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よんじゅういち。
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セルジオの言葉に固まった。
「ごめんなさい……セルジオ。わたし達は仮の婚約者同士でしょう?貴方が近づいたのはオスカー殿下に頼まれたからでしょう?違う?」
「確かに殿下に頼まれた……魅了の件もあったし、殿下に前世の話もされたからね。君を監視する意味でも婚約はとてもいいと思ったんだ」
「じゃあもういいでしょう?わたしはこの国を去るつもりだからわたしが全て悪いことにしてくれていいわ」
「ふざけないで!僕は君を悪者にして婚約解消をするつもりはないよ。確かに殿下に頼まれた……だけど婚約をしたいと願ったのは僕の意思だ。君が鈍感なのも僕を好きじゃないのも知っていたから、仮の婚約者として話を持ちかけたんだ」
「えっ、えええ?わたしのことを?」
ーーーぜったい、嘘!だってそんな風に感じたことはないもの。
「その顔は全く信じてないよね?大体幼い頃からいつも君と一緒にいたいと思っていたのはオスカー殿下ではなく僕だったんだ。僕が君のそばにいたいと願ったからオスカー殿下は君を友達としてそばに置いていたんだ」
「オスカー殿下が?何故?」
「オスカー殿下は僕が君のことを好きだと知っていたからね。それを知って気を利かせてくれたんだよ」
「いや、ぜったいそんな風に思えないですっ!だってオスカー殿下は誰にでも優しかったけどセルジオはいつも無表情だったですよね?」
「………そんなことはない。僕は君にだけは優しかったはずだ」
「あの態度が……ふふっ、セルジオらしいわ。ぜったい分からないわよ!」
だけど婚約してからは彼の屋敷に行くと家庭教師をつけてくれたし、一緒にお茶をしたり放課後も忙しい合間に勉強も見てくれた。
彼は不器用だけど確かに優しかった。
公爵夫婦の態度に疲れている時も、彼のおかげでなんとか乗り越えられたのも確か。
エマやキースがずっと助けてくれたけど、あの屋敷から離れられて週末過ごせたのはセルジオのおかげだった。
「カレン、僕は初めての告白をしてるんだ。婚約解消は確かに約束していたことだけど、もう一度考えて欲しい。僕との未来を……君を愛しているんだ」
「ばっ、馬鹿!ここは図書室だよ?やめて!みんな聞いてるわ」
「馬鹿じゃないよ。僕は君のことが本気で好きなんだ」
たぶん今鏡を見たらわたしの顔は情けないほど真っ赤だろう。
だけど、セルジオのことを好きだとか考えたこともなかった。
って言うか、公爵夫婦から離れたい一心で過ごしていたから、人を好きになるとかそんなことを考える余裕なんてなかった。
「………セルジオ、とりあえず保留で……帰ってもいいかな?」
周りの視線が気になって限界だった。
だって学校の図書室で告白されるなんて……みんな見てるよ……
家に帰るとなんだか疲れて制服を脱ぎ捨ててベッドに倒れ込んだ。
「カレン様!制服がしわくちゃになります!それにそんな格好をしてお行儀が悪いですよ!」
「わかってる!だけど疲れたんだもの」
「そんなこと言ってたら、一人で外国で暮らせるんですか?心配でたまりませんよ!」
「そうだよね、だけど、頑張ればなんとかなると思うの」
「平民の暮らしを舐めたらダメですよ!何もかも一人でしないといけないってとても大変なことなんです」
「わかってるわ……」
ーーーなんとなく考えてはいるんだよね。
ヒュートの商会で通訳の仕事をさせてもらえたらいいなと思っている。今手紙を書いて返事待ちなんだよね。
以前、外国人のお客様が増えて通訳が出来る人が欲しいと言ってたから。
外国語は割と得意な方だ。
特に……前世の記憶のおかげか、いろんな国の言葉がわかる。前世のことは忘れたいと思っていたけど都合のいいところは覚えていてよかったと思っている。
平民であっても実力さえあればヒュートの商会では雇ってもらえる。ただし、親戚とは言っても実力がなければ切り捨てられる。
あ……でも、商会として雇えない時は掃除のお姉さんくらいなら雇ってくれると言ってたわ。
今はセルジオのことは頭から切り離した。だって心がついていかないんだもの。
思い出すだけで恥ずかしい。明日学校でどんな噂がたっているのか考えただけで頭が痛い。
エマは百面相しているわたしの顔を呆れながら見ていた。
「カレン様、お食事を摂って湯浴みをお願いします、そうしたら少しは気持ちが落ち着くと思いますので」
「わかったわ」
「何回わかったと言ってるんですか?さぁ、服を着てお食事です!また倒れてしまったらどうするんですか?エマは心配でたまりません!」
「はい、はい、わかりました」
エマといられるこんな幸せな時間があとどれくらい続くのかしら。
