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24話
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お茶会の当日。
俺はシェリーナをエスコートした。
ふと思い出したのはカリクシードの最後だった。あいつはどんなふうに死んだんだろう?
衰弱死?それとも自死?
俺はあいつを、あいつの最愛の妹のマリーナと愛妾のクリシアの遺体と共に地下牢へ入れた。二度と外に出られないようにして。その後のことは知らない。
あいつは最後は後悔して確かに王として心を入れ替えてまた頑張ろうとしていた。
だが俺はあいつが幸せになる未来を潰した。
ジュリエットを不幸にした男を、幸せな王様になんてさせたくはなかった。
苦しんで苦しんで最後は絶望の中で死んでいくのがお似合いだ。
この世で一番大切な二人と共に死ねばいい。俺はジュリエットとあの世で暮らすから。
あの時俺は傲慢にそう思ったし、それを実行した。
だがなぜなんだ。
俺とジュリエットが生まれ変わったのは良しとする。
だがそこにカリクシードまで。くそっ、あの男は俺のことを恨んでいる。前世の記憶もしっかりある。
それに今回は俺の方が立場が弱い。
王命と言われれば公爵家の息子でしかない俺には逆らえない。
だから何がなんでもシェリーナを嫁にすることにした。
シェリーナはうんと首を縦には振らなかったが、もうすでに入籍は済ませた。
どうしてもシェリーナが俺との結婚は嫌だと言われれば白い結婚を理由に白紙に戻すつもりだ。
それまでシェリーナに手を出すつもりはない。
そうしなければカリクシードが、いやエドウィン殿下が俺からシェリーナを奪い去るのが目に見えている。
記憶がある俺と殿下。シェリーナには全く記憶はないみたいだ。だけど、エドウィン殿下を本能で恐れている。
そばにいればわかる。エドウィン殿下の名を出すだけでビクッとするシェリーナ。
そんな状態のシェリーナをあんな奴にだけは渡さない。
両親を納得させるのにエドウィン殿下とマリアンナ殿下のことを何度も話した。
あの二人が俺とシェリーナと、それぞれ婚約しようと画策している証言も王城内の使用人達からこっそりと聞くことができた。
それは父と母が力を持っていていろんなところに人脈があるおかげだった。
思っていたとおりお茶会には俺とシェリーナしか呼ばれていなかった。
そして父である国王にシェリーナを会わせるように計画していることもわかった。
さらにマリアンナ殿下は媚薬を手に入れていた。
そんなに強いものではないらしいが、やはり俺が飲めばどうなっていただろう。
俺に飲ませて無理やり体の関係を先に作ってしまうつもりらしい。
王女のくせに、乱れてきっている。俺は女は嫌いだ。派手な化粧や香水の匂いも嫌いだし、胸を強調したドレスや宝石をこれでもかとつけている姿もうんざりする。
その象徴がマリアンナ殿下だ。さらに男に甘えて媚を売る。
自分はこの国で一番高貴で一番美しいと思い込んでいる女。
うんざりする。
誰が好きでもない女なんて抱くもんか。
俺がキスをするのも抱くのもシェリーナだけだ。前世からの拗らせたシェリーナへの想いは簡単には終われない、いや終わる気なんてない。
シェリーナにどんなに振られようと今回は諦めない。諦めてジュリエットの幸せを願ったのにカリクシードはジュリエットを不幸に陥れた。
だから今回は俺がシェリーナを幸せにする。
父上には一番お前が辛い思いをさせただろう、と突っ込まれたが、だからこそもうそんな想いは二度とさせない。
エスコートするシェリーナはとても可愛らしかった。
華美な飾りのないシンプルなドレス、素顔も美しいので化粧は薄らとしていた。
髪から匂う甘い香りは香水臭さなんてなくて、髪につけている香油からの匂いでシェリーナらしい優しい匂いだった。
着飾らないシェリーナなのにみんなが振り返るほど美しい。
俺は隣にいて誇らしくもあり、心の中では『俺のシェリーナを勝手に見るな!』と毒吐いていた。
「ケイン様?どうかなさいました?」
俺の眉根が寄って不機嫌な顔をしているのに気付かれてシェリーナが俺の顔を窺っていた。
「うん?今日は少し周りからの視線がうるさいなと思ったんだ」
「それは仕方ありませんわ」
シェリーナが楽しそうに笑う。
ーー仕方ないとは?
