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にじゅうさん。
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「カレン、俺そろそろ帰らないといけないんだ」
ヒュートに会いにルロワール家に行くと言われた。
「わたしのために忙しいのにこの国に来てくれてありがとう」
「カレン、俺と一緒にうちの国に帰らないか?じい様とばあ様は俺が一緒に連れ帰ってもいい。ついでにエマとキースも連れて帰ろう。オリソン国は新しい国になって女性も活躍してるんだ。お前の思う自由を得ることができると思う」
「………お祖母様の祖国だからとても興味があるわ。だけど……セルジオ様と婚約することにしたの」
「好きなのか?」
「……違うわ、自由を得るため。わたし……必死で勉強してるけど空回りばかりでなかなか進まないの。家庭教師をつけて欲しいなんてあの人達に頼めないし、セルジオ様の屋敷に通って勉強させてもらうつもりなの。ついでに煩わしい婚約者選びももうしなくて済むし」
「カレンはそんなことで将来の相手を選んでいいの?」
「学校を卒業したらあの人達の公爵家から籍は抜くつもりなの。そしたら文官になって働こうと思ってる」
「だったらうちの国に来ることも考えてみて。セルジオ様との婚約だって公爵令嬢じゃなくなったら駄目になるだろう?」
「うん、学校卒業したら婚約解消するってセルジオ様と約束してるの」
「はっ?それって彼になんのメリットがあるんだ?」
「学生の間煩わしい婚約者選びをしないで過ごせると言ってたわ。わたしはその間の虫除け?」
「そんな訳ないだろう?カレンっていいように操られてるよ」
「どう言う意味?」
「……とにかく、考えてみて。あの毒親のことは捨ててもいいと思う。自分たちの幸せしか考えない人達だ。これから改心することがあっても許せることではないと思う」
「改心?あの人達が?ないない!あり得ないわ」
「あの人達が君に捨てられて後悔するところを見てみたいよ」
「ヒュートって案外性格悪いのね?」
「知らなかった?」
「ヒュート今は返事出来ない、考えてみるわ」
「わかったよ、いつでも連絡して。すぐに迎えに来るからね」
「ありがとう」
数日後ヒュートは帰って行った。
ーーーわたしの大切な友人。しばらくは会えないと思うと寂しい。一番心を許せて我儘を言える。
その日は少し寂しさから落ち込んだ。エマが買い物に行った時に見つけたと言って、買ってきてくれたアップルパイ。ザクザクのリンゴがたくさんのっていて甘さ控えめでとても美味しかった。
二人だけのお茶の時間は久しぶり。
「カレン様がセルジオ様と婚約されたことは良いことだと思います、でも一番に教えて欲しかったです」
「ごめんなさい、あまりにも突然で自分でも驚いているのよ。まさかあのセルジオ様と婚約するなんて、ねえ?」
「確かにオスカー殿下とセルジオ様とカレン様はよく幼い頃一緒に遊んでいましたよね。懐かしいです」
「年に数回は王都に呼ばれてたものね、そして王宮でのお茶会に連れて行かれてオスカー殿下の遊び相手としてよく過ごしたわ。でもセルジオ様とはあまり仲良くなかった気がするの」
「何を言ってるんですか。オスカー殿下にくっつくよりもセルジオ様にばかり懐いていたではないですか」
エマはわたしのお守り役としていつもそばに居てくれた。だからあの頃のことを覚えているのだろうけど……そうだったかしら?
「覚えてないわ」
「あの頃のカレン様は王都に来ると情緒不安定になっていましたからね。特に王城にいる時はよく泣かれていました。そんな時セルジオ様の服をギュッと持って『そばにいてね』と言ってセルジオ様から離れなかったんですよ」
「………全くもって覚えていないわ」
ーーー何、その黒歴史………知らないわ。
内心覚えていなくてよかったとホッとした。
そして互いの親族との顔合わせは恙無く終わった。
流石の公爵様も宰相閣下であるセルジオ様のお父様の前ではわたしを怒鳴ったりしなかった。
冷たい表情ではあったけど、人前では繕ってくれていたようだ。夫人も黙ってにこやかに座っていた。
かなりわたし的には不気味だったけど。
つい『公爵様』と何度か呼んで、公爵様に睨まれた。
だってもうお父様なんて呼ぶ気にはなれないし、これから先セルジオ様のご両親の前で親子としての演技ができるかとても不安。
セルジオ様の屋敷はマックス様の屋敷とはまた違っていて、どちらかと言うとシンプル。無駄を省き必要なものをきちんと決められた場所に置かれている、と言う感じ。
セルジオ様のご両親はとても優しい人達だった。宰相の仕事をしている時の顔とは全く違っていた。普段は虚勢を張っているのかしら?
なんて考えていると
「カレン、またへんなこと考え込んでいるでしょう?」とセルジオ様が突っ込んで来た。
うん?『カレン』と呼んだ?
驚いて目を大きく見開いていると
「婚約者だから、ねっ、君もセルジオでいいからね、様は、要らないよ」
くぅっ、やだ!自分の顔の良さに気がついて欲しいわ。そんな近くに寄られると好きではなくてもつい顔が赤くなってしまうわ。
セルジオさ…セルジオの仕草ってなんか色っぽいんだけど。
「うん?何?」
セルジオも流石にわたしが今考えてることはわからないみたい。
「別に……と、とりあえず、少しの間よろしくお願いします。わたしも貴方の婚約者のフリ頑張るわ」
「じゃあ、俺も頑張るよ、くくくっ」
うん?俺?
