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19話 セフィル編 2 俺が今出来ること。
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婚約解消なんてあり得ない。
「婚約解消しましょう」と言われて俺は言い返した。
「そんな簡単に婚約解消は出来ない」
ーーなんで?俺のことがそんなに嫌なの?
「セフィル、わたくしは公爵令嬢なのよ?わたくしが解消したいと言えばそれでいいの」
「もう一度お考え直しください」
「婚約解消による慰謝料はあなたの希望の金額を払ってあげるわ。だから心配しないでちょうだい」
ーーお金?俺がそんなものを欲しいと思ってるのか?欲しいのは貴女だけだ。
「お金なんて要りません。理由を教えてください」
「理由?だからあなたに飽きたの。それだけだわ」
ーーよかった、それならなんとかなる。
「好きな人が出来たわけではないのですね?」
「そんな人いないわ!」
ブロアが珍しく大きな声を出した。
「わたくしもう貴方と話すことはないわ。帰らせていただくわ」
ブロアの顔色がとても悪い。体調が悪いのだろうか?それでもこのままここで別れたくはない。そう思った。
「待って。公爵閣下はなんと言ってるんですか?許可は得ているんですか?」
「お父様は……わたくしの気持ちを大切にしてくださるわ。だから大丈夫よ」
ーー嘘だ。公爵閣下はブロアに対してとても冷たい。あの人がそんなこと言うはずがない。
「とにかく今は話し合いにはなりません。ブロア、帰りたいのなら送ります、また後日話しましょう」
ブロアの手を強く握ってみた。
「体調が悪そうですね?」
彼女は小刻みに体が震えていた。倒れそうになっているのをなんとか立っているのだとわかった。
ブロアの体を横抱きにしてそのまま玄関とは反対の部屋へと連れて行くことにした。
「きゃっ!な、何?わたくしは帰ろうと思った………「こんなに体調が悪いのに帰せません。少し休んでから連れて帰ります」
ブロアは驚いて慌てて抵抗した。
「セフィル、おろして。わたくしの体に触れないで。サイロを呼んできてちょうだい」
「何故ですか?俺がそばに居て看病します」
ーーなんでそこまでサイロなんだ!
「結構よ。婚約解消しようとしているのにどうして?優しくしないで」
ブロアは大きな声で「サイロ!」と叫んだ。
少し離れたところで護衛をしているサイロが近寄ってきた。
「お嬢様、どうぞこちらへ」
そう言ってサイロが真面目な顔をして両手をブロアに差し出して来た。
ブロアはサイロに両手を伸ばした。俺は思わず「なんで……」と悔しそうに呟いた。
ブロアを抱き抱えていた力は抜け、サイロに仕方なくブロアを渡した。
サイロはブロアをお姫様抱っこすると「お嬢様、帰ります?」と態と耳元で聞いていた。
「ええ、お願い」
そう言ってサイロの首に手を回しサイロに体を預けたブロア。
俺に振り返ることなく俺の前を去っていった。
そして……二人は馬車に乗り帰って行った。
俺は彼女の騎士になりたくて今まで頑張ってきた。なのに彼女が体調が悪い時にそばにいることも守ることもできない。
サイロが羨ましい。ずっとそばで彼女を守れて。
婚約解消………もしかしてリリアンナと俺の関係を誤解している……とか?
くそっ!早くリリアンナのところへ通うのをやめたい。
ブロアとの婚約が決まる前まで周りは勝手に俺とリリアンナが婚約するだろうと噂をしていた。
確かに伯爵家から婚約の打診は来ていた。
だがずっと断っていた。
ブロアが婚約破棄したと聞いた時、もしかしたら……なんて淡い期待もあった。その時俺はまだ17歳で、やっと周りも婚約をする者が増えてきた頃だった。
リリアンナは確かに妹としては可愛いと思っている。だけどそれだけだ。
初恋を拗らせた俺はずっと騎士になるのを夢見た。そして彼女の隣に立てる男になるため必死で剣と向き合ってきた。
今は彼女だけの騎士になりたい、そしてブロアの隣に立ちたくてーー打算だらけだ。
ただ、何度もリリアンナからの婚約を断ってブロアと婚約してからリリアンナが部屋から出ようとしなくなった。
リリアンナの両親から相談された俺の両親がたまにでいいので、顔だけでも出してやりなさいと言われるようになった。
「婚約者がいるんです。勘違いされたくありません」
俺にとってブロアが何より大事だった。
「仕方がないだろう。お前が来てくれなければ部屋から出ない、食事もしないと駄々をこねて困り果てているらしい。
婚約者がいることはしっかり伝えてある。兄のような気持ちで会いに行ってやりなさい。子供のような娘だ。しばらくすれば落ち着くだろう」
俺は仕方なくたまに顔を出した。
リリアンナはそれからは部屋を出てくるようになった。だけど一年経ってもまだ通わなければいけない。
俺は、ブロアが帰ってから両親にそろそろ結婚をするのだからとリリアンナのところに顔を出すのをやめたいと伝えた。
「セフィル、無理言ってすまなかった。リリアンナ嬢にもやっと婚約者が決まりそうだと聞いた。もう向こうには行かないように断りは入れておくから」
これでリリアンナのところへ通わなくて済む。
ブロアにはリリアンナのことは伝えていなかった。口下手でへんに誤解されたくない。知らないなら言わないほうがいい。
俺はもっと女性の気持ちを考えて行動すればよかったのに……この時は、リリアンナのことを誤解されているとは全く思っていなかった。
「婚約解消しましょう」と言われて俺は言い返した。
「そんな簡単に婚約解消は出来ない」
ーーなんで?俺のことがそんなに嫌なの?
