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よんじゅう。
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「カレン……」
兄様はわたしの名を呼んでそのまま黙って考え込んでしまった。
「兄様、そしてエマ、キース……わたしはこの公爵家から逃れることだけを考えて生きてきたわ。そしてあの二人が居なくなって自由になれた……だけど、前世の記憶を思い出したら、もうカレンとして生きるのが辛いと思ってしまった……生きているよりも死んだ方がいいのではと………」
「ダメです!死ぬなんて考えないでください」
「エマありがとう。前世のフランソアが、わたしに死ぬなって言うの。カレンとして生きて欲しいって……そしたらわたしも生きていたいと本当は思ってるんだって気がついたの……生きたいの……もう前だけを向いて……生きていきたいの。
王城に行くと何度も心が囚われて、北の塔から飛び降りたくなる衝動も、心が乱されて体調が悪くなることももう嫌なの。公爵夫婦が魅了のせいでわたしを虐げていたとしても、根本はわたしを忌み嫌っていたからそれが増長しただけなのでしょう?」
兄様の方を見たら、仕方なさそうに首を縦に振った。
ーーー兄様……もう傷つくことすらないわ。
だからそんな哀しそうな顔をしないで……
「逃げると思われてもいい……新しい場所で新しい人生を歩みたい……公爵令嬢の地位もお金も要らない……カレンとして生きていきたい……」
「だからセルジオ殿との婚約を解消したいと?」
「セルジオには申し訳ないと思うわ。だけど平民になるわたしにセルジオは合わないわ。セルジオくらい優秀な人はもっと自分に合う人と婚約してちゃんと結婚するべきなの、わたしとセルジオのように仮の婚約なんてするべきではないのよ」
「セルジオとは手紙で話を一方的に終わらせるのではなく会って話をした方がいい」
兄様が言うことは当たり前のこと。
「わかったわ……また後日会うことにする」
「公爵家はもうすぐ俺が継ぐことになる。父上はしばらく表舞台に立つことは出来ない。陛下からの許可がおりればすぐにでも手続きを始める予定だ。
だからもうカレンが苦しむことはない……前世の辛い記憶から簡単に逃れることは出来ないかもしれないけど、新しい人生を歩むことはできると思う。僕がカレンを守るから」
「カレン様……お願いです。一人で出て行くなんて言わないでください!」
「そうです、出て行くなら俺とエマは貴女について行きます」
「ダメだよ、二人の人生の邪魔はしたくないもの」
「とにかく勝手にこの国を出て行くのはダメだからね」
兄様は納得してくれなかった。
それは仕方がない。簡単に許可がおりないとは思っていた。
数日後、セルジオとやっと対面することができた。
放課後の図書館に久しぶりに行った日のことだった。
「カレン、色々とあったから体調は大丈夫?無理し過ぎだろ」
セルジオはわたしの顔を見るなり心配そうに声をかけてきた。
「この前はごめんね。セルジオは忙しかったでしょう?」
「キャサリン様とアイリ様の件は、オスカー殿下や王太子殿下や陛下達と話をしたからね、しばらくは身辺の調査をして取り調べて、二人の罪を全て洗い出さないといけないかな」
まだまだしばらくかかりそうだと言った。
「そうだね、大掛かりな取り調べになるのかもしれないわよね」
「うん、魅了を王族に使おうとしたからね。簡単に誰にでも使われたらこの国自体大変なことになるからね。アイリ達の罪はかなり重いものになるよ」
わたしはこの国をさっさと出て行こうなんて思っているのに、まだ事件は解決していなかった。
「………カレン、婚約解消……したいと言い出すつもりなんだろう?」
「えっ?何故わかったの?」
「前世の記憶を思い出してあんなことを言われて普通平気ではいられないよね?カレンが何かしたわけではない。過去のこと、それもカレンが悪いわけではないのに……守ってあげられなくてごめん」
「違うよ、セルジオは何も悪くないわ。謝らないで……わたしね、新しい人生を歩みたいの」
