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シエル編⑥
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ライナは頬を叩かれた後腫れが引かず仕事を早退することになったと他のメイドから聞いた。
ーー謝らなければ、仕事が終わったら会いに行って謝ろう。
なのにそんな時に限ってリーリエ様が……
「シエル、今日は他の護衛が忙しいみたいなの。怖いから慣れない騎士よりも今日の護衛はシエルでお願いね」
きちんとシフトは組まれているのに、他のみんなに尋ねると「あ、すまない俺用事が入って」「今日は俺休みになってるはずだけど?」など、突然みんな休みになっていた。
おかしいと思っても一番下っ端の俺が文句を言うことも出来ず、謝りに行くこともできずリーリエ様の護衛として部屋の近くに待機することになった。
もう一人屋敷の他の担当の護衛騎士が途中交代で来てくれることになっている。
俺が廊下で立っていると「シエル?」とリーリエ様が話しかけて来た。
「まだ寝られていないのですか?」
「うん、眠れないの。少しお話しない?」
「すみません、リーリエ様の部屋にわたしが一人で入ることは出来ません」
「そう………わたし眠るのが怖いの。体調がよくないから夜になると不安になるの、シエル少しでいいから」
リーリエ様の潤んだ瞳には弱い。
「わかりました」
俺は部屋の扉をわざと大きく開けて部屋へ入った。
「手を握って」
リーリエ様に言われたが
「申し訳ありませんが勘違いされる様なことはできかねます。わたしは扉の中には入りますが扉の近くで待機させてもらいます」
ライナのことを裏切りたくはない。仕事でリーリエ様を優先しても浮気だと思われる様なことだけはしない。
「シエルはわたしが嫌いなの?」
寂しそうに俯くリーリエ様。
「シエルはいつもメイドのライナのことを気にしているみたいだけど、やっぱりわたしみたいな子供より綺麗でスタイル抜群な女性が好みなのね」
ーー好みとかではなくて婚約者なんです!
と言いたいが、奥様にライナを雇う時に俺も呼ばれて言われていた。
『ライナさんを雇う条件として周りには貴方達の婚約のことは話さないで欲しいの。周りに悪影響を与えたくないの。それにライナさんの実家は我が国では有名な商会を営むお家でしょう?あまり噂を広めるのは良くないと思うの。彼女の立場を考えると何を言われるかわからないでしょう?』
リーリエ様には奥様も旦那様も伝えていない様だ。
「いえ、好みだとかそんな訳ではありません、ただ顔見知りではあります」
「そうなのね、わたしももっと早くシエルと知り合っていたらシエルはわたしのことを好きになってくれたのかしら?」
「リーリエ様はわたしにとって大切な主です。嫌いになることはありません」
ーー俺は誤魔化すように答えるしかなかった。
なんとか交代の騎士が来てくれて俺はリーリエ様から逃れることができた。
それからは屋敷でライナに会っても話すことが出来ないでいた。
何度も話しかけようとしたが俺の顔を見ようともしない、気づいていても完全に無視されてしまった。
リーリエ様はわざとライナの前で俺がに甘えてくる。
俺は困った顔をしているのに、リーリエ様は
「シエルの困った顔って可愛い」
と、笑顔で話にならない。
そんなことが続き、それでもなんとか関係を改善させたくて彼女に手紙を書いた。
なのにその手紙の返事は一度も来なかった。
そして気がつけば彼女の姿が伯爵家の中から消えていた。
ーー謝らなければ、仕事が終わったら会いに行って謝ろう。
なのにそんな時に限ってリーリエ様が……
「シエル、今日は他の護衛が忙しいみたいなの。怖いから慣れない騎士よりも今日の護衛はシエルでお願いね」
きちんとシフトは組まれているのに、他のみんなに尋ねると「あ、すまない俺用事が入って」「今日は俺休みになってるはずだけど?」など、突然みんな休みになっていた。
おかしいと思っても一番下っ端の俺が文句を言うことも出来ず、謝りに行くこともできずリーリエ様の護衛として部屋の近くに待機することになった。
もう一人屋敷の他の担当の護衛騎士が途中交代で来てくれることになっている。
俺が廊下で立っていると「シエル?」とリーリエ様が話しかけて来た。
「まだ寝られていないのですか?」
「うん、眠れないの。少しお話しない?」
「すみません、リーリエ様の部屋にわたしが一人で入ることは出来ません」
「そう………わたし眠るのが怖いの。体調がよくないから夜になると不安になるの、シエル少しでいいから」
リーリエ様の潤んだ瞳には弱い。
「わかりました」
俺は部屋の扉をわざと大きく開けて部屋へ入った。
「手を握って」
リーリエ様に言われたが
「申し訳ありませんが勘違いされる様なことはできかねます。わたしは扉の中には入りますが扉の近くで待機させてもらいます」
ライナのことを裏切りたくはない。仕事でリーリエ様を優先しても浮気だと思われる様なことだけはしない。
「シエルはわたしが嫌いなの?」
寂しそうに俯くリーリエ様。
「シエルはいつもメイドのライナのことを気にしているみたいだけど、やっぱりわたしみたいな子供より綺麗でスタイル抜群な女性が好みなのね」
ーー好みとかではなくて婚約者なんです!
と言いたいが、奥様にライナを雇う時に俺も呼ばれて言われていた。
『ライナさんを雇う条件として周りには貴方達の婚約のことは話さないで欲しいの。周りに悪影響を与えたくないの。それにライナさんの実家は我が国では有名な商会を営むお家でしょう?あまり噂を広めるのは良くないと思うの。彼女の立場を考えると何を言われるかわからないでしょう?』
リーリエ様には奥様も旦那様も伝えていない様だ。
「いえ、好みだとかそんな訳ではありません、ただ顔見知りではあります」
「そうなのね、わたしももっと早くシエルと知り合っていたらシエルはわたしのことを好きになってくれたのかしら?」
「リーリエ様はわたしにとって大切な主です。嫌いになることはありません」
ーー俺は誤魔化すように答えるしかなかった。
なんとか交代の騎士が来てくれて俺はリーリエ様から逃れることができた。
それからは屋敷でライナに会っても話すことが出来ないでいた。
何度も話しかけようとしたが俺の顔を見ようともしない、気づいていても完全に無視されてしまった。
リーリエ様はわざとライナの前で俺がに甘えてくる。
俺は困った顔をしているのに、リーリエ様は
「シエルの困った顔って可愛い」
と、笑顔で話にならない。
そんなことが続き、それでもなんとか関係を改善させたくて彼女に手紙を書いた。
なのにその手紙の返事は一度も来なかった。
そして気がつけば彼女の姿が伯爵家の中から消えていた。
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