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お花畑のリーリエ様⑨
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学園祭が始まった。
男子が一緒に回ろうと言ってくれたのでみんなで楽しく過ごしていたの。
なのに……目の前に見えたのは楽しそうに歩いているライナとバズールとすれ違った。
「あら?バズール様ぁ?」
なんで二人でいるのよ!悔しくてバズール様に甘えるように話しかけた。
周りにいる男子はバズールの横にいるライナを興味深そうにみている。
ーー何?どうして?男子がライナに興味示しているの?わたしだけを見て欲しいのに!
わたしはライナのことを無視した。いない人だと思いバズール様だけに話しかけたの。
するとライナは溜息を吐きながら侍女らしき女性と二人で廊下の端っこに立ったので邪魔ものはいなくなった。
「バズール様ぁご一緒にまわりませんか?」
「いえ結構です」
わたしを一瞥してさっさと立ち去ろうとするバズール様の腕を思わず掴んだ。
ーー離すものですか!ライナなんかに盗られたくないもの!
「バズール様ぁ、リーリエはあなたをお慕い申しております。是非一緒に回りたいのです」
瞳をうるうると潤ませて泣きそうになりながらバズール様の服を掴んだ。
ーーこれでバズール様もわたしに気持ちが傾くわよね?
「サマンサ、行こう」
ライナは二人で立ち去ろうとしていた。
ーーそうよ!そうよ!わたしの前がら消えてしまいなさい。いつもシエルとの邪魔はするしバズール様とだって仲良くして、狡いんだから!!
「おい!ライナ置いていくな!すまないけど僕は今彼女達と回っているんで君とは回れない。君はそんなにたくさんの彼氏と一緒なんだから僕は必要ないと思うんだ」
バズールは様はわたしに笑顔を見せてからみんなに「じゃあ僕は行くね」と手を振りライナのところへと駆け寄ったの。
ーーえ?どうして?
わたしはバズール様に置いて行かれてとってもショックで呆然と立ち尽くしていた。
シエル達が慌ててわたしのそばに駆け寄った。
今日は学園祭なので護衛は遠巻きでわたしを見守ってくれていたの。
「リーリエ様?大丈夫ですか?」
シエルはわたしの心配をしてくれているのか、それともライナがバズール様といることを気にしているのか、なんとなく顔色がおかしかった。
「ライナってどうしてあんなに無神経でいられるのかしら?わたしがこんなにショックを受けているのに平然としているのよ?」
わたしはシエルの顔を見上げて、瞳に涙をいっぱいためて悲しそうに呟いた。
「リーリエ様そんな悲しそうな顔は似合わないです」
シエルは何も言ってくれないけどもう一人の騎士が心配してくれた。
それから気分を変えるためにと男子達がみんなでわたしを連れてダンスコンテストの会場へと連れて行ってくれた。
かっこいい男子の姿を見て少しは気分が晴れたけど……バズール様のライナへの態度を思い出すと胸がムカムカするのは何故なのかしら?
ーーーーー
シエルが休憩に入ると彼はなんだかソワソワしていた。
シエルの姿が気になって追ってみると…
ライナが侍女とベンチに座っていた。
二人の視線はバズールの方へ向いていた。
シエルはしばらく躊躇していたけど、彼女達に話しかけた。
こっそりと陰で話を聞いたら……
「ライナ、君はリーリエ様を泣かせて悪かったとは思っていないのか?」
「泣かせた?わたしはリーリエ様とお話すらしていないわ、ねぇ、サマンサ?」
「はいわたし達はリーリエ様のおそばから離れていました」
「リーリエ様はとてもショックを受けていた。君がバズールを無理矢理連れて去って言ったと聞いた。いくら従兄弟だからって男性とずっと一緒にいるなんて醜聞でしかないと思わないのか?
俺にだって立場がある。周りから婚約者が浮気をしているなんて言われたら恥ずかしいんだ。
もう少し考えて行動してほしい。それも主人であるリーリエ様を悲しませてそんなに君が性格が悪いなんて思ってもみなかった」
ーーシエルったらそんなこと思っていたのね。なんだか嬉しい!
「わ、わたしはなにもしてい……「また言い訳かい?君は変わってしまったね。すぐに我儘を言ったり人が嫌だと思うことをしたりするなんて、こんなことでは婚約も考え直さないといけないかもしれないな」
ーーふふ、シエルはもうわたしのものね。
「………シエルはわたしが変わったと思っているの?」
「ああ、リーリエ様が仰っていた。我儘を言ってバズールを連れ回して態とリーリエ様との時間を奪っているって。リーリエ様はバズールと約束していたのに君が意地悪ばかりしているんだろう?」
「………サマンサ行きましょう」
「待て、人の話を最後まで聞かないのか?君はそうやってすぐに逃げてばかりだな。リーリエ様と俺が親しいからってヤキモチ妬くのはやめて欲しい。
毎回君の我儘に振り回されるなら俺にも考えがある」
「我儘?振り回す?」
「俺がリーリエ様の屋敷で働くようになって君は俺を追って働き出した、それに仕事中も何かと監視して……はっきり言ってしつこいと思っていたんだ」
「……ご…めん…な……さい」
ライナはそう言い終わると走り出した。
「待って!」
シエルの言葉なんて聞かないでライナは走り去って行った。
シエルはライナを追いかけることなく後ろ姿を黙って見送っていた。
わたしは二人の話を聞いて下を向いてニヤッと笑い終わると顔を上げて哀しげな顔を作った。
「みんなシエルのことはこのままにしてあげましょう」
「そ、そうですね」
「あ、あ、はい」
男子達もシエル達のやり取りを聞いてなんとも言えない顔をしていた。
そして………心の中ではライナのあの傷ついた顔を思い出し一人ほくそ笑んでいた。
男子が一緒に回ろうと言ってくれたのでみんなで楽しく過ごしていたの。
なのに……目の前に見えたのは楽しそうに歩いているライナとバズールとすれ違った。
「あら?バズール様ぁ?」
なんで二人でいるのよ!悔しくてバズール様に甘えるように話しかけた。
周りにいる男子はバズールの横にいるライナを興味深そうにみている。
ーー何?どうして?男子がライナに興味示しているの?わたしだけを見て欲しいのに!