「うん、そこには僕は必要ない?」
兄様はわたしの名を呼んでそのまま黙って考え込んでしまった。
「兄様、そしてエマ、キース……わたしはこの公爵家から逃れることだけを考えて生きてきたわ。そしてあの二人が居なくなって自由になれた……だけど、前世の記憶を思い出したら、もうカレンとして生きるのが辛いと思ってしまった……生きているよりも死んだ方がいいのではと………」
「ダメです!死ぬなんて考えないでください」
「エマありがとう。前世のフランソアが、わたしに死ぬなって言うの。カレンとして生きて欲しいって……そしたらわたしも生きていたいと本当は思ってるんだって気がついたの……生きたいの……もう前だけを向いて……生きていきたいの。
王城に行くと何度も心が囚われて、北の塔から飛び降りたくなる衝動も、心が乱されて体調が悪くなることももう嫌なの。公爵夫婦が魅了のせいでわたしを虐げていたとしても、根本はわたしを忌み嫌っていたからそれが増長しただけなのでしょう?」
兄様の方を見たら、仕方なさそうに首を縦に振った。
ーーー兄様……もう傷つくことすらないわ。
だからそんな哀しそうな顔をしないで……
「逃げると思われてもいい……新しい場所で新しい人生を歩みたい……公爵令嬢の地位もお金も要らない……カレンとして生きていきたい……」
「だからセルジオ殿との婚約を解消したいと?」
「セルジオには申し訳ないと思うわ。だけど平民になるわたしにセルジオは合わないわ。セルジオくらい優秀な人はもっと自分に合う人と婚約してちゃんと結婚するべきなの、わたしとセルジオのように仮の婚約なんてするべきではないのよ」
「セルジオとは手紙で話を一方的に終わらせるのではなく会って話をした方がいい」
兄様が言うことは当たり前のこと。
「わかったわ……また後日会うことにする」
「公爵家はもうすぐ俺が継ぐことになる。父上はしばらく表舞台に立つことは出来ない。陛下からの許可がおりればすぐにでも手続きを始める予定だ。
だからもうカレンが苦しむことはない……前世の辛い記憶から簡単に逃れることは出来ないかもしれないけど、新しい人生を歩むことはできると思う。僕がカレンを守るから」
「カレン様……お願いです。一人で出て行くなんて言わないでください!」
「そうです、出て行くなら俺とエマは貴女について行きます」
「ダメだよ、二人の人生の邪魔はしたくないもの」
「とにかく勝手にこの国を出て行くのはダメだからね」
兄様は納得してくれなかった。
それは仕方がない。簡単に許可がおりないとは思っていた。
数日後、セルジオとやっと対面することができた。
放課後の図書館に久しぶりに行った日のことだった。
「カレン、色々とあったから体調は大丈夫?無理し過ぎだろ」
セルジオはわたしの顔を見るなり心配そうに声をかけてきた。
「この前はごめんね。セルジオは忙しかったでしょう?」
「キャサリン様とアイリ様の件は、オスカー殿下や王太子殿下や陛下達と話をしたからね、しばらくは身辺の調査をして取り調べて、二人の罪を全て洗い出さないといけないかな」
まだまだしばらくかかりそうだと言った。
「そうだね、大掛かりな取り調べになるのかもしれないわよね」
「うん、魅了を王族に使おうとしたからね。簡単に誰にでも使われたらこの国自体大変なことになるからね。アイリ達の罪はかなり重いものになるよ」
わたしはこの国をさっさと出て行こうなんて思っているのに、まだ事件は解決していなかった。
「………カレン、婚約解消……したいと言い出すつもりなんだろう?」
「えっ?何故わかったの?」
「前世の記憶を思い出してあんなことを言われて普通平気ではいられないよね?カレンが何かしたわけではない。過去のこと、それもカレンが悪いわけではないのに……守ってあげられなくてごめん」
「違うよ、セルジオは何も悪くないわ。謝らないで……わたしね、新しい人生を歩みたいの」
「うん、そこには僕は必要ない?」
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