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にじゅうよん。
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婚約が発表されてからのわたしの生活は一変した。
メガネと三つ編みはわたしのトレードマーク。
夜会での姿を殆どの同級生は知らない。
と言うかあの時のわたしと今のこの姿が同一人物だと知らない。
なので今まで目立つことなくオリヴィア達と静かに学校生活を送っていたのに、セルジオのおかげで……
『ほらあの地味な子がセルジオ様の婚約者らしいわ』
ーーー地味で悪かったわね。
『暗いし、ねぇ、いくら公爵令嬢だと言っても、あれは……』
ーーーあれはって、何?
『セルジオ様がお可哀想だわ。あんな令嬢では彼の価値が下がってしまうわ』
ーーーこれは…….確かにセルジオにとっていい令嬢避けになりそうだわ。
わたし、かなり目立ってるわよね?彼のせいで!
内心ムカムカしながら眼鏡っ子のわたしは一人俯いて教室の机で勉強をしていた。
「あら?失礼」
わたしの机に態と当たってくるクラスの目立つ女の子。
クスッと笑い、「この子のどこがいいのかしら?あるのは親の地位だけじゃない」と小さな声でわたしに聞こえるように言った。
ーーーわたし公爵令嬢よ!あんたの家なんか簡単に潰せるのよ!まっ、絶対親の力なんか使わないけどね。っていうか、うちの親わたしが虐められても多分大怪我しても泣いて喜びそう。
心の中では毒吐いてはいても、態度は真逆。
俯いて静かに勉強を続けた。
何かまだ言いたそうにしていたけど、わたしが顔を上げないのでこれ以上何か言ってくることはなかった。
そんなわたしの様子に気がついたオリヴィアが急いでわたしの席にやって来た。
「カレン、大丈夫?暴れないでね」
「そこ心配の仕方間違ってると思うの」
「だって、手が震えてるもの。暴れたいのを我慢してるんでしょう?あの子、クラスのリーダーだと勝手に思ってるけど、たかが伯爵令嬢なのによくも公爵令嬢のカレンに手を出したわよね。その眼鏡と三つ編みのおかげでカレンっておとなしい弱い女の子だと思われてるのね。可哀想に彼女、騙されてるのに」
「うん?可哀想なのはわたしじゃない!セルジオと婚約したせいで周りに色々言われるし意味のないいじめに遭うし」
「セルジオ様はよくわかってるんじゃない?貴女ならこんなことされても平気だって」
「はあーーー、家庭教師をタダでつけてもらえるし、あの屋敷から離れられると思ったけど甘かったかも」
「えっ?報酬って家庭教師だったの?」
「うん、やっぱり一人で勉強してもわからないところがあるのよね。教えてもらえる人もいなくて、彼がわたしの前にニンジンをぶら下げて来たの」
「そんなのわたしに言ってくれたら喜んでうちの家庭教師、タダで紹介したのに」
「………………遅すぎだわ」
「だってまさか家庭教師すらつけてくれないなんて……思わないもの」
「領地にいる頃はそんなの必要なかったしのんびりと暮らせてたから考えたこともなかったの。でも出来たら少しでも早く卒業したいから勉強してたら、流石に上の学年の勉強はわからなくて途中で止まってしまうことがあるのよね」
「カレンは少しでも早くあのお屋敷を出たいんだもんね」
「うん、最近は顔を合わせないように避けてるからまだマシなんだけどね」
ーーー食事も一人で部屋でとるようになったし、あの人達と関わらないようにしてるもの。
「そう言えばヒュート様は帰られたんでしょう?」
「うん、とっても寂しい」
「カレンには特別優しかったものね」
「親戚で幼馴染だもの」
「セルジオ様も幼馴染なんでしょう?」
「ああ、うん、そうだけど、セルジオ様やオスカー殿下は王都に来た時にお茶会で会えば遊ぶって感じだっただけだもの」
「わたしもそのお茶会に何度か顔を出したことがあるけど、お二人と一緒にいることが出来たのはカレンただ一人よ?知らなかった?」
「そうだったかしら?気がつけばあの二人とよく遊んでた気がする。わたしはオスカー殿下の遊び相手だっただけよ。よくオスカー殿下には置いて行かれたわ。取り残されて王城内を迷子になって辛かったな。
護衛騎士達は殿下の後を追うからわたしが一人ポツンとなるの、ほんと嫌だった記憶しかないわ」
思い出すだけでうんざりする。
いつもセルジオがどこからともなく現れて「また迷子?」と言って呆れながらみんなのところへ連れて行ってくれた。
わたしは何故か王城へ行くと、体調が悪くなってみんなから逸れてしまう。歩きたいのに足が重くなり、なんだか頭が痛くなったり、気持ち悪くて吐きそうになる。
この前の夜会の時も、ずっと嫌な気分だった。
「………レン?……えてるの?」
「えっ?」
オリヴィアがわたしの名前を呼んでいるのに気が付かなかった。
「もう!カレンったら突然黙り込んで返事しなくなったからびっくりしたわ」
「あっ……ごめんね、それと今思い出したんだけど、今日からお昼はセルジオと一緒に食べることになったの」
ーーー忘れてた。勉強を教えてもらう約束だった。
「セルジオ様と?本当の婚約者みたいね」
オリヴィアは全て知っているので呆れた顔をしていた。
「違うの、勉強をみてもらう約束なの」
「セルジオ様はニンジン何本持ってるのかしら?」
お昼は王家専用の特別室に向かう。
その一角は、近衛騎士達が配備されていて簡単には行けないようになっている。
「どうぞお入りください」
ーーー簡単すぎない?
