はわたしをもらって欲しいのです」
「はっ?」
何度となく令嬢達に誘われたことはある。しかし、流石にこんなことはなかった。
「宿屋の娘なんてみんな簡単に体を開くと思っていますが私は生娘です……初めては好きな人がいいんです」
涙を潤ませて俺を求めてくる。
「やめてくれ!俺には愛する婚約者がいる。君のことをそんな風にみたことはない。世話になったことは感謝する。しかし君を抱きたいなんて思えない」
「……どうしてですか?私じゃだめですか?」
「悪いが今から旅立つことにした」
俺は彼女を振り払い部屋を出た。
「セフィル様!」彼女の声を無視した。
宿屋の主人には、「お前の娘には看病をしてもらい助かった。しかし、あんなことをさせて親としてどうかと思う」と睨みつけて言った。
宿屋の主人は、一瞬固まったが、俺の言葉の意味がわかったようだ。
「も、申し訳ございません……一晩のお情けをいただければ娘も貴方様の愛妾として幸せになれると思いました」
何度も謝ってきた。
娘を貴族の愛妾にして幸せになれる?
そんな訳ないだろう?
不愉快だったが、世話になったことは確かだし感謝はしている。
「娘が大事ならこんなことはやめた方がいい」
俺は礼だけを言って宿屋を出た。
俺が寝込んでいる間、馬の世話をしてくれた宿屋の主人。悪い人ではない、いつでも出発できるように装具もきちんと付けてくれていた。
腹一杯餌を与え、ブラッシングもしてくれていた。
払った金額以上の世話をしてくれたことは馬を見ればわかる。俺に対しても高熱の俺の看病をしてくれた。
しかし、感謝はするがそれ以上の感情は持てなかった。
あと少し……あと少しの距離でブロアのいるバルン国に着く。
そこからエイリヒ商会の当主の屋敷を探し出さなければならない。
寝込んだせいで無駄な数日を過ごしてしまった。ブロアの体調が気になる。
俺はひたすら馬を飛ばした。
そして二日後、バルン国の街へと辿り着いた。すぐに、この街にあるギルドへと顔を出した。
「エイリヒ商会の屋敷の場所が知りたい」
自分の身分証明書を出して、ギルド長に見せた。
「何故?屋敷を知りたいのですか?」
「婚約者が今そちらに世話になっていると聞いたのです。彼女に会いに来ました」
事情まで話すつもりはない。だが、エイリヒ商会は、この国でもかなり力を持っている商会だと聞いていた。
ギルド長は俺のことを怪しんだ。
何かを知っているのだろうか。
何を?
何かがある。
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