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さんじゅう の続き
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バズールは食事の後わたしの部屋に来ると話があるから散歩しないかと誘ってきた。
いくら従兄弟とは言え夜の部屋に二人っきりでいることは出来ない。
だから護衛が近くにいてくれる散歩を選んだみたいだ。
「ええ、いいわ」
夜の庭は地面の所々に灯りがついていてとても綺麗だ。そして月明かりがさらに色とりどりの花達を幻想的に映し出して思わず感嘆の声が出てしまう。
「バズール!綺麗ね」
「うん、夜の庭ってこんなに綺麗なんだね」
「わたしも久しぶりに夜のお庭を散歩するわ、誘ってくれてありがとう」
二人でしばらく黙って庭を歩いた。
お互い気心が知れている所為なのか無言でも苦になることはない。
わたしは黙ったまま、夜の庭を楽しんでいた。
そんな時……バズールが口を開いた。
「ライナ、俺が二人の間に入って行った所為で邪魔してしまった。婚約解消の話が出来なくてごめん、次に繰越になってまた嫌な思いをすることになって……」
「もういいわよ、謝らなくて。助けてくれて感謝しているわ、それにシエルはあの状態では聞く耳なんて持たなかったと思うの」
バズールが緊張気味に私を見つめる。
なのに何となく気まずくて目を逸らした。
ーーあ……いけない。
じぶんの行動に反省しつつも
ーーいつものバズールっぽくないわ、どうしたのかしら?
不思議に思いわたしは下から彼の顔を覗き込むように見た。
「うわっ、や、やめろよ、なんでお前はいつもそんなんなんだ」
バズールはわたしの顔を手で押しやった。
ーーもう!人の顔を押すなんて!
「そんなのって、決まってるでしょう?わたしはバズールの幼馴染で従姉妹で大切な人よ」
「大切?」
「あら?バズールったら覚えていないの?子供の頃わたしのこと大切に扱ってやるってモノのように言ったじゃない」
「あーー、手を繋いで歩いてた時だよね?ちょっと力入れて引っ張ったら転んでライナが泣き出して……『大切にしてくれなきゃ嫌いになるから!』って言い出したんだったよね?」
「そうよ、そしたら『仕方ないから大切にしてやるよ、ったく傷つきやすいなんて花かお菓子みたいだな』って言ったの」
「あの頃の俺の例えは花かお菓子って……俺にとってその二つが壊れやすいものに感じたんだろうな」
「懐かしいわね、バズールとの思い出はいつも楽しかったわ……シエルとは心穏やかな日々だったけどバズールとは泣いたり笑ったり怒ったりといつもいろんな感情で忙しかった気がするわ」
「ま、兄妹のように育ったからかな」
「ほんと手のかかる弟だもの」
「いやいや手のかかる妹だろう?ライナが!」
二人で笑い合いながら散歩した。
わたしの心は久しぶりに穏やかに過ごせたかもしれない。また数日後シエルと会わないといけないという不安も今だけはバズールのおかげで感じないですんだ。
「バズール、試験の結果が出たらわたしも留学先をお父様と話し合うわ。しっかり勉強して商会に役立つ知識を何かしら身につけて来るつもりよ」
「シエルのことよりもっと先を考えられるなら大丈夫かな?」
「うん、いつも心配かけてごめんね。優しい弟がいて良かった」
「うん?お兄ちゃんの間違いだと思うよ?」
ーーああ、こんな時間が続けばいいのに……ふとそんなことを感じたのはどうしてなのかしら?
いくら従兄弟とは言え夜の部屋に二人っきりでいることは出来ない。
だから護衛が近くにいてくれる散歩を選んだみたいだ。
「ええ、いいわ」
夜の庭は地面の所々に灯りがついていてとても綺麗だ。そして月明かりがさらに色とりどりの花達を幻想的に映し出して思わず感嘆の声が出てしまう。
「バズール!綺麗ね」
「うん、夜の庭ってこんなに綺麗なんだね」
「わたしも久しぶりに夜のお庭を散歩するわ、誘ってくれてありがとう」
二人でしばらく黙って庭を歩いた。
お互い気心が知れている所為なのか無言でも苦になることはない。
わたしは黙ったまま、夜の庭を楽しんでいた。
そんな時……バズールが口を開いた。
「ライナ、俺が二人の間に入って行った所為で邪魔してしまった。婚約解消の話が出来なくてごめん、次に繰越になってまた嫌な思いをすることになって……」
「もういいわよ、謝らなくて。助けてくれて感謝しているわ、それにシエルはあの状態では聞く耳なんて持たなかったと思うの」
バズールが緊張気味に私を見つめる。
なのに何となく気まずくて目を逸らした。
ーーあ……いけない。
じぶんの行動に反省しつつも
ーーいつものバズールっぽくないわ、どうしたのかしら?
不思議に思いわたしは下から彼の顔を覗き込むように見た。
「うわっ、や、やめろよ、なんでお前はいつもそんなんなんだ」
バズールはわたしの顔を手で押しやった。
ーーもう!人の顔を押すなんて!
「そんなのって、決まってるでしょう?わたしはバズールの幼馴染で従姉妹で大切な人よ」
「大切?」
「あら?バズールったら覚えていないの?子供の頃わたしのこと大切に扱ってやるってモノのように言ったじゃない」
「あーー、手を繋いで歩いてた時だよね?ちょっと力入れて引っ張ったら転んでライナが泣き出して……『大切にしてくれなきゃ嫌いになるから!』って言い出したんだったよね?」
「そうよ、そしたら『仕方ないから大切にしてやるよ、ったく傷つきやすいなんて花かお菓子みたいだな』って言ったの」
「あの頃の俺の例えは花かお菓子って……俺にとってその二つが壊れやすいものに感じたんだろうな」
「懐かしいわね、バズールとの思い出はいつも楽しかったわ……シエルとは心穏やかな日々だったけどバズールとは泣いたり笑ったり怒ったりといつもいろんな感情で忙しかった気がするわ」
「ま、兄妹のように育ったからかな」
「ほんと手のかかる弟だもの」
「いやいや手のかかる妹だろう?ライナが!」
二人で笑い合いながら散歩した。
わたしの心は久しぶりに穏やかに過ごせたかもしれない。また数日後シエルと会わないといけないという不安も今だけはバズールのおかげで感じないですんだ。
「バズール、試験の結果が出たらわたしも留学先をお父様と話し合うわ。しっかり勉強して商会に役立つ知識を何かしら身につけて来るつもりよ」
「シエルのことよりもっと先を考えられるなら大丈夫かな?」
「うん、いつも心配かけてごめんね。優しい弟がいて良かった」
「うん?お兄ちゃんの間違いだと思うよ?」
ーーああ、こんな時間が続けばいいのに……ふとそんなことを感じたのはどうしてなのかしら?
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