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2話 簡単には受け入れてもらえませんでした。
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「そんな簡単に婚約解消は出来ない」
生真面目な彼の言葉。
「セフィル、わたくしは公爵令嬢なのよ?わたくしが解消したいと言えばそれでいいの」
「もう一度お考え直しください」
「婚約解消による慰謝料はあなたの希望の金額を払ってあげるわ。だから心配しないでちょうだい」
ーー好きな人とそのお金で結婚できるじゃない。
その言葉を口にしたかった。だけどそれはさすがにプライドが許さなかった。
「お金なんて要りません。理由を教えてください」
「理由?だからあなたに飽きたの。それだけだわ」
「好きな人が出来たわけではないのですね?」
「そんな人いないわ!」
思わず大きな声が出た。
好きな人がいるのは貴方でしょう?
わたくしは貴方がリリアンナ様と二人で並んで歩いている姿を見てしまったわ。
何度となくリリアンナ様の屋敷へ通う姿も見たの。
その時のわたくしの気持ちが貴方にわかる?好きな人が、婚約者が、わたくしではない人と寄り添う姿を見てどれだけショックだったか……
だけどわたくしが横恋慕したのよ。天罰がくだったの。
本当は今、立っているのもキツイ。ドレスの中の足は力が弱くなっていて小刻みに震えている。そんな姿をセフィルに気づかれたくない。
「わたくしもう貴方と話すことはないわ。帰らせていただくわ」
今日は彼と月に一度の顔合わせの日。婚約して一年。そろそろ結婚をと話が進み始めていた。だけど今日婚約解消を告げた。
「待って。公爵閣下はなんと言ってるんですか?許可は得ているんですか?」
「お父様は……わたくしの気持ちを大切にしてくださるわ。だから大丈夫よ」
ーー本当はまだ何も伝えていないけど…
「とにかく今は話し合いにはなりません。ブロア、帰りたいのなら送ります、また後日話しましょう」
わたくしの手を強く握る彼。
「体調が悪そうですね?」そう言うとわたくしの体を横抱きにしてそのまま玄関とは反対の部屋へと連れて行こうとした。
「きゃっ!な、何?わたくしは帰ろうと思った………「こんなに体調が悪いのに帰せません。少し休んでから連れて帰ります」
セフィルの逞しい腕はわたくしが抵抗して動いてもびくともしない。恥ずかしいのに、婚約解消して早くセフィルを自由にさせないといけないのに、すぐには納得してくれなかったセフィルに内心嬉しく思ってしまった。
もう時間がないのに……早くセフィルを解放して、この国から去らないといけないのに……
わたくしの余命はあと一年。
死ぬなら大好きな母の故郷で死にたい。母の眠る自然豊かな大地で。たくさんの木々や花に囲まれた場所。
そこで静かに一人で死を迎える。
わたくしの病気のことを知っているのはわたくしだけ。お父様も知らない。
お父様はわたくしに全く関心なんてない。セフィルとの婚約だって打算だけで結ばれたものだもの。
婚約解消の話をお父様にすればわたくしは公爵家を追い出されるかもしれない。それでもいい。だってあとわずかの命なら少しくらい自由に生きてみたい。
なのにセフィルはわたくしを強く抱き抱えて離さない。
わたくしのことなんかちっとも愛していないくせに……
生真面目な彼の言葉。
「セフィル、わたくしは公爵令嬢なのよ?わたくしが解消したいと言えばそれでいいの」
「もう一度お考え直しください」
「婚約解消による慰謝料はあなたの希望の金額を払ってあげるわ。だから心配しないでちょうだい」
ーー好きな人とそのお金で結婚できるじゃない。
その言葉を口にしたかった。だけどそれはさすがにプライドが許さなかった。
「お金なんて要りません。理由を教えてください」
「理由?だからあなたに飽きたの。それだけだわ」
「好きな人が出来たわけではないのですね?」
「そんな人いないわ!」
思わず大きな声が出た。
好きな人がいるのは貴方でしょう?
わたくしは貴方がリリアンナ様と二人で並んで歩いている姿を見てしまったわ。
何度となくリリアンナ様の屋敷へ通う姿も見たの。
その時のわたくしの気持ちが貴方にわかる?好きな人が、婚約者が、わたくしではない人と寄り添う姿を見てどれだけショックだったか……
だけどわたくしが横恋慕したのよ。天罰がくだったの。
本当は今、立っているのもキツイ。ドレスの中の足は力が弱くなっていて小刻みに震えている。そんな姿をセフィルに気づかれたくない。
「わたくしもう貴方と話すことはないわ。帰らせていただくわ」
今日は彼と月に一度の顔合わせの日。婚約して一年。そろそろ結婚をと話が進み始めていた。だけど今日婚約解消を告げた。
「待って。公爵閣下はなんと言ってるんですか?許可は得ているんですか?」
「お父様は……わたくしの気持ちを大切にしてくださるわ。だから大丈夫よ」
ーー本当はまだ何も伝えていないけど…
「とにかく今は話し合いにはなりません。ブロア、帰りたいのなら送ります、また後日話しましょう」
わたくしの手を強く握る彼。
「体調が悪そうですね?」そう言うとわたくしの体を横抱きにしてそのまま玄関とは反対の部屋へと連れて行こうとした。
「きゃっ!な、何?わたくしは帰ろうと思った………「こんなに体調が悪いのに帰せません。少し休んでから連れて帰ります」
セフィルの逞しい腕はわたくしが抵抗して動いてもびくともしない。恥ずかしいのに、婚約解消して早くセフィルを自由にさせないといけないのに、すぐには納得してくれなかったセフィルに内心嬉しく思ってしまった。
もう時間がないのに……早くセフィルを解放して、この国から去らないといけないのに……
わたくしの余命はあと一年。
死ぬなら大好きな母の故郷で死にたい。母の眠る自然豊かな大地で。たくさんの木々や花に囲まれた場所。
そこで静かに一人で死を迎える。
わたくしの病気のことを知っているのはわたくしだけ。お父様も知らない。
お父様はわたくしに全く関心なんてない。セフィルとの婚約だって打算だけで結ばれたものだもの。
婚約解消の話をお父様にすればわたくしは公爵家を追い出されるかもしれない。それでもいい。だってあとわずかの命なら少しくらい自由に生きてみたい。
なのにセフィルはわたくしを強く抱き抱えて離さない。
わたくしのことなんかちっとも愛していないくせに……
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