「セフィル、わたくしは公爵令嬢なのよ?わたくしが解消したいと言えばそれでいいの」
「もう一度お考え直しください」
「婚約解消による慰謝料はあなたの希望の金額を払ってあげるわ。だから心配しないでちょうだい」
ーーお金?俺がそんなものを欲しいと思ってるのか?欲しいのは貴女だけだ。
「お金なんて要りません。理由を教えてください」
「理由?だからあなたに飽きたの。それだけだわ」
ーーよかった、それならなんとかなる。
「好きな人が出来たわけではないのですね?」
「そんな人いないわ!」
ブロアが珍しく大きな声を出した。
「わたくしもう貴方と話すことはないわ。帰らせていただくわ」
ブロアの顔色がとても悪い。体調が悪いのだろうか?それでもこのままここで別れたくはない。そう思った。
「待って。公爵閣下はなんと言ってるんですか?許可は得ているんですか?」
「お父様は……わたくしの気持ちを大切にしてくださるわ。だから大丈夫よ」
ーー嘘だ。公爵閣下はブロアに対してとても冷たい。あの人がそんなこと言うはずがない。
「とにかく今は話し合いにはなりません。ブロア、帰りたいのなら送ります、また後日話しましょう」
ブロアの手を強く握ってみた。
「体調が悪そうですね?」
彼女は小刻みに体が震えていた。倒れそうになっているのをなんとか立っているのだとわかった。
ブロアの体を横抱きにしてそのまま玄関とは反対の部屋へと連れて行くことにした。
「きゃっ!な、何?わたくしは帰ろうと思った………「こんなに体調が悪いのに帰せません。少し休んでから連れて帰ります」
ブロアは驚いて慌てて抵抗した。
「セフィル、おろして。わたくしの体に触れないで。サイロを呼んできてちょうだい」
「何故ですか?俺がそばに居て看病します」
ーーなんでそこまでサイロなんだ!
「結構よ。婚約解消しようとしているのにどうして?優しくしないで」
ブロアは大きな声で「サイロ!」と叫んだ。
少し離れたところで護衛をしているサイロが近寄ってきた。
「お嬢様、どうぞこちらへ」
そう言ってサイロが真面目な顔をして両手をブロアに差し出して来た。
ブロアはサイロに両手を伸ばした。俺は思わず「なんで……」と悔しそうに呟いた。
ブロアを抱き抱えていた力は抜け、サイロに仕方なくブロアを渡した。
サイロはブロアをお姫様抱っこすると「お嬢様、帰ります?」と態と耳元で聞いていた。
「ええ、お願い」
そう言ってサイロの首に手を回しサイロに体を預けたブロア。
俺に振り返ることなく俺の前を去っていった。
そして……二人は馬車に乗り帰って行った。
俺は彼女の騎士になりたくて今まで頑張ってきた。なのに彼女が体調が悪い時にそばにいることも守ることもできない。
サイロが羨ましい。ずっとそばで彼女を守れて。
婚約解消………もしかしてリリアンナと俺の関係を誤解している……とか?
くそっ!早くリリアンナのところへ通うのをやめたい。
ブロアとの婚約が決まる前まで周りは勝手に俺とリリアンナが婚約するだろうと噂をしていた。
確かに伯爵家から婚約の打診は来ていた。
だがずっと断っていた。
ブロアが婚約破棄したと聞いた時、もしかしたら……なんて淡い期待もあった。その時俺はまだ17歳で、やっと周りも婚約をする者が増えてきた頃だった。
リリアンナは確かに妹としては可愛いと思っている。だけどそれだけだ。
初恋を拗らせた俺はずっと騎士になるのを夢見た。そして彼女の隣に立てる男になるため必死で剣と向き合ってきた。
今は彼女だけの騎士になりたい、そしてブロアの隣に立ちたくてーー打算だらけだ。
ただ、何度もリリアンナからの婚約を断ってブロアと婚約してからリリアンナが部屋から出ようとしなくなった。
リリアンナの両親から相談された俺の両親がたまにでいいので、顔だけでも出してやりなさいと言われるようになった。
「婚約者がいるんです。勘違いされたくありません」
俺にとってブロアが何より大事だった。
「仕方がないだろう。お前が来てくれなければ部屋から出ない、食事もしないと駄々をこねて困り果てているらしい。
婚約者がいることはしっかり伝えてある。兄のような気持ちで会いに行ってやりなさい。子供のような娘だ。しばらくすれば落ち着くだろう」
俺は仕方なくたまに顔を出した。
リリアンナはそれからは部屋を出てくるようになった。だけど一年経ってもまだ通わなければいけない。
俺は、ブロアが帰ってから両親にそろそろ結婚をするのだからとリリアンナのところに顔を出すのをやめたいと伝えた。
「セフィル、無理言ってすまなかった。リリアンナ嬢にもやっと婚約者が決まりそうだと聞いた。もう向こうには行かないように断りは入れておくから」
これでリリアンナのところへ通わなくて済む。
ブロアにはリリアンナのことは伝えていなかった。口下手でへんに誤解されたくない。知らないなら言わないほうがいい。
俺はもっと女性の気持ちを考えて行動すればよかったのに……この時は、リリアンナのことを誤解されているとは全く思っていなかった。
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