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さんじゅうよん。
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「セルジオ?」
そこにはセルジオとオスカー殿下が立っていた。
「君たちいい加減にしろ」
「はっ?何?セルジオ様ったらカッコつけて!」
アイリ様が口をぷくっと膨らませた。
「俺には前世の記憶はありません」
わたしの顔を見てそう言った。
ーーーセルジオは誰でもないの?
オスカー殿下と目が合った。
「………アイリもキャサリンも記憶が戻ったのは最近のことだろう?君たちのその性格は前世は関係なく今の性格だよね?別に君たちの前世のことは今の君たちの生活には影響はない、違うかい?」
「な、何よ!オスカー殿下それどう言う意味ですか?」
キャサリン様はオスカー殿下の言葉の意味をどう受け取っていいのか悩んで考えているのがわかる。
だけどアイリ様は突然甘えた声で話し始めた。
「アイリはぁ、オスカーのことを愛しているわ。確かに前世の記憶が戻ったのは最近のことよ。オスカーを愛しているのは今だし、前世の記憶は前世の記憶でしかないわ。陛下を愛していたのは前世のこと。だけどぉ、カレン様が、なんだかムカつくのは前世のせいだと今は思ってるの」
キャサリン様もふふッと笑う。
「そうね、わたしもずっとカレン様が憎たらしかったわ。公爵令嬢で美人でお金持ち、わたしだってみんなから可愛いと言われてるのに男爵令嬢でしかなくて、好きな宝石もドレスもたくさん買えないわ。
お父様が公爵夫婦に甘えれば好き勝手出来ると言われて、甘えて見せたらすぐに可愛がってくれたわ。
ふふ、貴女に意地悪するのがとても楽しかったわ。前世の記憶が戻ったのは最近だけど。グレンのことを愛していたのは確かだわ。でもそれは前世のわたしであって今のわたしではないわ。今のわたしはたくさんの人に愛されるキャサリンよ」
「わたしを恨んでいるからではないの?」
キャサリン様に聞いた。
「前世のことを思い出せば、子を産んで死んだわたしと我が子を育てられた王妃様。そりゃずるいと思うわ。だけど今と前世は違うわ。
今のわたしは前世の時のようにグレンを愛しているわけではないし生まれ育った環境も考え方も違うわ」
ーーー前世と今は違う……
「わたしはセリーヌとして陛下を愛したけど、今のわたしは別に陛下を求めていないもの。アイリとしてのわたしが好きなのはオスカー殿下よ」と言ってオスカー殿下の腕に絡んで体をくっつけた。
「ねっ、オスカー様ぁ」と甘えて見せる。
さっきまでとは違いオスカー殿下が現れてからは甘えてねだるような声で話すアイリ様。
キャサリン様もわたしをさっきまで攻めていたはずなのにセルジオの前では態度が一変した。
少しずつ前世の記憶が戻ってくるわたしは少しだけ冷静さが戻ってきた。
ーーーわたしの前世は後悔と懺悔しかない人生だった。
だけど、今のわたしと前世のわたくしは違う。
記憶があるけど……性格も考え方も違ってる。それはアイリ様やキャサリン様もそう。
二人ともわたくしが知っているセリーヌ様でもマキナ様でもない。
前世は前世でしかない……の?
マックス様はそんな私たちの会話を黙って聞いていた。
マックス様は前世のわたくしのせいで子供を殺そうとしてしまった。そして自ら死んでしまった。わたくしを恨んでも仕方がない。
セルジオも黙ってアイリ様とキャサリン様の会話を聞いていた。
オスカー殿下はアイリ様が腕に絡んで甘えてきているのを優しく見つめ………てはいなかった。
どちらかと言うと、困った顔をして顰めていた。
どうしたんだろう?いつもどんな時も優しい笑顔でアイリ様を見ていたような気がするのに……
でもよく考えたらわたしって、さほど二人の姿を拝見していたわけではない。どちらかと言うと苦手なタイプだったので避けていたもの。
思い出した記憶が押し寄せてくる。たまに前世の性格が現れる。辛くて悲しい、そして醜い心。
だけどそんな中でも今は落ち着いてカレンとしていつもの性格でいられた。
セルジオのおかげかもしれない。セルジオには前世の記憶がない。多分だから前世はわたし達とは関わりがない人なのだろう。
オスカー殿下も?
そう思っていたら……
「アイリ、そろそろその猿芝居はやめないか?」
「えっ?」
「君が愛しているのは第二王子としての僕であっていいように利用したいだけだろう?君が持っている香油を使ってね?
残念ながら最初から僕には効かないよ?君に近づいたのも兄上に頼まれたからで前もって薬を飲んでいたんだ」
「えっ?どう言うこと?だって、わたしの言うことを聞いてくれたからセルジオ様はカレン様と婚約したのでしょう?後々婚約破棄させてカレン様の無様に泣く姿を見るためにさせたのよ?」
「はっ?なんで貴女にそんなこと命令されないといけないんだ?」
セルジオが冷たく言い放った。
「だってだってセルジオ様はいつもオスカー様の隣で……何も言わずに話を聞いていたじゃない」
「もちろん側近だからね。オスカー殿下のために隣にはいたよ」
「二人とも薬が効いていないの?」
「ごめんね、アイリ。全く効いていないんだ」
オスカー殿下の目は笑っていなかった。
アイリ様とキャサリン様が青い顔をして互いに目を合わせて驚いていた。
そこにはセルジオとオスカー殿下が立っていた。
「君たちいい加減にしろ」
「はっ?何?セルジオ様ったらカッコつけて!」
アイリ様が口をぷくっと膨らませた。
「俺には前世の記憶はありません」
わたしの顔を見てそう言った。
ーーーセルジオは誰でもないの?
