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シエル⑨
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「ライナどうして今まで連絡すらくれなかったんだ?伯爵家の仕事も突然辞めてしまっただろう?」
ーーこんな言葉を言うつもりではなかった。
なのに止められない。
「………ふー…シエルはどうしてわたしが辞めたと思ったの?」
「我儘から?仕事が嫌になったのか?」
ーー周りの人たちはそう言っていた。特に奥様やリーリエ様はライナのことをあまり良く思っていなかったようだった。
仕事も雑だしよくサボると言っていた。本当にそうなのだろうか。
「そっかぁ、そう見えるのね?」
「リーリエ様が君の仕事が雑でよくサボるしみんなからの評判も悪いと聞いたんだ。メイド仲間と上手くいってなかったんだろう?」
「そっかぁ、そんな風にわたしのこと思っていたのね」
ーー何故否定しないんだ?本当のことなのか?
「俺がいくら連絡しても無視。君は変わってしまったんだね」
「そっかぁ、そう思ってたんだ」
「いい加減にその返事の仕方やめてくれないか?まともに返事をしてくれ。
このままでは君との結婚も考え直さないといけなくなる。それにリーリエ様が君を再教育してあげるからもう一度雇ってやってもいいと言ってくれた」
「そっかぁ、結婚を考え直すのね?」
ライナはベンチから立って
「シエル、ありがとう。色々心配してくれてよくわかったわ」
ライナは俺を見て優しく微笑んでくれた。
ーーやっと俺を見てくれたことにホッとした。
「ライナがいつもの顔に戻って安心したよ。リーリエ様にも伝えておくよ」
「何を?」
俺はライナの返事に驚いた。
「もちろん再教育と再雇用だよ」
奥様に休みをもらうときに言われていた。
ライナが嫁にくるまでに伯爵家で雇い、婦人としての心得を教えてくれると言ってくれていたのだ。
「わたしは返事をしたかしら?」
「え?だってわかったって……」
俺はライナの冷たい言い方に驚いてしまった。ライナが俺に対してこんなに覚めた目で見るなんて……
「そう、そう捉えたのね?」
「違うのか?俺と一緒に居たくて働き出したんだろう?」
「そっかぁそんな時もあったわね。ごめんなさい、わたし用事を思い出したから行くわね」
「おいちょっと待って!久しぶりに会えたんだ。せっかくだから一緒に食事でもしよう」
ライナの手首を掴んで俺は
「どうして帰るのか?」と聞いた。
「シエルごめんなさい。リーリエ様の屋敷に戻ることはないわ。今は父の仕事の手伝いで忙しいの」
「手伝い?君はそんなことが出来るのか?君は勉強が苦手なんだろう?だから高等部へ行かずに俺のいる職場で働き出したんだろう?」
「本気でシエルはそう思っていたの?わたしは勉強は普通に出来たわ、もちろんすごく成績が良かったわけではないのは確かよ。ただ貴方を愛していたから同じ場所で過ごしたかっただけ」
「そんな我儘なことを考えていたのか?」
「我儘?シエルにはわたしがそう見えているのね」
ライナは俺の手を振り払った。
「シエルわたしは帰るわ」
「…ライナ……」
俺の手を振り払ってライナは帰ってしまった。
俺の声に振り返ることはしなかった。
ーー俺は何を間違っていたのだろう。
最近のライナは俺を無視して連絡すら取れなくなっていた。
屋敷内ではライナのことをよく思っていない使用人が多かった。
我儘で真面目に仕事をしなかった。これだけは奥様もリーリエ様も同じことを話すし何人かの同僚達も言っていた。特にライナと仲が良くて俺との婚約のことも知っている数人からも、ライナの愚痴を聞いている。
さらにライナと中等部が同じだったメイド仲間がライナが学校では勉強が苦手で高等部へ行きたくなくて俺が働いている伯爵家に俺といたいと親に言って働き出したんだと聞いた。
俺といたかったと言うよりただ勉強が嫌いで、高等部へ行きたくなかっただけ。
俺の中で俺の知っているライナは、明るくて優しい女の子だったのに本当は全く違っていたと知って、ショックだった。さらにどんなに手紙を書いても無視されるし、俺はライナのことをよく思えなくなってきていた。
それでもライナのことを信じたいし好きだし、会えないのは辛い。だからこそきちんと話し合いたかったのに……つい感情が先走ってしまった。
俺に対して冷たい言葉、どうでもいい返事。
何でなんだ?