俺はそう聞きたいのに、シェリーナのさっきまで緊張していた顔から強張っていた力が抜けて、少しだけいつもの笑顔に戻ったので思わず見惚れていた。
笑うだけでも可愛らしいシェリーナ。
「ケイン様があまりにもカッコよくてみんな振り返ってるんですよ」
楽しそうに周りを見てクスクス笑うシェリーナ。
ーー違う!みんなシェリーナの美しい姿に見惚れているんだ。どこの令嬢なのだろうと気になっているんだ。
俺の顔は貴族の中では知られている。だけどシェリーナは田舎に引き篭もっていたのでまだ顔も名前も知られていない。
みんなシェリーナに興味津々なのが手に取るようにわかる。
笑う顔すら可愛らしい。
それを俺はシェリーナに気づかれないように周囲へ威嚇していた。
俺はどれだけシェリーナに拗らせているんだろう。自分でも自覚するくらいシェリーナの前では優しい公爵令息を演じている。たぶん。
本当は今すぐでも抱きかかえてこんな場所から連れ出したい。
エドウィン殿下にこの美しい姿をほんの少しでも目に映させたくない。
だけどそれをグッと堪えた。
「シェリーナ、今から殿下お二人に会うんだけど、いいかい。あの二人の話は本気にしたらダメだ。全て俺の言葉が、それだけが真実だから。俺はシェリーナだけを愛してる。それだけは忘れないで」
俺はシェリーナの耳元で「愛してる」と告げた。
俺はシェリーナをエスコートした。
ふと思い出したのはカリクシードの最後だった。あいつはどんなふうに死んだんだろう?
衰弱死?それとも自死?
俺はあいつを、あいつの最愛の妹のマリーナと愛妾のクリシアの遺体と共に地下牢へ入れた。二度と外に出られないようにして。その後のことは知らない。
あいつは最後は後悔して確かに王として心を入れ替えてまた頑張ろうとしていた。
だが俺はあいつが幸せになる未来を潰した。
ジュリエットを不幸にした男を、幸せな王様になんてさせたくはなかった。
苦しんで苦しんで最後は絶望の中で死んでいくのがお似合いだ。
この世で一番大切な二人と共に死ねばいい。俺はジュリエットとあの世で暮らすから。
あの時俺は傲慢にそう思ったし、それを実行した。
だがなぜなんだ。
俺とジュリエットが生まれ変わったのは良しとする。
だがそこにカリクシードまで。くそっ、あの男は俺のことを恨んでいる。前世の記憶もしっかりある。
それに今回は俺の方が立場が弱い。
王命と言われれば公爵家の息子でしかない俺には逆らえない。
だから何がなんでもシェリーナを嫁にすることにした。
シェリーナはうんと首を縦には振らなかったが、もうすでに入籍は済ませた。
どうしてもシェリーナが俺との結婚は嫌だと言われれば白い結婚を理由に白紙に戻すつもりだ。
それまでシェリーナに手を出すつもりはない。
そうしなければカリクシードが、いやエドウィン殿下が俺からシェリーナを奪い去るのが目に見えている。
記憶がある俺と殿下。シェリーナには全く記憶はないみたいだ。だけど、エドウィン殿下を本能で恐れている。
そばにいればわかる。エドウィン殿下の名を出すだけでビクッとするシェリーナ。
そんな状態のシェリーナをあんな奴にだけは渡さない。
両親を納得させるのにエドウィン殿下とマリアンナ殿下のことを何度も話した。
あの二人が俺とシェリーナと、それぞれ婚約しようと画策している証言も王城内の使用人達からこっそりと聞くことができた。
それは父と母が力を持っていていろんなところに人脈があるおかげだった。