「あー、普段は意識して僕って言ってる。でも君婚約者になったから、素で話してもいいよね?」
「はあ?セルジオってこんな人だったの?」
こんな感じでわたし達は無事に婚約することができた。なんか大丈夫なのか不安だけど。
ヒュートに会いにルロワール家に行くと言われた。
「わたしのために忙しいのにこの国に来てくれてありがとう」
「カレン、俺と一緒にうちの国に帰らないか?じい様とばあ様は俺が一緒に連れ帰ってもいい。ついでにエマとキースも連れて帰ろう。オリソン国は新しい国になって女性も活躍してるんだ。お前の思う自由を得ることができると思う」
「………お祖母様の祖国だからとても興味があるわ。だけど……セルジオ様と婚約することにしたの」
「好きなのか?」
「……違うわ、自由を得るため。わたし……必死で勉強してるけど空回りばかりでなかなか進まないの。家庭教師をつけて欲しいなんてあの人達に頼めないし、セルジオ様の屋敷に通って勉強させてもらうつもりなの。ついでに煩わしい婚約者選びももうしなくて済むし」
「カレンはそんなことで将来の相手を選んでいいの?」
「学校を卒業したらあの人達の公爵家から籍は抜くつもりなの。そしたら文官になって働こうと思ってる」
「だったらうちの国に来ることも考えてみて。セルジオ様との婚約だって公爵令嬢じゃなくなったら駄目になるだろう?」
「うん、学校卒業したら婚約解消するってセルジオ様と約束してるの」
「はっ?それって彼になんのメリットがあるんだ?」
「学生の間煩わしい婚約者選びをしないで過ごせると言ってたわ。わたしはその間の虫除け?」
「そんな訳ないだろう?カレンっていいように操られてるよ」
「どう言う意味?」
「……とにかく、考えてみて。あの毒親のことは捨ててもいいと思う。自分たちの幸せしか考えない人達だ。これから改心することがあっても許せることではないと思う」
「改心?あの人達が?ないない!あり得ないわ」
「あの人達が君に捨てられて後悔するところを見てみたいよ」
「ヒュートって案外性格悪いのね?」
「知らなかった?」
「ヒュート今は返事出来ない、考えてみるわ」
「わかったよ、いつでも連絡して。すぐに迎えに来るからね」
「ありがとう」
数日後ヒュートは帰って行った。
ーーーわたしの大切な友人。しばらくは会えないと思うと寂しい。一番心を許せて我儘を言える。
その日は少し寂しさから落ち込んだ。エマが買い物に行った時に見つけたと言って、買ってきてくれたアップルパイ。ザクザクのリンゴがたくさんのっていて甘さ控えめでとても美味しかった。
二人だけのお茶の時間は久しぶり。
「カレン様がセルジオ様と婚約されたことは良いことだと思います、でも一番に教えて欲しかったです」
「ごめんなさい、あまりにも突然で自分でも驚いているのよ。まさかあのセルジオ様と婚約するなんて、ねえ?」
「確かにオスカー殿下とセルジオ様とカレン様はよく幼い頃一緒に遊んでいましたよね。懐かしいです」
「年に数回は王都に呼ばれてたものね、そして王宮でのお茶会に連れて行かれてオスカー殿下の遊び相手としてよく過ごしたわ。でもセルジオ様とはあまり仲良くなかった気がするの」
「何を言ってるんですか。オスカー殿下にくっつくよりもセルジオ様にばかり懐いていたではないですか」
エマはわたしのお守り役としていつもそばに居てくれた。だからあの頃のことを覚えているのだろうけど……そうだったかしら?
「覚えてないわ」
「あの頃のカレン様は王都に来ると情緒不安定になっていましたからね。特に王城にいる時はよく泣かれていました。そんな時セルジオ様の服をギュッと持って『そばにいてね』と言ってセルジオ様から離れなかったんですよ」
「………全くもって覚えていないわ」
ーーー何、その黒歴史………知らないわ。
内心覚えていなくてよかったとホッとした。
そして互いの親族との顔合わせは恙無く終わった。
流石の公爵様も宰相閣下であるセルジオ様のお父様の前ではわたしを怒鳴ったりしなかった。
冷たい表情ではあったけど、人前では繕ってくれていたようだ。夫人も黙ってにこやかに座っていた。
かなりわたし的には不気味だったけど。
つい『公爵様』と何度か呼んで、公爵様に睨まれた。
だってもうお父様なんて呼ぶ気にはなれないし、これから先セルジオ様のご両親の前で親子としての演技ができるかとても不安。
セルジオ様の屋敷はマックス様の屋敷とはまた違っていて、どちらかと言うとシンプル。無駄を省き必要なものをきちんと決められた場所に置かれている、と言う感じ。
セルジオ様のご両親はとても優しい人達だった。宰相の仕事をしている時の顔とは全く違っていた。普段は虚勢を張っているのかしら?
なんて考えていると
「カレン、またへんなこと考え込んでいるでしょう?」とセルジオ様が突っ込んで来た。
うん?『カレン』と呼んだ?
驚いて目を大きく見開いていると
「婚約者だから、ねっ、君もセルジオでいいからね、様は、要らないよ」
くぅっ、やだ!自分の顔の良さに気がついて欲しいわ。そんな近くに寄られると好きではなくてもつい顔が赤くなってしまうわ。
セルジオさ…セルジオの仕草ってなんか色っぽいんだけど。
「うん?何?」
セルジオも流石にわたしが今考えてることはわからないみたい。
「別に……と、とりあえず、少しの間よろしくお願いします。わたしも貴方の婚約者のフリ頑張るわ」
「じゃあ、俺も頑張るよ、くくくっ」
うん?俺?
「あー、普段は意識して僕って言ってる。でも君婚約者になったから、素で話してもいいよね?」
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