自分から手放そうとしているくせに、寂しいと思うのは我儘なのかな。
「ごめんなさい……セルジオ。わたし達は仮の婚約者同士でしょう?貴方が近づいたのはオスカー殿下に頼まれたからでしょう?違う?」
「確かに殿下に頼まれた……魅了の件もあったし、殿下に前世の話もされたからね。君を監視する意味でも婚約はとてもいいと思ったんだ」
「じゃあもういいでしょう?わたしはこの国を去るつもりだからわたしが全て悪いことにしてくれていいわ」
「ふざけないで!僕は君を悪者にして婚約解消をするつもりはないよ。確かに殿下に頼まれた……だけど婚約をしたいと願ったのは僕の意思だ。君が鈍感なのも僕を好きじゃないのも知っていたから、仮の婚約者として話を持ちかけたんだ」
「えっ、えええ?わたしのことを?」
ーーーぜったい、嘘!だってそんな風に感じたことはないもの。
「その顔は全く信じてないよね?大体幼い頃からいつも君と一緒にいたいと思っていたのはオスカー殿下ではなく僕だったんだ。僕が君のそばにいたいと願ったからオスカー殿下は君を友達としてそばに置いていたんだ」
「オスカー殿下が?何故?」
「オスカー殿下は僕が君のことを好きだと知っていたからね。それを知って気を利かせてくれたんだよ」
「いや、ぜったいそんな風に思えないですっ!だってオスカー殿下は誰にでも優しかったけどセルジオはいつも無表情だったですよね?」
「………そんなことはない。僕は君にだけは優しかったはずだ」
「あの態度が……ふふっ、セルジオらしいわ。ぜったい分からないわよ!」
だけど婚約してからは彼の屋敷に行くと家庭教師をつけてくれたし、一緒にお茶をしたり放課後も忙しい合間に勉強も見てくれた。
彼は不器用だけど確かに優しかった。
公爵夫婦の態度に疲れている時も、彼のおかげでなんとか乗り越えられたのも確か。
エマやキースがずっと助けてくれたけど、あの屋敷から離れられて週末過ごせたのはセルジオのおかげだった。
「カレン、僕は初めての告白をしてるんだ。婚約解消は確かに約束していたことだけど、もう一度考えて欲しい。僕との未来を……君を愛しているんだ」
「ばっ、馬鹿!ここは図書室だよ?やめて!みんな聞いてるわ」
「馬鹿じゃないよ。僕は君のことが本気で好きなんだ」
たぶん今鏡を見たらわたしの顔は情けないほど真っ赤だろう。
だけど、セルジオのことを好きだとか考えたこともなかった。
って言うか、公爵夫婦から離れたい一心で過ごしていたから、人を好きになるとかそんなことを考える余裕なんてなかった。
「………セルジオ、とりあえず保留で……帰ってもいいかな?」
周りの視線が気になって限界だった。
だって学校の図書室で告白されるなんて……みんな見てるよ……
家に帰るとなんだか疲れて制服を脱ぎ捨ててベッドに倒れ込んだ。
「カレン様!制服がしわくちゃになります!それにそんな格好をしてお行儀が悪いですよ!」
「わかってる!だけど疲れたんだもの」
「そんなこと言ってたら、一人で外国で暮らせるんですか?心配でたまりませんよ!」
「そうだよね、だけど、頑張ればなんとかなると思うの」
「平民の暮らしを舐めたらダメですよ!何もかも一人でしないといけないってとても大変なことなんです」
「わかってるわ……」
ーーーなんとなく考えてはいるんだよね。
ヒュートの商会で通訳の仕事をさせてもらえたらいいなと思っている。今手紙を書いて返事待ちなんだよね。
以前、外国人のお客様が増えて通訳が出来る人が欲しいと言ってたから。
外国語は割と得意な方だ。
特に……前世の記憶のおかげか、いろんな国の言葉がわかる。前世のことは忘れたいと思っていたけど都合のいいところは覚えていてよかったと思っている。
平民であっても実力さえあればヒュートの商会では雇ってもらえる。ただし、親戚とは言っても実力がなければ切り捨てられる。
あ……でも、商会として雇えない時は掃除のお姉さんくらいなら雇ってくれると言ってたわ。
今はセルジオのことは頭から切り離した。だって心がついていかないんだもの。
思い出すだけで恥ずかしい。明日学校でどんな噂がたっているのか考えただけで頭が痛い。
エマは百面相しているわたしの顔を呆れながら見ていた。
「カレン様、お食事を摂って湯浴みをお願いします、そうしたら少しは気持ちが落ち着くと思いますので」
「わかったわ」
「何回わかったと言ってるんですか?さぁ、服を着てお食事です!また倒れてしまったらどうするんですか?エマは心配でたまりません!」
「はい、はい、わかりました」
エマといられるこんな幸せな時間があとどれくらい続くのかしら。
自分から手放そうとしているくせに、寂しいと思うのは我儘なのかな。
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