思っていたとおりお茶会には俺とシェリーナしか呼ばれていなかった。
そして父である国王にシェリーナを会わせるように計画していることもわかった。
さらにマリアンナ殿下は媚薬を手に入れていた。
そんなに強いものではないらしいが、やはり俺が飲めばどうなっていただろう。
俺に飲ませて無理やり体の関係を先に作ってしまうつもりらしい。
王女のくせに、乱れてきっている。俺は女は嫌いだ。派手な化粧や香水の匂いも嫌いだし、胸を強調したドレスや宝石をこれでもかとつけている姿もうんざりする。
その象徴がマリアンナ殿下だ。さらに男に甘えて媚を売る。
自分はこの国で一番高貴で一番美しいと思い込んでいる女。
うんざりする。
誰が好きでもない女なんて抱くもんか。
俺がキスをするのも抱くのもシェリーナだけだ。前世からの拗らせたシェリーナへの想いは簡単には終われない、いや終わる気なんてない。
シェリーナにどんなに振られようと今回は諦めない。諦めてジュリエットの幸せを願ったのにカリクシードはジュリエットを不幸に陥れた。
だから今回は俺がシェリーナを幸せにする。
父上には一番お前が辛い思いをさせただろう、と突っ込まれたが、だからこそもうそんな想いは二度とさせない。
エスコートするシェリーナはとても可愛らしかった。
華美な飾りのないシンプルなドレス、素顔も美しいので化粧は薄らとしていた。
髪から匂う甘い香りは香水臭さなんてなくて、髪につけている香油からの匂いでシェリーナらしい優しい匂いだった。
着飾らないシェリーナなのにみんなが振り返るほど美しい。
俺は隣にいて誇らしくもあり、心の中では『俺のシェリーナを勝手に見るな!』と毒吐いていた。
「ケイン様?どうかなさいました?」
俺の眉根が寄って不機嫌な顔をしているのに気付かれてシェリーナが俺の顔を窺っていた。
「うん?今日は少し周りからの視線がうるさいなと思ったんだ」
「それは仕方ありませんわ」
シェリーナが楽しそうに笑う。
ーー仕方ないとは?
俺はそう聞きたいのに、シェリーナのさっきまで緊張していた顔から強張っていた力が抜けて、少しだけいつもの笑顔に戻ったので思わず見惚れていた。
笑うだけでも可愛らしいシェリーナ。
「ケイン様があまりにもカッコよくてみんな振り返ってるんですよ」
楽しそうに周りを見てクスクス笑うシェリーナ。
ーー違う!みんなシェリーナの美しい姿に見惚れているんだ。どこの令嬢なのだろうと気になっているんだ。
俺の顔は貴族の中では知られている。だけどシェリーナは田舎に引き篭もっていたのでまだ顔も名前も知られていない。
みんなシェリーナに興味津々なのが手に取るようにわかる。
笑う顔すら可愛らしい。
それを俺はシェリーナに気づかれないように周囲へ威嚇していた。
俺はどれだけシェリーナに拗らせているんだろう。自分でも自覚するくらいシェリーナの前では優しい公爵令息を演じている。たぶん。
本当は今すぐでも抱きかかえてこんな場所から連れ出したい。
エドウィン殿下にこの美しい姿をほんの少しでも目に映させたくない。
だけどそれをグッと堪えた。
「シェリーナ、今から殿下お二人に会うんだけど、いいかい。あの二人の話は本気にしたらダメだ。全て俺の言葉が、それだけが真実だから。俺はシェリーナだけを愛してる。それだけは忘れないで」
俺はシェリーナの耳元で「愛してる」と告げた。
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