わたしはライナのことを無視した。いない人だと思いバズール様だけに話しかけたの。
するとライナは溜息を吐きながら侍女らしき女性と二人で廊下の端っこに立ったので邪魔ものはいなくなった。
「バズール様ぁご一緒にまわりませんか?」
「いえ結構です」
わたしを一瞥してさっさと立ち去ろうとするバズール様の腕を思わず掴んだ。
ーー離すものですか!ライナなんかに盗られたくないもの!
「バズール様ぁ、リーリエはあなたをお慕い申しております。是非一緒に回りたいのです」
瞳をうるうると潤ませて泣きそうになりながらバズール様の服を掴んだ。
ーーこれでバズール様もわたしに気持ちが傾くわよね?
「サマンサ、行こう」
ライナは二人で立ち去ろうとしていた。
ーーそうよ!そうよ!わたしの前がら消えてしまいなさい。いつもシエルとの邪魔はするしバズール様とだって仲良くして、狡いんだから!!
「おい!ライナ置いていくな!すまないけど僕は今彼女達と回っているんで君とは回れない。君はそんなにたくさんの彼氏と一緒なんだから僕は必要ないと思うんだ」
バズールは様はわたしに笑顔を見せてからみんなに「じゃあ僕は行くね」と手を振りライナのところへと駆け寄ったの。
ーーえ?どうして?
わたしはバズール様に置いて行かれてとってもショックで呆然と立ち尽くしていた。
シエル達が慌ててわたしのそばに駆け寄った。
今日は学園祭なので護衛は遠巻きでわたしを見守ってくれていたの。
「リーリエ様?大丈夫ですか?」
シエルはわたしの心配をしてくれているのか、それともライナがバズール様といることを気にしているのか、なんとなく顔色がおかしかった。
「ライナってどうしてあんなに無神経でいられるのかしら?わたしがこんなにショックを受けているのに平然としているのよ?」
わたしはシエルの顔を見上げて、瞳に涙をいっぱいためて悲しそうに呟いた。
「リーリエ様そんな悲しそうな顔は似合わないです」
シエルは何も言ってくれないけどもう一人の騎士が心配してくれた。
それから気分を変えるためにと男子達がみんなでわたしを連れてダンスコンテストの会場へと連れて行ってくれた。
かっこいい男子の姿を見て少しは気分が晴れたけど……バズール様のライナへの態度を思い出すと胸がムカムカするのは何故なのかしら?
ーーーーー
シエルが休憩に入ると彼はなんだかソワソワしていた。
シエルの姿が気になって追ってみると…
ライナが侍女とベンチに座っていた。
二人の視線はバズールの方へ向いていた。
シエルはしばらく躊躇していたけど、彼女達に話しかけた。
こっそりと陰で話を聞いたら……
「ライナ、君はリーリエ様を泣かせて悪かったとは思っていないのか?」
「泣かせた?わたしはリーリエ様とお話すらしていないわ、ねぇ、サマンサ?」
「はいわたし達はリーリエ様のおそばから離れていました」
「リーリエ様はとてもショックを受けていた。君がバズールを無理矢理連れて去って言ったと聞いた。いくら従兄弟だからって男性とずっと一緒にいるなんて醜聞でしかないと思わないのか?
俺にだって立場がある。周りから婚約者が浮気をしているなんて言われたら恥ずかしいんだ。
もう少し考えて行動してほしい。それも主人であるリーリエ様を悲しませてそんなに君が性格が悪いなんて思ってもみなかった」
ーーシエルったらそんなこと思っていたのね。なんだか嬉しい!
「わ、わたしはなにもしてい……「また言い訳かい?君は変わってしまったね。すぐに我儘を言ったり人が嫌だと思うことをしたりするなんて、こんなことでは婚約も考え直さないといけないかもしれないな」
ーーふふ、シエルはもうわたしのものね。
「………シエルはわたしが変わったと思っているの?」
「ああ、リーリエ様が仰っていた。我儘を言ってバズールを連れ回して態とリーリエ様との時間を奪っているって。リーリエ様はバズールと約束していたのに君が意地悪ばかりしているんだろう?」
「………サマンサ行きましょう」
「待て、人の話を最後まで聞かないのか?君はそうやってすぐに逃げてばかりだな。リーリエ様と俺が親しいからってヤキモチ妬くのはやめて欲しい。
毎回君の我儘に振り回されるなら俺にも考えがある」
「我儘?振り回す?」
「俺がリーリエ様の屋敷で働くようになって君は俺を追って働き出した、それに仕事中も何かと監視して……はっきり言ってしつこいと思っていたんだ」
「……ご…めん…な……さい」
ライナはそう言い終わると走り出した。
「待って!」
シエルの言葉なんて聞かないでライナは走り去って行った。
シエルはライナを追いかけることなく後ろ姿を黙って見送っていた。
わたしは二人の話を聞いて下を向いてニヤッと笑い終わると顔を上げて哀しげな顔を作った。
「みんなシエルのことはこのままにしてあげましょう」
「そ、そうですね」
「あ、あ、はい」
男子達もシエル達のやり取りを聞いてなんとも言えない顔をしていた。
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