そう思うのだけど近衛騎士達はわたしの顔を認識しているみたい。
「ありがとうございます」
お礼を言って通されたのは少し小さめの談話室だった。
そこにはオスカー殿下が座ってのんびりと本を読んでいた。
「あ……失礼いたしました」
慌てて扉を閉めて出ようとしたら
「カレン入っておいで」と声をかけられた。
「わたし間違って入ってしまったみたいなので、申し訳ございませんでした」
「ここに通すようになってたよ、セルジオはさっき先生に呼ばれて席を外しているんだ。先に僕と一緒に食事をしよう」
「えっ?殿下とですか?」
思わず心の声が表に出てしまった。
「くくくっ、ほんと変わらないよね、カレンは。嫌なことは嫌だとはっきり言うところ」
「わたしも少しは成長しました。多少は言葉を選んで話せるようになりました」
ムスッとしていると「やっぱり変わらないよね」と笑われた。
「だけど……最近は僕たちを避けて関わろうとしないから寂しかったよ」
「アイリ様に誤解されたくはありませんので」
「アイリ?なんで?」
「アイリ様の恋人の殿下に親しく話してはアイリ様もいい気持ちはしないと思います」
「アイリ……カレンから見てアイリってどう思う?」
殿下の表情がさっきまでと違う。
よくわからない質問にどう答えていいのか戸惑ってしまった。
メガネと三つ編みはわたしのトレードマーク。
夜会での姿を殆どの同級生は知らない。
と言うかあの時のわたしと今のこの姿が同一人物だと知らない。
なので今まで目立つことなくオリヴィア達と静かに学校生活を送っていたのに、セルジオのおかげで……
『ほらあの地味な子がセルジオ様の婚約者らしいわ』
ーーー地味で悪かったわね。
『暗いし、ねぇ、いくら公爵令嬢だと言っても、あれは……』
ーーーあれはって、何?
『セルジオ様がお可哀想だわ。あんな令嬢では彼の価値が下がってしまうわ』
ーーーこれは…….確かにセルジオにとっていい令嬢避けになりそうだわ。
わたし、かなり目立ってるわよね?彼のせいで!
内心ムカムカしながら眼鏡っ子のわたしは一人俯いて教室の机で勉強をしていた。
「あら?失礼」
わたしの机に態と当たってくるクラスの目立つ女の子。
クスッと笑い、「この子のどこがいいのかしら?あるのは親の地位だけじゃない」と小さな声でわたしに聞こえるように言った。
ーーーわたし公爵令嬢よ!あんたの家なんか簡単に潰せるのよ!まっ、絶対親の力なんか使わないけどね。っていうか、うちの親わたしが虐められても多分大怪我しても泣いて喜びそう。
心の中では毒吐いてはいても、態度は真逆。
俯いて静かに勉強を続けた。
何かまだ言いたそうにしていたけど、わたしが顔を上げないのでこれ以上何か言ってくることはなかった。
そんなわたしの様子に気がついたオリヴィアが急いでわたしの席にやって来た。
「カレン、大丈夫?暴れないでね」
「そこ心配の仕方間違ってると思うの」
「だって、手が震えてるもの。暴れたいのを我慢してるんでしょう?あの子、クラスのリーダーだと勝手に思ってるけど、たかが伯爵令嬢なのによくも公爵令嬢のカレンに手を出したわよね。その眼鏡と三つ編みのおかげでカレンっておとなしい弱い女の子だと思われてるのね。可哀想に彼女、騙されてるのに」
「うん?可哀想なのはわたしじゃない!セルジオと婚約したせいで周りに色々言われるし意味のないいじめに遭うし」
「セルジオ様はよくわかってるんじゃない?貴女ならこんなことされても平気だって」
「はあーーー、家庭教師をタダでつけてもらえるし、あの屋敷から離れられると思ったけど甘かったかも」
「えっ?報酬って家庭教師だったの?」
「うん、やっぱり一人で勉強してもわからないところがあるのよね。教えてもらえる人もいなくて、彼がわたしの前にニンジンをぶら下げて来たの」
「そんなのわたしに言ってくれたら喜んでうちの家庭教師、タダで紹介したのに」
「………………遅すぎだわ」
