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21話 シェリーナは。
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体調が落ちつきとりあえず王都での用事を済ませることにした。
ひと月と決め、その中だけでお付き合いは出席する。
残りのお茶会やパーティーは領地へ帰らなければならなくなったと言い訳をして断りを入れた。
ただ帰る間際に両殿下からのお茶会の誘いがわたしとケイン様にきてしまった。
これは流石に断りを入れることができなくて二人で参加することになった。
気が重い。
ついでに言えば屋敷で過ごすのも最近はなんとも言えない憂鬱な気持ちになる。
使用人達は必死でわたしのご機嫌を窺いながら接してくる。
まるでわたしが意地悪で癇癪持ちのように一言言うたびにビクッとされる。
もちろん何もしていないわ。
8年前の噂が今頃再燃したような気がする。ここに来てすぐはそんなことなかったのに。
多分ケイン様がわたしを異常に大切にしてくれるので、周りもそれに見習ってとても丁寧に接してくれる。
あの頃と真逆すぎてなんとも言えない気分になってしまう。
久しぶりに庭園でゆっくりとお茶を飲みながら本を読むことにした。
周りの目が気になって屋敷にいるよりも外でゆっくりする方が気が楽になっている。
「シェリーナ、本を読んでいるんだね?寒くないかい?」
ケイン様が態々膝掛けを持ってやってきた。
今は夏が終わり秋に移り変わる時期なので気候はとても過ごしやすい。
そう、寒いわけではない。
「大丈夫です!ケイン様がそんなことなさらないでください」
わたしの膝に自らの手で膝掛けをかけようとしているのを慌てて止めた。
「シェリーナ、君は体が弱いんだから無理はしないで」
うん、確かに以前は弱かった。それは虐待されて食事もまともにもらえず、あまり外にも出してもらえなかったからだ。ついでに鞭打ちや折檻のおかげで生傷も絶えなかった。
この屋敷に来てからの方がまだ人間として扱ってもらえた。
そして、あの事件以来、領地でのんびりと暮らしていたので体は他の令嬢に比べてとても元気で体力もしっかりついていると思う。
夜会で体調を崩したのは……そう、殿下にお会いしてからだった。
何故なのかしら?
「ケイン様、あまり過保護にならないでください」
わたしが苦笑いをするとケイン様が唇を噛み締めてわたしの顔をじっと見つめた。
「……そうだな、今の君はとても元気そうだ」
そんな話をしているといつの間にか足元にノアがやってきていた。
「ノア、おいで」
わたしがノアを抱っこするとノアはすぐに膝の上に乗って眠り出した。
そんな可愛いノアの毛を優しく撫でながらケイン様に言った。
「ケイン様、わたし、殿下達から招待されたお茶会が終わったら領地へ帰ろうと思っています」
「え?こっちでしばらく学校へ通うんじゃないの?」
実はケイン様には話していなかった。
最近のケイン様は鬱陶しいくらいわたしにかまってくる。これで領地へ帰るなんて言ったら益々度を越えそう。
それに反対されるのも目に見えている。
「はい、おじ様とおば様とも話をしてそう言うことになりました」
「ふうん、父と母は知っているんだ。なんで俺だけ知らないのかな?」
うわっ、黒いケイン様が現れた。
とっても不機嫌で怖い。
「ごめんなさい、まだ誰にも話していなかったんです。ケイン様がおじ様とおば様以外では初めて伝えたんです」
両手を胸のところで握り、目をうるうるとさせて「伝えるのが遅くなってごめんなさい」と言ってみた。
「し、仕方ないな」
ケイン様……おば様から領地へ帰ることを伝える時は、『目をうるうるさせて可愛らしく言うのよ!」と言われていたけど、本当に不機嫌だったのに治ってしまった。
さすが母だ。
「代わりに、シェリーナ、俺と結婚しよう!」
「は、はい!!………」
ん?け、結婚?
ひと月と決め、その中だけでお付き合いは出席する。
残りのお茶会やパーティーは領地へ帰らなければならなくなったと言い訳をして断りを入れた。
ただ帰る間際に両殿下からのお茶会の誘いがわたしとケイン様にきてしまった。
これは流石に断りを入れることができなくて二人で参加することになった。
気が重い。
ついでに言えば屋敷で過ごすのも最近はなんとも言えない憂鬱な気持ちになる。
使用人達は必死でわたしのご機嫌を窺いながら接してくる。
まるでわたしが意地悪で癇癪持ちのように一言言うたびにビクッとされる。
もちろん何もしていないわ。
8年前の噂が今頃再燃したような気がする。ここに来てすぐはそんなことなかったのに。
多分ケイン様がわたしを異常に大切にしてくれるので、周りもそれに見習ってとても丁寧に接してくれる。
あの頃と真逆すぎてなんとも言えない気分になってしまう。
久しぶりに庭園でゆっくりとお茶を飲みながら本を読むことにした。
周りの目が気になって屋敷にいるよりも外でゆっくりする方が気が楽になっている。
「シェリーナ、本を読んでいるんだね?寒くないかい?」
ケイン様が態々膝掛けを持ってやってきた。
今は夏が終わり秋に移り変わる時期なので気候はとても過ごしやすい。
そう、寒いわけではない。
「大丈夫です!ケイン様がそんなことなさらないでください」
わたしの膝に自らの手で膝掛けをかけようとしているのを慌てて止めた。
「シェリーナ、君は体が弱いんだから無理はしないで」
うん、確かに以前は弱かった。それは虐待されて食事もまともにもらえず、あまり外にも出してもらえなかったからだ。ついでに鞭打ちや折檻のおかげで生傷も絶えなかった。
この屋敷に来てからの方がまだ人間として扱ってもらえた。
そして、あの事件以来、領地でのんびりと暮らしていたので体は他の令嬢に比べてとても元気で体力もしっかりついていると思う。
夜会で体調を崩したのは……そう、殿下にお会いしてからだった。
何故なのかしら?
「ケイン様、あまり過保護にならないでください」
わたしが苦笑いをするとケイン様が唇を噛み締めてわたしの顔をじっと見つめた。
「……そうだな、今の君はとても元気そうだ」
そんな話をしているといつの間にか足元にノアがやってきていた。
「ノア、おいで」
わたしがノアを抱っこするとノアはすぐに膝の上に乗って眠り出した。
そんな可愛いノアの毛を優しく撫でながらケイン様に言った。
「ケイン様、わたし、殿下達から招待されたお茶会が終わったら領地へ帰ろうと思っています」
「え?こっちでしばらく学校へ通うんじゃないの?」
実はケイン様には話していなかった。
最近のケイン様は鬱陶しいくらいわたしにかまってくる。これで領地へ帰るなんて言ったら益々度を越えそう。
それに反対されるのも目に見えている。
「はい、おじ様とおば様とも話をしてそう言うことになりました」
「ふうん、父と母は知っているんだ。なんで俺だけ知らないのかな?」
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さすが母だ。
「代わりに、シェリーナ、俺と結婚しよう!」
「は、はい!!………」
ん?け、結婚?
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