【完結】今夜さよならをします

たろ

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新しい恋。

⑥の続き

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「ライナなんて死んで仕舞えばいいのよ!いつも周りに守られて幸せそうに過ごして、一番嫌いなタイプよ。努力もせずみんなにチヤホヤされて!それを本人は気がついていない。叔父様もカイ兄様もライナにとっても優しい笑顔で接して!わたしにはあんな顔しないわ。バズールだってわたしに向ける笑顔とライナに向ける笑顔は違うわ。どうして?わたしを愛してくれないの?」

俺の返事にリリアンナ殿下の形相はかなり怖かった。

俺を愛していると言うより愛されないことに腹を立てている感じだった。

「リリアンナ殿下、貴女は愛されることばかりではなく少しは人を愛してみませんか?」

「はあ?だからバズールを愛していると言っているじゃない。バズールだったらわたしの横に置いても見栄えするしわたしに相応しいの。ねぇ、ライナみたいな元男爵令嬢なんて諦めなさい。わたしに相応しいのは貴方だけなんだから!」

「俺はもう帰ります。陛下、そしてギルバート様、カイ様、失礼させていただきます。リリアンナ殿下のこれからの幸せを願っております」

「いや、いやよ!わたしはバズールが承諾してくれなければ他国へ嫁がないといけないのよ!しかも10歳年上で後妻としてよ!お願い、バズール、わたしと結婚すると言って!」

「俺は伯爵ではなくなります。それが嫌だと言ったのは貴方です。そんな俺に縋っても今までと同じ贅沢をは出来ないと思いますよ?」

「そ、それもイヤよ。ドレスも欲しいし宝石も欲しいわ。お茶会だって夜会だって開きたいし、たくさんの使用人も必要よ。屋敷だって広くないと嫌だし、お料理も有名な料理人たちが作ったモノじゃなきゃ食べられないわ」

「それならば、やはりその辺境伯のところへ嫁ぐべきではないでしょうか?」


「だからそれはいやだって……「はいはい、もうこれで話は終わりだ!」


「カイ兄様?」

カイ様が手をパンパンと叩いて話を打ち切った。

「リリアンナは約束通り嫁に行く。バズールは好きな女の子に頑張って告白をする。それで終わり」

リリアンナ殿下が何か言おうとしたが

「はい、解散!さあ、帰ろう。俺も嫁さんが美味しいご飯を作って待っているんでこれ以上の無駄な話に時間を割きたくない。陛下、もういいだろう?お前が甘やかしたツケがこんな風になって返って来たんだ。いい加減に妹を甘やかすのはやめろ」

陛下はカイ様の顔を黙って見ていたが、リリアンナ殿下に目線を移した。

「リリアンナ……これは王命だ。お前はモリス国の辺境伯のもとへ嫁ぐこと。一月後の輿入れとする。拒否は出来ない、リリアンナをひと月の間南の塔に連れて行き外に出すな」

「………いや、お兄様?お願い、いやあーーー!!」




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