俺は何を間違っているんだ?ライナに対してどうしていいのかわからない。
ーーこんな言葉を言うつもりではなかった。
なのに止められない。
「………ふー…シエルはどうしてわたしが辞めたと思ったの?」
「我儘から?仕事が嫌になったのか?」
ーー周りの人たちはそう言っていた。特に奥様やリーリエ様はライナのことをあまり良く思っていなかったようだった。
仕事も雑だしよくサボると言っていた。本当にそうなのだろうか。
「そっかぁ、そう見えるのね?」
「リーリエ様が君の仕事が雑でよくサボるしみんなからの評判も悪いと聞いたんだ。メイド仲間と上手くいってなかったんだろう?」
「そっかぁ、そんな風にわたしのこと思っていたのね」
ーー何故否定しないんだ?本当のことなのか?
「俺がいくら連絡しても無視。君は変わってしまったんだね」
「そっかぁ、そう思ってたんだ」
「いい加減にその返事の仕方やめてくれないか?まともに返事をしてくれ。
このままでは君との結婚も考え直さないといけなくなる。それにリーリエ様が君を再教育してあげるからもう一度雇ってやってもいいと言ってくれた」
「そっかぁ、結婚を考え直すのね?」
ライナはベンチから立って
「シエル、ありがとう。色々心配してくれてよくわかったわ」
ライナは俺を見て優しく微笑んでくれた。
ーーやっと俺を見てくれたことにホッとした。
「ライナがいつもの顔に戻って安心したよ。リーリエ様にも伝えておくよ」
「何を?」
俺はライナの返事に驚いた。
「もちろん再教育と再雇用だよ」
奥様に休みをもらうときに言われていた。
ライナが嫁にくるまでに伯爵家で雇い、婦人としての心得を教えてくれると言ってくれていたのだ。
「わたしは返事をしたかしら?」
「え?だってわかったって……」
俺はライナの冷たい言い方に驚いてしまった。ライナが俺に対してこんなに覚めた目で見るなんて……
「そう、そう捉えたのね?」
「違うのか?俺と一緒に居たくて働き出したんだろう?」
「そっかぁそんな時もあったわね。ごめんなさい、わたし用事を思い出したから行くわね」
「おいちょっと待って!久しぶりに会えたんだ。せっかくだから一緒に食事でもしよう」
ライナの手首を掴んで俺は
「どうして帰るのか?」と聞いた。
「シエルごめんなさい。リーリエ様の屋敷に戻ることはないわ。今は父の仕事の手伝いで忙しいの」
「手伝い?君はそんなことが出来るのか?君は勉強が苦手なんだろう?だから高等部へ行かずに俺のいる職場で働き出したんだろう?」
「本気でシエルはそう思っていたの?わたしは勉強は普通に出来たわ、もちろんすごく成績が良かったわけではないのは確かよ。ただ貴方を愛していたから同じ場所で過ごしたかっただけ」
「そんな我儘なことを考えていたのか?」
「我儘?シエルにはわたしがそう見えているのね」
ライナは俺の手を振り払った。
「シエルわたしは帰るわ」
「…ライナ……」
俺の手を振り払ってライナは帰ってしまった。
俺の声に振り返ることはしなかった。
ーー俺は何を間違っていたのだろう。
最近のライナは俺を無視して連絡すら取れなくなっていた。
屋敷内ではライナのことをよく思っていない使用人が多かった。
我儘で真面目に仕事をしなかった。これだけは奥様もリーリエ様も同じことを話すし何人かの同僚達も言っていた。特にライナと仲が良くて俺との婚約のことも知っている数人からも、ライナの愚痴を聞いている。
さらにライナと中等部が同じだったメイド仲間がライナが学校では勉強が苦手で高等部へ行きたくなくて俺が働いている伯爵家に俺といたいと親に言って働き出したんだと聞いた。
俺といたかったと言うよりただ勉強が嫌いで、高等部へ行きたくなかっただけ。
俺の中で俺の知っているライナは、明るくて優しい女の子だったのに本当は全く違っていたと知って、ショックだった。さらにどんなに手紙を書いても無視されるし、俺はライナのことをよく思えなくなってきていた。
それでもライナのことを信じたいし好きだし、会えないのは辛い。だからこそきちんと話し合いたかったのに……つい感情が先走ってしまった。
俺に対して冷たい言葉、どうでもいい返事。
何でなんだ?
俺は何を間違っているんだ?ライナに対してどうしていいのかわからない。
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