「だってまさか家庭教師すらつけてくれないなんて……思わないもの」
「領地にいる頃はそんなの必要なかったしのんびりと暮らせてたから考えたこともなかったの。でも出来たら少しでも早く卒業したいから勉強してたら、流石に上の学年の勉強はわからなくて途中で止まってしまうことがあるのよね」
「カレンは少しでも早くあのお屋敷を出たいんだもんね」
「うん、最近は顔を合わせないように避けてるからまだマシなんだけどね」
ーーー食事も一人で部屋でとるようになったし、あの人達と関わらないようにしてるもの。
「そう言えばヒュート様は帰られたんでしょう?」
「うん、とっても寂しい」
「カレンには特別優しかったものね」
「親戚で幼馴染だもの」
「セルジオ様も幼馴染なんでしょう?」
「ああ、うん、そうだけど、セルジオ様やオスカー殿下は王都に来た時にお茶会で会えば遊ぶって感じだっただけだもの」
「わたしもそのお茶会に何度か顔を出したことがあるけど、お二人と一緒にいることが出来たのはカレンただ一人よ?知らなかった?」
「そうだったかしら?気がつけばあの二人とよく遊んでた気がする。わたしはオスカー殿下の遊び相手だっただけよ。よくオスカー殿下には置いて行かれたわ。取り残されて王城内を迷子になって辛かったな。
護衛騎士達は殿下の後を追うからわたしが一人ポツンとなるの、ほんと嫌だった記憶しかないわ」
思い出すだけでうんざりする。
いつもセルジオがどこからともなく現れて「また迷子?」と言って呆れながらみんなのところへ連れて行ってくれた。
わたしは何故か王城へ行くと、体調が悪くなってみんなから逸れてしまう。歩きたいのに足が重くなり、なんだか頭が痛くなったり、気持ち悪くて吐きそうになる。
この前の夜会の時も、ずっと嫌な気分だった。
「………レン?……えてるの?」
「えっ?」
オリヴィアがわたしの名前を呼んでいるのに気が付かなかった。
「もう!カレンったら突然黙り込んで返事しなくなったからびっくりしたわ」
「あっ……ごめんね、それと今思い出したんだけど、今日からお昼はセルジオと一緒に食べることになったの」
ーーー忘れてた。勉強を教えてもらう約束だった。
「セルジオ様と?本当の婚約者みたいね」
オリヴィアは全て知っているので呆れた顔をしていた。
「違うの、勉強をみてもらう約束なの」
「セルジオ様はニンジン何本持ってるのかしら?」
お昼は王家専用の特別室に向かう。
その一角は、近衛騎士達が配備されていて簡単には行けないようになっている。
「どうぞお入りください」
ーーー簡単すぎない?
そう思うのだけど近衛騎士達はわたしの顔を認識しているみたい。
「ありがとうございます」
お礼を言って通されたのは少し小さめの談話室だった。
そこにはオスカー殿下が座ってのんびりと本を読んでいた。
「あ……失礼いたしました」
慌てて扉を閉めて出ようとしたら
「カレン入っておいで」と声をかけられた。
「わたし間違って入ってしまったみたいなので、申し訳ございませんでした」
「ここに通すようになってたよ、セルジオはさっき先生に呼ばれて席を外しているんだ。先に僕と一緒に食事をしよう」
「えっ?殿下とですか?」
思わず心の声が表に出てしまった。
「くくくっ、ほんと変わらないよね、カレンは。嫌なことは嫌だとはっきり言うところ」
「わたしも少しは成長しました。多少は言葉を選んで話せるようになりました」
ムスッとしていると「やっぱり変わらないよね」と笑われた。
「だけど……最近は僕たちを避けて関わろうとしないから寂しかったよ」
「アイリ様に誤解されたくはありませんので」
「アイリ?なんで?」
「アイリ様の恋人の殿下に親しく話してはアイリ様もいい気持ちはしないと思います」
「アイリ……カレンから見てアイリってどう思う?」
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