オスカー殿下と目が合った。
「………アイリもキャサリンも記憶が戻ったのは最近のことだろう?君たちのその性格は前世は関係なく今の性格だよね?別に君たちの前世のことは今の君たちの生活には影響はない、違うかい?」
「な、何よ!オスカー殿下それどう言う意味ですか?」
キャサリン様はオスカー殿下の言葉の意味をどう受け取っていいのか悩んで考えているのがわかる。
だけどアイリ様は突然甘えた声で話し始めた。
「アイリはぁ、オスカーのことを愛しているわ。確かに前世の記憶が戻ったのは最近のことよ。オスカーを愛しているのは今だし、前世の記憶は前世の記憶でしかないわ。陛下を愛していたのは前世のこと。だけどぉ、カレン様が、なんだかムカつくのは前世のせいだと今は思ってるの」
キャサリン様もふふッと笑う。
「そうね、わたしもずっとカレン様が憎たらしかったわ。公爵令嬢で美人でお金持ち、わたしだってみんなから可愛いと言われてるのに男爵令嬢でしかなくて、好きな宝石もドレスもたくさん買えないわ。
お父様が公爵夫婦に甘えれば好き勝手出来ると言われて、甘えて見せたらすぐに可愛がってくれたわ。
ふふ、貴女に意地悪するのがとても楽しかったわ。前世の記憶が戻ったのは最近だけど。グレンのことを愛していたのは確かだわ。でもそれは前世のわたしであって今のわたしではないわ。今のわたしはたくさんの人に愛されるキャサリンよ」
「わたしを恨んでいるからではないの?」
キャサリン様に聞いた。
「前世のことを思い出せば、子を産んで死んだわたしと我が子を育てられた王妃様。そりゃずるいと思うわ。だけど今と前世は違うわ。
今のわたしは前世の時のようにグレンを愛しているわけではないし生まれ育った環境も考え方も違うわ」
ーーー前世と今は違う……
「わたしはセリーヌとして陛下を愛したけど、今のわたしは別に陛下を求めていないもの。アイリとしてのわたしが好きなのはオスカー殿下よ」と言ってオスカー殿下の腕に絡んで体をくっつけた。
「ねっ、オスカー様ぁ」と甘えて見せる。
さっきまでとは違いオスカー殿下が現れてからは甘えてねだるような声で話すアイリ様。
キャサリン様もわたしをさっきまで攻めていたはずなのにセルジオの前では態度が一変した。
少しずつ前世の記憶が戻ってくるわたしは少しだけ冷静さが戻ってきた。
ーーーわたしの前世は後悔と懺悔しかない人生だった。
だけど、今のわたしと前世のわたくしは違う。
記憶があるけど……性格も考え方も違ってる。それはアイリ様やキャサリン様もそう。
二人ともわたくしが知っているセリーヌ様でもマキナ様でもない。
前世は前世でしかない……の?
マックス様はそんな私たちの会話を黙って聞いていた。
マックス様は前世のわたくしのせいで子供を殺そうとしてしまった。そして自ら死んでしまった。わたくしを恨んでも仕方がない。
セルジオも黙ってアイリ様とキャサリン様の会話を聞いていた。
オスカー殿下はアイリ様が腕に絡んで甘えてきているのを優しく見つめ………てはいなかった。
どちらかと言うと、困った顔をして顰めていた。
どうしたんだろう?いつもどんな時も優しい笑顔でアイリ様を見ていたような気がするのに……
でもよく考えたらわたしって、さほど二人の姿を拝見していたわけではない。どちらかと言うと苦手なタイプだったので避けていたもの。
思い出した記憶が押し寄せてくる。たまに前世の性格が現れる。辛くて悲しい、そして醜い心。
だけどそんな中でも今は落ち着いてカレンとしていつもの性格でいられた。
セルジオのおかげかもしれない。セルジオには前世の記憶がない。多分だから前世はわたし達とは関わりがない人なのだろう。
オスカー殿下も?
そう思っていたら……
「アイリ、そろそろその猿芝居はやめないか?」
「えっ?」
「君が愛しているのは第二王子としての僕であっていいように利用したいだけだろう?君が持っている香油を使ってね?
残念ながら最初から僕には効かないよ?君に近づいたのも兄上に頼まれたからで前もって薬を飲んでいたんだ」
「えっ?どう言うこと?だって、わたしの言うことを聞いてくれたからセルジオ様はカレン様と婚約したのでしょう?後々婚約破棄させてカレン様の無様に泣く姿を見るためにさせたのよ?」
「はっ?なんで貴女にそんなこと命令されないといけないんだ?」
セルジオが冷たく言い放った。
「だってだってセルジオ様はいつもオスカー様の隣で……何も言わずに話を聞いていたじゃない」
「もちろん側近だからね。オスカー殿下のために隣にはいたよ」
「二人とも薬が効いていないの?」
「ごめんね、アイリ。全く効いていないんだ」
オスカー殿下の目は笑っていなかった。
アイリ様とキャサリン様が青い顔をして互いに目を合わせて驚いていた。
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